インタビュー

ストーリーモード詳細も! 「フォーオナー」開発者インタビュー

サムライ大好きな開発者が語る、期待の剣戟アクション最新動向

2017年2月16日 発売予定

価格:8,400円(税別)

迫力の中世バトルを大胆にゲーム化した「フォーオナー」
剣を使った緻密かつ白熱の闘技
攻撃も防御も相手の動きに合わせた対応が必要になるゲーム性

 ユービーアイソフトが2017年2月16日に発売を予定するプレイステーション 4/Xbox One/Windows「フォーオナー」は、ナイト、侍、ヴァイキングの3勢力が武骨な白兵武器で戦い合う、アクションゲームファン注目の1本だ。敵と肉薄し、英雄的な剣術や闘技を尽くして死線を分かつというゲーム内容は、戦いというものに憧れる男の子なら誰でも本能的に血沸き肉踊ってしまう世界。本作はそんな肉弾戦の迫力を、最新のアニメーションエンジンで超リアルに描きつつ、ユニークな操作系で高度な駆け引きへと昇華したところに特徴がある。

 そんな本作は2015年6月のE3で衝撃的なアナウンスがされたのち、今年9月には海外向けのクローズドアルファテストがPC/PS4/Xbox Oneで開催されたが、続けてのβテストを望む声が多数に上る好評ぶり。また、日本語版については希望者全員が参加できるオープンアルファテストが10月20日から4日間にかけてPS4で実施され、大勢のプレーヤーが本作の手応えを掴んだようだ。

 なんといっても本作の特徴は、中世の剣技による応酬を、コントローラー操作の形に巧みに落とし込んでいるところ。攻撃や防御を成功させるためには右スティックを使って上と左右という三方向のスタンスを使い分け、相手の動きに的確に反応する必要がある。さらに受け流し、フェイント、防御崩し、投げ技といった絡め手のアクションと、その返し技。スキが大きい代わりに打撃力の高いガード不能攻撃や、素早く身をかわす回避アクションも絡めつつ、格闘技のような読みと反応の応酬で敵を倒していく。名付けて「アート・オブ・バトル」システムだ。操作が少しややこしく感じるかもしれないが、そのぶん駆け引きの幅が広く、マスターすればまさに達人の気分を味わえるゲームといえるだろう。

 ゲームルールとしては1対1で対戦する「デュエル」、2対2で対戦する「ブロウル」、NPCの雑兵を交えて4対4での陣取り合戦をする「ドミニオン」といったモードがこれまでのテストで披露されており、対戦モードが主要な遊び場となるゲームになることは間違いないが、本作では1人または2人協力で進められるストーリーモードも搭載。しかしまだその詳細は披露されておらず、本作に登場する騎士やヴァイキング、そして侍たちがどのように描かれるか気になるところ。

 そして今回、秋葉原で開催されたユービーアイソフトのファンイベント「UBIDAY 2016」に合わせ、本作のアソシエイトゲームディレクターを務めるGaelec Simard氏が来日。本作のあれこれについて話を聞くことができた。和風の大きな入墨を入れたSimard氏は大の日本文化ファンでもあるということで、Simard氏が担当したストーリーモードの詳細や、侍への思い入れなども聞いてみた模様をお届けしよう。

【『フォーオナー』 アナウンストレーラー】
ナイト、ヴァイキング、侍の3陣営が三つ巴で戦う様子が描かれたトレイラームービー

ユニークなゲーム性。アルファテストのフィードバックはどう活かされた?

Ubisoft アソシエイトゲームディレクター Gaelec Simard氏
徹底して白兵戦にこだわった本作。操作も独特だ

――本作の開発における、Simardさんの役割について教えてください。

Gaelec Simard氏:アソシエイトゲームディレクターとして、ストーリーモードの開発を担当しています。ストーリーモードの内容をクールにすることと、そこでプレーヤーのみなさんがきちんと楽しんでいただけるようにするために様々なチューニングを行なっています。それに加えて、マルチプレイに登場しないボット(AIキャラクター)についてや、ゲーム全体に影響するコアゲームプレイにも目をかけています。

――「フォーオナー」はこれまでにないタイプのゲームだと思います。Simardさん的に一言で説明するなら、どんなゲームだと表現しますか?

Gaelec Simard氏:「フォーオナー」は、まるで自分の手に武器があるかのように感じられるゲームです。近接戦闘のゲームとして全く新しい方法でコントローラーを活用する「アート・オブ・バトル」というシステムがその根幹にあります。ですからとてもユニークな内容で、ぜひ試していただきたいと思っています。

――ソードファイトのゲームといえば「Mount&Blade」や「Chivalry: Medieval Warfare」といった作品もこれまでにありましたが、「フォーオナー」の特色を強いて挙げると?

Gaelec Simard氏:それらのゲームとテーマ的に近しいところもあると思いますが、「フォーオナー」では剣士をどのように操作するかや、異なる特徴を持つ複数の剣士たちの間でのバランスといったところに大きな特徴があります。また、「モーションマッチングテクノロジー」と呼ばれる新技術を用いて、武器を扱うひとつひとつの動きも本当に真に迫ったものになっていることも、是非みていただきたい部分です。

――本作のアニメーション技術についてはGDC 2016の講演で詳しく明かされていましたね。

Gaelec Simard氏:Simon Calvetの講演ですね。はい、モーションキャプチャされたデータをどのようにゲームに落とし込むかという部分で全く新しい技術を開発し、本作で使用しています。それによってゲーム内のアニメーションがゲーム性にフィットしながらも非常にリアルなものになっています。

――前例のないシステムが骨組みになっているということで、本作の開発には非常に長い期間を要したのではないでしょうか?

Gaelec Simard氏:ゲーム自体の開発は5年前にスタートしました。スタートしたときは非常に小さなチームで、武器をコントローラーで操作してバトルするというプロトタイプでした。最初はシンプルな棒人間が戦うものでしたが、これは非常に面白いということで、新しいキャラ、新しい武器、新しいアニメーションを追加していって、今のように大きなものになってきました。私自身は2年前にチームに参加したのですが、素晴らしい同僚に恵まれて、家族のように良い雰囲気でゲームの開発を進めています。

――そして先日、「UBIDAY 2016」で日本のファンに直接お披露目することができましたね。反応はいかがでしたか?

Gaelec Simard氏:とても興奮しました。日本のファンの皆さんは他の国で聞いたことがないほど具体的な質問をしてくるなどとても熱心で、とてもあたたかく迎えてくれました。チームと共有するたくさんのフィードバックもいただくことできて、ここにきて本当に良かったと思います。

東洋代表の侍陣営。独特に組み合わされた具足がカッコイイ
ちょっと強すぎ?とも言われた「大蛇」。現在はしっかり調整されているとのこと
練習に最適という「デュエル」。1対1でじっくり戦技を磨ける

――ファンとして、侍がカッコイイというのがぐっと来ますよね。

Gaelec Simard氏:もちろんです、私も侍ですから(笑)。私は侍のキャラクターが本当に好きなので、ゲームに入れることができてよかったと思います。

――その前に実施されたアルファテストも含め、全体的なフィードバックはいかがでしたか?

Gaelec Simard氏:数週間前に実施されたテストではたくさんのデータを集めることができ、その分析に取り組んでいます。まだ全部のデータを紐解いてはいないので全体的にどうだったとは言えないのですが、現在では発売に向けて悪いところを修正する、不評だったところを変えるという風に取り組んでいます。もちろん発売後もそういった改善は続けていきますので、そういったフィードバックはぜひどんどんいただきたいなと考えています。

――アルファテストでは侍の「大蛇(オロチ)」というキャラクターがやたら強い、という意見も聞かれましたね。Simardさんはどのキャラがお気に入りですか?

Gaelec Simard氏:個人的にもアルファ前から「大蛇」がお気に入りです(笑)。というのも、ゲームを問わず好きなものでDEXタイプというか、スピードがあって高ダメージが出せるキャラクターが好みで、「大蛇」とか「ピースキーパー」を私自身もよく使います。「大蛇」が強すぎるのではないか、という声については他地域のアルファテストでも届いていまして、実はもう調整済みです。

――具体的にはどういった調整がされたのでしょうか?

Gaelec Simard氏:詳しいところは忘れてしまったのですが、攻撃力、スピード、体力など様々な部分で調整が行なわれたと思います。また具体的なところでは、「大蛇」ではカウンターが簡単に出過ぎていた部分があったので、そこをややシビアなタイミングに調整しました。カウンターを積極的に狙うとリスクを背負うことになりますよ。

――これは人によるところですが、操作が独特なもので「このゲームは難しい」という印象を持ったプレーヤーもいたかもしれません。そういった方に何か有効なアドバイスはありますか?

Gaelec Simard氏:アルファテストでのマッチメイキングシステムは完全なものではなかったので、自分のレベルに合わないプレーヤーとマッチングしたりで難しく感じたユーザーさんもいたと思います。そのあたりは発売までに改善していきたいと考えているところです。製品の方ではフレンド同士で戦って技術を磨くこともできると思いますので、まずは「デュエル」で練習して、上達したら他の人とプレイするというやり方も良いと思います。また「ドミニオン」では、1対1の対決が苦手でも、最終的なチーム勝利を達成するために様々な貢献の方法がありますので、そちらで楽しんでいただくという方法もあります。

――日本語版アルファのアンケートではベータテストを希望するか、という項目もあったわけですが、ベータテストの実施タイミングなど具体的な計画は決まっていますか?

Gaelec Simard氏:もちろんベータテストはやりたいと思っているのですが、現在のところはいつどのような形で実施するかを話し合っているところで、まだ詳しくお話することはできません。状況に応じて決まっていくことと思いますので、最新の情報を見逃さないよう、公式サイトや我々のTwitter、Facebook等をぜひフォローすることをおすすめします。

大勢が参加し、大きなマップで陣取りをする「ドミニオン」。1対1でなかなか勝てなくても、チームワークを活かした戦い方もある

【『フォーオナー』東京ゲームショウ2016トレーラー】
TGS 2016に合わせて公開されたムービーは侍成分多めでお届け

ストーリーモードは3陣営それぞれの視点で大きな物語が描かれる展開に

ストーリーモードでは、3陣営それぞれの視点でひとつの大きな物語が描かれるという
ストーリーの核を握る「ローブリンガー」は、アルファテストでは見られなかったナイト陣営のキャラクターのひとり

――Simardさんがメインで担当したストーリーモードはどのような構成になるのでしょうか?

Gaelec Simard氏:ストーリーモードは大きな1つのお話をもとに、全体で3つのチャプターに分割されています。それぞれのチャプターでは、3つの勢力(ナイト、ヴァイキング、侍)がなぜ互いに戦うように仕向けられ、どうしてこの戦に巻き込まれていったかというのをそれぞれの視点、それぞれのヒーローで描き出しつつ、ゲーム要素の全てが体験できるようになっています。その裏にはアポリオンという人物がいて、その人が戦いの火種を作り出しているという背景があるのですが、最初はナイト、次にヴァイキング、最後に侍という構成で、ストーリーが解き明かされていくという構成です。

――侍が最後に出てくるということは、重要な役割を?

Gaelec Simard氏:まあここで全部明かしてしまうわけにはいかないのですが(笑)、各勢力はそれぞれに重要な役割りを携えているのは確かです。最終的に侍がどうなるかはいえませんけども、彼らがどのようにアポリオンに相対するかは楽しみにしてください。

――物語の核となるアポリオンというのは何者なのでしょう?

Gaelec Simard氏:アポリオンは非常に重要なキャラクターです。彼女はナイト勢力の子供だったのですが、10歳のときに村がヴァイキングに襲われたとき、そこにいたローブリンガーは村人を助けるには値しないといって、手勢を引き連れて退散してしまったんです。それによって村は壊滅したのですが、アポリオンは生き残り、ローブリンガーを倒すために旅をします。この世を弱肉強食の世界だと考え、力こそが全てという考えに染まったアポリオンはローブリンガーを倒し、その鎧を自分用に改造して身につけることで畏怖の象徴となっていきます。ストーリーモードでは、そんなアポリオンがどうやって3つの勢力を混乱に巻き込み、互いに争わせるのかという部分が解き明かされていきます。

――各ファクションで登場するキャラクターも気になるところです。現在のところ3陣営から6キャラクターがアルファテストにも登場してきていますが、まだ詳しく紹介されていない他のキャラクターについて教えてください。

Gaelec Simard氏:全体では12のキャラクターが登場しますので、製品ではさらに6人のキャラクターが登場します。侍では巨大な金棒を装備した「守護鬼」、薙刀を持った「野武士」が出てきます。ナイトではアサシンタイプの「ピースキーパー」と重装備の「ローブリンガー」。ヴァイキングでは大きな盾を持った「ウォーロード」、そして「ヴァルキリー」が登場します。

侍陣営の全4キャラクター
ヴァイキング陣営の全4キャラクター

【『フォーオナー』 CGIトレーラー】
こちらのムービーではストーリーモードの背景を紹介。世界の争いと荒廃、その背後で暗躍するアポリオンが描かれている

日本の山城をモチーフにしたステージ
本作独自の解釈でデザインされた侍
ナイト、ヴァイキング、侍の三つ巴となる世界なので問題なしなのである

――作中には侍や日本をテーマとした風景も出てきますが、こういったものを作り込んでいく上でどのように研究されましたか?

Gaelec Simard氏:とても面白い質問だと思います。我々は日本の文化を勉強するために映画を見たり、ネットで調べ物をしたり、あるいはユービーアイの日本オフィスにいろいろな質問をして話を聞いたりもしました。ただ我々が作っているゲームの世界観はある程度ファンタジーで、史実には基づいていないので、一部創作の部分もあります。ですので実際のものと照らし合わせると、何か合ってない部分もあるかと思いますが、このゲームのストーリーを構成する上で必要なものを取り込んで作り込んでいます。

――Simardさん自身も好きな侍とかいたりしますか?

Gaelec Simard氏:宮本武蔵が好きです(笑)。いろんな本を読んで侍のことを勉強したのですが、1番記憶にあるのは吉川英治の宮本武蔵ですね。

――なかなかハードコアですね。それが原作のコミックも読まれましたか?

Gaelec Simard氏:それはまだ読んだことないですけど、ぜひ見てみます。教えてくれてありがとう(笑)。ちなみに映画の「十三人の刺客」も好きで、実はゲーム内のイベントのひとつは、そこからインスパイアされたものになっています。

――それはとても楽しみですね。発売は来年の2月ということで、開発期間は残るところ3カ月程度となりましたが、Simardさんとしては完成に向けてどんなところに注力していく計画ですか?

Gaelec Simard氏:開発は最終段階に入っていますので、バグをとったりバランス調整をしたりといったことをメインにやっていますけれども、今回のアルファテストなどで皆さんから頂いたフィードバックをもとに、どうやってゲームを良くしていくかということは常に考えています。これはもちろん発売後も続けていきます。

――最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

Gaelec Simard氏:アルファテストに参加してくださってありがとうございました。皆さんから頂いたフィードバックは非常に貴重なものになりました。今後も公式サイト上などでで最新情報を発信していきますので、そちらもぜひ見逃さないようにしてくださいね。ゲームが出たらぜひプレイをしていただいて、皆さんからのコメントを頂ければと思います。

――ありがとうございました。

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