【連載第67回】韓国最新オンラインゲームレポート

Ntreev、「馬と私の物語~アリシア~」第1次クローズドβテストレポート
「パンヤ」の開発元の次回作「Project Alice」がついに登場!! 愛馬と一緒に楽しむ新感覚レースゲーム


12月17日~23日第1次CBT実施



 「馬と私の物語~アリシア~(以下、『アリシア』)」は、2年前のG-Star 2007のNtreev記者発表会において、「Project Alice」というプロジェクトネームで発表されたタイトルだ。「スカッとゴルフ パンヤ」から、3年ぶりとなるNtreevの新規タイトルということもあり、大きく注目されていた。しかし、初公開からゲームの仕様が大きく変わることになり、当初2008年上半期に予定していた第1次クローズドβテストは、1年半遅れて実施されることになった。

 「アリシア」は騎馬同士が1位を競って走るオンラインレースゲームだ。「トリックスター」や「スカッとゴルフ パンヤ」のデベロッパーであるNtreevらしい柔らかい風味のグラフィックスで描かれた美しい自然のコースと、スライドやグライディングといった様々なスキルを使いながら繰り広げられる競馬レース、そして自分の馬を丁寧に世話できる馬の育成要素などがウリとなっている。

 正式サービス日程は未定で、ビジネスモデルは基本プレイ無料のアイテム課金。日本サービスに関しては、ゲームポットとの契約が12月1日を交わされ、日程は未定だがサービスされる予定だ。ゲームタイトルについては、現時点では韓国語の直訳を用いているため、実際の日本サービスではタイトルが変わる可能性があることをご了承いただきたい。本稿では2009年最後の韓国レポートとして、Ntreevが久しぶりに贈る本作のβテストの模様を紹介したい。


【「馬と私の物語~アリシア~」のプロモーション映像】


■ ロビーの代わりに自分専用のスペースでコミュニティーを楽しめる“牧場”システムに注目

マッチングやショップはすべてメニューを通じて行なうようになっている

 「アリシア」は古から伝わる歌に登場する勇者を目指し、少年、少女たちが、草原、峡谷を走って冒険をするという内容のゲームだ。といってもMMORPGではなく、プレーヤーは自分の馬に乗って、自然の中を走るレースに参加し、自分と馬を成長させていくという成長要素のあるレースゲーム。様々な馬のスキルと多様なギミックが盛り込まれたレースと、育てた馬とキャラクターのアバター性が醍醐味の作品になっている。

 基本的には「パンヤ」と同じロビー型のマッチングシステムを採用しているが、ロビーシステムが特殊だ。まず、ゲームを始めるとプレーヤーは馬に乗った状態で、牧場にいる。牧場は自分専用のプライベートスペースだ。基本的にはプレーヤーはこの牧場を拠点に生活し、各種メニューを通じて牧場の機能を利用したり、レースに参加したり、ショップを利用したりすることができる。

 第1次クローズドβテストでは、牧場の一部機能と、レースを楽しむことができた。牧場には「トマス爺」と「スタト」というNPCが2人おり、牧場では、練習用コースに置かれた風船を割るという練習クエストのみプレイできた。また、自分が所有する馬の世話を3つだけ試せるぐらいに実装されていた。レースはコースを周回する競い合いのゲームになっており、プレイの結果によってゲームマネーの報酬を貰い、ゲームマネーで、追加の馬や、キャラクターの服、馬のアクセサリーなどを購入できる。

 牧場はコミュニティー機能も兼ねている。牧場は自分専用のプライベートスペースになっているが、フレンド登録したプレーヤーの牧場へ行ったり、ランダムに他のプレーヤーの牧場へ行くことができる。現段階では実装されていないが、今後は牧場を拡張したり、プレーヤーは自分のキャラクターと馬のアバター以外にも、牧場も自慢できる要素となるようだ。「パンヤ」や「トリックスター」でも、キャラクターのアバター性が特徴であったが、本作はさらに、馬と牧場の要素も加わっているというわけだ。


ゲームキャラクターは公式サイト上で作成するところは珍しい。作成するとゲームのタイトル画面に自分のキャラクターと馬が登場する
牧場ではNPCが2人だけで、現時点ではプレーヤーたちとの交流と、練習クエストしか行なえず寂しいところ。今後、どのように拡張されていくか期待したいところだ



■ 車のレースゲームとは違う!様々なスキルで華麗な乗馬テクを使おう!

セッションのスタンバイ画面。各プレーヤーのキャラクターと馬の走る姿を見れるようになっている

 本作のメインとなるレースは、草原や緑豊かな森が広がる自然の中のコースで、騎馬によるレースとなる。牧場から“ゲームスタート”というメニューを選択すると、レースへ参戦できる。

 レースは最大8人でプレイでき、設定した数を周回するルールで行なわれる。プレイするには最低でも2人が必要で、NPCを相手としたレースはできない。難しいコースはまず練習したいところだが、第1次クローズドβテストでは未実装だった。

 レースモードは「スピード戦」と「魔法戦」という2つのモードが用意されている。スピード戦は走るだけの一般的なモードで、魔法戦はレース中に登場する魔法アイテムをゲットし、お互いを妨害し合う、いわゆるアイテム使用ありのレースだ。両方とも個人戦とチーム戦で楽しめる。

 ビジュアル的には色鮮やかな背景と、走るときの馬のモーションが非常に上手く表現されているところが印象に残る。馬の揺れを表現するため、画面がレース展開に合わせて揺れたり、馬のコーナリングに躍動感が感じられるモーションになっている。また、レースのところも基本的には走るだけだが、幾つかのスキルやギミックが盛り込まれて、車のレースゲームと異なる楽しさがある。

 まず、車のレースゲームと対象的な違いは“ジャンプ”スキルだ。コース上には至る所に倒木が置かれており、プレーヤーはそれらを障害物競走の感覚でジャンプして乗り越えていく必要がある。ジャンプできず、障害物にぶつけてしまうと、速度は急激に落ちることになる。ジャンプは2段ジャンプまででき、高所のルートを通ったり、アイテムをゲットするために利用される。また、ジャンプキーを押し続けると馬の背中にペガサスのように翼が広がり、遠方まで緩やかに滑り降りていくことができる。

 また、ジャンプするとブーストゲージが蓄積され、ブーストゲージを消費してブーストを使うことができる。レース中、こまめにジャンプしながら、いかにうまくブーストゲージを溜めていくのかが重要だった。

 一方、車のドリフトのように“スライディング”スキルや、スリップストリームのような“チェイシング”といったテクニックも用意されている。スライディングはコーナで急激に方向を変える能力で、スライディング中には、また別のゲージが表示され、ゲージが満たされたとき、前進キーを押しなおすと“ダッシュ”できる。「マリオカート」シリーズのミニターボに近い機能である。チェイシングは先方の馬の後ろに羽のアイコンが、しばらく登場するが、それをゲットすると加速できる。

 本作は、馬の走りが実に上手く表現されており、コースは切り立ったがけのような場所や、通常とは異なる“隠し道”が用意されているなど、バラエティ豊かである。ジャンプや、スライディングといった様々なスキルを駆使しながら、それらを駆け抜けていくレース展開はとても斬新だ。


ブーストゲージを上手く集めることが重要。そのためには、ジャンプが欠かせない
コースの中には羊や像といった動物が障害物として登場する。自然の中でレースを楽しむ感覚だ
“グライディング”や2段ジャンプを利用すると様々な場所で行くことができる。コースの選択も勝負に欠かせない要素だ
本作は当初、馬のスタミナを使用してスキルを使うシステムだったが、スキルは自由自在に使用できるようになった


■ 丁寧に馬を世話してあげよう! まだ物足りないが、今後が期待できる育成要素にも注目

馬によって等級の上限がある。まだ実装されてはないが、等級があがると特殊なスキルを持つという

 先ほど紹介した牧場では、所有する馬の育成や世話が可能だ。プレーヤーがレースを通じて経験値を獲得して、レベル2になると、それらの機能を使えるようになる。牧場では複数の馬を育成することが可能で、第1次クローズドβテストでは最大3頭の馬を所有できた。2頭目以降の馬はショップを通じて購入できる。

 馬はキャラクターとは別のレベルを持っており、レースを通じてレベルアップを図ることができる。レベルアップするとポイントが獲得でき、5種類のステータスから好みの能力を向上させることができる。

 その5つのステータスはダッシュやコーナリングのスピードに関わる“速さ”、下り坂でのスピードとブースト中のスライディング能力に関わる“勇気”、ブーストと上り坂のスピードに関わる“突破”、ブーストの持続時間と障害物にぶつかった時の衝撃に関わる“筋力”、チェイシング能力とスタート時のダッシュ能力に関わる“競争”だ。Ntreevによれば、今後、馬のレベルが一定以上に上がると、馬の“等級”がアップして特殊なスキルを覚えられるという。

 さらに、育成とは別に馬の世話ができる。たとえば、馬を掃除してあげると“清潔度”がアップし、馬の周辺が光ってビジュアル的に綺麗になる。また、餌を上げると“親密度”がアップし、馬の上でキャラクターが寝ころんだり、色んな行動ができるようになる。また、馬はレースをするとスタミナが少しずつ減るので、レースで稼いだゲームマネー“キャロット”を使って回復させてあげないと、その馬はレースに参加できないようになる。

 今のところ、馬を世話したからといって能力的に向上するわけではなく、そのインタラクションも限定的でバリエーションにも欠ける。しかしまだ第1次クローズドβテストなので、今後のアップデートを通じて、もっと様々なバリエーションが期待できると思う。

 本作はただのレースゲームに止まらず、牧場システムを利用したコミュニティー性と馬の育成要素が加わり、色んな楽しさを提供してくれるゲームだ。「パンヤ」でも、ゴルフのゲーム性だけではなく、豊富なコミュニティ性と、多様なアバター性が実装されているだけに、「アリシア」はより一層の生活感のあるカジュアルゲームになることを期待したい。

アバターの面でも「パンヤ」のように様々なものが追加されるだろう。馬のアクセサリーも販売していた
掃除して綺麗にしてあげたり、餌をあげて馬と親しくなることができる

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(2009年 12月 25日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]