【連載第66回】韓国最新オンラインゲームレポート

韓国Nexon、「マビノギ英雄伝」記者懇談会を開催
いよいよOBTスタート! 錬金術を操る新クラス「Evy」が初公開


12月4日開催

会場:Nexon広報館


 韓国Nexonは12月4日、ソウル市内に位置するAPEX地下1階「Nexon広報館」において、「『マビノギ英雄伝』記者懇談会」を開催し、現在開発中のオンラインアクションゲーム「マビノギ英雄伝」の最新情報と韓国におけるβテストスケジュールを発表した。

 「マビノギ英雄伝」は、MMORPG「マビノギ」の世界観をモチーフにしたアクションRPG。MMO空間の街と、インスタンス方式のMO空間のダンジョンで構成され、様々なチャレンジが待ち受けるダンジョンを踏破していくアクション性の高いダンジョンRPGとなっている。

 米Valveのゲームエンジン「Source Engine」を採用し、重厚なアクション性と多彩なキャラクターインタラクションが特徴だ。12月16日からPCバン向けのオープンβテストが行なわれる予定で、ビジネスモデルは未定となっている。

 本発表会では新クラス「Evy」やレイド戦、PvP戦といった新しい要素が盛り沢山公開された。本作は既に第1次クローズドβテスト(以下、CBT)から第3次CBTまで実施されて、本連載でもその様子を取り上げているが、今回また進化したゲーム性を見る事ができた。早速ご紹介していこう


【「マビノギ英雄伝」のプロモーション映像】


■ 注目のアクションRPGが、12月16日からPCバン向けにオープン!!

今回のコンテンツの説明を行ったNexon Devcat Studio室長兼「マビノギ英雄伝」ディレクター イ・ウンソック氏

 「マビノギ英雄伝」はMMORPG「マビノギ」の世界観をモチーフにしたオンラインアクションRPG。世界観は「マビノギ」と同一ながら、時代と舞台が異なる。少しややこしいが「マビノギ」との関連性について紹介すると、「マビノギ」の世界“エリン”は、伝説上の存在で、天国のような世界だと考えられている。「マビノギ英雄伝」は、そのエリンを目指す人々の物語が描かれるという。こうしたことから、2つの作品を繋ぐ人物は登場しないが、登場キャラクターやモンスターのデザインなどで「マビノギ」との共通性を感じさせる仕掛けが施される予定となっている。

 街ではクエストを貰ったり、パーティーを組んだり、アイテムの取引といった交流を行なうことができる。インスタンス方式のダンジョンは一本道となっており、途中に出現するモンスターを狩ることでキャラクターを成長させることができる。プレーヤーは街の傭兵団の一員として、様々な問題を解決するために、ダンジョンへ旅立つ設定だ。個々のクエストには、ストーリーが盛り込まれており、オンラインゲームというより、パッケージゲームのプレイ感に近い作品だ。

 ゲームの操作はキーボードあるいはゲームパッドで行ない、コンボ攻撃と回避アクションを軸にバトルが組み立てられる。モンスターの攻撃パターンを読みながら、隙をみて攻撃するというリアルタイム性を重視したバトルシステムは、「マビノギ」を感じさせる。ただ、実際にはカプコンの「モンスターハンター」を彷彿とさせる激しいアクションが繰り広げられる。「Sorce Engine」の特色である物理エンジンを活かし、周りのオブジェクトを投げたり、武器として使うこともできるなど、とにかくアクション要素の強いオンラインRPGだ。

 「マビノギ英雄伝」は3月に第1次CBTをはじめ、5月に第2次CBT、7月に第3次CBTが行なわれた。テストそのものは順調に進み、夏にはオープンβテストの開始が予想されていたが、開発の遅れにより順延され、OBTは行なわれないまま、今回の発表会に至っている。

 発表会では「マビノギ英雄伝」の最新プレイ映像が公開された。これまでにCBTでプレイした印象では、キャラクターの動きがもっさりしており、コンボも繋がりにくく、プレイ速度がかなり遅い感じだったが、最新プレイ映像を見る限りでは、重厚な動きはそのままに、スムーズな動きになっていて、スピーディなバトル展開が確認できた。

 そのほか、本発表会では今後のサービススケジュールと、新要素について発表された。まず、12月16日からPCバン限定のオープンβテスト「プレミアオープン」を実施する。エピソード1から3までのストーリーを実装し、韓国NexonのPCバンサービスに加入したPCバンであれば誰でも参加できるテストだ。

 「プレミアオープン」を1カ月ほど実施した後、2010年1月中旬からはオープンβテスト「グランドオープン」がスタートする。「グランドオープン」では、エピソード4から6まで実装する予定。エピソード4から6の分量はエピソード1から3までの2.5倍だという。正式サービスの日程やビジネスモデルについては明らかにされなかったが、そう遠い話ではないように感じられた。それでは、さっそく今回の発表会で明かされた本作の新要素について紹介していこう。


12月16日にPCバン限定のオープンβテストを開始し、1月中旬からは完全なオープンテストに移行する



■ 「Source Engine」を活かし、重力を操ることができる錬金術使いクラス「Evy」

 「マビノギ英雄伝」ですでに発表されているクラスは「Lethita」と「Fiona」がある。「Lethita」は双剣を持ち、素早い攻撃と回避能力を備えたクラスで、「Fiona」は剣とシールドを持ち、剣で攻撃を行ないながら、シールドで敵の攻撃を防御することができるクラスだ。今回の発表会では、3つ目となる新しいクラス「Evy」について公開された。

 「Evy」は錬金術が扱えるクラスだ。錬金術で物を作り出したり、「ゴーレム」を生成したり、カボチャを素材にして味方を回復したりすることができる。「マビノギ英雄伝」のディレクター イ・ウンソック氏は「『Evy』はアクションゲーム初心者のために作られたクラスで、オーソドックスなMMORPGのような操作感です」と説明した。

 「Evy」のスキルについては、映像を通じて紹介された。まず、最初に登場するスキルは「マナピストル」だ。地面にピストルの機械を設置して、近くの敵を攻撃するものである。そして、目標の敵に火炎の直射攻撃を行なう「ファイヤーボルト」や、周りの敵やオブジェクトを空中に浮かばせて地面に叩き落す「重力逆転」の魔法も紹介された。

 注目したいスキルは「ゴーレム」の生成魔法だ。周りのオブジェクトをくっ付けて、ゴーレムの形にした生命体を生成できる。ゴーレムの生成は「Evy」が扱える究極魔法で、「マビノギ」のペットのように、ペット専用のコマンドで操作したり、チャットでコマンドを直接命令することもできるという。

 その他、カボチャなどのオブジェクトを利用して味方のHPを回復させたり、自分のHPを使って、死んだ味方を復活させることもできる。魔法攻撃、召喚物、ヒルなど、幅広い能力を持つクラスで、パーティープレイでは、必ず入れておきたいクラスになるだろう。「Evy」は「プレミアオープン」の後半に実装される予定だという。

 本発表会では「Evy」以外にも、「Kay」や「Kalok」という新クラスも静止画のみながら公開された。「Kay」は弓を使うアーチャークラスで、「Kalok」は重装備で大きな武器を使うクラスだ。この2つのクラスは、どういうアクションを見せてくれるのか楽しみである。


【新クラス「Evy」の紹介映像】

周りのオブジェクトを利用したゴーレムを生成するため、毎回、その形は変わるようだ
ゴーレムを動かしたり、味方に回復や復活魔法を掛けたりなど、「Evy」はパーティーのサポーター的な役割だ
まだ、その詳細が明らかになってない「Kay」(左)と「Kalok」(右)。どのようなクラスになるのか詳細発表が楽しみだ


■ 最大10人までプレイできるボスモンスターのレイド戦や様々なモードが盛り込まれたPvP戦を実装!!

平原、廃虚、次の街「ロチェスト」へ行く道、氷の峡谷といった新マップも登場する

 新クラスの他にも、オープンβテストの期間中に実装される要素について紹介が行なわれた。

 まず、ボスモンスターとのレイド戦だ。「マビノギ英雄伝」は基本的に4人までパーティーを組めるが、ボスモンスター戦では6人や10人といった大規模なパーティーで戦うことが可能だ。さらに、オープンβテスト以降には10人以上のレイド戦も入れていくという。

 レイド戦では、敵に巻き付けて動きを封じる“チェーンフック”のようなオブジェクトが利用可能となる。発表会では10人によるレイド戦のムービーが公開されたが、4~5人がチェーンフックでモンスターを縛り、他のメンバーがボスモンスターを攻撃するシーンや、不利なときにはゴーレムで時間稼ぎするシーンなどを確認することができた。

 PvP戦も用意されている。単なる殺し合い以外にも、CTF(Capture the Flag)といった別のモードも実装される予定だ。本発表会ではPvP戦を開発するにあたって、試しで作ってみたというムービーが公開された。遠くから槍を投げて相手に命中させるスポーツみたいなモードだった。「Half-Life2」の様々なMODが登場したように、本作において、バリエーション豊かなモードが期待できそうに見えた。

 「マビノギ」で、回復効果やエンチャント焼却時に成功率ボーナス追加といった効果がある「キャンプファイア」や、フレンドに登録されているプレーヤーをインスタンスダンジョンの途中で呼ぶことができる「アシスト」、他のチャンネルの人をシャドー(影)で表現して、チャンネル移動無しにパーティーが組める「シャドーチャンネル」といったコミュニティー機能も紹介された。「マビノギ」がコミュニティー機能の優秀さで成功したように、「マビノギ英雄伝」もユーザーコミュニティーの面に力を入れていた。

 本発表会を通じては、「Source Engine」をさらに活かした新クラス「Evy」や、巨大ボスモンスターとの戦いで、さらに進化した「マビノギ英雄伝」を確認できた。今回発表された機能は12月16日に実施されるPCバン向けオープンから次々と入れていくという。

 気になるエピソードに関しては、年間8エピソードずつアップデートする予定だという。ストーリーに合わせて、別々のダンジョンが用意された分、ユーザーのコンテンツ消費スピードに開発側が追いつくかは、実際にオープンしてからだが、開発側は「ユーザーの反応が良ければ、アップデートの速度はもっと速まります」という。丁寧に作られた本作なだけに今後の展開に期待したい。

レイド戦ではチェーンフックでボスモンスターを縛ることが可能。プレーヤーたちのチームプレイが重要だ

PvPは単なる殺し合いではなく、団体戦で楽しめる様々なモードを入れる予定だという。まず、公開されるのはCTF(Capture the Flag)ルールの壷奪い合いゲーム。また、発表会では槍を投げて、目標に命中させるゲームモードも披露された
「マビノギ」でも登場した「キャンプファイア」機能や、フレンドをダンジョンに招待する「アシスト」機能(中)、チャンネルの移動無しに他のチャンネルのプレーヤーとパーティーを組める「シャドーチャンネル」機能(右)など、コミュニティー面を強化していく

(c) 2009 NEXON Corporation. All Rights Reserved.

(2009年 12月 7日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]