「ガールズ&パンツァー」好きなら「World of Tanks」に来い!

第4回:シュルツェンが付いただけじゃない!「IV号戦車D型改(H型仕様)」を「WoT」で動かす

今回扱う車両:Tier5中戦車「Pz.IV H」

あんこうチーム「IV号戦車D型改(H型仕様)」

 アニメ「ガールズ&パンツァー」(以下、ガルパン)とオンライン戦車バトルゲーム「World of Tanks」(以下、WoT)のコラボ連載。前回は「ガルパン」の主役戦車、あんこうチームが操る「IV号戦車D型」、および第1次改修を施した「IV号戦車D型改(F2型仕様)」を紹介した。今回はこれに続いて、第2次改修後となる「IV号戦車D型改(H型仕様)」を「WoT」でプレイし、そのポイントを解説していく。

 「IV号戦車D型改(H型仕様)」が「ガルパン」に登場するのは、テレビシリーズの決勝戦となる黒森峰女学園との試合の直前。車体と砲塔の側面にシュルツェンと呼ばれる補助装甲版を増設し、一目見てわかる特徴的な外見に変わっている(ちなみにシュルツェンとは、ドイツ語でエプロンという意味)。他にも装甲や主砲の強化、変速機の変更など、様々な部分に手が加えられている。

 「ガルパン」の主役となるあんこうチームが乗り込むこの戦車は、テレビシリーズ、ならびに劇場版のクライマックスシーンを飾る戦車であり、「ガルパン」ファンには最も印象の強い戦車に違いない。「WoT」でも間違いなく優秀な戦車だが、「ガルパン」で見た印象とはまた違った手触りもある戦車となっている。

【あんこうチーム】
西住みほ(車長)
武部沙織(通信手)
五十鈴華(砲手)
秋山優花里(装填手)
冷泉麻子(操縦手)

「IV号戦車D型改(H型仕様)」こと「Pz.IV H」を入手

「Pz.IV H」はドイツのTier5中戦車として登場する

 「IV号戦車D型改(H型仕様)」は、「WoT」では「Pz.Kpfw.IV Ausf.H」(以下、Pz.IV H)として登場する。前回紹介した「Pz.IV D」はTier4で、「Pz.IV H」はその次のTier5に属する。Tier3の「Pz.IV A」から数えると、「IV号戦車」だけで3つのTierに分かれて登場することになる。

 「Pz.IV H」の入手ルートは2通り。「Pz.IV D」の後に研究するものと、「Pz.35(t)」から続くチェコスロバキア製の軽戦車ツリーを辿るものがある。順当なのは「Pz.IV D」から進める方だが、その場合はTier3で「Pz.III A」を作った後、同じTier3の「Pz.IV A」を作らねばならない。これに対して「Pz.35(t)」ルートであれば、Tierごとに1台で済むため、「Pz.IV H」が欲しいだけなら1台分の手間が減るように見える。

【ルート1】
[Tier1軽戦車]LTraktor → [Tier2軽戦車]Pz.II → [Tier3軽戦車]Pz.III A → [Tier3中戦車]Pz.IV A → [Tier4中戦車]Pz.IV D → [Tier5中戦車]Pz.IV H

【ルート2】
[Tier1軽戦車]LTraktor → [Tier2軽戦車]Pz.35(t) → [Tier3軽戦車]Pz.38(t) → [Tier4軽戦車]Pz.38 nA → [Tier5中戦車]Pz.IV H

Tier7までマッチングする「Pz.38 nA」は最大の難所
PS4版で入手できた「ガルパン」コラボ戦車。性能は「Pz.IV H」と同じだ

 実は、これは大きな罠と言っていい。「Pz.35(t)」からのルートは「Pz.IV H」入手直前のTier4まで軽戦車を使うことになるが、Tier4の「Pz.38 nA」の扱いが非常に難しい。多くの軽戦車は他の車種に比べ、より高いTierの戦場に入れられることがある。通常、Tier4の車輌は最大でTier6の車輌がいる戦場にマッチングされるが、「Pz.38 nA」は1つ上のTier7ともマッチングすることがある。

 軽戦車の「Pz.38 nA」は、火力や装甲は同じTier4の中戦車や重戦車に比べて低くなる。同格の戦車でも真正面から撃ち合うのは厳しいし、上位のTierの敵戦車と戦えば、砲撃が弾かれてダメージが与えられないことが多くなる。逆に上位のTierの敵戦車から撃たれたら、1発で爆散することも当たり前になる。

 よって「Pz.38 nA」の役割は、敵を見つけて味方に位置を知らせるという偵察役にほぼ終始する。茂みに隠れるなどしてこちらの位置を悟られないよう敵の様子を伺うか、軽戦車の快速を活かして敵の砲弾を避けて走り回るかだ。隠れた状態で自分から撃ってしまうと、敵に位置を悟られやすくなるので、敵を撃てる位置でもじっと身をひそめ続けるという忍耐力も必要になる。偵察に適した隠れ場所と逃走経路の知識も欲しい。これをきっちりとこなすのは容易なことではなく、経験値を稼ぐのは大変だ。

 「Pz.IV H」の入手が目標であれば、たとえ生産する車輌が1台増えたとしても、中戦車の「Pz.IV D」を経由するルートの方が楽に進められる。ただし「Pz.35(t)」ルートには、Tier3でカメさんチームの「38(t)戦車B/C型」となる「Pz.38(t)」が入手できるほか、「Pz.38 nA」の先には同じくカメさんチームの「38(t)改(ヘッツァー仕様)」となるTier4の「Hetzer」が入手できる。要するに、「ガルパン」ファンであればいずれ両方のルートを辿ることになるので、最初から両方を並行して進めておくことをお勧めする。

 注意点としては、「Pz.IV D」と「Pz.38 nA」を並行してプレイして、双方に経験値が貯まっていたとしても、両方から半分ずつ経験値を出して「Pz.IV H」を研究するということはできない。フリー経験値を上乗せすることは可能だが、基本的にどちらか一方の戦車の経験値だけで「Pz.IV H」を入手可能な分だけ稼ぐ必要がある。

 なおプレイステーション 4版「WoT」では、サービス開始直後の「ガルパン」コラボ企画として、「ガルパン」仕様の「IV号戦車D型改(H型仕様)」が入手できるイベントがあった。現在は終了しており、残念ながら入手方法はない。同じ性能の「Pz.IV H」は入手可能なので、これからPS4版をプレイする方はこちらを目指していただきたい。

高い火力とそれなりの装甲を手に入れた「Pz.IV H」

「Pz.IV H」(PzKpfw IVH)の性能表。正面装甲が80mmに増しており、撃ち合いにはそれなりに強くなった

 「Pz.IV H」は、前段階の「Pz.IV D」からいくつかの点で強化されている。まず装甲は、正面の装甲厚が一気に50mm増し、80mmまで増強されている。これなら軽戦車に車体正面を撃ち抜かれるようなことは少なくなるので、ある程度は撃ち合いに参加できる。ただし側面は30mm、背面は20mmと薄いため、正面以外からの攻撃には注意が必要だ。また砲塔部は正面でも50mmと薄くなるので油断は禁物。

 左右のシュルツェンは、榴弾を防ぐ効果があると言われている。榴弾は接触したところで炸裂する特性があるため、シュルツェンから離れた位置にある本体の装甲へのダメージを軽減できるというわけだ。ただ、徹甲弾に対してはほとんど防御効果がない上、シュルツェンがない部分に榴弾が命中すれば、薄い側面装甲はたやすく貫通される。シュルツェンの防御力には期待せず、お守り程度と思っておいた方が健全だ。

 装甲が増したこともあって、走行性能は「Pz.IV D」と比べると僅かに低下している。それでも操作感は十分良好で、中戦車として遅い、扱いづらいと感じることはまずない。ちょっぴり重厚感が増した「Pz.IV D」だと思って操作していればいいはずだ。なお、「WoT」では履帯が切れるようなドリフト走行はできないので悪しからず。

正面の装甲が厚くなった分、撃ち合いもある程度こなせるようになった
外見的に目立つシュルツェンがだが、防御効果はさほど期待しない方がいい

 「WoT」における「Pz.IV H」のパッケージを見ると、「ガルパン」の「IV号戦車D型改(H型仕様)」に当たるものが「PzKpfw IVH II」として用意されている。主砲に「7.5cm Kw.K. 40 L/48」、エンジンに「Maybach HL 120 TRM」と同じ構成になる。先述のコラボ戦車もこの仕様だ。

 「7.5cm Kw.K. 40 L/48」は、「Pz.IV D」で搭載できた「7.5 cm KwK 40 L/43」と同じ7.5cm砲ながら、砲身がさらに長くなっている。これにより徹甲弾の貫通力が110mmに増したほか、精度も僅かによくなっている。「Pz.IV D」よりTierが1つ上がっているので、貫通力のアップはあまり感じられないかもしれないが、照準時間が1割ほど短縮されているので、より精密な射撃が可能になっている。

 「ガルパン」では、黒森峰女学園の「IV号駆逐戦車/70(V)ラング」を狙い、上から撃ち下ろす角度だったことも幸いして装甲を貫通できた。「WoT」ではTier6の駆逐戦車「JagdPz IV」として登場するが、正面装甲が傾斜していることもあり、「7.5cm Kw.K. 40 L/48」で真正面から撃つと弾かれる可能性が高い。撃つならできれば側面に回りたいが、傾斜装甲の意味が薄れる斜め上の位置から狙うのも効果的だ。

 姉妹対決となった「ティーガーI」は、「WoT」ではTier7の重戦車「Tiger I」として登場。「Pz.IV H」はTier7まではマッチングするので、戦場でも顔を合わせることになる。正面装甲が100mm、側面が80mmとなっているため、真正面から至近距離で撃てば貫通できる可能性もあるが、少し斜めに構えられるとほぼ貫通できなくなる。もし撃つなら横から、それもなるべく垂直に近い角度で狙うようにしたい。クライマックスシーンで見せたあんこうチームの戦術も、勝つにはほかに手がなかったのだろうと思えてくる。

 「IV号戦車D型改(H型仕様)」の砲撃では全く歯が立たなかった「駆逐戦車ヤークトティーガー」。「WoT」ではTier9の駆逐戦車「Jagdtiger」として登場するため「Pz.IV H」とはマッチングしない。参考までに「Jagdtiger」の性能を見ると、正面装甲が250mmとなっており、真正面からは何をどう撃っても貫通できない。砲手の五十鈴華が「堅い」と漏らすのも当然である。

 「ガルパン」では強力な戦車ばかりを相手にしているのでわかりにくいが、「WoT」においては「7.5cm Kw.K. 40 L/48」は高貫通力を持ち、同Tier帯では安定したダメージを出せる。精度の高さを活かして、敵の弱点を狙って砲撃するのも有効だ。特に「Tiger I」のような上位のTierで堅い装甲を持つ相手に対しては、履帯を狙うなどしてサポート役に徹するのもいいだろう。

「PzKpfw IVH II」のパッケージは「IV号戦車D型改(H型仕様)」とほぼ同じ装備になる
高い貫通力と精度を誇り、思った通りの仕事をしてくれる

 純粋に「WoT」的な視点で「Pz.IV H」を見ると、もう1つ魅力的な砲を選べる。パッケージ「PzKpfw IVH(10.5cm)」を選ぶと、砲が「10.5cm Kw.K. L/28」に変わる。「7.5cm Kw.K. 40 L/48」に比べると短くずんぐりした砲だが、10.5cmとより大きな砲弾を扱える。

 「10.5cm Kw.K. L/28」の魅力は何と言っても榴弾だ。前回の「Pz.IV D」の紹介の際にも触れたが、10.5cm砲の榴弾は同Tier帯においては突出した威力があり、HPの少ない下位のTierの車輌なら1発で撃破できるほどだ。1回使えば「7.5cm Kw.K. 40 L/48」の存在を忘れるほどの気持ちよさがある。

 スペック上、榴弾は徹甲弾に比べて貫通力が低くダメージが大きい。ただ榴弾と徹甲弾では敵の装甲を貫通する仕組みが違う。詳しい説明は省くが、実使用上での違いとして最も大きいのは、徹甲弾が敵との距離が離れるほど貫通力が減衰していくのに対し、榴弾は貫通力が減衰しないことだ。遠距離の敵を撃つ場合、徹甲弾より榴弾の方が高い貫通力を発揮することもある。

 榴弾は砲弾が大きいほど貫通力が増す。7.5cm砲の榴弾の貫通力は38mm程度だが、10.5cm砲では53mmまで伸びる。逆に徹甲弾は「10.5cm Kw.K. L/28」の場合だと貫通力64mmとなっており、距離による減衰と威力の低下を考えると、徹甲弾を使用する価値は低い。また榴弾は貫通できなくとも少量のダメージを与えられるというメリットもあるので、上位のTierの敵に対して撃つのにも有利に働く。

 「10.5cm Kw.K. L/28」の弱点は、装填時間の遅さと砲弾の遅さ。「7.5cm Kw.K. 40 L/48」に比べると倍の装填時間がかかる上、砲弾が低速なために動いているターゲットは狙いにくい。敵の動きと砲弾の落下点を合わせるように先読みし、1発1発を敵の装甲の薄い部分にきっちり当てていく必要がある。もし至近距離で外した日には、相手から2発ほど自由に撃たれる覚悟をせねばならない。

 「7.5cm Kw.K. 40 L/48」に比べると扱いにくい砲ではあるが、貫通した時の圧倒的な威力は病みつきになる魅力がある。2種類の砲のどちらが強いと言うものでもないので、単発火力を求めるなら「10.5cm Kw.K. L/28」、安定した精密射撃が好みなら「7.5cm Kw.K. 40 L/48」と使い分けるといいだろう。

【「Pz.IV H」のプレイ映像】

「PzKpfw IVH(10.5cm)」のパッケージでは、10.5cm砲を装備する
主砲がぐっと短くなり、見た目の印象もずいぶんと変わる
10.5cm榴弾の威力は抜群。貫通しなくともダメージが入るのもありがたい
遠くの敵にきっちり当てられるかは、プレーヤーの腕次第

 パーツ選びにおいては、主砲が「7.5cm Kw.K. 40 L/48」なら「迷彩ネット」などで隠れやすくするのもいいが、「10.5cm Kw.K. L/28」を選ぶ場合は主砲の火力を高める方向にするのもいい。装填時間を短縮する「中口径戦車砲用装填棒」や、照準時間を短縮する「改良型射撃装置」が候補になるだろう。

 アイテムはやはり「修理キット(小)」が必須。正面以外の装甲が薄いため、横に回られると軽戦車の砲撃でもかなり痛い。履帯をやられて動けないところに横から攻撃されればひとたまりもないので、持っているだけで安全度はぐっと高まる。またHPや装甲が増して敵の10.5cm砲の榴弾にも耐えられるようになったので、火災に備えて消火器があると安心だ。

 搭乗員スキルは、やはり敵からの発見を知らせてくれる「第六感」があると便利。特に「Pz.IV H」の場合は横から狙われていることに早く気づけないと、大ダメージや即死の可能性もある。長く生きて、できるだけ大火力を保ち続けるのも大切なことだ。「7.5cm Kw.K. 40 L/48」を選ぶ場合、移動しながらの射撃精度を高める「スムーズな運転」があると安定感が増す。後は個人のプレイスタイルに合わせて選択するのがいい。

攻撃力を高める「中口径戦車砲用装填棒」や「改良型射撃装置」を積めば、強力な砲をより活かせる
火災に備えて消火器系のアイテムも用意しておきたい

主砲の違いで2つのプレイスタイルが楽しめる優等生

精度の高い「7.5cm Kw.K. 40 L/48」と威力の高い「10.5cm Kw.K. L/28」。2つを使い分けられるのも「Pz.IV H」の大きな魅力だ

 「Pz.IV H」は快適な使い心地とシュルツェンによる特徴的な外見に加えて、高精度高貫通力の「7.5cm Kw.K. 40 L/48」と、大威力榴弾の「10.5cm Kw.K. L/28」というタイプが異なる2つの主砲が選べるのが魅力。プレーヤーの様子を見ると「10.5cm Kw.K. L/28」の方が人気はあるようだが、両方を使い比べてみると「7.5cm Kw.K. 40 L/48」の良さもわかる。

 「ガルパン」的なロールプレイを楽しみたいなら「7.5cm Kw.K. 40 L/48」だ。プレーヤーの精密射撃をきちんと遂行できるだけの精度と貫通力があるので、的確に弱点を狙って撃つ自信がある人や、走りながらの射撃がしたい人には、十分な手ごたえが得られるはずだ。ただし「ガルパン」のように、敵を1発で撃破できるほどの威力はないので無理は禁物。味方との連携を最優先に考えながら戦いたい。

 「10.5cm Kw.K. L/28」では榴弾の当て方が難しいが、遠距離でも動く相手にきっちり当てられる先読み能力があれば、チーム随一の火力として活躍できる。正面から雑に撃ち合うと貫通できず撃ち負けることもあるので、敵に気づかれないように側面に回るようなポジション取りも大事になる。下位のTierや軽戦車など装甲が薄い相手にはめっぽう強く、敵の装甲を貫通できた時の大ダメージは、撃った方が驚くこともあるほどだ。

 次回は、カバさんチームが操る「III号突撃砲F型」をご紹介する。「ガルパン」においては、大洗女子学園が初期から保有する戦車の中で最も強力な砲を持ち、たびたび大活躍して見せてくれた。「WoT」に登場する「III号突撃砲F型」は果たしてどんな性能の持ち主なのか。少なくとも、のぼりは立てていないことだけはお伝えしておく。

(石田賀津男)