「電遊道」~Way of the Gamer~ ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ

ジョン・カミナリの楽しいゲームライフ【第27幕】

BORN TO BE GAMER~日本のゲームをこよなく愛するイタリア人ゲーマーを紹介!~

東京から10,000キロ離れたイタリアには、思ってもみなかった和ゲー好きなイタリア人が存在していた!毎回、彼らの自宅に訪問し、宝物を見せてもらいます!そして、インタビューでゲーマーとしての人物像を掘り下げます。ゲームの持つ本来の魅力を再発見しましょう!

【今回のゲーマー】
名前:エマヌエーレ
年齢:37歳
職業:会社員
好きなジャンル:RPG

 今回は、20年前僕にRPGというジャンルを教えてくれた最も大切なゲーム友達、エマヌエーレの自宅にお邪魔した。これまで、「イタヲタのレトロなゲームライフ」にレギュラーキャラクターとして出てきたエマちゃんの「スクウェア・エニックス RPGコレクション」を見せてもらった。

 彼の部屋のあらゆる本棚や箪笥の中には、過去の名作が大切に保管されている。コレクターよりも、本当に好きなRPGだけを購入し、それらの最後の秘密を見つけるまでやり込むような正真正銘のゲーマーなのだ。一緒に、エマちゃんの部屋の宝物を覗こうではないか!

スクウェア(現スクウェア・エニックス)が最初に制作したファミコン用ゲームソフト「Rad Racer」
「ファイナルファンタジー」のスピンオフ作品であるスーパーファミコン用「Mystic Quest」
「Bahamut Lagoon」や「Chrono Trigger」など、スーパーファミコン用の多くの名作RPGも持っている
スーパーファミコン用の「ファイナルファンタジー」作品。日本版とナンバリングが違っており、「FFIII」はアメリカ版の「FFVI」だった
「FFVII」、「FFVIII」、「FFIX」。プレイステーション用の作品も必要不可欠
「Final Fantasy Tactics」、「Chrono Cross」、そして「Xenogears」。スクウェア・エニックスの歴史を感じさせる名作ばかりだ
PS用の宝物が続く。「Vagrant Story」、「Brave Fencer 武蔵伝」、「Parasite EVE」
「チョコボの不思議なダンジョン」シリーズも遊び尽くしたという
オンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI」。Expansion Packも全て持っている
【こだわりポイント】
これこそが日本のゲームを愛している証拠なのだ!
エマちゃんの宝物の1つ。日本で購入した「FFXI」のOriginal Soundtrack Limited Edition(限定版)。「ファイナルファンタジー」の名曲を毎日聴いている
PS用「ファイナルファンタジーI・II Premium Package」。エマちゃんにとっては1番貴重な宝物だという
ファミコン用「ファイナルファンタジーIII」。日本版を持っているというのも、このシリーズを愛している証拠なのだ
エマちゃんの家では、時間も「ファイナルファンタジー」で進行していくのだ

ゲーム愛を計る為のインタビュー開始!

Q. テレビゲームとのファーストコンタクトはいつでしたか?

 僕のファーストコンタクトは友達の家で遊んだ「Pong」でした。それは“一目惚れ”でした! しばらくして、最初の家庭用ゲーム機「Intellivision」を買いました。そのゲーム機で僕のゲーマー人生で最初のRPG「Advanced Dungeons & Dragons」で遊びました。その日からRPGというジャンルが僕のDNAの中に入り込み、RPGと呼べるゲームを探し始めました。

 ある日、有意義な進展がありました。僕がアメリカのマイアミに住む女性の友達に家に遊びに行っていた時の話です。彼女は遊んでいたゲームボーイ用「Final Fantasy Legend II」を僕に見せてくれました。RPGの新たな解釈に一瞬にして魅了されました。

 その後、買ったばかりのSuper Nes(アメリカ版のスーパーファミコン)用の同じようなRPGを見つける為にマイアミ中のゲームショップを訪ねていきました。すると、沢山のゲーム箱の中から、魔法の箱が現われました。それは「Final Fantasy IV」でした。

 すぐ箱の裏の写真を見ましたが、グラフィックスはそんなに美麗じゃないなと思いました。それでも、僕の中の何かが買わせました。あの日から、日本のRPGが僕のゲーマー人生に力強く入ってきました。

マイアミの友達の家で遊んだ「Final Fantasy Legend II」が、情熱のきっかけになった。
アメリカ版の「ファイナルファンタジーIV」。ナンバリングが日本と違い「Final Fantasy II」と名付けられた

Q. あなたのゲーマー人生の中で最も独特なエピソードを教えてください?

 スーパーファミコン用「Bahamut Lagoon」を買った時の話です。友達と一緒にローマの郊外にあった眼鏡屋さんに行きました。ゲームと眼鏡屋さんって関係ないでしょうと、皆さん思っているでしょう。

 しかし、その独特な眼鏡屋さんのショーウインドーの中には、眼鏡の側に、多くの日本のRPGが展示されていました。初めて、その店を発見した時、本当にびっくりしました!

 RPGの中にスクウェア(現スクウェア・エニックス)の新作もありました。それは「Bahamut Lagoon」でした。財布の中の所持金を使って、即刻購入しました。ずっと忘れられないような、感動的なサプライズでしたね!

Q. あなたにとって最も大切なゲームはどれですか?

 1つだけじゃないですね。どうしても1つ選択しなければならないなら「Final Fantasy VI」でしょう。シリーズの中で最も時間をかけて遊び尽くした作品です。あのRPGを通じて日本人スタッフのすごさを実感しました。完璧という言葉はこの作品を形容する為に作られたのではないでしょうか?

 ゲームを完全クリアしても数カ月後にまた遊んで、他の秘密や宝箱を発見するほどのやり込み要素の豊富な作品でした。「Chrono Trigger」、「Dungeon Master」、そして「Ultima 7」と同様に、僕のゲーマー人生の最も貴重な体験でした!

Q. 日本のゲームは、欧米のゲームに対してどういう付加価値を持っていると思いますか?

 日本のゲームは欧米のゲームと比べると、一見無意味に思えるような部分にも気を配って作られていると思います。ゲームという体験を豊かに、深くしているのは、そういった細かい部分だと確信しています。

 あと日本のRPGは、1つの壮大なストーリーを語るという要素にも焦点を当てていると思っています。確かにストーリー重視になると、自由度が低くなりますね。自由度に関しては、欧米のRPGのほうが高いと思います。

 しかし、自由度は限界があると言えるでしょう。日本のRPGは自由さを制限することによって、より一層ゲーマーを世界観やストーリーへと誘い、そのおかげで感情移入や臨場感が深まります。日本のRPGも欧米のRPGも短所と長所を持っていますが、お互い共存できると思いますね。

Q. 日本のメーカーにどんなゲームの続編・リメイクを作って欲しいですか?

 紛れもなく「Chrono」シリーズの続編ですね。僕の願望ですが、「Chrono Trigger」や「Chrono Cross」の当時の作品に携わったチームで制作して欲しいと願っています。しかし、現状を考えると、それを実現させることはとても難しいと思いますが……。

Q. 現在のゲームは過去のゲームに比べて何を失ったと思いますか?

 少し“魂”を失ったと思います。昔は開発者達の愛情や情熱が、ゲーマーを夢中にさせるような面白いストーリーや場面、奥深いゲーム性といった要素に注ぎ込まれていたのですが、昨今の開発者達はグラフィックスや技術という分野において秀でることだけを競っているように思えますね。

 それは、現実世界を再現させるようなリアルなグラフィックスを求めるゲーマーの好みや要望を反映させているだけかもしれません。そのせいで、ゲーム制作というプロセスにおいてストーリーやゲーム性よりも、グラフィックスや技術のほうが大切にされるわけですね。

 昨今のゲーム作りというのは技術を極めるという意味になったような気がします。それは、ゲーム性とは無関係な要素で、むしろゲームの面白さを減らしていると思います。

Q. 本当に良いRPGはどういう特徴を持つべきだと思いますか?

 まず良いRPGの前提は、複雑すぎず、シンプルすぎず、バランスの良いストーリーを持つことだと思います。ストーリーというのはユーザーの心や感覚に強く働きかけるように、巧妙に語られていくべきです。物語のキャラクター達は魅力的で、印象に残るようなキャラクターであるべきですね。

 あと、物語が進行すると同時に、ゲーム性も進化し、探索範囲も拡大し、冒険が奥深くなっていくこともとても大切な要素だと思います。感情移入を高め、プレーヤーを空想的な世界の中により一層入り込ませる為には、各場面に合った曲を用意するというのも大事です。

 これらの重要な要素が、他のゲームと一線を画す「ファイナルファンタジー」というシリーズを形作っていったと思います。しかし、昨今の作品では、過去の何かが失われてきたような気もします。とはいえ、これから、相応の努力と情熱を注いでいけば、過去のあの栄光を取り戻せるのではないかと思っています。

Q. 最新の「ファイナルファンタジー」は過去の作品と比べて、何を得たのか、そして何を失ったのか聞かせてくれますか?

 最新の作品では、舞台になっている世界が緻密に描かれていて、景色が醸し出す雰囲気や高度なグラフィックスがもたらすリアリティーというのは素晴らしいと思います。世界は過去の作品に比べて、もっと具体的になりました。あと、昨今の作品では、開発チームが何か新しいものを作ろうと、様々な可能性を試していることはありがたいですが、完全に成功した例は少なかったと思います。

 過去の作品では、ストーリーはシンプルな演出やシーンで語られていたのですが、それでも、プレーヤーを感動させるような力強さを持っていたと思いますね。つまり、過去のあの素朴さが昨今の作品では失われたと思います。若い世代に合ったコンテンツを提供する為に、構造やルールを新しくする必要があることはわからないでもないのですが、その道が最善の道だとは限らないですね。

Q. オンライン化がシリーズに何をもたらしたと思いますか?「FFXIV」の新バージョンの改良点は何だと思いますか?

 皆さんがよく知っているように、シリーズの初オンライン化が「ファイナルファンタジーXI」で実現しました。それまで、MMORPGというジャンルではストーリー要素が極めて薄かったのですが、「ファイナルファンタジーXI」は初めてストーリーを語るシネマティックシーンを積極的に取り入れました。

 だからこそ、「FFXIV」が初公開された時から、ユーザー達は「FFXI」を超えるようなクオリティの高い作品を待ち望んでいました。期待度は非常に高かったわけですね。しかし、みんなが満足するような作品にはならなかったと思います。

 ある日、別のディレクターが「FFXIV」に携わることになり、根本的に変えたいというニュースを読みました。多くのユーザーにとって当時無名だったと言える吉田直樹氏。2年で、彼は完全に沈没していた“船”を再建することに成功したと思います。

 吉田氏は、プレーヤー達と頻繁に、かつ親密に会話を交わしています。すごいことだと思います。僕も「FFXIV 新生エオルゼア」のアルファ版で遊んでいた時、街のメイン広場で吉田氏と直接会話ができました。とても嬉しかったことを覚えています。彼は、プレーヤー達の応援メッセージやゲームに関した質問などにフレンドリーに答えています。それは、これまで見たことのないことで、でもそれはたぶんユーザー達がずっと待ち望んでいたことだと思います。

 ゼロから作り直されたといえる「FFXIV」の新バージョンは、すごいインパクトを持っています。再構築された世界は臨場感に関しても雰囲気に関しても、とても優れていると思いました。これからもユーザーの感想や要望を反映させる改良が施されていけば、最高のMMORPGになるだろうと思います。吉田氏は本当にすごいディレクターであることを証明したと思います。

Q. これからの「ファイナルファンタジー」作品に何を期待していますか?

 原点回帰と進化。今の言葉は矛盾しているかもしれませんが、過去のエピソードに魂を吹き込んでいた伝統的な要素を大切にしつつ、新しい要素を取り入れていくことが重要だと思います。さらに、欧米のRPGを特徴づける“世界を探検する自由度”という要素も強化していけば、最高だろうと思いますね。

Q. 最後にあなたの最もリスペクトする日本のゲームクリエーターへのメッセージをお願いします!

 僕のリスペクトするゲームクリエーターは坂口博信氏です。坂口氏が、これからも新しいRPGを制作することを視野に入れていることを願っています。「ラストストーリー」も遊んだし、RPGではないけれども、iPhone用の「Party Wave」でも遊んでいます。

 新しい試みはとても面白いと思いますが、やはり坂口氏が秀でているのはRPGを通じて秀逸なストーリーを語ることです。できるだけ早く、坂口氏の新しいストーリーを体験したいですね! 次のプロジェクトは、過去のようにもう1度、天野喜孝氏と植松信夫氏と一緒に実現して欲しいです。宜しくお願いします!

エマヌエーレさん、今日は本当にありがとうございました!これからも日本の大好きなRPGで遊び続けてね!!