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【連載第157回】 あの、おもちゃを徹底レポート




ガンダムのラジコンが低価格で登場!
バンダイ「R/C ガンタンク」

「R/C ガンタンク」
発売 バンダイ
価格 10,290円
電源 アルカリ単3電池×4(別売)
発売日 発売中



 「ザクII」、「ドム」に続く、ガンダムのラジコン第3弾。第1弾、第2弾とジオン軍のモビルスーツが続いたが、今回はじめて地球連邦軍のモビルスーツが登場となる。

 ご存じの通り、ガンタンクは、下部がキャタピラになっており、その安定性によって大型のキャノン砲を2基搭載しているモビルスーツ。動力部分だけは戦車と同じなので、確かにラジコンにするには最適だ。

 シリーズ作品と比べると、「R/C ガンタンク」の最大の特徴は、その価格にあるといえるかもしれない。98,000円もした「R/C TECHROID MS-06 ZAKU II」や、35,000円だった「R/C TECHROID MS-09 DOM」に比べ、「ガンタンク」は、10,290円という低価格。あこがれのガンダムのラジコンが1万円で手に入るのだから、これを機会に買う人も多いだろう。


おなじみの1/144スケールでガンタンクを忠実に再現

 パッケージを開けて、「R/C ガンタンク」を取り出した第一印象は、「小さい!?」だった。全高が39センチもあった「ザクII」や、20センチだった「ドム」に目が慣れた身としては、10センチしかない「R/C ガンタンク」はどうしてもコンパクトに見えてしまう。価格が抑えてあるので仕方ないかな……とも思うが、少々残念だ。が、このコンパクトさには理由があり、それを知ったら、そんな気分もどこかへ吹き飛んでしまった。「R/C ガンタンク」のサイズは、“ガンプラ”でおなじみの1/144スケールだったのだ。なるほど、それならこのコンパクトさもアリだな、とアッサリと印象が変わってしまうのは、ガンプラ世代ならではこそ。

 「R/C ガンタンク」本体の出来映えは、及第点を大きく上回る。緻密に作り込まれた昨今のプラモデルと比較すれば、さすがに見劣りするが、単体で見れば十分な出来。プロポーショナルは完璧だし、主要なディテールは刻みこまれている。カラーリングは忠実に塗装され、腕の砲塔やキャノン砲の周囲には、煤のウェザリングまで施されている。実はカラーリングは3種類あって、今回取り上げたノーマルカラーの他に、デザートカラー、フォレストカラーが用意されている。ノーマル以外のカラーリングも、大河原邦男氏の監修によるものなので、その世界観は全く損なわれていない。いずれにしても、操作をしていないときはインテリアとしても楽しめるだろう。

パッケージ。ほかに砂漠戦仕様と森林戦仕様のバージョンが用意されている 「R/C ガンタンク」本体。駆動時にはランプが点灯する キャタピラの張り具合は、手動で調整することができる
ディテールやパーツに省略はなく、眺めるだけでも楽しめる キャノン砲。胴体や腕と同様に手動で動かして、ポーズを作れる ポップミサイルを発射する腕。ウェザリングが施されている


 コントローラは四角いデザインで、グレーを基調としたカラーリング。一見すると「地味かしら」とも感じたが、あらためて眺めると地球連邦軍らしい実直さに溢れていることがわかった。さすがは昨今のガンダムアイテム。世界観を大切にし、それを十二分に活かした商品化が徹底されている、と感心。

 「R/C ガンタンク」本体もコントローラも完成品で、遊ぶための準備は「R/C ガンタンク」に電力を供給するだけ。電力は、コントローラにセットしたアルカリ単3電池のものを利用する。コントローラの裏面にある小さなボックスのふたを開け、そこからコネクターのケーブルを引き出す。そのケーブルを「R/C ガンタンク」本体に接続すると充電が行なわれる、という仕組みだ。遠巻きに眺めると、コントローラが燃料タンクにも見え、ガンタンクが燃料の補給を受けているようで、とても格好いい。

 この充電の仕組みに、キラリと光るアイデアが採用されていた。コントローラの液晶パネルに充電の進行状況が表示されるのだ。満タンを「100」とし、「79」「80」「81」……と、数字がカウントされていく。これまで筆者が遊んだラジコンは、充電の完了を示す場合、ランプの色が変わるなどやや曖昧なものが多かったのだが、これなら一目瞭然だ。「充電は終わったかな?」と、何度もランプを覗きこむ手間がなく、ストレスを感じさせない。

コントローラ。角張ったデザインだが手になじみ、持ちやすい 充電中。10分の充電で10分程度の走行が可能だ コントローラには液晶パネルがあり、残弾数や充電の進行を表示する



キャタピラが実現する走行は、すべて操作可能だ

 充電が終わった。さあ、遊んでみよう。マニュアルを一読すると、操作の前にIDの設定が必要であることがわかった。IDとはコントローラと「R/C ガンタンク」を同期させるもので、この設定を行なうことによって複数台の「R/C ガンタンク」を同時に動かしても、誤動作が起きることがないのだ。IDの設定と聞くと、何やら複雑そうな操作を想像してしまうが、実際にはボタンを1回押すだけの簡単なもの。

 このとき、ガンダムファンならだれでもうれしくなるような演出が披露された。ファーストガンダムと同様の効果音が鳴り響いたのだ。コントローラからは甲高い機動音が、「R/C ガンタンク」本体からは排気音が再生され、気分はいきなりファーストガンダムの世界へ引き込まれてしまった。

 「R/C ガンタンク」の操作方法は、一般的な戦車のラジコンと変わらない。操作のほとんどはコントローラにある2基のスティックで行なう。左のスティックは左のキャタピラを、右のスティックは右のキャタピラをコントロールする。左右のスティックを同時に前に倒せば、「R/C ガンタンク」が前進。同時に後ろに倒せば後退する。

 片方だけのスティックを前に倒すと、信地転回を行なう。例えば、右のスティックだけを前に倒せば、「R/C ガンタンク」は右方向へ大きく回る、といった具合だ。左のスティックを前に、右のスティックを後ろに倒せば、その場で360度に旋回する超信地転回を行なう。キャタピラが実現する走行は、すべて再現されている。コントローラからの命令には、即座に反応し、フィーリングは良好だ。

プレイの前にIDボタンを押し、コントローラと本体を同期させる コントロール可能範囲は、コントローラから約2メールの範囲 その場で回転する超信地転回も完璧に表現されている



キヤノン砲の爆音が鳴り響く! ハヤトが叫ぶ!

 「R/C ガンタンク」は、ポップミサイルとキャノン砲の2種類の弾丸を発射する。発射されるのはBB弾などではなく、赤外線なのだが、これによって被弾までを正しく感知することができ、複数台の「R/C ガンタンク」を用意すれば、対戦プレイを行なえるようになっている。

 ポップミサイルはコントローラの左斜め上のボタンを、キャノン砲は右斜め上のボタンを押すと発射される。キャノン砲を発射することができても、赤外線の弾丸だから目に見えないので物足りないのでは? と不安に思う方がいれば、心配はご無用。確かに目には見えないのだが、効果音と動作で見事な演出が施され、目に見えない欠点は補われている。

 ポップミサイルを発射すると、「カシッカシッ」と軽めの発射音が鳴り、「R/C ガンタンク」がかすかに後退する。反動を表現しているのだ。キャノン砲を発射すると、「ズドォォォーン」という重い爆音が鳴り響き、その直後に「R/C ガンタンク」が大きく後退する。おおっ、格好いい。これなら弾は見えずとも、弾を放って敵を攻撃している気分は、十分に味わえる。

 ポップミサイルとキャノン砲には弾数制限があり、弾が尽きると、コントローラの内蔵スピーカーから、ハヤト・コバヤシの声で「弾が切れたか」という富野ゼリフが聞こえてくる。これもいい! くり返しになるが、効果音による演出が冴えている。これがあるとないとでは、「ガンダムのラジコンを遊んでいる」という感激が大きく異なる。これ以降に発売されるシリーズ作品でも、ここは徹底していただきたい。

弾を発射すると、反動で本体が揺れ、後退し、気分を盛り上げる 付属のターゲットを使えば、シューティングの訓練も行なえる
【ムービー】
「走行のデモンストレーション」
(MPEG-1、597KB)
「攻撃のデモンストレーション」
(MPEG-1、1.02MB)


 2台以上の「R/C ガンタンク」があれば遊べる対戦モードは、バリエーションの豊かな遊び方が可能になっている。ライバル機を攻撃し、作動停止にする基本的な対戦モード。「R/C ガンタンク」を自動走行させ、シューティングに集中して戦う自動走行モード。ほかには机の上などにコースを作り、ゴールまでの最短時間を競うタイムトライアルや、目の前に置いた荷物を押しながらゴールをめざす物資輸送レースなども遊べるようになっている。

 これまでのガンダムのラジコンと同様に、今回も満足度は高い。約1万円で買える低価格商品を投入した試みも、新たなファンの獲得につながり、今後のシリーズ展開を勢いづけるだろう。ならばこそ、早くも気になるのが、次にラジコン化されるモビルスーツだ。個人的には少々値が張ってもいいので、完全二足歩行で歩き回るガンダムのラジコンを熱望したい!

(C)創通エージェンシー・サンライズ


□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/
□「R/C ガンタンク」のページ
http://lalabitmarket.channel.or.jp/rcguntank.html
□関連情報
【2002年5月2日】ガンダムファンの夢が叶う話題のラジコンついに発売!
バンダイ「R/C TECHROID MS-06 ZAKU II」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020502/toy63.htm
【2003年7月3日】今度はドムだ! スライド走行も対戦も可能!
「R/C TECHROID MS-09 DOM」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030703/toy116.htm


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(2004年9月9日)

[Reported by 元宮秀介]


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