「ガールズ&パンツァー」好きなら「World of Tanks」に来い!
【ガルパン×WoT連載】第14回:マニアにはたまらない一品です!「ポルシェティーガー」を「WoT」で動かす
2017年5月2日 07:00
アニメ「ガールズ&パンツァー」(以下、ガルパン)とオンライン戦車アクションゲーム「World of Tanks」(以下、WoT)のコラボ連載。筆者の都合でしばらくお休みをいただいたが、ゆっくりと再開させていただこうと思う。「ガルパン最終章」も2017年末から始まるので、それまで「WoT」で「ガルパン」の戦車を嗜みながら待ってみてはいかがだろうか。
さて、今回は大洗女子学園の自動車部によるレオポンさんチームが使用する戦車「ポルシェティーガー」をご紹介する。「ガルパン」では、2回戦のアンツィオ高校戦に先駆けて発見されていたものの、大がかりなレストアが必要だったため、決勝戦の黒森峰女学園戦に滑り込みで間に合った。大洗女子学園が保有する戦車の中では最重量級であり、最強の火力を持つ重戦車である。
自動車部は大洗女子学園の戦車の修理を担当し、酷い損傷も一晩で直す凄腕を持つ、最高に頼れる縁の下の力持ち。「ポルシェティーガー」が見つかった際には、「修理が完了したら私達が動かします」と宣言していたが、ほぼぶっつけ本番であろう決勝戦では見事な操縦を見せ、戦闘までこなしていた。最初から彼女らがどれかの戦車を動かしていたら……とは言わないでおこう。
メンバーはレーサーが元ネタになっていて、「雨の中嶋」もとい「雨はナカジマ」ことナカジマ、夢は「スーパーアグリのオーナー」もとい「戦車道チームのオーナー」というスズキ、「日本一速い男」もとい「大洗一速い女」ことホシノ、「ドリフトキング」もとい「ドリンクバー・キンヨウビ」のあだ名を持つツチヤ。今後の追加メンバーがある時は「カミカゼ」か「レスキューカーに撥ねられた女」を期待したい私はF1ファンだが、その話はまたの機会に。
「ポルシェティーガー」の何がマニアックなのか?
「ガルパン」において「ポルシェティーガー」が発見された時、自動車部のナカジマは「相当マニアックな一品な気がする」と言っていた。このセリフの意味するところは何か。「ガルパン」的にも「WoT」的にも本車輌の理解を深めるため、先に歴史を振り返っていきたい。
「ポルシェティーガー」という名前から、多くの人は高級スポーツカーのポルシェを連想するだろう。本車輌は、まさにその自動車メーカーのポルシェが手掛けた車輌で、ポルシェ創業者のフェルディナント・ポルシェが設計している。
ただし「ポルシェティーガー」という名前は俗称であり、正確には「VK4501(P)」という試作車輌である。本車輌は、第二次世界大戦中のドイツが、後に「ティーガー」と呼ばれる新型の戦車を配備するために開発が始まった。
本車輌の特徴は、ガソリンエンジンで発電機を回して、その電力でモーターを動かして走行するという点。いわゆるハイブリッドエンジンの一種である。この利点は、電力の流量を調整することで速度を調整できることで、これにより故障が多かった変速機や、複雑なステアリング装置が要らなくなる。他にも車外にトーションバーを配置するなど、ポルシェならではの画期的な機構が組み込まれている。
これらの発想自体はよかったのかもしれないが、試作車輌では重い車輌を動かすためのモーターが非力で、空冷エンジンは過熱しやすく、故障が頻発。走行試験においては、信地旋回(片方の履帯を動かして旋回する動き)ができずに地面に埋まるという失態を犯した。他にもモーターから発せられる電磁ノイズで無線が使いにくいと言う問題もあり、最後まで要求された性能を満たせなかった。モーターのために大量に必要な銅が、当時のドイツでは不足していたという外的要因も影響した。
当初、ヒトラーはフェルディナント・ポルシェのことを気に入っていたと言われており、先進的な設計を取り入れたポルシェの車輌にも期待を寄せていた。これと競合する形で、ヘンシェルでも車輌が試作されていたが、こちらは旧来の車輌の延長線上とも言うべき無難な設計だった。ヒトラーは当初、ヘンシェルの車輌を好まなかったようだが、問題だらけのポルシェの車輌と比べるべくもなく、こちらを採用するほかなかった。
その結果、ヘンシェルの車輌が「VI号戦車ティーガー」となる。普通なら話はこれで終わり、現在「ポルシェティーガー」と呼ばれる車輌は試作車輌「VK4501(P)」のままになるはずだった。
ところがフェルディナント・ポルシェは、ヒトラーとの政治的繋がりから、「VK4501(P)」が採用されると信じており、試験の結果を待たずに量産を始めてしまっていた(ヒトラーがポルシェに生産を指示した、という話もある)。不採用が決まった時点で、数輌が既に完成し、さらに90輌分の車体装甲板も出来上がっていた。
これらを鉄くず扱いするわけにもいかず、完成車輌は若干の改善を施したうえで指揮車輌として前線に送られた。また部品は、砲塔をヘンシェル製の「ティーガー」に流用、車体には別の固定式の砲を積み、他社のエンジンを搭載して、重駆逐戦車として運用された。これは設計者にちなんで「フェルディナント」という名前で制式採用され、後に「エレファント」と改名されている。
「ガルパン」の作中では「ポルシェティーガー」について、秋山優花里が「レア戦車」と言っているのは、「ポルシェティーガー」として存在する車輌が少ないためである。また「地面にめりこんだり、過熱して炎上したり、壊れやすいのが難点」と問題点も挙げているが、「ガルパン」では走行中に故障を直すなどの自動車部の超絶テクニックによってカバーされ、数々の活躍を見せることになる。
「ポルシェティーガー」こと「Tiger P」を「WoT」で入手
それでは話を「WoT」へ移そう。「ポルシェティーガー」は、「WoT」ではドイツのTier7重戦車「Tiger(P)」(略称:Tiger P)として登場する。
開発ルートは、Tier5中戦車「Pz.IV H」を通るルートのみ。あんこうチームの「IV号戦車D型改(H型仕様)」に相当する車輌なので、「ガルパン」ファンなら必ず通る道だ。「Pz.IV H」およびそれまでの車輌については、連載第3回、連載第4回をご覧いただきたい。ちなみに「Tiger(P)」が登場するルートは「ポルシェルート」とも呼ばれ、終着点のTier10は同じくフェルディナント・ポルシェが設計した「超重戦車マウス」こと「Maus」となる。
【ルート】
[Tier5中戦車]Pz.IV H → [Tier6中戦車]VK 30.01 P → [Tier7重戦車]Tiger P
Tier6中戦車「VK 30.01 P」では、攻撃力の高い8.8cm砲と、貫通力に優れる7.5cm砲を選べる。機動性は良好なので、状況に応じて位置取りを変えることもできる。装甲は砲塔部分が良好なので、積極的にハルダウンを活用したい。
圧倒的な前面装甲をうまく活用できるか
「WoT」での「Tiger P」は、エンジンや無線機が勝手に不調をきたすことはないし、地面に埋まったりもしない。ただしハイブリッドエンジンならではの利点があるわけでもなく、「エンジン規制はあるけど、モーターはないもんね」とEPSボタンで加速できたりもしない(もちろん空を飛んだりレーダーから消えたりもしない)ので、操作感は普通の車輌と変わりない。
「Tiger P」は名前こそ「ティーガー」とあるが、車体はかなり異なる。まず車体前面に200mmという圧倒的な装甲を持っている。僅かに傾斜していることもあって、実質は200mm以上の装甲能力を発揮する。同じTier7の重戦車である「Tiger」が、前面の装甲が100mmで垂直だったことを思うと、装甲厚ではかなり有利だ。
ただし、車体の前面全てが200mmの装甲を持っているわけではない。側面に近い部分は斜めに切り込みを入れたような形状で、装甲厚は80mmほどになる。車体下部も同様で、傾斜はあるものの80mm程度。また砲塔部分は100~160mm程度で、車体よりも砲塔部分の方が装甲が薄い。簡単に言うと、正面ど真ん中だけは圧倒的な装甲厚で、他は平凡である。
車体の特徴としてもう1つ、砲塔が車体前面にあることだ。巨大なエンジンやモーターを車体後方に詰め込んだため、砲塔が前面に配置されている……という事情による。
この2つの特徴を考慮すると、本車輌は障害物などから飛び出して撃つスタイルが向いている。砲塔が前にある分、車体側面をあまり晒さないで敵を撃てるためだ。撃ってすぐ障害物へ引っ込む動きをすれば、敵に撃たれやすいのは斜め向きの前面だけ、という状況を作れる。逆に豚飯(障害物に車体前面をつけて、バックしながら側面を見せて撃つ)は、砲が前にあると車体を大きく晒すことになる上、せっかくの前面装甲が無駄になるので不向きだ。
ただし注意点として、車体を斜めにすると、前面の横にある斜めの切り込み部分が垂直に近くなり、80mmの装甲を敵にまともに撃ち抜かれる可能性がある。また撃つ際には砲塔も敵に晒すことになるため、こちらも狙われると車体よりは貫通されやすい。特に格上の車輌や、同格の駆逐戦車など、貫通力の高い砲を持つ車輌と相対する時は注意が必要だ。
相手が格下で貫通力の低い砲だと判断できるなら、あえて車体をほぼ正面に向けて強気に撃ち合うのもいい。自動照準で撃ってくる相手は、こちらの200mm装甲を素直に撃ってくれることになる。こちらの装甲を活かして戦える相手か、また他の敵から側面などを撃たれないか、状況を把握して素早く判断することが活躍の鍵となる。
車体の癖を理解すれば活躍の機会が見えてくる
続いては、「ガルパン」に登場する「ポルシェティーガー」を「WoT」で再現するパッケージを探してみよう。主砲が「56口径88mm戦車砲KwK36」となっており、これを「WoT」で探すと、「8.8cm Kw.K. 36 L/56」を搭載したパッケージ「PzKpfw VI P(8.8/56)」がマッチする。9.90発/分で220ダメージを繰り出す点は優秀だが、貫通力が145mmしかなく、Tier7の砲としては少々厳しい。
「ガルパン」での戦いを「WoT」で再現すると、黒森峰女学園の「パンターG型」はTier7中戦車「Panther」、「Ⅳ号駆逐戦車/70(V)ラング」はTier6駆逐戦車「JagdPz IV」として登場し、いずれもマッチング可能。「8.8cm Kw.K. 36 L/56」であれば、両車輌とも正面からの貫通も可能だが、できれば側面を狙いたい。逆に相手の砲撃は、正面の200mm装甲であれば十分受け止められるが、それ以外の場所は貫通される可能性がある。圧倒的に有利と言うほどでもないので、油断せずに戦いたい。
大学選抜の「M26パーシング重戦車」は、アメリカのTier8中戦車「Pershing」として登場。「ガルパン」の登場車輌で搭載されている主砲「50口径90mm砲M3」は貫通力160mmなので、やはり正面装甲なら受け止められる。ただし「WoT」では最終的に貫通力190mmの砲も用意されているほか、APCRだと軽く200mmを越えてくるので、楽な相手とは言えない。装甲も100mm超えの傾斜装甲とかなり硬く、正面からだと弾かれる可能性もある。
「WoT」の「Tiger P」には、ほかに長砲身の「8.8cm Kw.K. 43 L/71」を搭載したパッケージ「PzKpfw VI P(8.8/71)」も選べる。こちらはAPで貫通力が203mmまで伸び、格上の車輌にも貫通を狙える。ただダメージは240と伸びが僅かで、発射速度は6.98発/分と大幅に落ちてしまう。貫通力が高い方が扱いやすさは増すが、同格以下を相手にするなら「8.8cm Kw.K. 36 L/56」でいい場合が多いので、手数優先という選択肢もなくはない。
「Tiger」と比べると、正面装甲に期待できる反面、火力では手数で劣る。機動性は「Tiger」に劣り、特に悪路や上り坂が厳しい。正面装甲を活かして戦える場所を素早く確保できるかどうか、マップごとのノウハウが求められる。「ガルパン」で軽々と乗りこなしているのは、あくまで自動車部だからである。「WoT」では史実ほどの欠陥車輌ではないにせよ、癖のある車体をきちんと理解するところから乗り始めるのがいいだろう。
拡張パーツは、火力を高める「大口径戦車砲用装填棒」は持っておきたい。他は装甲を活かして戦うため「スポールライナー(大)」や「工具箱」などで防御能力を高めると安定性が上がる。スキルはやはり「第六感」が重宝するが、装甲を活かした戦いが前提なら「修理」や「スムーズな運転」も便利なので早めに習得しておきたい。
次回はカメさんチームが操る「38(t)戦車B/C型」をご紹介する。生徒会長の角谷杏による神がかり的な砲撃と、河嶋桃による神がかり的な砲撃(悪い意味で)が印象的な戦車だ。生徒会の面々が操縦しない「WoT」ではどんな性能を持っているのか。次回をお楽しみに。