ゼロから始める「League of Legends」

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第5回:ジャングラーの基本。スティールやカウンターを学ぶ

 第2回からレーン別の紹介を行なってきたが第5回はその締めくくりとなるジャングル編となる。レーン外で活動するロール「ジャングル」(ジャングラー)についての解説はじめ、簡単な用語解説も含めつつ、よりゲームプレイに踏み込んだ内容について説明していく。

 各回では実際にチャンピオンを運用した例も盛り込むほか、そのレーンに向いたチャンピオンも紹介する予定。チャンピオンには性能的に向いたレーンがあるので、一例として参考にしていただけたら幸いだ。

 なお、内容としては基礎レベルとなる。アップデートやメタ(現実世界における流行)で常に最適解が変遷するアイテムビルドや、特定のチャンピオンの運用には深く言及しない。特に言及がない場合は「サモナーズリフト」を前提として話を進める。

ジャングルの特徴と役割

 ジャングルとは、マップのうち、タワーが並ぶ各レーンの外にある領域のことを指す。レーンとジャングルの最も大きな違いは、ワードやスキルなどで能動的に視界を取らないと、一切視界が取れないことだ。

 トップ、ミッド、ボットのレーンは無限にポップするミニオンの通り道なので、進軍し続ける味方のミニオンとタワーが視界を確保してくれる。一方、ジャングルにはタワーもなく、味方のミニオンは踏み込まないため、自然に発生する視界はない。また、ブッシュ(草むら)も多く配置されていることから、ワードを置いても広範囲を見渡すことはできない。

 ジャングル内には、両チームのどちらにも属さない「中立モンスター」と呼ばれる数種類のモブが存在しており、それぞれ固定の位置にポップする。序盤におけるジャングラーのファーム対象はこれら中立モンスターとなる。

ゲーム開始直後のジャングラーは大型の中立モンスターに苦戦するため、レーンのチャンピオンに協力してもらうことがある。これによって、ジャングラーはチームで最も早くLV2になれることから、LV2になってすぐギャンクをする「アーリーギャンク」という戦術もある

 ジャングラーの役割は、ひとことで言えば「試合展開のコントロール」だ。具体的には、各レーンへのギャンクによって味方チャンピオンのレーニングを手助けし、序盤以降のゲーム展開をチームの有利に運ぶことが求められる。

 また、特に序盤はレーンのミニオンを意識する必要があまりないので、メイン画面よりも画面右下のミニマップを見る時間が長いことから、数秒前までレーンにいた敵チャンピオンが突然消えたり、敵のジャングラーがレーンギャンク可能圏内に近づいた際に気付きやすいため、注意を喚起するアラートをいち早く出せる。もちろん、敵の動きを察知するには各レーンでブッシュなどにワードを設置し、視界を確保していることが前提となる。

他レーンへのギャンクやリコールによって不在になったレーンをカバーするのも、しばしばジャングラーの役目になる
【「LoL」ジャングル編 トップレーンにアーリーギャンクを仕掛ける】
LV2になったジャングラー(フィドル)が、LV1同士で対面しているトップレーンにアーリーギャンクをしかけたところ

 ジャングラーの難しいところは、自身のファームと、レーンへのギャンクを両立させる必要があることだ。ジャングラーがレーンをギャンクをするのはチームが有利になるための必要条件だが、ジャングラー自身がある程度強くなければギャンクを成功させるのに十分ではない。レーンに介入するタイミングもあるし、悪くすれば返り討ちに遭ってしまい、「ギャンクしないほうがよかった」という状況にもなりかねない。単にファームをして育つだけでは済まない役割なので、ジャングラーだけはゲーム自体にある程度慣れてから挑戦したいロールといえる。

 ファーム対象となる中立モンスターは強いので、サモナーレベルが低いうちは使えるルーンやマスタリーが出揃っていないことから、ジャングル向けとされるチャンピオンでも、ファームは簡単ではない。使用するチャンピオンにもよるが、ジャングルに挑戦するのはサモナーレベルが20前後になったあたりを目安にすると失敗しにくいだろう。チームメンバーが誰もジャングルに行かない場合は、トップをデュオレーン(1つのレーンを2人で回す)にするのが一般的だ。

【「LoL」ジャングル編 カウンターギャンクを決める】
あらかじめギャンクのきそうな場所で待ち伏せをして、敵のギャンクのタイミングで不意を突く「カウンターギャンク」。この動画ではギャンクを仕掛けようとしていたところへ敵のギャンクが来たので反撃し、結果として2:1の戦果になった

中立モンスターとバフ

 中立モンスターは、ジャングルの固定ポジションにポップするモブであり、序盤から中盤にかけてジャングラーの成長リソースとなる。基本的にはこちらからダメージを与えない限り攻撃をしてこない非アクティブモンスターだが、レーンのミニオンと比べて攻撃力と耐久力が高い。自陣側と敵陣側で同じ中立モンスターが点対称に配置されている。

 それぞれの中立モンスターを倒すと短時間持続するいくつかのエフェクトが得られるが、ここでは最序盤のジャングラーにとって重要なオブジェクトとなるブルーセンチネル(Blue Sentinel、通称:青バフ)とレッドブランブルバック(Red Brambleback、通称:赤バフ)を紹介する。

マナ(気)の自然回復量とスキルのクールダウン解消速度が向上するブルーセンチネル

 ブルーセンチネルの青バフは、マナおよび気の回復量を増加するほか、スキルのクールダウン(使用間隔)を短縮する効果を持つ。マナを消費してスキルを使うチャンピオンの場合は、ジャングルを回るうちにマナが枯渇する恐れがあるので、青バフを優先して取得する場合が多い。

通常攻撃にスロウと追加ダメージを付与するレッドブランブルバック

 レッドブランブルバックの赤バフは、HPの自動回復量を増加するほか、通常攻撃にスローと短時間の持続ダメージを付与する。物理攻撃をダメージソースとするチャンピオンや、ギャンクの前に取っておくと、ギャンクが成功する可能性が上がる。

両方のバフを保持している状態

 青バフと赤バフは5分毎にポップするので、ちょうどジャングラーが自陣側の中立モンスターを狩り尽くして、何度かギャンクを試みた後のタイミングに再度ポップする。このタイミングで再度ジャングラーが狩り直すこともできるが、レーンのチャンピオンにバフを譲ることで、レーニングを有利に進められるよう支援することもできる。どちらが良いかは状況に応じて判断しよう。

【「LoL」ジャングル編 赤バフをADCに譲る】
赤バフをADC(マークスマン)に譲っているところ
敵のワードやステルス状態を看破する「クリムゾン・ラプター」のバフ。ステルス看破によってワードを除去することを「デワード」という。
ステルス看破の手段として手軽に購入できる「ビジョンワード」
ジャングル内に侵入した敵のところに移動して視界を得る「グレート・マークウルフ」のスピリット。

スマイトとジャングル用アイテム

 さて、ジャングルでファーミングをする上でほぼ必須のサモナースペルが「スマイト」である。中立モンスターやミニオンに固定ダメージを与えるスペルであり、チャンピオンレベルに応じてダメージ量が上がっていく。一度にまとまったダメージを与えられるため、硬いモンスターにとどめを刺すときなどに有用だ。

サモナースペル「スマイト」。使い方次第でチームが大きく有利になる

 スマイトを運用するうえで重要なのは、確実に固定ダメージを与えられる点。ドラゴンやバロンといった中立モンスターのオブジェクトは高いHPを持っているので、特に序盤は短時間で狩ることが難しい。そのため時間をかけて削っていくわけだが、オブジェクトのHPがスマイトのダメージ量を下回る瞬間を狙って敵のジャングラーが飛び込んでくることがある。これを「スティール」と呼ぶ。

 中立モンスターのバフは倒した者(もしくはチーム)に付与されるので、先に手をつけていようが問答無用で取った方についてしまうため、スマイトは中立モンスターのとどめを刺すのに使うまで温存しておくことをおすすめしたい。

 また、ジャングラー向けのアイテムとして、ジャングル内および中立モンスターにだけ効果を発揮するアイテムが用意されている。試合開始時に買えるアイテムとしては「ハンターマチェット」および「ハンタータリスマン」が選択できる。それぞれ中立モンスターを攻撃した際のダメージや、倒した際の経験値にボーナスが得られるので、ジャングルでのファームの負担が大きく軽減できる。

 なお、両者を組み合わせて、上位アイテムの「ストーカーナイフ」、「トラッカーブレード」、「スカーミッシュセイバー」に派生させることも可能だ。このうちストーカーナイフとスカーミッシュセイバーに進化させると、チャンピオンにスマイトをかけられるようになり、追加効果が得られる。チャンピオンの性質や目的に合ったものを選ぼう。

【「LoL」ジャングル編 スティール】
ドラゴンの討伐を始めて集団戦が発生したところ。相手が焦って早めにスマイトを撃ったので、すかさずこちらのスマイトを繰り出してドラゴンバフを奪っている

カウンタージャングルとインヴェイド

 さて、中立モンスターは先述の通り、ジャングラーのファーム対象だ。それは裏を返せば、ファームを妨害することで敵ジャングラーの成長を阻害できるということでもある。中立モンスターは一度倒すと時間が経過するまで再度ポップしないため、もし敵に自陣側の中立モンスターを倒されてしまうと、その分成長が遅れることになる。それを狙って、早い段階から敵陣側のジャングルに踏み込んで先に中立モンスターを倒してしまうことを「カウンタージャングル」という。

カウンタージャングルでは、大型モンスターのみ狩って、取り巻きだけを残しておくという手法がある。「中立モンスターを倒した」と判定されるのは大型モンスターを取り巻きのモンスターを両方倒したときなので、取り巻きだけを残しておくと、中立モンスターを倒した判定にならず、再ポップにより時間がかかるためだ

 カウンタージャングルの利点は、敵のジャングラーの成長を阻害するとともに、自陣側の中立モンスターもファームに加算できることから、ジャングラーの成長を促進できることだ。敵ジャングラーの成長が遅れれば、敵がギャンクをするリスクが増えるので、各レーンがジャングラーによるギャンクを受ける可能性が減るのである。

 一方で、敵陣側に踏み込むことで、見つかった際に袋叩きに遭うリスクもある。敵陣側の中立モンスターを狩っている途中に敵のジャングラーと鉢合わせたら、何があっても逃げきれる自信がない限りは、さっさと逃げた方がいいだろう。

 また、カウンタージャングルに執心するあまり、レーンへのギャンク頻度が減ることも避けたい。レーンへのギャンクは、チャンピオンのキルが狙えることのほか、成功時にはタワーへの攻撃ができることも多いので、結局はギャンクを成功させることがチームに最も貢献することになるのである。

ジャングルチャンピオンの一例

 ジャングル向きのチャンピオンは、強力なCC(クラウドコントロール:妨害行動)やブリンク(瞬間移動)、ステルス(透明化)などギャンク時に効果的なスキルを持っていることが多い。また高火力であり、集団戦でミッドのメイジやADCが狙われると瞬く間に溶かされることも多い。その分、動きやスキルに癖があり、慣れないと効果的に立ち回ることが難しい。練習しがいのあるチャンピオン達である。

ウディア

虎、亀、熊、不死鳥の4スタンスを使い分けて戦うコスプレおじさん。ウルトが存在せず、各スタンスに対応した特殊効果を纏う。攻撃速度アップにシールド、通常攻撃へのスタン付与、範囲魔法ダメージなど凶悪なエフェクトが揃っており、追跡性能に優れ、しぶとく生き残るため、相手にいると非常に厄介。

シャコ

ステルス+ブリンクという、ギャンクにも逃走にも使える高性能スキルを持ち、見た目には見分けのつかない分身まで駆使する狂気の殺人ピエロ。分身によって集団戦が6対5になることも。本体と分身を見分ける方法もあり、能力値の低い方が偽物である。

フィドル

正体不明の殺人カカシ。自分を中心に広範囲の魔法ダメージエリアを発生させるウルトは強力。スキルを封じるサイレンスや、相手をあさっての方向にゆっくりと移動させるフィアーなど、捕まえた敵を逃がさない高いギャンク性能を誇るが、集中攻撃されると脆い。

ヴァイ

「真っすぐいってぶっとばす」「メッタ打ち」など直球な名前のスキルを持つ突撃ジャングラー。ウルトは発動されたらほぼ必中で、追撃性能も高い。

リー・シン

盲目のモンク。方向指定スキルの音波に当たった敵の場所へブリンクして割合ダメージやスロウを与えるほか、ウルトによる直線上の範囲CCも完備。味方へのシールド付与も備え、攻守ともに優れた活躍を見せる。方向指定スキルの当て方や自身の位置取りにも気をつける必要があるため、立ち回りが難しい。

マスター・イー

自己バフ、自己回復、スロウ無効を伴う移動速度アップなどを備えたジェダイの騎士。一定時間ターゲット不能になる範囲攻撃スキル「アルファストライク」は通常攻撃ごとにクールダウンを短縮するため、成長させてしまうと止められなくなる。強くなる前に袋叩きにしよう。

ワーウィック

ジャングラー随一のギャンク性能を誇る恐怖の狼男。移動速度アップとウルトによる捕獲能力は、味方チャンピオンのスキルと相乗効果を発揮しやすい。通常攻撃に自己回復を乗せるスキルも持っており、少し体力を減らしたくらいではすぐに回復されてしまう。立ち回りはシンプルながら、非常に強力なチャンピオンだ。

 第2回から今回まで続いた各レーン解説も、第5回で一区切りとなる。次回からは、脱初級、中級に向けて実際にゲームを楽しむためのコツを紹介していきたい。

(関根慎一)