Windows 10 ゲームマラソン
「D4: Dark Dreams Don't Die」 独特の雰囲気に引き込まれるアドベンチャー
マウス操作で過去の世界に潜行(ダイヴ)! 没入感たっぷりの意欲作
(2015/9/8 12:00)
「D4: Dark Dreams Don't Die -Season One-」(D4)は、アクセスゲームズが開発したWindows用のミステリーアドベンチャーゲームだ。Xbox Oneからの移植作品で、Xbox One版ではKinectによる操作に最適化していたが、Windows版では新たにマウス操作に最適化されたのが特徴だ。ラフなタッチで描かれるコミカライズされたビジュアルは独特の雰囲気を醸し出しており、プレイする人を引き込む魅力となっている。本日の「Windows 10ゲームマラソン」では本作を取り上げたい。
Windows 10への対応状況(8月21日現在) | |
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動作状況 | ★★★★★(正式対応) |
メーカー対応 | 動作確認済み |
Windows 10独自機能 | Game Bar、GameDVR(ウィンドウモード時のみ) |
不具合報告 | 特になし |
サポート情報 | PC版公式ページ |
独特のラフなタッチで描かれる個性的なキャラクターたち
「D4」の魅力は何と言ってもそのビジュアルだ。キャラクターや背景の絵はいずれも太くて荒い線で描かれており、塗りもところどころはみ出ているが、それが味となっており、心地よい雰囲気を演出している。
登場するキャラクターも個性的だ。本作の主人公は元ボストン市警察の捜査官で、現在は探偵のデイビッド・ヤング。彼の妻であるリトル・ペギー(ペギー・ヤング)の殺人事件の真相を追うために警察を退職し、相棒で現職警部のフォレスト・ケイスンや、デイビットの家に居候する謎の少女、アマンダとともに事件を追い続ける。他にも事件に関連するキャラクターが何人か登場するが、いずれもクセのある連中ばかりだ。
デイビッドは意志の強く宿った遺留品(メメント)を使うことで、“過去”に潜入することができる「潜行(ダイヴ)」という特殊能力を持っており、この能力で過去に起きた事件に直接介入し、事件を解決することができる。この能力で実際に過去を変えることができるのか? 他に同じ能力を使える人間がいるのか? この能力と事件との関連性はあるのか? この辺りが本作の真相に繋がっていくことになる。
マウスで快適な操作感。ライトな感覚のQTE
本作の操作は画面内を手型のカーソルで自由に移動し、反応のあるオブジェクトに対してアクションを起こすことで物語を進行していく。このタイプのアドベンチャーゲームとマウスとの相性は抜群だ。Xbox One版では、Kinectを使った直感的な操作が魅力的だったが、ずっと手を挙げておく必要があり、長時間プレイしていると手が疲れてくるのが難点だった。これに対しPC版は目的の位置にマウスを操作するだけでよく、ストレスなく操作が行なえる。
主人公には行動力や体力、洞察力などのパラメータがあり、特定のアクションを起こすことで行動力を消耗したり、ダメージを受けるような事態では体力を消耗する。いずれも0になると行動不能となり捜査は中断となってしまう。
画面上部には次にやるべき目的が表示されているので、行動の目安となる。それでもストーリーが進まず行き詰った時には「ヴィジョン」と呼ばれる、アクションが可能なオブジェクトを光らせる能力もあるので、何をすればいいのかわからなくなるということはあまりなく、サクサクと進めることができた。ただし、ヴィジョンを使用するたびに洞察力が消耗され、0になると使用不可となる。
アクションが可能なオブジェクトの中には、各パラメータの回復アイテムのほか、物語とは無関係の主人公の洋服やクレジットと呼ばれるポイントを獲得することもある。クレジットを貯めることで、回復アイテムや、主人公を含めた一部の登場人物たちの洋服やアクセサリーなどを購入することもできる。
特定条件がそろうとカットシーンが挿入されるが、中には途中からシンクロスタントと呼ばれるQuick Time Event(QTE)が挿入される場合もある。QTEでは画面に提示された通りの操作をマウスで行なうことでクリアしていく。うまくクリアできるとデイビッドとのシンクロ率が上がり、クリア時にもらえるクレジットが高くなる。
このQTEでの操作についても、Xbox One版からPC版への移植にあたってコマンドを刷新したとのことで、難易度は低く、画面をよく見て慌てさえしなければ失敗することは少なく、ほどよいバランスのミニゲームのように仕上がっていると感じた。
Windows 10上での動作については、特に問題なく快適にプレイできた。独自機能についてはウィンドウモード時ならGame Bar/GameDVRについても問題なく利用できた。ただしXbox Appへの登録は行なえなかった。ちなみに、Xbox Oneコントローラでも試してみたところ、こちらでも問題なく楽しむことができた。
重厚な演出で没入感が高まる。早く続きが遊びたい!
「D4」は演出面が非常に凝っているのも魅力の1つだ。本作でプレイ可能なエピソードはプロローグからエピソード2までの3本だが、いずれもアニメのように最初にショートオープニングが入ってから冒頭シーンが入り、冒頭シーンをある程度進めたところでメインのオープニングが入る作りになっている。各エピソードのラストの引きも見事で、いずれも続きを早くプレイしたくなるうまい演出が施されている。
途中に入るカットシーンも、柔軟なカメラアングルで様々な方向からキャラクターを見せるなど、映像面の演出が最高にカッコいい。特に謎が解明される際のカットシーンでは、プレーヤーが理解しやすいように見せ方を工夫しているだけでなく、謎が次々と明確になっていく過程で、デイビッド自身も熱くなっていくのがこちらにも伝わってくる演出となっており、コントローラを握る手までもが汗ばんでしまった。
本作のボリュームは、正直あまり大きくない。クリアだけが目的なら各エピソードとも1時間弱、計3時間もあれば最後まで来ることができるだろう。だが、何度もプレイできるように、物語の本筋とは別に用意されたコレクション要素も多いし、サブイベントとして「エクストラケース」という本筋とはあまり関係のないエピソードや、クイズなどの遊びの要素も多い。
他にも各キャラクターのコスチュームは、単にコレクションするだけでなく、着替えさせることで、本編プレイ中も着替えた格好のままでプレイに参加するなど、1度クリアしても再度プレイしたくなるような工夫は随所に盛り込まれている。
なお、本作は正式名称は「D4: Dark Dreams Don't Die -Season One-」であり、あくまでシーズン1に過ぎず、現段階ではまだストーリーは完結していない。それどころか本作のラストでは「To Be Continue“D”」と、かなり重要なシーンの途中で物語がストップしてしまう。例えるなら漫画のコミックスの1巻を読み終えたような感覚で、早く2巻ならぬ「Season Two」以降をプレイしたくなっている。
かなり綿密に作りこまれた作品なので、製作に時間がかかるのはわかるが、これで終わりにせず、是非全てのエピソードを書き上げ、物語が完結するまで作り続けてほしい。