【連載第72回】韓国最新オンラインゲームレポート

NHN、済州島にて「HANGAME EX 2010」を開催
FPS「A.V.A」の次回作や「アトランティカ」のリニューアルなど、新作7本が大挙公開!!


3月5日開催

会場:済州島Haevichi Hotel


NHN Hangame 代表取締役代行ジョン・ウック氏。「2009年だけでOBTを開始したゲームは80個に及びます。その数は増えつつあるが、ユーザーにとってはどういうゲームを選択していいのか難しいと思います。そのため、ユーザーたちが安心してプレイするゲームを選べるように、HANGAMEはゲームクオリティーを保証し、最高のサービスをしていく方針です」と述べた

 韓国NHNは3月5日、済州島Haevichi Hotelにおいて、プライベートイベント「HANGAME EX 2010」を開催した。同社の新作ライナップをメディア向けに公開する場で、約80名の韓国メディアが招待され、盛大に行なわれた。NHNは去年も「HANGAME INVITATIONAL 2009」という大型発表会を開催しており、今回はその2回目となる。

 今回発表されたのは全部で7タイトルだ。初公開となるFPS「Metro Conflict:Presto」、同じく初公開のMMORPG「Project E:ST(仮)」を始め、リニューアルを実施するMMORPG「Atlantica:TROY」、既にプレスリリースを通じて発表された作品で、今回改めて公開された横スクロールアクションゲーム「GRANAGE」、オンライン釣りゲーム「出釣 釣り王」、そして、NHN初のブラウザゲーム「L.O.S.T」、「BUY CITY」となる。

 発表会は2部構成で行なわれ、第1部では簡単なゲームとムービーの紹介、第2部では「Metro Conflict:Presto」、「Atlantica:TROY」、「GRANAGE」、「出釣 釣り王」の4タイトルについて、開発者へのインタビューセッションを設けられた。さっそく新作タイトルを紹介していきたい。


【Haevichi Hotel】
発表会場のHaevichi Hotel。ホテルのあらゆるところにNHNゲームのバナーが飾られるなど非常に豪華な雰囲気だった。しかし、今回の発表会はタイトル数は多かったものの、殆どのタイトルが詳細情報を発表しなかったのが残念だ


■ 「A.V.A」のデベロッパーRedduckの新作「Metro Conflict:Presto」。迫力あるゲームを目指す!

「Metro Conflict: Presto」のスクリーンショット

 「Metro Conflict:Presto」は「A.V.A.」のデベロッパーであるRedduckが開発したFPSだ。ゲームエンジンは「Unreal Engine 3.0」を使用し、近未来を舞台にしている。最大16人による8対8のマルチプレイを楽しめる。韓国で6月にクローズドβテストを実施し、年内に正式サービスを開始予定。ビジネスモデルはアイテム課金。

 本作の最大の特徴は、火炎放射器やRPGといった重火機や銃を両手に持って戦うデュアルウェポンによる迫力ある戦闘だという。すべての武器を両手に持てるわけではないようだが、ゲーム中に他のプレーヤーが落とした武器を拾うことで、2種類の武器を同時に扱うことができる。

 「Metro Conflict:Presto」にも「A.V.A」と同様に、複数の兵科が用意され、ライフル、サブマシンガン、スナイパー、重火機の4種類が存在する。また、プレイを通じて貰ったポイントを使って、本部から特殊機能を要請できるという。兵科によって異なるが、偵察、回復、無人航空機(UAV)の攻撃、多弾頭ミサイル攻撃といったものを要請できる。

 舞台としては近未来になっているが、レーザーといった武器は存在せず、ミリタリーの範囲を超えてないという。AK-47やM4といった従来の武器に加え、最新型と思える武器を盛り込んだとのこと。武器のカスタマイズにも近未来だと思えるパーツが用意されているという。

 本発表会では実際のゲームプレイ映像が一切公開されず、Q&Aによる説明だけでゲームを想像するしかなかったのが残念だったが、従来のFPSとは一風変わった迫力ある戦闘が期待できそうだった。


【「Metro Conflict:Presto」のプロモーションムービー】

Unreal Engine 3による美しいグラフィックスが目を引く「Metro Conflict:Presto」。射撃した弾の軌跡を表現するなど、細かいところまで描くことで迫力感を増したという。久しぶりに大作FPSだ



■ 日本のSRPGを彷彿させる新戦闘システム「TBS」を導入してリニューアル!! 「Atlantica:TROY」

「Atlantica:TROY」のスクリーンショット

 「Atlantica: TROY」は、日本ではネクソンが展開しているMMORPG「アトランティカ」のリニューアルタイトルだ。ギリシャ神話に登場するトロイ戦争をモチーフにした内容が盛り込まれたアップデートで、それと共に導入されるTBS(Tactical Battle System)という新しい戦闘システムが盛り込まれるのが大きな特徴となっている。

 新しい戦闘システムが導入されるからといっても、「アトランティカ」の戦闘システムが完全に新しくなるわけではなく、従来の戦闘システムとTBSを地域に分けて両立させていく。TBSは主に今回新たに実装される新規エリアで行なわれることになるが、レベル20から段階的にTBSを楽しめるように、従来のエリアにも、バランスよく入れていくという。

 「アトランティカ」の開発を総括するキム・テゴン氏は「今回のアップデートのメインはTBSで、TROYはTBS以降に登場する物語の第1弾でしかない」という。今回の発表会でも世界観やストーリーに関する内容は行なわれず、TBSの説明だけでとどまった。

 従来のシステムとTBSの最大の違いは、TBSでは戦闘システムがシミュレーションRPGのように変わって、傭兵たちの個別移動が可能になったことだ。従来の戦闘システムだと、陣営内の移動しかできなかったが、TBSでは戦場全体を移動しながら、攻撃を行なえるようになっている。言い換えれば「ファイアーエムブレム」や「スーパーロボット大戦」のような戦闘システムに変わったと考えるとわかりやすいかもしれない。TBSでは最大100人対100人のPvPや、最大20人によるPvEレイドも可能になっている。ただし、常に最大規模の編成で戦えるわけではなく、たとえば100人対100人だと傭兵なしで自分のキャラクターしか使えないようだ。

 TBSでは傭兵同士が戦うだけでなく、炎の燃え移りや天候による変化、トラップの設置、キャラクターのアップグレードや特殊ユニットの生産などの要素が盛り込まれている。炎の延焼攻撃は、火炎系の魔法や特殊アイテムで、地形やキャラクターに火を付けて利用するもの。炎に接触したキャラクターや建物はダメージを受けることになる。結氷系の魔法で消すことが可能だ。

 また、天候の影響により戦場が大きく変わる。風の強さ、向きによって、火の燃え移りの速度や方向が異なったり、暴雨に遇うと川の水位が浮上して、連結されている橋が使えなくなったり、橋の上にいるキャラクターたちがダメージを貰うハプニングも起きるという。

 戦場にトラップを設置して、落ちた敵に火炎や毒などのダメージを与えることも可能だ。TBSでは味方のいない地域はウォーフォグと呼ばれる霧に隠れ、地形だけ確認でき、敵のトラップ、ユニットなどを見ることはできないため、トラップの戦略も有効に使うことができる。

 他にも戦場のあらゆるところに本営、訓練所、造船所などの建物が登場し、キャラクターのアップグレードや、特殊ユニットの生産が可能だ。特殊ユニットは石を投げるカタパルトや、空中でユニットの輸送が可能なエアガレー、水の上で移動でき、暴雨の影響を受けないガレーの3つが用意されている。

 TBSは様々な要素で戦略性が高く、バリエーションのある戦闘が期待できるシステムだった。韓国と日本のアップデートの差は1カ月から2カ月の差で、今回の「Atlantica: TROY」も韓国で3月中にプレOBTを実施し、2010年上半期中には実装される。日本でも、韓国実装から1~2カ月後に実装される予定だ。より詳しい内容は日本のサービスを担当するネクソンの情報をお待ちいただきたい。

【「Atlantica:TROY」のプロモーションムービー】

TBSでより戦略性の高いバトルが楽しめるようになる。ゲーム性がちょっと複雑になってしまった印象もあるが、実際にプレイしてみれば説明がなくてもわかるようになっているという



【「Project E:ST(仮)」のプロモーションムービー】

【Project E:ST】
2011年にCBTが予定されている「Project E:ST」は発表会ではプロモーションムービーが公開されただけだ。スクリーンショットを見る限りでは日本の武者や侍が登場するようだ

【GRANAGE】
Logiwareというデベロッパーが開発した2D横スクロールRPG。ナイト、マジシャン、アサシン、アーチャーの4つのクラスが登場し、ある条件に満たすとキャラクターが「爆走状態」になり、強力なスキルを使えるようになる。韓国で2010年4月CBT予定

【出釣 釣り王】
My New Childrenというデベロッパーが開発したオンライン釣りゲーム。実存する釣り場がゲームに登場し、ボートに乗って海釣りも可能。実は韓国の釣りユーザーは約700万人いると推計されており、今後オンラインゲーム化が有望視されている分野だ。去年の7月に韓国で1次CBTを終え、今年の4月中に2次CBTを開始予定

【L.O.S.T】
中国のJoyportが開発したブラウザゲーム。中世ファンタジーを舞台に、天空の城や飛行艇が登場する戦争ゲームだ。今年の上半期CBT予定

【BUY CITY】
BLASTという韓国デベロッパーが開発したブラウザゲーム。不動産を基盤に多様な経済活動で自分の富を集めていくゲームである。ソウル氏や釜山市など、実際の韓国の土地をゲームの地域に設定し、土地を買いビルを建てたり、取引、会社への投資、ファンドなど、財テクを楽しめるゲームである。相場を利用してユーザー同士でPvPも楽しめる。今年の4月に韓国でCBT予定

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(2010年 3月 19日)

[Reported by DongSoo“Luie”Han]