「A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ」レビュー

A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ

まさに究極まで進化した最新バージョン。PCを買い換えてでもプレイしたい最終進化!

ジャンル:
  • 都市開発鉄道SLG
発売元:
  • アートディンク
プラットフォーム:
  • WIN
価格:
16,800円(税別)
発売日:
2015年6月19日

 これまで「Version 2.0」、「同3.0」とバージョンアップされてきた「A列車で行こう9」シリーズだが、ついに「Version 4.0マスターズ」(以下、V4)が6月19日に発売された。発売元のアートディンクによると、「A列車で行こう9」としてはこれが究極の作品となるかもしれない。そういったことからも、今回も思い切ったアップデートが用意されているので、順を追って見ていこう。

【「A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ」オープニングムービー】

走行車両が200両に! 列車や車、船を自分で運転することも可能に

 今回のアップデートで1番気になるのが車両保有数の拡張だ。これまでは100両までしか走らせることができなかったが、「V4」ではなんと倍の200両にまで拡張された。これまではマップを広げすぎると列車が足りなくなるということも起きたが、200両となれば、現実にあるようなマップを作って、過密ダイヤを再現することもできるだろう。同時にバスなどの車両保有数も100から200へと拡張されているので、リアルな町並みを作りたいと思っている人には喜ばしいアップデート内容だろう。

 また、「V4」では列車のほか、街を走っている車や海に浮かんでいる小型船も運転できる。これまで列車や車に乗って町並みを眺めることはできたのだが、運転できるようになったのは、うれしいポイントだ。

 列車の操作だが、いわゆる「電車でGO!」シリーズのようにシミュレーションに重きを置いているわけではないので、駅での停車位置を細かく見ることができたり、オーバーランすると戻らなければならないといった制約はない。しかしワンハンドルマスコンのように、矢印キーで加速・減速ができるので、“自分で運転している感”は決して損なわれてはいない。速度計が備わっているほか、駅で停車したあとも発車サインが表示されるので、運転手気分を手軽に味わえるモード、と言えるのではないだろうか。

 ちなみに画面内に表示されているダイヤに則った運行をしないと、後ろに列車が詰まってしまったりするので気をつけた方がよい。また、設定されている速度制限や、停車駅での出発条件を無視しても運転することができるが、停車駅を飛ばすことができない。一定のスピード以上で駅に進入すると自動で緊急停止装置が作動して、強制的に停車扱いとなるので注意した方が良いだろう。

「Train」メニューから運転したい列車をクリックして「運転」を選べばその列車の運転ができる
速度計や細かく刻まれたマスコンのコントロールなど、リアルな運転が楽しめるのもポイント
対向列車とすれ違ったりと、本当に運転しているような感じがする

 また自動車だが、「Train」メニューから「散策車両」を選び、その中にある車を選んで道路に設置し、街を走ることができる。車両を配置したら上下の矢印キーなどを使って加速して、早速街に繰り出してみよう。交差点では矢印キーによって左右に進むことができるので、運転している感覚を味わえる。

 なお、右矢印キーを使って急ハンドルをするとUターンできる。前にバスがいたりしても追い越すことができないので、なるべく定期運行している車両が通らないところを走ってみたい。なお、スピードの出ている状態で赤信号に突っ込んだり、前に止まっている車に接近するとこちらも緊急停止装置が作動して停車してしまうので、注意して運転しよう。

「Train」メニューから「散策車両」を選び、運転したい車を3種類の中から選択。道路に配置すれば運転モードになる
ハンドルを切らなければひたすらその道を走ってくれる。海岸線の直線道路などは運転していて気持ちいい
バスなどは追い越すことができないので注意しよう

 小型船(クルーザー)の操作は自動車と同様だが、こちらは“道”が存在しないので、自由に海や川を走ることができる。左右の矢印キーで舵を切り、上下の矢印キーで加速・減速を行なう。ハンドルの具合は意外とピーキーなので、ちょんちょん、と押しながら舵を切るとスムーズに走ることができるだろう。うまく方向が向かないからと長押しするのは禁物。その際はスピードを落とすなどして、舵を切る感覚を養ってみよう。

水上散策クルーザーも自動車と同じメニューに表示される
水上から眺めるウォーターフロントの夜景は、ビルの光も海に反射されているなど、とてもきれいだ

速度制限標識によるダイヤ運行も可能に。信号機も用意される

 「V4」でできるようになった機能として、速度制限標識が挙げられる。これまでは一定のスピードで列車が走るだけだったのが、カーブ手前では減速するなど、速度制限標識を立てることで指示することができるようになった。ダイヤ運行などを含め、実際の列車が走っているのと同じように作り上げることも可能だ。

 また追加アイテムとして、三灯式信号、四灯式信号、五灯式信号に始まり、出発信号、場内信号、中継信号だけでなく腕木式信号も設置できるようになった。これは残念ながら列車の運行には関係しないのだが、信号機があるとよりリアルなレイアウトに仕上げることができるだろう。このほかにも線路系のアイテムとして、勾配標や距離標、気笛吹鳴標識、転轍器標識といったアイテムをマップないに置くことができるようになった。

試しに三灯式信号機を設置してみた。駅近くに配置するとよりリアル感が増す
速度制限の標識。こちらは運行にも関わってくるので、設定する場合は慎重に行おう

神過ぎるニューマップで「V4」を堪能しよう

「ひしめきあう街」のマップ。数多くの列車が行き交う駅には、東京駅のような建物が駅に隣接して建てられている
あらかじめE5系、E6系、E7系のほか、N700系も走っている。運転も可能
「運行表示」を選べばその列車が黒字なのか赤字なのかがわかる

 「V4」には新規マップとして「ひしめきあう街」、「川沿いにある街」、「砂浜とウォーターフロント」の3つが新たに加えられている。難易度は「ひしめきあう街」、「川沿いにある街」が“B”、「砂浜とウォーターフロント」が“A”となっており、初心者でも進めやすいマップと言える。

 中でも「ひしめきあう街」は“神過ぎるマップ”とも言えるほどで、壮観の一言に尽きる。東京駅を思わせる14番線まであるプラットフォームに加え、最初から新幹線も走っているなど、計45本もの列車が運行している。新幹線もE5系、E6系、E7系に混じってN700系が運行しているなど、実際ではあり得ない車両運用をしているのも「A列車」シリーズならではだろう。なお新幹線だが、マップの中で走ってはいるものの、プロジェクトを完成させないと新しく新幹線車両を購入することができないので注意したい。

 「ひしめきあう街」では、過密都市に走っている車両を増やして効率よい運行システムを構築していくほか、郊外の町も発展させなければいけないのだが、どこに変更点を加えたらよいのか迷うほど。現状で、ただ眺めているだけでも資金は増えていくのだが、まずはフル編成でない車両を10両編成にしてみたり、1本ずつ各路線に車両を配置しながら様子を見ていくことにするとよいだろう。

 また、先ほど紹介した小型船のクルーズをしてみたいなら「砂浜とウォーターフロント」がオススメ。海沿いに広がる街の夜景を海から見ていると、それだけでも美しい。またここでは自動車の運転を楽しむのもよいだろう。こちらもウォーターフロントの街並みは美しく、夕日を見ながら海岸線をドライブしてみてはいかがだろうか。ちなみにこのマップは、千葉県の幕張や稲毛あたりの海岸線と、ちょっと大きな江ノ島(?)がくっついているようなレイアウトとなっている。

「川沿いにある街」のマップ。中心街の駅は4番線までと、地方の中心都市といった趣
町外れの駅はバスが通っているものの、まったく発展していない。このあたりから攻略していくのもよいだろう
川もクルーザーで走ることができるが、低い高架橋があると引っかかってしまって動けなくなるので注意
「砂浜とウォーターフロント」のマップ。野球場があったりと幕張っぽい作りだ
町外れの駅から2つの路線がそれぞれ北側に延びている
瀬戸大橋のような道路・鉄道一体型の橋が架かっているのが特徴

ところでそろそろ新しいパソコンが欲しくなるかな?

今回ドスパラさんからお借りした「GALLERIA QF960HE」

 「V4」にまでなってくると、ニューマップとして用意されている景観を見てもわかるように、かなりの数のテクスチャが張られた建物が多く用意されているほか、「Version3.0」から用意された大型ビジョンやデジタルサイネージなどを見ようとすると、今あるマシンだとちょっとスペック不足かな、と思うこともあるかもしれない。もし「A列車で行こう9」がリリースされたのに合わせて買った人がいれば、5年前のパソコンと言うことになり、一昔前のスペックとなってしまう。

 筆者が使っているのは2014年春モデルの「NEC LaVie LL750/R」だが、さすがにCore i7を搭載しているとは言え、若干画像が引っかかったりして、スペック的に十分なのか気になるところだ。そこでどのようなパソコンならば十分に満足できるスペックと言えるのか、ドスパラさんに協力していただき、ノートパソコン「GALLERIA QF960HE」を用意していただいた。ただしバリバリのゲーミングPCではなく、15万円程度と手を出しやすいエントリーレベル。とはいえグラフィックスはインテルHDグラフィックではなく、NVIDIAのGeForce GTX 960Mを搭載したマシンだ。スペックの概要は以下の通り。

【GALLERIA QF960HE】
CPU:Core i7-4710MQ
GPU:GeForce GTX 960M
RAM:8GB
HDD:500GB
OS:Windows 8.1
価格:134,980円(税別)
http://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=13&tc=143&ft=&mc=5276&sn=0&st=1&vr=10&tb=2

 ちなみにこのマシンのスペックを計るために、ベンチマークソフトである「3DMark」とゲームファンには馴染みの深い「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」のベンチマークテストを走らせてみた。筆者が持っている「LaVie(インテルHDグラフィックス)」と比較してみたので参考にしてほしい。読者の方のマシンでも、1度ベンチマークを取ってみるのもよいだろう。

 結果は以下の通りで、掲載しているスクリーンショットのキャプションでも触れているが、その差は歴然だ。シミュレーションゲームは、なにかと快適に動かないとストレスがたまっていくものだ。今のパソコンで物足りない感じを受けている人は、この機会にパソコンも変えてみるのもいいのではなかろうか。

「3DMark」のベンチマークテスト結果。GeForce GTX 960Mを搭載している意味は大きく、圧倒的な値を出している
「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド」のベンチマークの結果。ご覧の通りの値だ
左が「GALLERIA」、右が「LaVie」の「3DMark」テスト結果。スコアの差が歴然とわかる

【「3D Mark」ベンチマークテスト結果】

テスト項目GALLERIA QF960HENEC LaVie LL750/R
FIRE STRIKE1.13981770
SKY DIVER1.0119283262
CLOUD GATE1.1143426928
ICE STORM1.27272560185

【「FFXIV:蒼天のイシュガルド」ベンチマークテスト結果】

テスト項目GALLERIA QF960HENEC LaVie LL750/R
FFXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク112222920

とことんまでこだわった作りは最終形にふさわしい

 「V4」は列車運転などの新しい機能や、速度制限標識の追加に加えて、アミューズメント施設や新歌舞伎劇場、オペラタワーといった新しい建物が追加されることで、見事な鉄道経営シミュレーションソフトとしての進化を遂げている。用意されているマップにじっくり取り組むのでもいいし、マップコンストラクションモードから、自分好みの街を作り上げるのでもいい。鉄道ファンならば絶対に1度はプレイするべきソフトであると言えよう。

ダイヤの設定によっては車庫から発進することも可能。細かくカスタマイズできるのが「V4」の魅力だ
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(岩泉茂)