ゲーミングPCレビュー

GE60 2QD Apache

ハイパワーGPUを搭載しゲーマーが求める機能を網羅
コストパフォーマンスに優れたゲーミングノートPC

ジャンル:
発売元:
  • エムエスアイコンピュータージャパン
開発元:
  • 台湾Micro-Star Int’l Co., Ltd.
プラットフォーム:
価格:
発売日:

 新しいMSIのノートPC、GE60 2QD Apacheが3月13日に発売される。NVIDIAのモバイル向けの最新GPU、GeForce GTX 950Mを搭載したゲーミングノートPCだ。今回、その新製品である「GE60 2QD Apache」をお借りすることができたので、性能を含めてチェックしていってみよう。

本製品の位置付けは?

 最初に、製品の仕様からチェックしていってみよう。今回、お借りしたのは上に書いたとおりMSIのゲーミングノートPC「GE60 2QD Apache」だ。実機を貸していただいたので、写真を交えて紹介していく。

 ここで少し注意しておいてほしいのが、写真に写っているパーツのメーカーや型番だ。それほど頻繁に行なわれることではないが、同じ型番の製品でも、購入時期によって使用しているパーツが違っていることがある。これはパーツの確保が難しくなった場合などに、同程度の性能のほかのパーツに変更されることがあるため。必ずしも写真で紹介されたパーツが使われているというわけではないことに注意してほしい。(なお、裏蓋を開封すると保証外となる)

 本製品の型番は「GE60 2QD-1032JP」となっている。主な仕様は以下のとおりだ。

【スペック表】

 GE60 2QD Apache(GE60 2QD-1032JP)
CPUIntel Core i5-4210H(2.9GHz、最大3.5GHz)
GPUNVIDIA GeForce GTX 950M
ディスプレイ15.6型フルHDアンチグレア液晶(1,920×1,080ドット)
チップセットIntel HM86
メモリPC3-12800 DDR3 SO-DRAM 8GB(8GB×1)
SSD128GB(mSATA)
HDD1TB
ネットワーク1000BASE-T、IEEE802.11a/ac/b/g/n、Bluetooth(Killer E2200チップ採用)
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ
バッテリー駆動時間約4時間
サイズ383×249.5×37.6mm(横×奥行×高さ)
重量2.6kg
OSWindows 8.1 64bit版

 CPUに採用されているのはIntelのCore i5-4210Hだ。通常時のクロックは2.9GHz。2コアの製品で1つのコアで2つの作業を同時に実行するhyper threadingをサポートしており、4スレッドを同時に処理することができる。負荷が高い際には自動的にオーバークロック(OC)を行なうIntel Turbo Boost Technologyによって、最大3.5GHzで動作する仕組を持っている。Core i5は、IntelのCoreシリーズの中ではミドルレンジに位置付けされている製品だ。チップセットにはIntel HM86が採用されており、メモリは8GBのモジュールを1枚搭載している。

 本製品のキモであるグラフィックス機能として、NVIDIAの最新GPU、GeForce GTX 950Mが搭載されているのが特徴だ。NVIDIAのGPUの型番で50番台の数字が付けられているものは、バリュー向けとしてはほぼ最高クラス、ミドルレンジGPUに位置付けされる製品で、最もコストに対するパフォーマンスに優れている製品だ。言ってみればNVIDIAの主力製品だ。モバイル(ノートPC向け)の900番台の製品としては、すでにGeForce GTX 980MやGeForce GTX 970M、GeForce GTX 965Mという3つのハイエンドクラスモデルが発表されており、GeForce GTX 950Mは、これらの製品のすぐ下に位置付けられることになる。

 ストレージにはSSDとHDDの2つが搭載されており、それぞれの容量は128GBと1TBだ。昨今のゲーム事情を考えると、1タイトルで40GB以上の容量を要求するものもあるため、SSDが128GBだと少ないが、1TBという大容量のHDDを搭載することによって、その少なさを補っているモデルということがわかる。

 通信機能には1000BASE-Tの有線LANのほか、最新のIEEE802.11acに対応した無線LAN、Bluetoothなどを備えている。モニタ部分は、15.6型のノングレア液晶を採用しており、その解像度はフルHDの1,920×1,080ドットだ。光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブとなっている。

【各種パーツ類】
Intelのモバイル向けCPU、Intel Core i5-4210H。Core i5シリーズはミドルレンジに位置付けされるCPUだ
NVIDIAのモバイル向け最新GPU、GeForce GTX 950M。ゲームをより快適にプレイするためには必須のチップといえるだろう
8GBのPC3-12800のSO-DIMMが1枚搭載されている。本製品ではKingstonのMSI16D3LS1KBG/8Gというラベルが貼られたモジュールが使われていた
SSDは東芝のTHNSNJ128GMCU、HDDはHGSTのHTS721010A9E630が使われていた。SSDの容量は128GBと少な目だが、HDDは1TBと大容量。少ないSSDをHDDでカバーする形だ
Intelの無線カードを搭載しており、最新規格のIEEE802.11acとBluetoothに対応している
光学ドライブは、DVDスーパーマルチドライブだ。本体右側に用意されている
15.6型のフルHD液晶パネルはノングレアタイプ。映り込みがおきづらく、画面が大きなため、ゲームに没頭することができる
液晶パネルの上部には、Webカメラとマイクを備えている
天板にはMSIのGAMING G Seriesのロゴが入っているプレートが貼られている。黒を基調に赤いパーツをところどころに配置することによりアクセントを加えているのがわかる
本体手前には中央部分に各種インジケータのLED、その右にメモリカードリーダーが用意されている
USB 3.0が2つとUSB 2.0が1つ、HDMI端子のほか、金メッキされたオーディオ端子も用意されている
本体右には光学ドライブのほか、USB 2.0ポートが1つとVGA出力用のDsub 15ピンを備えている

タッチパネルはボタン部分に段差がないフラットなタイプ。ゲームプレイ時にはマウスを使うことが多いと思われるが、デザインもよく、子気味よいクリック感がある

 CPUやGPUが、PCの性能を決定付けることを考えると、ここまで紹介してきたスペックからかんがみて、本製品は決してハイエンドクラスのゲーミングPCというわけではなく、ミドルレンジの製品ということがわかる。それは、ストレージにも表われており、大容量のSSDを搭載するわけではなく、HDDでカバーするという形になっている。CPUやGPUの性能は後でチェックするとして、ストレージに関しては運用に少し工夫が必要となるだろう。

 実際筆者もそうなのだが、よく遊ぶタイトルはSSDにインストールし、それほど頻繁にプレイしないものに関してはHDDにインストールしている。こうすることでよく遊ぶタイトルの読み出し性能を上げて、待ち時間を少なくするという趣向だ。SteamやOriginといった、購入したゲームをダウンロードしてプレイできるスタイルと親和性が高く、インターネットからダウンロード購入する時代としては、コストを考慮した上であっているストレージ構成とも見て取れる。

 このように、本製品はミドルレンジのゲーミングPCということがわかる。しかし、ゲーミングPCとして搭載されている機能について見てみると、ハイエンド機と比較しても遜色はない。次はその辺りを見ていこう。

4,400mAhのバッテリ。本機の性能を考えると少ないが、用途を考えると妥当な容量だ。バッテリー駆動時間は約4時間ほど
120WのACアダプタ。GPU搭載の本機は消費電力が高いため、比較的大きめのACアダプタだ

ゲーミングPCとしてのこだわり

 数年前から販売を開始したMSIのゲーミングノートPCだが、その蓄積により、ゲーマーの要求に応えることのできる機能や性能を備えている。とくにゲーマーがこだわるのがキーボードだ。本製品にはゲーマーの間で定評の高い、SteelSeriesのキーボードが採用されている。15.6型という大画面大型筐体を活かし、テンキー付きのキーボードだ。ノートPCとはいえ、ムリのないピッチでキーが配置されており、ストロークやタッチもよく、複数キーの同時押しにも対応している。ソフトウェアによってホットキーの設定を行なうことも可能だ。

 また、光りモノを好むゲーマー向けのギミックとして、Keyboard Light Management(KLM)と呼ばれる機能も持っており、バックライトを好きな色に設定できる。このバックライトはキーボードを2つや3つのエリアに分けて違う色を発光させることもでき、音楽に合わせて光らせるなど多彩な設定が可能だ。実際に使った感想としては、それほど強い光で発光するわけではなく、キーボードの下が光っている感じだ。ギンギンに明るいというわけではないので、暗い中でゲームをプレイしても、画面に集中しているときにはほとんど気にならないおとなし目の光量であった。

【イルミネーションキーボード】
イルミネーションを備えたキーボード。ソフトウェア制御でいろいろな光らせ方をすることができるようになっている

SteelSeriesのマーク。キーボードはゲーマーから評価が高いSteelSeriesのものを採用している証拠だ
独特のファンクションキーの配置だが、使い慣れると違和感はまったくない

 キーの配置に関しても、ゲーマー向けのキーボードやマウスを開発するSteelSeriesとのコラボレーションの結果、ずいぶんと工夫されているように思われる。

 まず、通常は左手前に配置されるWindowsキーがスペースバーの右に配置されている。実を言うとゲーミングPC用のキーボードとしてよく問題になるのがWindowsキーだ。Windowsキーはゲームに利用することがほとんどないキーだが、誤って触れてしまうとWindows 8.1ならスタート画面が表示され、それ以前のOSではスタートメニューが表示される。これはほとんどのゲームがプレイ中でも画面が切り換わり、強制的にゲームが中断されることを意味する。そのため、Windowsキーを無効にする機能などが用意されているキーボードやソフトウェアもあるほどだ。

 GE60 2QD Apacheでは、Windowsキーをスペースバーの右に配置することによって、ミスタッチをなくすようになっている。なるほど、ほとんどのゲームがキーボードの左部分(WASDなど)を左手で使い、右手はマウスを握ることになる。Windowsキーとの組み合わせによるショートカットは多少使いにくくなるが、ゲーム中心でPCを使ったり、それほどWindowsのショートカット使わなかったりする人にとっては、この配置のほうが使いやすく理にかなっている。

 また、一般的なノートPCでは、いわゆる「Fn」キーを組み合わせて使うファンクション機能が通常「F1」キーなどがある最上段のファンクションキーに割り当てられていることが多い。しかし本製品の場合、たとえばカーソルキーの上下左右やテンキー部の「+」や「-」に音量や輝度、コントラストの調整機能が配置されている。これらの配置は慣れていないため、最初はとまどう部分もあったが、実際に使ってみるとすぐに慣れて来て割としっくりくるデザインだと感じた。筆者としては既成の概念にとらわれない挑戦的なファンクションキーの配置として高評価であった。

 また、オンラインゲームのプレイ中に気になるのがLANの遅延だ。最近のOSは使用者が意識していなくても自動的に大量のトラフィックが発生しているため、ユーザーが意図していないところで大容量のファイルをダウンロードしていることもある。たとえばWindows Updateだが、ゲームのプレイ中にこの自動ダウンロードが発生してしまうと、オンラインゲームの場合たちまち不利になってしまう。

 本製品に採用されているLANチップであるKiller E2200シリーズは、ソフトウェア制御でトラフィックをコントロールし、ゲームの通信を優先的に処理する仕組がある。このため、ゲームのバックグラウンドで発生するデータのダウンロードやこまごまとした通信処理を抑え込み、ゲームの通信を優先して最適化し処理することができる。FPSなどのコンマ何秒という短い時間の判断が勝敗を分ける場合、たった数ミリ秒の違いでもゲームのトラフィックを優先的に処理することができれば有利になるだろう。

 高品質なサウンドもゲーマーが求めるポイントだ。本製品にはデンマークのDynaudioと共同開発した4つのスピーカーユニットを搭載しており、ノートPCでも外部接続のスピーカーを使わず臨場感豊かでクリアな音質を楽しむことができる。ヘッドフォンを使用しても、ヘッドフォン向けのアンプにより、ダイナミックなサウンドを楽しむことが可能だ。

ベンチマークで性能をチェックする

 では、ベンチマークを行なって、「GE60 2QD Apache」の性能をチェックしてみよう。

 使ったソフトウェアはFuturemarkのPCMark 8と3DMark。PCMark 8はPCとしての総合的な性能を見るためのもので、3DMarkはグラフィックス性能に特化した性能テストを行なう。また、CPU単体の性能を図るためCINEBENCH R15を利用した。これら3つのベンチマークソフトは、PCを評価する上で割とポピュラーなもので性能を数値化して、ほかのPCとの比較を行なうことができる。その半面、数値化されたポイントのみでは、ある程度ベンチマークの経験や知識がないと、どれほどの性能を持っているのかわかりづらい。

 このため、本稿では、ストレージのテストにCrystalDiskMark、ゲームの快適度を測るために「『ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア』ベンチマーク キャラクター編(FFベンチ)」と「バトルフィールド 4」を利用した。CrystalDiskMarkは、ストレージへのアクセス状態別に、1秒間に何MBのデータをやり取りできるかを調べることができる。「FFベンチ」は、ベンチ結果こそ独自のポイントと言う数値で表示されるものの、それと別に快適度が提示されるようになっている。「バトルフィールド 4」はベンチマーク機能を備えていないが、Frapsという、フレームレート(1秒間に何回描画が行なわれているかを示すもの)を計測するユーティリティソフトを利用した。

 ベンチマークにあまり詳しくない場合には、PCMark 8や3DMark、CINEBENCHの数値だけをチェックしてCrystalDiskMarkまで飛ばしてしまってもよい。本製品のレベルの場合、どれくらいのポイントが出るのかだけ知識として記憶しておけば、今後同様の記事でベンチマーク結果を見た際に、比較を行なえるようになっていくだろう。

 逆に、PCMark 8や3DMarkなどに一定の知識があるのなら、ベンチ結果にあるリンク先をクリックして開いてみてほしい。そこには、ベンチマーク内の各テストの結果の詳細が表示されており、より深い考察ができるはずだ。

PCMark 8

 上に書いたとおり、PCMark 8はシステム全体の性能を計測するソフトだ。どちらかと言うとバランスを重視した計測を行なうため突出した機能を持っていても、それほど大きな数字の変化として現われない。全体としてバランスが採れているPCが高ポイントをマークできると考えてもよいだろう。本製品で計測した結果は3,192ポイントであった。現行の最新デスクトップPCでは4,000~6,000ポイント、ハイエンドクラスゲーミングノートPCでは4,000~5,000ポイントの結果が出るので、それらと比較すると低い数値だ。しかし、3,000ポイント以上をマークしており、一昔前のデスクトップレベルの結果だ。このため、ノートPCとしては十分な性能があるという見方ができる。

テスト項目数値
PCMark 83,192

詳細はクリック

3DMark

 次に行なったのが3DMarkというベンチマークソフト。このソフトはグラフィックス機能の性能を見るためのものだが、1番処理の重いゲーミングPCの性能をテストするのに適切なのがFire Strikeという項目だ。Fire Strikeでは、DirectXなどを使ったGPUに高負荷がかかるものだけでなく、Physicsと言うCPUもフルに使う物理演算処理、また、この2つを同時に行なうCombined Testといったテストが行なわれる。

 結果の3,220というポイントはゲーミングPCとしてはそこそこの性能だ。デスクトップ向けのハイエンドGPUを搭載したPCでは、5,000~6,000辺りのポイントが出るのだが、それと比較した場合にはかなり低い。しかし、GPUチップを搭載していないCPU内蔵のグラフィックス機能を利用した場合、デスクトップPCでも1,000ポイントに満たない結果となるテストだ。ノートPCではゲーマー向けをうたっていない限り、通常はCPU内蔵のグラフィックス機能しかない。本製品ではノートPCでありながらGeForce GTX 950Mが搭載されており、一般的なノートPCと比較すると非常に高性能だ。

テスト項目数値
Fire Strike3,220
Sky Diver9,328
Cloud Gate10,472
Ice Storm49,229

詳細はクリック

CINEBENCH R15

 CPU性能を見るのによく使われるのが、このCINEBENCHだ。3D画像を描画するレンダリングを行ない、CPUの処理能力をテストする。結果のCPUはCPUの性能をフルに使ったマルチコア処理の結果で、CPU(Single Core)はCPUをシングルタスクで動作させ、コア単体の計測結果だ。

 本製品での計測結果はCPUが325、CPU(Single Core)が95だ。ノートPCとして見た場合には一般的な結果でミドルレンジのCore i5を搭載していることを考えると納得の結果だ。

テスト項目数値
CPU325
CPU(シングルコア)95

CrystalDiskMark

 CrystalDiskMarkはストレージの読み書きの能力をテストするためのベンチマークソフトだ。そのソフトでは1秒間に何MBのデータを読み書きできたか調べることができる。
 結果として、SSDは現行の一般的な性能を持ったものだということが分かった。やはりSSDは読み書きの速度が速い。HDDと比較すると一目瞭然だ。やはりよく遊ぶゲームタイトルはSSDにインストールしてプレイしたい。HDDの速度は読み書きが130MB/s~140MBとノートPCとしては高い結果が出た。これは高速な7,200rpmのHDDを採用していることが影響しているのだろう。

OSの入っているSSDのベンチ結果。やはり性能は高い。よく遊ぶタイトルは、SSDにインストールしたいところだ
SSDに入りきらないゲームタイトルはHDDにインストールするとよいだろう。また、ファイルの保存など、読み出し速度を要求しないファイルの保存先に指定しておくのもよい

「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」ベンチマーク キャラクター編

 FFベンチは人気の国産MMORPGのベンチマークで、プレイ前の動作とプレイのための適切な処理能力を持っているかを確認するためのソフトウェアだ。結果は点数で表示されるが、快適度も一緒に表示されるため、ベンチマークに詳しくなくても理解しながら利用することができる。

 ベンチマークは負荷を調整することができるようになっており、負荷の高い最高品質から順に、3つのプリセットを利用してテストしてみた。

 結果は、すべて5,000オーバーで、最高品質で「とても快適」、高品質(ノートPC)では7,000オーバーを記録し「非常に快適」とのお墨付きを得ることができた。グラフィックスの美麗さで言うと、すでにカジュアルゲームに位置付けされつつある負荷レベルだが、最高品質の描画処理を行なっても、問題なくプレイできる性能があることがわかる結果だ。

テスト項目数値
最高品質5,289(とても快適)
高品質(テスクトップPC)5,438(とても快適)
高品質(ノートPC)7,205(非常に快適)

「バトルフィールド4」

 世界中に多くのファンを抱えるFPSの人気タイトルがこの「バトルフィールド 4」だ。ある程度のグラフィックス性能がなければプレイするのがつらいレベルの推奨環境を要求しており、描画負荷が高い。

 計測はキャンペーンの再プレイでTASHGARを開始。主人公たちが車で移動しているシーンで行なった。フルスクリーンのフルHDで平均フレームレートを1分間計測している。「バトルフィールド 4」には、描画設定のプリセットがあるため、そちらを利用。「最高」、「高」、「中」、「低」の4つの平均fpsを計測した。

 結果としては「高」で37.363fps、「低」で59.65fpsだ。FPSはアクション性が高いため、平均フレームレートで言うと、60fps近辺が望ましい。30fpsを超えていれば、プレイ可能と考えることもできるが、一時的なフレームレートの落ち込みを考えたり、キビキビとした動作を望んだりする場合には厳しいところだ。「最高」では24.413fpsと30fpsを大きく下回っているため、ある程度快適にプレイするためには「中」、あるいは「低」まで設定を落とす必要があるだろう。

 最高
テスト項目24.413fps37.363fps49.833fps59.65fps

コストパフォーマンスは高い

 ベンチマーク結果を見ると、本製品のゲーミングPCとしての性能は、それほど高いものではないことがわかる。しかし、カジュアルゲームをプレイするには十分だし、高負荷のかかるゲームでも、少し設定を落とせばプレイできるというのも見て取れる。

 最初に仕様で挙げたとおり、性能に大きく影響するCPUやGPUなど、本製品に搭載されているパーツはハイエンド製品ではなくミドルレンジのものが使われている。そこから見ると、本製品のコンセプトはカジュアルにゲームをプレイするレベルであれば十分な性能を持ち、高負荷のゲームでも設定を落とせばプレイできるというものだろう。

 本製品の価格設定は16万円前後。ハイエンドゲーマーに向けたものではなく、ライトなゲーマーに気軽にプレイしてもらうことを意識した製品なのだろう。ゲーミングPCといえばハイエンドのものも多く、20万円や30万円のクラスも多数あるなかで、ゲーマーが必要とする機能を押さえながら、この価格帯で製品化されているのは大きな特徴の1つだろう。そう考えるとコストパフォーマンスは優秀で、オールインワンのノートPCという強みも見えてくる。モニタ一体型の本製品であれば、通常のモバイル利用とまではいかなくとも、友達の家に持ち込んでプレイすることが可能だ。この特徴を踏まえると、ハードコアゲーマーのセカンドPCとして持ち運んでゲームをプレイするという用途も見えてくる。

 本製品はハイエンドのゲーミングノートPCとは言えないが、一般的なPC用途で考えた場合には高性能なシステムだ。テンキーを備えフルHDの液晶パネルを搭載しているため、ビジネス文書の作成やインターネットの閲覧、メール処理、写真管理などなど、通常用途であれば必要十分以上の性能を持っている。にもかかわらず、比較的安価でコストパフォーマンスが高いのだ。「GE60 2QD Apache」は、ゲームを含めて1台のPCですべてをすませたいライトゲーマーにとってはぴったりな製品。そしてハードコアゲーマーの持ち運び用のセカンドPCとしても使える2つの面を持ったノートPCというのが筆者の結論だ。

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(山本倫弘)