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【連載第39回】 あの、おもちゃを徹底レポート




2足歩行するロボットトイ!
「ロボットフレンド PINO」

ロボットフレンド PINO
発売 ツクダオリジナル
価格 5,980円
電源 単3電池×4
発売日 発売中


 ロボットトイの第2章の幕開けだ。

 先週の連載ではトミーの「パルボ」を題材に「ロボットトイの集大成」と書いたが、今回紹介するPINOの登場によって、それは正しかったと確信した。PINOは、ロボットトイの新たなステージの到来を感じさせる。ボディのフォルム、アクション、そしてコミュニケーション機能のどれをとっても、従来のロボットトイから一歩前進している。

 くわしいレポートの前にPINOのプロフィールを簡単に紹介しておこう。このロボットトイの「PINO」には、モデルとなった“オリジナル”が存在している。
 オリジナルのPINOは、文部科学省の科学技術振興事業団「ERATO北野共生システムプロジェクト」によって開発された人型2足歩行ロボット。身長70センチ、体重4.5kgのスケールで、2000年4月に誕生。Pentium III 733MHzの“頭脳”によって、1歳児程度の知力を有している。今回紹介するのはこのオリジナルPINOのトイ版。「ファミリー向けの玩具」という制約の中で、できうる限り本家に追いつこうという情熱のほとばしりが伝わってくる力作だ。

デザインのモチーフは、童話のピノキオ。尖った鼻におもかげが感じられる ひざを軽く曲げてバランスを取り、安定した歩行を実現する


大きなボディを繊細に動かす!

 PINOがこれまでのロボットトイと比べてどこが違うかといえば、まず存在感からして違う。身長は36センチ強。これまでのロボットトイと比べると、約2倍の大きさだ。箱から取り出し、テーブルの上に置いてみると、その大きさはいっそう際立つ。

 稼動箇所は、「首」「右腕」「左腕」「腰」「右足」「左足」をはじめ、全10箇所。電池を入れると、出会いの挨拶といわんばかりに、全身を動かはじめる。筆者はこの最初の動きから、いきなり感激。両腕を高く上げるというよくある動作ながら、より人間くさい。同時に首を右へ左へと回し、辺りを観察。さらには上下運動をくり返し、頷きのポーズを取る。そうしたしぐさのひとつひとつが、かすかな知性を感じさせるのだ。

 搭載しているセンサーは、合計6個。頭にはタッチ、音声、光、赤外線と4個のセンサーが埋め込まれている。そして右手と左手にはそれぞれタッチセンサーが組み込まれている。これらのセンサーを介して、ユーザーと多様なコミュニケーションを行なう。

左耳にはタッチセンサーが、右耳には音センサーが、鼻には光センサーが組み込まれている 左右それぞれの手にもタッチセンサーが。左手のものはモードの切り替えなどの操作にも使う


3段階に成長。2段階目で2足歩行開始

【PINOの前進】
WMVムービー 718KB
 PINOには3つの成長段階がある。様々なコミュニケーションをくり返すことで、次第に子供期から大人期へと進化していくのだ。

 レベル1は、いわば“さなぎ期”のようなもの。頭、右手、左手のタッチセンサーを押しても、たまに「ピピピ……」とロボット語を話す程度。単調なリアクションしか返してこない。しかし、来るべきレベル2への期待感でいっぱいで、あまり退屈はしない。タッチセンサーを押し続け、30分も過ぎようという頃に、“進化”のタイミングが訪れた。突然、PINOが調子はずれな「ハッピーバースディ」のメロディを発したかと思うと、右足、そして左足と、両足を前後させ、歩き出した。そう、レベル2に突入したのだ。
 その様子を目の当たりにして、自分でもビックリするくらいに胸が熱くなった。もちろん玩具の歴史をひも解けば、ブリキのロボットの昔から、2本足で歩く玩具はあった。ただし、ここまで“未来の到来”を感じさせる歩行は、いまだかつてなかったはずだ。

光の変化に反応し、感知した音で歩き出す

 レベル2になると、光センサーと音センサーが作動。コミュニケーションが楽しめるようになり、ゲームを遊べるようになる。頭、右手、左手にあるタッチセンサーを押さえると、PINOは嬉しそうな声を上げる、両腕を上にあげるなどのリアクションをみせる。鼻先に手のひらをかざし光をさえぎると、PINOの光センサーが感知。興味深そうに、首を振る。パンパンパンと手を叩くと、音センサーが感知。PINOは前へと歩きはじめる。左手と右手のタッチセンサーを同時に5秒以上押すと、機嫌がグンとよくなるのか歌を歌いだす。

 こうした命令を誤認識することもほとんどなく、リアクションも機敏に実行される。大人向けのロボットトイがついに登場したな……これも筆者の実感だ。

オーバーアクションで歌うPINO。目のスクリーンには赤や緑の色を表示し、感情を表現する PINOの背面。背中のバッグパックに、単3電池を4本格納する

バラエティ豊かなゲームも遊べる!

 ゲームモードは全部で5種類が楽しめる。

お留守番モード 光センサーか音センサーが反応すると、PINOがおじぎをしたり、手を振って迎えてくれる
ダンシングモード ラジカセなどで音楽を鳴らすと、PINOがダンスを踊る
プログラミングモード PINOに最大10個までの動作を覚えさせ、その通りの行動をとらせられる
DJゲーム PINOの前で指揮者のように手を振ると、リズムに合わせてPINOが歌う
○×ゲーム PINOの目のライトが点灯するかしないかを予想。5問が出題される
質問ゲーム 「わたしのことすき?」などPINO語による質問に、ハイなら手を叩く、イイエなら手を振るアクションで答える

【お留守番モード】
WMVムービー 936KB
 筆者が特に気に入ったのは、「お留守番モード」と「ダンシングモード」のふたつ。

 「お留守番モード」では、PINOを玄関先に置き、仕事場を訪れてくるお客さんをお出迎えさせてみた。ドアの開閉音や足音を音センサーが感知。PINOは両腕の上げ下げを3回ほどくり返し、万歳三唱でお客さんをお出迎え。おじぎをでかしこまった挨拶をするときもあった。そんなPINOを見て、誰もが口を揃えたかのように「オモチャのロボットもここまで精巧になってきたんだ~」と驚き、筆者はニンマリ。

 「ダンシングモード」は、音楽を感知して、PINOが踊りを披露する。音楽のリズムにあったダンスをくり出すわけではないが、多少ギコチないながらも、必死に踊るPINOの姿が、なんともカワイらしく、楽しい気分になってくる。

機能をさらに強化した「DX」版が11月に発売!

 こうしたコミュニケーションを続けているうちに、PINOが二度目の「ハッピーバースディ」を歌った。レベル3へ進化したのだ。どんな性格になったのかと、PINOの動作を注意深く観察してみると、「おりこう」になったようだ。命令はよく聞くし、以前よりおしゃべりをしたり、歌を歌う回数が増えた気がする。筆者がこうした成長要素のあるロボットトイを育てると、「おこりっぽい」「いじけるやすい」など問題のある性格になりがちだったので、今回はうれしい限り。

 PINO同士のコミュニケーション機能もある。別のPINOと並べると、PINO語による会話を交わしたり、歌をデュエットする。相性も判定され、最悪の場合は、腕を振ってケンカをすることもある。

 11月にはさらに機能を強化した「ロボットフレンドPINO DX」が発売される。今回の「ロボットフレンドPINO」の機能はそのままに、「呼ばれた方向に向きを変えて歩く」「前後左右に障害物を避けて歩く」「持ち主の声を聞き分ける」「あっち向いてホイをする」など、高度な機能が追加される。価格は13,800円と跳ね上がるが、その値打ちは十分だろう。筆者などは、これらのアクションを実行しているPINOの姿を想像するだけで、カッカカッカと燃えてくる。絶対に楽しそうだもん。

(C)2001 ZMP, T.Matsui
(C) TSUKUDA ORIGINAL

□ツクダオリジナルのホームページ
http://www.tsukuda-original.co.jp/
□「PINO」シリーズのページ
http://www.tsukuda-original.co.jp/omocha/m.html


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(2001年10月18日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


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