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【連載第116回】 あの、おもちゃを徹底レポート




今度はドムだ! スライド走行も対戦も可能!
「R/C TECHROID MS-09 DOM」

バンダイ「R/C TECHROID MS-09 DOM」
発売 バンダイ
価格 35,000円
電源 アルカリ単3電池×6(別売)、ニカド電池×2(付属)、アルカリ単4電池×2(別売)
発売日 発売中



 結論から語れば、男の子なら、ガンダム好きならば、ひとり1台買うべき。それほどの逸品だ。

 正直に言えば、この「R/C TECHROID MS-09 DOM」(以下、ドム)が昨年の東京おもちゃショーで初公開されたとき、筆者はいい印象を抱いていなかった。なぜなら、約10万円という価格設定も話題になった「R/C TECHROID MS-06 ZAKU II」(以下、ザク)と比べると、いくつかの箇所でスケールダウンが見受けられたからだ。スケールは大幅に縮小され、2足歩行はローラー走行に変更。さらにモノアイに内蔵されたCDDカメラは搭載されなくなった。ザクが高級モデルならば、今回のドムはいわゆる普及機。そんなふうに認識していた。

 ところがひとたび、遊んでみるとそんな気分はどこかに消し飛び、今はこのドムの魅力にメロメロになっている。スケールダウンなんて、まったくの誤解。それどころか、ザクと比べて、2段階も3段階も進化を遂げている。これはスゴイ。


半完成品で塗装済み。造形のレベルも高い

 ザクのときもそうだったけれど、今回のドムも到着までの間は、非常にワクワクさせられた。何てったって、ファーストガンダムのモビルスーツのラジコンだ。子供のころに「こんなオモチャがあったらいいのになあ……」と夢想していたものが、商品化され、実際に手にすることができるのだ。ドでかい箱を受け取り、パッケージを開けたとき、筆者は自分でも驚くくらいドキドキしていた。あまりの胸の高まりにいささか恥ずかしくもあったが、この気持ち、当連載の読者の方ならおわかりいただけることと思う。

 カラフルなパッケージを外すと、今度はドムの顔を中央に構えたパッケージが顔を出した。そうか、ダブルパッケージか。豪華な仕様に、特別なものを手にいれた、という気分がますます盛り上がる。
 ふたつ目のパッケージを開けると、ドムが姿を表した。傷がつくことのないように、ビニールで注意深く包装されている。次に目に付いたのは、パーツ類の多さ。プラモデルでもおなじみだが、手のひらは握りと開きの両方が用意され、ヒートサーベルはイエローとグリーンの2色が用意されている。

 取り出してみると、半完成品だということが判明した。とはいえ、前作のザクとは違い、いくつかのパーツをはめるだけ。頭部や腕、ふくらはぎなどを取り付けるだけだし、接着剤も不要なので、大体10分程度の作業で完成する。

 作業のときのポイントとなるのが、カーペット用スキッドの取り付けだ。このザクは、足底のローラーで走行するため、動かせる場所に制限がある。たとえばフローリングの床はオーケーだが、アスファルトはダメ。じゅうたんは毛が長いものならアウトだが、短いものならこのスキッドを取り付けることで走行が可能になる。事前に遊ぶ場所を確認し、必要ならば取り付けておきたいところだ。

箱はダブルパッケージ仕様。大の大人でも抱えるのに苦労するビッグサイズ
ドムのパーツ類。腕やヒートサーベルは、別のものと交換可能 組み立て前。頭部がむき出しで、両手やふくらはぎもない状態


 完成品を眺めてみる。さすがに最新の造形物だけあって、全体のシェルエットは申し分なくカッコいい。塗装は完了済みだし、細かいモールドも随所に刻まれているので、部屋に飾るだけでも楽しめそうだ。

 気になる足底を眺めてみると、それぞれの中央にローラーがひとつあり、前と後ろに支え用の小さな車輪がついている。片足3点、両足で6点のローラーで、様々な走行を生み出すわけだ。それぞれ後方の車輪は足底からはみ出ていてやや不恰好だが、安定感を生み出すためと思うと納得できる。

完成品。腕は好きなように動かして、ポーズをつけられる 後方。ヒートサーベルは手に握らせることもできる スティックのトリガーを押すと赤外線弾が発射される
造形的にも申し分のない完成度といえよう 足から飛び出た車輪で全身のバランスを整える これが驚異の走行性能を見せる足底。中央の車輪が動力源


ジャイアントバズーカから赤外線弾を発射できる

 コントローラーをチェックしてみよう。中央にあるランプ類はザクにはなかったもの。実はこのドムは、付属のボール、あるいは別のドムを用意すれば、ジャイアントバズーカを使った対戦プレイが楽しめるようになっているのだ。銃弾は赤外線で発射され、それを感知した側のボールやドムが被弾する。

 ふたつあるメーターのうち、上はライフゲージ。合計7つのランプからなり、攻撃を受けて残りが少なくなると、表示色が黄色から赤に切り替わる。下はショットゲージ、つまり弾数だ。後述するドムのレベル設定によって、数や補充される時間が変化する。

 左側のレバーを握り締めると、親指が小さめのスイッチにかかるようになっている。このレバーが、ドムのドムたるスライド走行を操作するもの。右のスティックは、ドムを全方位に動かすもの。最上部にあるボタンを押せば、ジャイアントバズーカから弾が発射される。

 コントローラーの電力は市販の単3電池を使用するが、ドム本体は付属のニカド電池を2個セットする。キットにはニカド電池が4個付属しており、残りの2個は予備用かと思ったが、充電をして理解できた。充電に8時間要するのに連続して遊べるのは20分、という駆動時間の短さをおぎなうために、残りの2個は交換用として使うのだ。駆動時間には若干の不満も感じるが、交換用のバッテリーを付属させた配慮は十分に評価できる。

コントローラ。大きさ、重量共になかなかの迫力だ 電源を入れるとライフゲージとショットゲージが点灯する
両腕でガッシリ握れるスタイル。非常に操作しやすい 8時間の充電で、連続20分の操作が可能



プレーヤーの腕の動きに俊敏に反応する

小物を障害物に見立て、スラローム走行にチャレンジしてみるのも楽しい
 充電を終えたニカド電池を、ドムのふくらはぎに内蔵されたコネクターにセット。これで準備は万端だ。はじめにコントローラー、次にドム本体のスイッチを入れる。すると間髪いれずにドムのモノアイが赤く点灯し、「キッシュュューン」というサウンドが響き渡った。サウンドは内蔵された機構が動いたのではなく、いわゆる効果音だろう。だけど、これがないとあるでは大違い。メチャクチャかっこいい演出だ。

 ドムを床に置き、スティックを前に倒す。次に後ろに、右に、左へとひと通り試してみる。動きは俊敏。手の動作のままに、ドムが動く。前方から後方へ、右旋回から左旋回へと切り返しても、瞬時に反応する。スティックを右から左に倒しきると、その場でグルグルと回転する。まるで優秀なニュータイプが操作しているような、見事な動きだ。たまらん、しびれる。だけどドムの動きはこれだけじゃない。そう、右へ左へと迅速に移動するスライド走行だ。これにはコントローラーの左側にあるスライドレバーを使用する。レバーを右に入れると、ドムが右方向に移動する。その動きは、まさにトリッキーで、瞬間移動したような雰囲気さえある。いやあ、素晴らしい。

【ムービー】
「ドムの起動」
MPEG、381KB
「スライド走行」
MPEG、692KB
「ドムの旋回」
MPEG、467KB



ひとりでも安心。付属のボールと対戦可能

 コントローラのスイッチを切り替えることによって、ドムのレベルを設定することができる。レベルにはイージー、ノーマル、ハードがあり、イージーではスピードは60%の出力だが、弾数に制限なし。ハードは100%の出力になるが、弾の補給に10秒かかるようになる。おまけに被弾するたびに速度が落ちるようになる。このレベルは、ふたりで対戦したときに、腕前に応じて付けるハンデとして使うのだろう。しかし、ふたり対戦か。ひとりでドムを操作しているだけでこんなにも楽しめるのに、対戦となったらどれほどの興奮を味わえるのだろうか。ぜひ体験してみたい。

 しかし、このドムが優れているのは、ひとりでも対戦が楽しめるところにある。キットに付属しているボールは、電源を入れると自動的に走行し、ランダムに弾を放ってくる。ひとりでもこのボールを使えば、銃撃戦が楽しめるようになっているのだ。

 ボールの電源を入れ、床に置くといきなりバックをはじめた。数秒後には右前方に、そして左後方へと、自由に動き始める。こちらはドムを操作して、ボールをジャイアントバズーカの銃口にとらえ、弾を放っていく。ジャイアンドバズーカを一発撃つごとに、「ドゴォォン」というサウンドが鳴り、ボールの頭上に掲げられたシグナルが赤く点灯する。赤外線の弾なので目で見ることはできないが、弾が当たったと実感できる演出だ。ボールもドム同様にレベルを変更することができ、ハードにすると走行出力が100%になり、弾も2~5秒ごとに1発という乱射になる。

ボール。両アームは可動する 背面のスイッチでイージーとハードを切り替えられる
ボールの底面。ドムに負けじと自在に動く
【ムービー】
「ボールとの対戦」
MPEG、987KB


 前回のザクは、ガンダムのはじめてのラジコンであり、「あのモビルスーツが自分の操作で動く」ことこそが、トピックだった。そして今回のドムでは、さらに一歩前進し、対戦ができるようになった。これは大きな進化だ。しかも、周りにドムを持っているユーザーが少ないであろうことを考慮して、ひとりでも遊べるボールを付属させているのだ。オモチャとしては完璧だ。これ以上、何を望むというのだろう。この遊びの深さからすれば、35,000円という販売価格も決して高くはない。

 筆者個人としては、一刻も早く対戦を体験してみたい。バンダイ、あるいはどこかのトイショップで、ドムの対戦大会を開催してくれないものだろうか。

(C)創通エージェンシー・サンライズ

□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/


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(2003年7月3日)

[Reported by 元宮秀介]


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