リアルタイムストラテジーというと、ついつい建物を作ることに夢中になって、あっというまに敵に叩かれてしまったという経験はないだろうか? 反対に、戦闘に集中したいのにチマチマと建物を増やしていくのが性に合わないと思ったことはないだろうか? 内政と戦闘のバランスを完璧にとりつつプレイできる上級者ならいざ知らず、普通のプレーヤーならばどちらかが下手でなかなかゲームが進められないということがある。だがSTRONGHOLDはそのどちらかだけを、もしくは両方を、好きなように遊べるゲームなのである。 |
■ 城を作って守りきる。それが「STRONGHOLD」
リアルタイムストラテジー(以下RTS)と呼ばれるものの多くは、資源を集めて建物を作り、その建物から生み出されるユニットで軍隊を編成して敵と戦う、というゲームシステムになっている。どんなタイミングでどの建物を作るのか、軍隊をどれくらい作ってから攻め込めばいいのかといったことを考えなくてはならず、「資源を集めて建物を建ててユニットを作る=内政」と「作った軍隊で戦う=戦闘」のバランスをどうとればいいかで勝敗が決することになる。
ゲームによって、この内政と戦闘の比重はちょっとずつ異なるのだが、今回紹介する「Stronghold」は一風変わったゲームシステムを持っており、戦闘だけ、内政だけ、もしくはその両方を楽しめるのが特徴だ。
かなり細やかに描かれたグラフィックス。木々は風にそよぎ、農夫は畑を耕すなど美しい光景が広がっている | 怒号飛びかう城砦戦。投石器などで打ち崩された壁から、敵兵が侵入してきている | レーダーマップ上で敵の軍隊を確認すると、その赤い点の集合が自分の城に向かってなだれ寄ってくるのにドキリとする |
■ 城を作るために生産体制を整える
まずは基本となるゲームシステムを紹介していこう。STRONGHOLDはRTSといっても、やや「Settlers」などに近いコンストラクション系の要素を強く持っている。プレーヤーの目的は国民に生産活動を行なわせながら、そこで生み出した資源を使って強固な城を築き、敵の兵を退けることにある。
プレーヤーは最初、マップ内の平らな場所に自分の勢力の中心となる建物を建てる。そしてそのまわりに、壁を作っていき、最終的には壁がいろいろな建物を含んだ大きな城砦になるわけである。もちろん、すべての建物を壁の内部に含まなくてもよく、どういった規模と囲みで城を建設していくかはプレーヤーの判断に委ねられている。
このゲームで肝となるのは人口と資源の扱いだ。城の中心となる部分には一般人ユニットがたむろしており、各種の建物を建てることでその建物に付随した専門職ユニットに変化する。たとえば、小麦畑をつくると、中央の建物から一般人ユニットがひとり離れ、小麦畑で小麦をつくる農夫へと変化するのだ。つまり、資源採取にせよ、戦闘にせよ、何かユニットを使って事を行なおうとすると、たくさんの人口が必要になってくるのだが、彼ら自身も食料を消費するため、単に産めよ増やせよではなくて、きちんと食料供給量と人口とを考えて進めなくてはならない。
また、彼らに税金を課さなくてはお金が手に入らないのだが、税率によっては人口増加率が減ってしまうし、かといってお金がないと建物から何から必要なものがことごとく建てられなくなってしまう。人口は状況に応じて、増えすぎてもいけないし減りすぎてもいけないのである。
一方、資源のほうだが、各ユニットが手に入れた資源は城の中心部になる建物脇にある貯蔵庫や資材置き場に置かれる。ただし、この貯蔵庫と資材置き場は必ず城の中央建物の脇に設置していかなくてはならないので、このへんもよく考えて全体の施設配置を決めていかなくてはならない。
資源はかなりの種類があって、領土内から採取するもの、畑や採掘所などを作って自ら生産するもの、そういった資源を加工してさらに別のアイテムとするものなどがある。「Age of Empires」のようにあっというまに採取資源が尽きるということはないのだが、畑などは再生まで時間がかかるし、採取はユニットが現場まで赴く必要があるので、ほしい資源や材料をいつでも潤沢に手に入れるためには、同じ施設を複数建てるなどの工夫が必要になってくる。
また、施設を建てる位置も問題で、のちのち壁を延ばして城砦とするときに、どこまでを守りの範疇にいれるのかとか、土地の形や障害物を利用してどういう配置で壁を作っていくのかというのも考えながら建てなくてはならない。うまくゲームを進めていこうとするとこの辺がポイントになるのだが、全般的に難易度はやや高めで、慣れないうちはとまどうかもしれない。
最初はこんなに小さな建物なのだが、周りに畑や建物を増やしていくことになる | 戦闘がまったくないシミュレーションモードのマップもいくつか用意されている。じっくりと資源のやりくりを考える、国づくりが楽しめる | ちょっとズームアウトしたところ。これから壁を徐々に延ばしていって、城砦を形作っていく |
■ 大迫力の城砦戦を堪能しよう
さて、生産体制が整い、兵士ユニットが作成できるようになったら、いよいよ戦闘だ。敵は様々な攻城兵器を持っており、例えばはしご隊が駆け寄って壁にはしごをかけたり、槌で門を壊してしまったりする。城を守る側は高台に弓兵を配置し、相手を遠距離攻撃で足止めしつつ、もっと攻撃力の高い騎兵や槍兵ユニットなどで、地上から攻撃を仕掛けたりするわけだ。城の中心にいる王様を殺されると敗北が決定してしまうので、そのへんの守り具合もポイントになってくる。
反対に、自分が砦を攻める側の場合は、相手の城の形状に合わせたユニットを編成し、守備の弱そうな部分から一気に押し入らなくてはならない。プレイしたかぎりでは、守る側も大変だが攻める側はもっと大変といった印象を受けた。
城砦戦で何が問題になってくるかというと、壁の長さが守備の薄さにつながるということで、大きな城砦はそれだけで守備側の手も増やさなくてはならず、いざ戦闘となると守りにくいことこの上ない。かといって、生産系の建物を壁の外に出しておくのも危険なわけで、どの程度の規模に城を拡張し、どのような守りを固めるかという、そういったバランス感覚がSTRONGHOLD攻略の要となっている。
実在の城をモデルにしたミッションがいくつか収録されている。難易度を変えられるのだがVery Hardはいずれも至難の業 | 一カ所の攻撃に気をとられていると、城の反対側をチクチクと攻撃されているのに気がつかず、あっというまに城内に攻め入られることも | 建物の影に隠れてしまうユニットも多い。画面は回転させらるのだが、ややもたつく |
■ 選べるゲームモードも魅力のひとつ
STRONGHOLDは以上のような「城を作って、資源をやりくりして人口を増やし、城砦戦を勝ち抜く」という基本モードを元に、プレイモードが細かくわかれている。基本の内政と城砦のプレイモードのほかに、戦闘だけを行なえるSiegeモード、戦闘なしで箱庭シム的に遊べるEconomicモードのキャンペーンとシングルミッションモード、などがある。
「Warcraft」に始まり、「Command&Conquer」、そして「Age of Empire」へと、名作タイトルに恵まれたRTSは、どんな施設から建てていけばいいのか、資源を集めている間は何をしていればいいのか、ユニット同士の相性はどうなのかといった、ハイレベルなユーザーニーズにも答えられる研ぎ澄まされたゲームジャンルに進化してきた。しかし、その一方で戦闘と内政の相互バランスが複雑にからみすぎ、ライトなプレーヤーがつまらない思いをすることも多い。
STRONGHOLDはそんなライトプレーヤーでもかなりやりこめるRTSである。コンストラクション的に内政を遊びたいのか、戦闘だけを楽しみたいのか、それとも内政と戦闘のバランスをとりつつゲームを楽しみたいのか。そういったことをゲームシステムレベルでプレーヤー側が選択できるのが嬉しい。
ストラテジー部分ではRTSならではのユニットをグルーピングして次々に操る楽しさ、そして城砦をはさんだバリエーションに富んだ戦闘を提供する一方で、国民を働かせるシム部分では資源を集めて建物をつくったり加工品をつくったりするシミュレーション系の楽しさも味わえる。一本で2度、3度おいしいゲームなのである。
(C) 2001 GodGames.
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■ 今週の気になる直輸入ソフト:番外編
BEST BUYの店内。裏表にびっしりとPCゲームが置かれたこの大きさの棚が4つ以上並ぶ |
ちなみにアメリカで旅行者がゲームショップなどの郊外の量販店に行く時、歩いていける距離に店がない場合は大概レンタカーかタクシーを使うことになる。都市や場所にもよるが流しのタクシーというのは捕まえにくい。捕まえやすいのがホテルの前で、ホテル玄関前のタクシー列に並んで順番がきたら、列を捌いているボーイかタクシーの運転手に、店名と住所を書いたメモを見せれば大概はそれで運んでもらえる。郊外型の大型店の場合、まわりにタクシーステーションがないことが多いので、店の店員にタクシー会社に電話して呼んでもらうか、もしくは行きのタクシーの運転手に、何時に帰りのタクシーが一台ほしいと頼むのが楽な方法だ。
「Age of Empires II」のゲームエンジンを利用した、スターウォーズがテーマのリアルタイムストラテジー。当然ながら、全編これスターウォーズで、エピソード1から旧3部作までの様々なエッセンスがちりばめられている。たとえば、ユニットがトルーパーやジュダイナイトであったりするわけで、AoE経験者で、ある程度スターウォーズの知識がある人ならば、かなり遊びやすそうだ。来年1月にエレクトロニック・アーツ・スクウェアより日本語版の発売も予定されている。
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人類の歴史をなぞった、壮大な時の流れを扱ったリアルタイムストラテジー。AoEのリードデザイナー、Rick Goodmanがデザイナーを務めていることもあって、資源を集めて建物を建て、時代を進化させてより強いユニットを使用する、という基本コンセプトはAoEによく似ている。先史時代から未来世紀まで、かなり数多くの時代区分になっているため、幅広い進化の過程が楽しめそう。
(c)2001 Sierra Entertainment, Inc. Sierra and Empire Earth are trademarks of Sierra Entertainment, Inc. Age of Empires is a registered trademark of Microsoft Corporation. Empire Earth is not associated with Age of Empires or Microsoft Corporation.
「The Sims」(シム・ピープル)の追加拡張キット。今回はシムたちの恋愛にスポットをあて、新たなオブジェクトやアイテム類はもちろんのこと、デートのためのダウンタウンエリアができ、プレーヤーはこの場所に好きな建物や施設を作ることができる。これまでの2本の拡張キットはやや追加アイテムよりの内容であったが、今回は大幅にシステム拡張ができるので、シム・ピープルを持っている人間は購入必須だ。
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フル3Dになって甦った、NOVALOGICのヘリコプターシム。アメリカの軍用ヘリを操作して空からの戦闘を経験することができる。グラフィックス面でかなりのパワーアップを遂げている。
(C)Comanche 4 c2001 NOVALOGIC, Inc.
RPGの歴史に名だたるシリーズ「Wizardry」の最新作。開発期間の延長や開発元の業績不振などでファンをやきもきさせたが、ようやく発売の運びとなった。シングルプレイ専用のRPGで、戦闘などによるキャラクタの育成、予期できないストーリー展開と奥の深いゲーム世界が売りになっている。グラフィックスは今時の派手な3DRPGものと比べるとやや地味な印象だ。
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日本でも夜中に放送されているアメリカの人気テレビ番組「SURVIVOR」がゲームになって登場。SUVIVORとは一般参加者が無人島でのサバイバル生活を行ない、いらない仲間を投票できめて人数を減らしていき、最後まで残った人が巨額の賞金を手にするというもの。仲間との協力、裏切りなどが錯綜する人間模様が見所だ。Infogramesから発売されるこのゲームはE3にも出展されていたもので、プレーヤーは参加者のひとりとなって、生き残りをかけた無人島生活に挑むことになる。
(c)2001 Infogrames, Inc. All Rights Reserved. CBS and CBS Eye Design are registered trademarks of CBS Broadcasting Inc. All rights reserved. Survivor・and the Survivor・oval design are trademarks of Survivor Productions, LLC. All rights reserved. All other trademarks and registered trademarks are the property of their respective owners. Manufactured and marketed by Infogrames, Inc., N.Y., N.Y.
■ ラスベガス周辺のPCゲームソフト購入お勧めスポット
・BEST BUY アメリカの大手量販店。PCから家電、DVD、CD、コンシューマゲーム機までありとあらゆるものが揃う店だ。ラスベガスの中心部(フォーコーナー)から車で10分~15分、約10ドル前後だ。なお、近所のモールにあるタクシーステーションは歩いて5分以上かかるので、帰りは店の人にタクシーを呼んでもらうほうがいいだろう。ちなみにBEST BUYの右奥には徒歩5分ほどの距離にトイザらスがある。 PCゲームは新作が即座に豊富に入荷される。陳列タイトル数も多く、定番タイトルのほかにも、日本の輸入業者のリストからはこぼれそうな二流、三流ゲームが置いてあり、例えばフライトシムやコンバットシム、箱庭系といった玉石混合なタイトルが多いジャンルのファンはとても楽しめるだろう。ただ、今回の買い物でショックだったのは、PCゲーム棚担当者全員が「Wizardry8」の存在を知らなかったこと。「聞いたことないゲームだなあ。RPGなの? だったらEverQuestのほうがお勧めだよ」などと言われてしまった。本国ではWizardryは完全に過去のタイトルになっているだろうか。 |
・Electronics Boutique 通販でもおなじみのEB(Electronics Boutique)が、トレジャーアイランドのそのまた先にあるショッピングモール「Fashion Show Mall」内に店を構えている。小ぶりな店舗ながらPCゲームは充実しており、店員がゲームのことをよくわかっているので安心して買い物ができた。BEST BUYにはなかった「Wizardy8」もばっちりと入荷されていた。 ラスベガスの中心部(フォーコーナー)から徒歩15分~20分ほど。少し離れたホテルからならばバスや車で行ったほうが楽かもしれない。ラスベガスのストリップ周辺のホテルに宿泊しているのであれば一番気楽に行けて、かつ品揃えも良いお勧めの店だ。外にはタクシーステーションもあるので帰りも楽チン。 |
・Stop N Save ラスベガスの南に下ること車で30分~50分ほど、砂漠の果てにFashion Outletというアウトレットショッピングモールがある。ここにはEBと同様の小さなゲーム屋が一軒あるのだが、やはり品揃えが良く、探しているタイトルも見つかりやすい。「Wizardry8」も入荷していたし、店員がゲームのことに詳しかった。 ただし、ここに行くにはタクシーだと膨大な金額になってしまうので、ホテル街からでているシャトルバスかレンタカーを利用しなくてはならない。シャトルバスならば往復で12ドル99セント(ニューヨーク・ニューヨーク、MGMホテル宿泊者は無料)。バスはニューヨーク・ニューヨークとMGMホテルから発着している。 |
・COMP USA BEST BUTと同じくPC関連の量販店。PCゲームは新作とサービス品の棚が分かれて店の両端にあり、わかりづらかった。タイトルラインナップはオーソドックスで可もなく不可もなくといった感じだ。ソフト数自体は多いので、ゲーム以外のPC製品も買う必要があるなら、COMP USAかBEST BUYがいいだろう。 店員の応対は丁寧で、たとえばパーツなどを買う場合、対応OSのドライバがWEBにあるかどうかなどをその場で調べてくれる。ラスベガスの中心部からは車で10分程度、タクシーを使っても10ドル前後だ。COMP USAのまわりにはタクシーステーションも何もないので、店員にタクシーを呼んでもらうか、タクシー会社に直接電話してもうことになる。 |
・VIRGIN MEGASTORE シーザーズパレスホテルのフォーラムショップスというアーケード内にあるVIRGIN MEGASTOREの2階には、PCゲームの棚がある。ただし、新作がその日のうちに並んでいるというわけではなく、定番ソフトが2棚ほど並んでいるといった感じだ。ビッグタイトルでほしいものがある場合や、DVDや音楽CDなども一緒に見たい時に便利な場所だ。 |
[Reported by 西尾ゆき]
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