【連載第13回】開発者が語るiPhoneゲームの最先端
■iPhone Spotlight Report■
日本一のiPhone/iPod touch用音楽ゲーム会社ユードー激動の2009年iPhone/iPod touch市場を語る
世界中でブームを起こし、携帯電話市場を一変させたiPhoneは、新たなゲームプラットフォームとしても注目を集めている。本連載では、iPhoneゲーム開発者へのインタビューから、最新のトレンドや魅力を探っていく。 |
弊誌では2008年11月に、株式会社ユードー代表の南雲玲生氏にインタビューを行なっている。当時はApp Storeが立ち上がってから4カ月ほどが経過した頃だったが、既にゲームだけで1,500本以上ものアプリが配信されており、玉石混合でカオス状態と言われていた。現在ではアプリは17万本以上にもなり、1日数百本のペースで増え続けており、当時とはさらに比べものにならないほど混沌とした状況を呈している。
以前インタビューした際のユードーは「Aero」シリーズの音楽ゲームを3本配信し、「1$-GAME(1ドルゲーム)」の新ブランドを立ち上げたばかりだった。あれから1年以上が経ち、最近では株式会社バンダイナムコゲームスのiPhone/iPod touch用「太鼓の達人」や「7th deadly beats」を制作するまでになったユードーだが、この1年で会社と、iPhoneやApp Storeをとりまく環境がどのように変化していったのか聞いてみた。
■ 「1$-GAME(1ドルゲーム)」を短期間で収束
ユードー代表取締役プロデューサーの南雲玲生氏 |
――この1年でユードーの活動は、どのように変化していきましたか?
南雲氏: 昨年は弊社の取り組みもかなり変わりました。去年の初めは、1ドルでゲームを販売する「1$-GAME(1ドルゲーム)」をやっていました。その後は弊社として音楽ゲームのブランドイメージを確立する戦略に切り替え、最終的には大手メーカーのバンダイナムコゲームスと協業して音楽ゲームを2本作るまで成長しました。
――「1$-GAME(1ドルゲーム)」を立ち上げたきっかけは何だったのですか?
南雲氏: その当時は、何でもいいから数多く出せばいいという安直な考えでした。1本のアプリを1週間で作るという、まるで野球の100本ノックのようなことをしていました。
――結果的にはどうでしたか?
南雲氏: ゲームではないものも含めて10作ほど作りましたが、その中でバッティング野球ゲーム「ホームラン侍」などは売れていきましたし、音楽アプリ「PianoMan」も、このシリーズから生まれたアプリです。しかし、全く売れない物も多くありました。開発期間が1週間と短いために、どうしても面白い物とつまらない物ができてしまいます。でも、この時の経験が後のゲームを開発する時のスピードに活かされています。仕様書が50%であっても、プログラマーがプラスして考えることができるようになったので、ムダな作業をしなくなりました。迷わずにプログラムに入れるようになったので、結果的にはよかったです。その後、僕がiPhoneを仕切るようになってからは、少し時間をかけてじっくり作る体制にスライドしました。たくさんのクリエイターの方が参加していて、アプリが溢れてくる中で、「ユードーと言えばこれ」というようなアプリをしっかり作っていかないとダメだろうと思い、方針転換を図りました。
【スクリーンショット】 | |
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画面の上から落ちてくるボールの通りに、タイミングよく鍵盤を叩くだけで演奏が楽しめる音楽アプリ「PianoMan」。オンライン対戦が可能になり、演奏の腕前を競いあえる | 野球のホームラン競争が楽しめるゲーム「ホームラン侍」。プレーヤーは孤高の侍“武蔵”となって、忍者“服部”が投げる変幻自在の忍術ボールを打ってホームランにする |
■ 「ユードーと言えば音楽ゲーム」というブランドイメージの確立
――会社のブランドイメージを作り上げようとしたのはなぜですか?
南雲氏: App Storeの黎明期は、アプリを数多く出すメリットはあったと思います。当時、日本で最も多くのアプリを出していたのは弊社でしょう。しかし、これだけパブリッシャーが多くなってきた中では、ユードーと言えば音楽アプリというような、ブランドや方向性をしっかりと示さない埋もれてしまうと感じたからです。
――これまで南雲さんが音楽ゲームの開発に関わってきたので、音楽系になったのですか?
南雲氏: 僕自身、音楽ゲームを作って来たノウハウがありましたので、ブランドイメージも音楽に特化する形にしたのですが、弊社は音楽が好きで得意な社員が集まっているからでもあります。
――成るべくして音楽のブランドイメージが確立されたのですね。
南雲氏: はい、ブランドイメージは大切だと思います。そしてその結果が、バンダイナムコゲームスとの協業に繋がり、「太鼓の達人」と「7th deadly beats」を制作できました。どちらも弊社の技術を最大に活かした作品になっています。
「Aero Guitar」は、iPhone/iPod touchをギターのように演奏する音楽ゲーム。画面右から流れてくる楽譜に合わせて、画面をタップしたり、上下にフリックして演奏する |
――音楽ゲームと言えば「Aero」シリーズが好評のようですね。
南雲氏: おかげさまで「Aero」シリーズは、無料版と有料版あわせて全世界450万ダウンロードぐらいになり、大ヒットしました。
――以前、無料版と有料版のダウンロード数は2桁違うと仰っていましたが、それは変わっていないのですか?
南雲氏: はい。
――iPhone/iPod touchは音楽プレーヤーでもあるので、音楽好きのユーザーが多いとは思いますが、そういう点で御社の音楽ゲームは受けていると感じますか?
南雲氏: はい。ユーザーは音楽好きが多いので、そこは親和性が高いです。iPhone/iPod touchでは、音楽ゲームや音楽アプリはチャンスが大きいですし、僕がそこに絞り込んでいったのは正解だったと思います。ユーザーの多くの方はヘッドフォンをしているので、音楽をじっくりと聴いて楽しんでもらえるのも嬉しいです。
――コンシューマーゲームのユーザーと比べて違いは感じますか?
南雲氏: App Storeがリリース当初は音楽好きなユーザーが多かったと思います。最近は、ゲームファンの方もiPhone/iPod touchを買われていますので、似たような傾向になってきていると思います。
■ 「8Bitone(エイトビットン)」が配信4カ月後に1位に
ファミコンサウンドが楽しめる「8Bitone+」。PSGやSSG音源を忠実にシミュレートし、リアルな8bitサウンドを再現したシンセサイザーアプリ |
――ほかには、どのような出来事がありましたか?
南雲氏: 80年代のピコピコとした8ビットサウンドをシミュレーションしたアプリ「8Bitone(エイトビットン)」を配信したのは昨年の5月なのですが、その時はプロモーション展開に思いっきり失敗しました。開発が終わったので情報をしゃべっていたら、それを発売前に海外のニュースサイトで大きく取り上げていただいたのです。そこまではよかったのですが、肝心のアプリはその時点ではまだ配信されておらず、情報を読んだけれど、欲しいと思った人が買えなかったのです。その数日後にリリースしたのですが、その時にはすでに熱は去っていたという状態でした。
――情報を出すタイミングも販売戦略の上では重要になってくるわけですね。
南雲氏: この時は宣伝に失敗しましたが、その4カ月後にニュースリリースを撒いたり、キャンペーンを複合的に行なったり、Twitterなども利用したりして、いろいろなプロモーションをしていきました。
――日本ではTwitterが去年末から流行ってきましたが、その前からTwitterを活用されていたのですね。効果はありましたか?
南雲氏: Twitterでの効果は非常にありました。特に新しいものが好きで自ら情報を集めていくタイプのアーリーアダプターは、その当時からTwitterを活用されていました。しかもTwitterはiPhoneとの相性がいいので、アプリを宣伝するのに適していました。
――他にはどんなことを行ないましたか?
南雲氏: アプリの価格を変動させました。この作戦を日本でやったのは、このアプリが最初だと思います。この効果は僕らもビックリなのですが、App Storeランキングで1位を取ることができたのです。古いアプリでも1位に持っていけるという自信になりました。
――もしかしたらさっぱり売れていない物でも、上手くプロモーション展開をすれば、今からでも売れるチャンスはあるわけですね。
南雲氏: あります! ほかにも、ゲームは面白いのにプロモーションが上手くいかなくて埋もれてしまっているアプリがいっぱいあると思います。そういうアプリを開発した会社やクリエイターさんから、僕たちがアプリを預かって再リリース出来る可能性もあるとも考えています。
――リサイクルをするという形になるのでしょうか?
南雲氏: そうです。1度そのアプリをApp Storeから下ろしてもらい、僕たちがここを直すべきだというところを直して、弊社から出させていただきます。課金は弊社が代行する形になります。
――それは新しい展開でいいですね。いつから始める予定ですか?
南雲氏: ご要望があればすぐにでもやりたいです。面白さのほかにも、デザインが2流になってしまって売れていないアプリもあるので、弊社で手直しする提案もできればと考えています。
――プロモーションをしないために埋もれている物も結構ありますからね。
南雲氏: プロモーションの仕方がわからないのだと思います。リサイクルしたアプリを弊社のノウハウを活かし、メディアへの情報配信やTwitterなどを活用して各方面へプロモーションを積極的に行えば、大ヒットする可能性もあります。
■ 音楽ゲームと音楽アプリの違い
指3本で画面をタップしたまま動かすことで、さまざまな音を奏でられる新感覚の音楽アプリ「Matrix Music Pad」。シーケンサーモードもあり、パートごとの作曲もできる |
――御社では音楽アプリ「Matrix Music Pad」を作っていますが、御社にとって音楽アプリと音楽ゲームの違いはなんでしょうか?
南雲氏: 僕は音楽ゲームと音楽アプリの壁は、ないと思っています。ゲームは遊んだ結果、スコアが反映されますが、音楽アプリはユーザー自身が音楽を自由に奏でて、それが即実的に作品として形になる物だと思います。そのため音楽ゲームも音楽アプリもカテゴリーは一緒に見えています。「Matrix Music Pad」は、作って完成する楽しみを感じられるもので、それはゲームでクリアした達成感と同じものではないかと思います。
――音楽ゲームと音楽アプリで販売面での違いは感じられますか?
南雲氏: 音楽アプリよりも音楽ゲームの方が、低価格競争の波を受けている面はあります。音楽アプリは若干高い値段でも売れますので、利幅は音楽アプリの方がいいです。音楽アプリは、ユーザーの目的がはっきりしているからだと思います。逆にゲームは、ギャンブルに近くて、当たり外れが多いと感じています。
――ゲームが売れるためにはどうしたらいいと思いますか?
南雲氏: ゲームのプランがしっかりしていても、デザインがよくても、それだけではダメなことが多いです。iPhoneのゲームが売れるために最も重要なのは口コミです。「このゲームは面白いんだよ!」という一言に、ものすごく影響力があります。そのためには、ブログやTwitterなどで取り上げてもらいやすいものにすることも大切な要素になります。
――そういった博打的な要素もあるのに、ゲームを作ろうとしているのはなぜですか?
南雲氏: それは開発スタッフのみんながゲーム好きだからです。たまにはゲームを作っていないとなまってしまいますし、面白いゲームをみんなで作ろうというノリで制作している雰囲気もあります。音楽アプリの場合は、僕が仕様を1から書いていて、ゲーム的な楽しみよりも実用的なことを考えているので、真面目に開発しています。
■ 大手メーカーとの協業について
――「太鼓の達人」や「7th deadly beats」で、バンダイナムコゲームスと組んで制作されましたが、大手メーカーと組むメリットはどういったところにあったでしょうか?
南雲氏: じっくりと作ることができました。僕たちのように少ない人数では、企画内容の良し悪しが判断しづらい場合でも、大手の場合はちゃんと審査する課程があるので、そこで判断できます。僕たちだけだと暴走しがちですし、そういうところを見ながら作れるのはいいことです。それと開発費の問題もあります。長期で開発するとなると、その分だけ人件費もかかります。ゲームを4カ月かけて作るとなると、相当な採算性が問われることになり、当たり前のことですが思いつきで作りましたというわけにはいかなくなります。
―― 大作ゲームを作るとなると、開発費やプロモーション展開のことを考える上でも、大手と組んで制作していった方がいいわけですね。
南雲氏: 長期開発が必要な大作は大手と協業して作り、短期間で開発するチャレンジングなものは弊社だけでやるというように、使い分けていくと思います。
【スクリーンショット】 | |
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バンダイナムコゲームスとの協業で誕生した「太鼓の達人」(左)と「7th deadly beats」(右)。ユードーがこれまで手がけてきたiPhone/iPod touch用音楽ゲームの実績を買われ、大手と組んでの開発となった |
■ 今後は無料アプリからのアプリ内課金にシフトしたい
――この1年で、ゲームの低価格化が進みましたが、その変化をどのように感じていますか?
南雲氏: iPhone/iPod touch用ゲームの低価格化が進んでおり、ユーザーはお得だと思うのですが、メーカーとしては採算が取れるのかどうかが1番の悩みどころです。
――大手ゲームメーカーにインタビューすると、価格の面で苦労しているという話題がよく出ます。これはしょうがない状況なのでしょうか?
南雲氏: 僕としては、世の中の流れ、自然の流れに沿うべきだと思っています。値段が安い物しか売れないという状況は、ある意味ユーザーのニーズだと思います。ですので今は、コンテンツは無料でもビジネスになる仕組みを急いで考えているところです。
――それは具体的にどういった方法があるのでしょうか?
南雲氏: 無料アプリを前提に、それでも成り立つモデルを考えています。ユーザーは無料で遊びながらも、その中の5%の人が課金すれば、採算が成り立つようになればと思います。
――PCゲームのアイテム課金のようなものを、in-app purchase(アプリ内課金)でやるということですか?
南雲氏: そうです。in-app purchaseは効果があると思っています。無料アプリからin-app purchaseができるようになってから、状況が変わってきたと思いますし、期待を寄せています。無料版には、ちょっとだけ遊べる体験版のようなものもありますが、それとは違います。基本的に最後まで無料で遊べるようにして、in-app purchaseで買っていただければ、さらに楽しめるというようなことを考えています。
――ユーザーの反応はどうなると思いますか?
南雲氏: 無料で提供しても文句を言う人はいますので、そこはしょうがないと思っています。しかし、全体の5%の人が熱狂的になってくれればいいなと考えています。
――先日のバンダイナムコゲームスとのインタビューで、「in-app purchaseではランキングに反映されない」と仰いましたが、そこの仕組みが変わって欲しいということですか?
南雲氏: そうですね、それは変わって欲しいです。あとはもっと少額課金ができるようになってくれればと思います。今は最低でも115円なので、もう少し小さな単位を設定できるようになるのが希望です。
――アプリ内課金以外にも収益を上げる方法としては、アプリ内に広告を入れるという方法があると思いますが、これはどうでしょうか?
南雲氏: 現状のシステムでは、アプリ内広告はあまり効果がないと思っています。そのアプリに関連するものであればいいのですが、全く関係ないものも出てきます。アクションゲームを遊んでいるのに、RPGの広告が入っても魅力を感じないと思います。100万ダウンロードになっている「PianoMan」でアプリ内広告を展開しているのですが、そんなに購入に結びついているようには思えません。音楽アプリなら音楽ゲームのアプリを紹介するとか、よりユーザーの思考にあった広告を展開しないと、効果は出にくいと思います。
――ユーザーからお金をもらわないシステムで成り立つと思いますか?
南雲氏: 僕は成り立つと思っていますし、情報や音楽はどんどん0円になっていくと思います。だからユーザーを囲い込んでいくとか、広告モデルにするとか、あるいはそこからリアルな物に誘導していくのです。リアルな物のところで課金するというのが、次の時代かなと思っています。僕は音楽をやっているのでわかるのですが、インターネットによってこれからミュージシャンは困ってしまうとはよく聞きます。しかし、コンテンツや作品の経済的な価値は限りなくゼロに近づいていくと思います。今後はインターネット配信やYouTubeなどは、あくまでもプロモーションの場で、実際はライブを観に来てもらって利益を得る形になるのではないかと思います。ゲームでも似たようなことになるのではないかと考えています。
――ゲームではどのような物がリアルな物になるのでしょうか?
南雲氏: ゲームの場合は、ソーシャルアプリ上の物に対しては基本的に無料で、それから派生する物、例えばキャラクターグッズとか、周辺の関連商品で利益を出していくようになるのではないかと思います。ですからこれからはキャラクターも重要になる気がしています。
――なぜこのような形になると思われたのでしょうか?
南雲氏: App Storeに対して、危機感があります。「ここでアプリの値段が上がらないと」と考えるのではなく、お金を取らないでいかに他のビジネスモデルを探すかということを考えています。大手ゲームメーカーは、ゲームを高い値段で買って欲しいと思うところですが、僕らはパッケージゲームをベースにはしていないので、そういう発想になっています。
■ iPad用のアプリに向けて同時期に配信したい
――先日発表されたiPadについて、どのような感想を持たれていますか?
南雲氏: iPadは、皆さんiPhoneの延長線上に考えていると思うのですが、僕はそれは違うと思っています。iPadは家のリビングなどに置かれている物で、常に携帯して使うiPhoneやiPod touchとは使い方や目的が違う物だと思っています。Appleは新しいパソコンの使い方を提示したのではないかと考えています。その中で、僕たちもiPadについては、果敢にチャレンジしていくつもりです。いま配信している弊社のアプリについては、iPad版を出そうと考えています。
――iPadでは、iPhone/iPod touchのアプリがそのまま使えるということですが、iPad用にチューニングし直すのでしょうか?
南雲氏: iPad向けにチューニングするアプリもあります。あのスクリーンの大きさの特性を活かしたいので、単に拡大しただけではなく、iPad専用で配信するアプリもあります。
――開発は進んでいるのでしょうか?
南雲氏: それを意識して、準備はしていました。
――iPadが出るタイミングで発表できるアプリはあるのでしょうか?
南雲氏: できたらいいなと思っています。さらに全く新しいアプリも1つ考えています。これまでのタイトルで、iPad専用に対応した方が面白いと思うアプリは作り直そうと計画していますので、楽しみにしていてください。
■ 位置情報を利用して拡張現実を使ったアプリも!
――位置ゲーム・ウォークラリーに対応したシステム「Navincho(なびんちょ)」を使ったゲームの予定はあるでしょうか?
南雲氏: もともと弊社は拡張現実を使ったシステムで創立した会社なのです。当時はauの携帯電話で「Navincho(なびんちょ)」を使って、横浜をRPGにするというものを制作しました。実際にユーザーに横浜市内を観光しながらゲームをしてもらい、そこでユーザーの思考やマーケティング情報を取るということをやりましたが、まだタイミングが早すぎました。ただその時に僕たちは特許を申請していて、もうすぐ特許になる予定です。僕たちはそのエンジンやシステムを持っていますので、これをユーザーやパートナーに使っていただいて、位置ゲームをもっとポピュラーにしたいと思っています。
――位置ゲームは今後は流行ると思いますか?
南雲氏: 位置ゲーム、というだけでは限界が来ると思っています。なぜなら、ユーザーがリアルな環境で常にゲームをしなくてはならないのは大変だからです。遊ぼうと思うユーザーはハマると思うのですが、それが大きく広がりはしないと考えています。むしろその位置ゲームをきっかけとして、SNSなどでコミュニティを形成するという方向に発展するのではないかと思います。僕はそこに大きなチャンスがあると感じていて、今はその部分をどうすればいいのかを考えています。
――位置情報を利用して、どのようなアプリにしていくのでしょうか?
南雲氏: 位置情報を使ってバーチャルな仮想現実を作りつつ、SNSを作って、その中でゲームを提供する形で、iPhoneやスマートフォンを中心としたコミュニティを形成していこうと思っています。位置ゲームというところでは、位置情報を取得してiPhoneユーザーだけのコミュニティを用意しようと考えています。
■ 今年のユードーは、音楽ゲーム以外の新たな展開へ
――今後、御社はどのような展開をしていくのでしょうか?
南雲氏: 現在「PianoMan」は世界に200万近いユーザーもいるので、これを使ってユーザーを囲い込むような新たな展開も考えています。無料で配って、ユーザーを囲い込もうというわけです。もちろん、音楽アプリやゲームもやっていきます。さらに、コミュニティの中で面白いことをやっていくつもりです。iPhone用アプリの「TwitCasting」では、リアルタイムに動画配信ができますが、弊社でもライブでの映像配信には興味があり、基礎研究としてやっています。みんなのiPhoneをサーバーにして、サーバーに負荷をかけない形でのP2Pストリーミングシステムなども作っています。
――今年は何タイトルくらい出す予定でしょうか?
南雲氏: いま編成しているところで、タイトルはまだ決まっていないのですが、音楽ゲームやアプリ以外にも取りかかろうとしています。
――じっくり作り込むものもあるのでしょうか?
南雲氏: 時間をかけて作るものは、受託として作っていくと思います。もし、僕たちがゲームをやるとしたら、何か新しい要素やユーザーを囲い込むような要素を入れたものだと思います。
――そのような展開を考えているのは、去年1年で経験してきたことを踏まえた結果ということですか?
南雲氏: そうです。アプリやコンテンツを作り続け、そしてその価格は0円に近づいてきているので、このままだと僕らは疲弊するという危機感があります。今年はユーザーを囲い込むようなシステムを作ろうと思っています。
――最後にインタビューを読んでいる読者へメッセージをお願いします。
南雲氏: 今年は音楽の次の新しいことをやろうと考えていますので、期待してくれればと思います。新しい1歩を踏み出そうと思っています。
――本日はありがとうございました。
「7th Deadly beats」TM & (c) 2009 NAMCO BANDAI Games Inc.
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□ユードーのホームページ
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(2010年 3月 5日)