■ 戦闘は基本的にEQと同じ仕組み
レッツ・タコ殴り。オレンジ色、赤色の危険度が高い敵はパーティプレイでないとなかなか倒せないので、どどっと経験値が入ると嬉しさもひとしおだ |
この色表示は、そのモンスターを倒した時の経験値の指標にもなっていて、灰色モンスターからは経験値が得られないし、黄色以上ならばたくさん経験値が得られるという感じだ。自分のレベルがあがれば、モンスターから得られる経験値も変動し、それまで赤表示だったモンスター名がオレンジになったりと、現在得られそうな経験値は目で確認することができる。
DAoCの戦闘はこのように、キャラクタの成長に合わせてモンスターから得られる経験値が増減することで、さらに強い敵、さらに怖いダンジョンを目指してしまうという、後を引く楽しさがある。
プレーヤーキャラクタをクリックした場合も前述と同様に、名前が自分との相対的な強さの色で表示される。これは、その場でメンバーを探してパーティを組むときなどに役に立ち、通りすがりのプレーヤーをクリック、そして黄色だったら自分と同程度なので声をかける、といったことができるのだ。
実際の戦闘だが、戦いたい相手をクリックやショートカットで選択し、戦闘モードに変更、ショートカットキーに割り振った戦闘スキルを使用するという感じだ。攻撃自体は全自動だが、戦闘スキルは手動でキーを押していくことになり、これを使いこなさないと自分より強い敵は倒すことができない。戦闘中、ボーっとすることはないのだ。
モンスターの中には、助けを呼ぶモンスターもいるし、すぐそばのモンスターが連鎖して一緒に攻撃してくることもあるため、その時の戦力に合わせてモンスターをちょっとずつさそいだすといった基本テクニック(pull)が必要だ。ただし、序盤レベルの今のところはEQのようなトレイン(大量の敵が連鎖反応して一人のプレーヤーを一列になって追いかける様を指す)が頻発するような経験はしていない。
ダメージを受けた体力や、使ってしまったパワーは自然回復する。EQと同じように座っていると回復スピードが増すのだが、EQよりかなり速く回復するため、回復待ちに長々と座っている必要はない。戦って休んでというテンポがほどほどで、ソロでもパーティプレイでも非常に遊びやすかった。
■ パーティプレイについて
さて、MMORPGの肝であるパーティプレイだが、DAoCは最大8人のパーティが組める。パーティでは職業ごとにできることがはっきりと決まっているため、バランスのとれた集団になった場合、戦闘を思い切りよくこなせて爽快感があった。前衛は前で叩き、後衛は魔法でバックアップ、そして回復役は攻撃を受けているものを的確に察知して回復、といった王道パターンだ。EQ同様に、キャスターにモンスターが向かっていく場合もあり、高レベルになる程、状況を良く把握した連携が必要で、それをこなせた時の喜びも大きい。
経験値の割り振りなのだが、レベル差のあるキャラクタ同士のパーティでは、低レベル側のキャラクタにあまり経験値が入らないようになっており、極端なパワーレベリング(レベルの高いサポート役がつくなどしてレベル上げをスピードアップさせること)はし難くなっている。装備品もそれぞれにきっちりと適性レベルが設定されているので、強いアイテムをいきなり装備ということもできない。この辺は、パワーゲーマーが多そうなEQに尻込みしていた初級者・中級者でもゲームに入りやすくなっていて良い点だ。
また、ネットRPGのパーティプレイで揉め事の元といえば死んだモンスターが落とすアイテム分けだが、DAoCではすべてオートで振り分けられる。これは、パーティ内の誰がクリックしても同じことなので「お前取ったな」とか「誰にどう分配するんだ」といったような諍いが起こる気づかいはない。
パーティプレイに関してもう一つ注目したいのは、「お仲間募集システム」とでも言える機能が装備されていること。パーティウィンドウの下にある「現在、仲間募集中」のチェックボックスをオンにしておくと、FINDボタンで見られる仲間募集中のキャラクタ一覧に自分が登録されるというシステムだ。これを見たほかのプレーヤーが、直接メッセージを送ってきて待ち合わせやピックアップを行えるのである。募集したい人はリストを見るだけ、仲間がほしい人は募集ボックスをチェックするだけ。なので、いちいちブロードキャストでレルム中の人間に「クレリック募集中」とわめきつづける必要はない。しかも、お仲間募集は単独でもグループでも登録できるようになっている。
実際には、ダンジョン入り口やモンスターの多いポイント近くのバインドストーン周辺で、適当に飛び入り参加することも多いのだが、思い立った時にパッと、お仲間募集リストを利用できるのは非常に心強かった。
■ レルム同士の戦争
共通エリアへのテレポート場。高レベルなギルドプレーヤーが大量に転送されていく。レルム間戦争についてのレポートは、別の機会に詳細レポートをお届けする予定だ |
戦闘には相手方の城の門を壊すための槌や、広範囲攻撃のカタパルトといった兵器が使えるのだが、これらはプレーヤーキャラクタが生産する必要があり、しかも使用するには特定のスキルを必要としている。
また、この戦闘用エリアに行くには、特定の場所でチケットが必要なのだが、ゲーム内のお金で10sという、序盤キャラにはやや割高なチケット代となっているし、共用エリア内にいるモンスターは高レベルキャラに適した強さのものがほとんどなので、低レベルキャラは入らないほうが無難といった雰囲気をかもし出している。
これらのことによって低レベルキャラクタが成長が伴わないうちから戦争に巻き込まれることはない。レルム同士の戦いには「成長してからのお楽しみ」という側面もあるのだ。レルム内での冒険をすでに満喫した高レベルキャラが行き着く先、それがレルム対レルム(RvR)の世界なのである。
■ 英会話意欲は必須
英語でも日本語でも、ネットゲーム内では、とことん親切な態度で生きていると、必ず良い出会いが待っている。片言だろうがなんだろうが、コミュニケーションの姿勢(人柄)が大事 |
それとは別に、「ASAP(As Soon As Possible=できるだけ急いで)」「BRB(Be Right Back すぐ戻る)」「AFK(Away From the Keyboard キーボードから離れます=席はずします)」といった、略語による意思疎通なども頻繁に行われるので、もしわからない単語や略語があったときは、その都度「What's the meaning of ○○?」という感じで尋ねる積極性もほしい(DAoCは、聞けば親切に教えてくれるプレーヤーが多いし、極端に『what mean ○○?』とかでもあらかた通じる)。
また、積極的にゲームをしている人々にはEQ経験者が多く、EQから派生した各種の3D MMORPG基礎用語を覚えておくと、かなりスムーズに皆のしゃべっていることがわかるようになる。EQの日本語ファンサイトはいくつかあるので、そういったところで略語や用語をざっと見ておいたほうがいいだろう。「pop」「DD」「Pull」「mob」「PL」「buff」「inc」といったあたりの単語をたくさん覚えていれば、かなり会話の内容がわかるはずだ。
結局のところ、思い切って何度かパーティでの行動をすれば、例えば「Can I join?(一緒にいってもいい?)」「Run!(逃げろ!)」「I have a lunch and leave the game(昼飯だから落ちるね)」といったように、自然と場面に応じた会話が理解できるようになる。中学校で習ったレベルの英語力さえあれば、難しく考えることは全くない。必要なのは英語力より「会話しようという意欲」なので、もし、英語でのコミュニケーションが苦手ならば、このゲームを機会にどんどん海外プレーヤーとも交わってほしい。
ただし、さんざん「英会話必須」と言ってきてなんなのだが、ベータテストをかなり長くやっていたゲームのせいか日本人プレーヤーもほどほどに存在する。なので、どうしても英会話は避けたかったり、日本人同士での気楽なパーティプレイが好ましかったら、日本人名のプレーヤーキャラに声をかけたり、日本のファンサイトを探してギルドに入ったりして、日本語でコミュニケーションできる環境を探すのも一つの手かもしれない。
■ ゲームの背景となっているアーサー王伝説について
ゲームの重要なモチーフとなっているアーサー王伝説とは、元々、吟遊詩人などによって語り継がれていたアーサー王の物語に、いろいろな騎士物語や当時語られていた各地の伝説などが合体しつつ膨張してアーサー王伝説としてまとまったものである。「アーサー王関連のお話集」という風に考えるとわかりやすい。なので本によってクローズアップすることが異なったり、冒険の順番が順不同だったりすることもある。
アーサー王伝説の主なトピックをものすごく乱暴にまとめると……、
アーサー王が生まれる→アーサー王成長する→アーサー王大活躍→円卓の騎士たちの色々な冒険譚→円卓の騎士ランスロットとアーサー王の妻ギネヴィアが恋に落ちる→紆余曲折の後、聖杯の探索が成功→アーサー王がだまされて半死半生に(甦るかも)
……という感じになる。アーサー王伝説というと円卓の騎士達の冒険が中心と思うかもしれないが、それより意外に重要なのは、聖杯(イエス・キリストが最後の晩餐で使用した杯)探索のストーリーだ。物語中には、キリスト教関連の話題に結びついた部分が多いので、両方の知識があると、さらにいっそうゲームの雰囲気を楽しめるようになるだろう。もちろん、騎士たちの不思議な冒険も多数楽しめるので、構えずにアーサー王伝説の世界に飛び込んでほしい。とりあえず簡単に全体のストーリーを知りたいという時は、筑摩書房のちくま文庫「アーサー王の死」あたりがお勧めだ。
また、アーサー王伝説関連のゲームとしてはずせないのがLittleWingのピンボールゲーム「Crystal Caliburn」「Golden Logres」など。ここまでアーサー王伝説を昇華しているゲームは見たことがないので、DAoCと合わせてプレイされたし。ちなみにDream Catcherのアドベンチャーゲーム「Arthur's Knight」はいまいちな出来だった。
アーサー王伝説だけでなく、ヒベルニア、ミッドガルドのレルムを選択するプレーヤーならば、同様に、ケルト神話や妖精学、北欧神話などの簡単な解説書を読むと、MMORPGならではの「この伝説世界の中にいるんだ」的な臨場感や「ヒベルニアってアイルランドのラテン名なんだ」といった背景を知る感動がさらに強まるはずだ。
DAoCの世界は、雨天や快晴がビジュアル&サウンドで確認できるほか、朝日や夕日もきちんと太陽が昇り降りするのが感動。夜には月も輝く |
■ で、結局のところどうなのか?
で、結局のところDAoCはどうだったのか? 結論から言うと、とても夢中になれるゲームだった。
EQとDAoCはゲーム内容的にもシステム的にもかなり似通っている部分があるため、EQの二番煎じと感じる人がいるかもしれない。しかし、これはもうマネだの何だのという次元ではなく、WarcraftやC&CのゲームシステムがリアルタイムRTSのスタンダードになってしまったように、EQ自体が3D MMORPGというジャンルそのものになってしまっている証拠なのだ。いかに「あの手の3D MMORPG」を土台にしてより楽しく遊べるものを作るか、というのがdaocのスタート地点なのである。
そして、そのスタートは成功している。DAoCはゲームとしての破綻が少なく、よくまとまった遊びやすい3D MMORPGだ。EQほどゲーム世界が広く茫洋としていないため、エリアが広すぎず、狭すぎず、しかもゾーンニングが少ないという非常に良いバランスを保っている。
レベル上げもほどほどの難易度だし、決して初心者むけとは言えないゲームバランスだが、EQのシステムを細やかに改善しており遊びやすかった。現時点ではプレーヤー層が比較的穏やかというか大人で、パーティを抜ける抜けないでもめることもなく、自分のペースで遊べるのもポイントが高い。
しかも、DAoCとしての新機軸として、3つのレルムが覇権を争っており、いつでもレルム対レルム(RvR)の戦いが楽しめるようになっている。序盤はレルム内での冒険者らしい冒険を満喫し、それに飽きる頃にはレルム同士の巨大なPvPを経験できるのである。このへんもよく考えられている。
もちろん、DAoC自身に対しての不満や要求はある。例えば、操作性をEQ方式から脱却してもっと抜本的に改革してもらいたいとか、一人称視点が遊びづらいとか、タスクにも確認ウィンドウを作れとか、アイテムの売買が面倒とか、スラッシュコマンドもアイコン化しやがれとか、ちょっとした不満はポロポロある。
しかし、全体としては非常によくまとまっており、多人数でプレイする楽しさを保つためいろいろな部分で腐心しているのが感じられた。
また、まだ実装されていないシステム、個人で馬が使用できたり(現在は一方通行のバスのような使い方しかできない)、各プレーヤーが家を持てたりといった、ワクワクするような企画も開発側から発表されている。
DAoCは間違いなくナイスな3D MMORPGだ。しかも、これからも成長を続けそうなMMORPGなのである。今からでも遅くはない。EverQuestに乗り遅れた人は、ぜひDark Age of Camelotで3D MMORPGの醍醐味を経験してほしい。
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■ 今週の気になる直輸入ソフト
今週、アチコチのお店で見かけた気になる直輸入ソフトをご紹介。11/1時点の秋葉原では、「Dark Age of Camelot」はどこでも品切れ状態。どのお店も「何日にという確実な日にちはお教えできません」とのことだったので、こまめにお店のサイトをチェックしよう。「Flight Simlator 2002」も同様に品切れ札を見かけた。また、「Rally Championship Extreme」が各店で入荷されていた。
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(2001年11月6日)
[Reported by 西尾ゆき]
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