【連載第71回】韓国最新オンラインゲームレポート

NCSoft、「AION PRESS MEETING 2010」を開催
「AION」のバージョン1.9「デヴァ総集結」、2.0「龍界進撃」の詳細を発表!!


3月3日開催

会場:NCSoft R&D Center


 韓国NCSoftは3月3日、本社内のNCSoft R&D Centerにおいて「AION PRESS MEETING 2010」を開催した。発表会では、同社の主力タイトルであるMMORPG「AION」の次期アップデート バージョン1.9「デヴァ総集結」とバージョン2.0「龍界進撃」の内容が明らかにされた。バージョン1.9と2.0は、韓国においてそれぞれ3月と5月の実装が予定されている。日本での実装時期は未定。

本発表会でプレゼンテーションを行なったNCSoft 「AION」システムデザインチーム長キム・ジリャン氏

 1.9と2.0の詳細に入る前に、現在の状況を簡単に整理しよう。現在の韓国の「AION」のバージョンは、2009年8月に実装されたバージョン1.5だ。これは日本でも同じで、今回、発表されたバージョン1.9と2.0は、次とその次に当たるアップデートとなる。去年の11月、「2009 NCSoft G-Star Premiere」のビジョン映像を通じて発表されたバージョン3.0はさらにその先のアップデートとなる。

 バージョン3.0に関する発表は今回は一切行なわれなかったが、ビジョン映像はあくまで「AION」の未来像を想像できるように見せるためのモノだけであって、実装時期はかなり先になりそうだ。バージョン1.5からバージョン3.0までの間をつなぐアップデートが、今回発表されたバージョン1.9と2.0となる。

 3月に実装が予定されているバージョン1.9「デヴァ総集結」は、主に「AION」のユーザーインターフェイスの面の改良を行なうアップデートだ。「パーティー検索」システムの追加、スキルの追加、両手武器の合成、ユニークアイテムの最大強化値拡張、衣装アイテムの追加など、様々なシステム拡張が施される。これに対し、5月に実装が予定されているバージョン2.0「龍界進撃」は、新しいエリア「龍界」を実装する。世界観の拡張とともに、レベルの上限も50から55へと拡張されるという。

 本稿では本発表会を通じて発表された「AION」のアップデート内容をまとめてみた。まずは、バージョン2.0「龍界進撃」の紹介ムービーをご覧頂きたい。


【バージョン2.0「龍界進撃」】


■ 様々なシステムの改良で更なる進化へ準備を整えるバージョン1.9「デヴァ総集結」

1.9から間違って売ってしまったアイテムを買い戻すことができる
ユニークアイテムは+15まで強化できるように

 本発表会ではまず、バージョン1.9「デヴァ総集結」のプレゼンテーションから始まった。その内容は下の通りだ。

    【ユーザーインターフェイスに関する追加】
    ・「パーティー検索」機能の追加:チャットを使わず、希望するパーティーやプレーヤーの情報を登録、検索できる
    ・「アイテムの買い戻し」機能の追加:ミスで売却してしまった装備アイテムを買い戻すことができる。ログアウトしてしまうとできなくなる
    ・「移動型ショートカット」の追加:画面の自由な位置に配置できるショートカットバーが追加

    【スキル、ステータスに関する追加】
    ・衝撃状態の抵抗力を増加させるアクティブスキルの追加:全クラスがレベル40で覚えられる
    ・衝撃状態を瞬時に回復し、反撃するスキルの追加:全クラスがレベル48で覚えられる。 治癒能力、クリティカルにかかわるステータスの追加
    (衝撃状態とはスタン、空中束縛、ノックバック、転倒、回転の異常状態を意味する)

    【アイテムの面】
    ・両手武器の合成機能が追加:2つの両手武器を合成できる機能
    ・パーティー用の衣装の追加:NPCから購入可能
    ・ユニークアイテムの最大強化数値が+15に拡張

    【その他、システムの面】
    ・「救いの手の差し延べ」機能の追加:経験地にボーナスを与えるシステム
    ・「日々クエスト」の追加:毎日、報酬アイテムを貰えるクエスト
    ・キベルリスクや飛行ポイントが細かく追加

 バージョン1.9の中で最も注目されると思われる「両手武器の合成」について補足すると、アイテムの合成には“適用されるアイテム”、“摘出するアイテム”に分けられて、“摘出するアイテム”の能力の一部と魔石の能力が、“適用されるアイテム”に追加されるようになる仕組みになっている。合成すると“摘出するアイテム”は破壊される。2つのアイテムは同じレベルか、“摘出するアイテム”の方が低いレベルのアイテムでなければならない。

 バージョン1.9「デヴァ総集結」は、世界観が拡張される大型アップデート2.0の手前で、システム周りを整える意味合いの強いアップデートだ。PvPのバリエーションを考えたレベル40と48のスキル、魔石により片手武器とシールドを使うキャラクターより能力値が劣ってしまう両手武器のデメリットをカバーする「両手武器の合成」、スマートにパーティーやプレーヤーを探すことができる「パーティー検索」機能など、微妙なバランス調整からユーザーの便利性までよく考えられたアップデートである。韓国では3月中に実装される予定だ。


「パーティ検索」により、チャットを荒らせず、スマートにパーティー、メンバーを探すことができる
どの位置にも置けることができる「移動型ショートカット」
片手の武器とシールドに埋めることができる魔石の能力により、両手武器はやや不利だった。アイテムの合成によりその辺は解決されるようだ
天族のパーティ衣装。ラグジュアリー(左)とロリータ(右)をイメージした衣装だ
魔族のパーティ衣装。こちらはラグジュアリー(左)とセクシー(右)



■ 天族と魔族がついに龍族を攻めに行く!!新エリア「龍界」が登場!

 バージョン1.9「デヴァ総集結」のプレゼンテーションの後にはバージョン2.0「龍界進撃」の紹介ムービーが公開された。ただ、バージョン2.0がどういったものかについて詳しい発表は行なわれず、簡単なQ&Aを通じて、幾つかの要素が確認できただけだった。

 バージョン2.0「龍界進撃」の柱となるコンテンツは、新エリア「龍界」だ。天族と魔族たちは争いの元凶となる龍族をついに攻めに行き、最初は5匹の龍帝のなかの1匹を倒すというストーリー展開である。NCSoftは「龍界」は“フィールド型のアビス”ということを強調していたが、その詳細については明らかにしていない。ただ、インスタンスダンジョンだけでなく、フィールド上にもボスモンスターが多数登場するという。「龍界」のフィールド、インスタンスダンジョンのイラストが数枚公開されたが、幻想的なイメージを持つ舞台が広がるエリアだった。

 また、紹介ムービーのハイライトシーンとして確認できる空中に存在する“光の渦”。これは“気流システム”という新しいシステムで、滑空でその気流に乗ると、光の渦の中を加速しながら高速で移動していくというシステムだ。便利な移動手段のひとつと考えて良いだろう。

 そして、バージョン2.0「龍界進撃」ではレベル上限が50から55へ拡張される。また、ビジョン映像のムービーにも登場するペットの初期バージョンがバージョン2.0「龍界進撃」に実装されるという。最初は何の機能、能力もないペットだが、徐々にアップデートを通じて機能やスキルを追加していくとのことだ。

ビジョン映像(バージョン3.0)で登場するペット。とりあえずは、ただ連れて歩けるだけのペットになるという


 「AION」は、韓国のオンラインゲーム同時接続者1位の座を維持し、2009年の売り上げは2,520億ウォン(約189億円)で、今やNCSoftの中で最大の売り上げを記録するタイトルに成長した。

 冒頭でも触れたように、本発表会は「AION」がサービスされてから、初のアップデート発表会ということで多くの期待と注目が集められたが、内容としては期待したほどではなかったというのが正直なところだった。内容的にはバージョン1.9「デヴァ総集結」に関する発表がメインで、バージョン2.0の話は殆ど聞けず、3.0に至ってはまったくないという有様だったからだ。

 韓国最大手の発表会としては、不自然なほどに内容の薄い発表だった。このため、一部の韓国メディアは、実はこの発表会はとある目的のため、ただの話題作りに設けられたのではないかという見方も出ている。それは現在Bluehole Studioが開発しているNHNのMMORPG「TERA」を意識して、「TERA」が一方的な注目を集めることを防ぐためではないかというものだ。

 その因縁は2007年の「リネージュIII」ソース流出事件まで遡る。その事件に関連する数名はBlueshole Studioのスタッフであるからだ。NCSoftとBluehole Studioは今もなお、法廷で戦っている状態である。その「TERA」は2月26日から3月7日まで第3次クローズドβテストを実施中で、その日程は2月17日に発表された。本発表会は2月23日に発表されたもので、今回の発表内容を、“急いで用意したもの”と考えれば、あながち頷けない話ではない。

 ともあれ、NCSoftは、フィールド型アビスや新エリア「龍界」など、バージョン2.0の詳細に関しては今後改めて公開していくという。バージョン2.0の実装は5月中に行なわれる予定で、今後の発表に注目したいところだ。なお、日本の展開に関しては別途NC Japanからの情報をお待ちいただきたい。


幻想的なイメージのフィールドが広がる「龍界」。どういった冒険が繰り広げられるのか楽しみである

(C) NCSoft Corporation. All Rights Reserved.

(2010年 3月 5日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]