(2012/12/28 18:00)
2010年にプレイステーション 3用ダウンロード専用タイトルとして配信された「マリシアス」が、多数の追加要素を搭載してPS Vitaに「マリシアス リバース」として登場した。本作は強大な力を持つボスと、様々な形状や能力を持つマントを武器に戦うアクションゲーム。“フィールドに入ったら即ボス戦”という手軽な作りながら、本格的で歯ごたえのあるバトルを楽しめる。PS Vitaに登場してさらにパワーアップした要素を中心に、レビューしていこう。
― 「討伐編」Story ―
「予言者」によって「討伐者」として、
この世界に呼び出されたプレーヤーは、
まもなく訪れるという災厄「マリシアス」の
討伐を依頼される。
かつて「予言者」から与えられた力を
我が物にし続ける「狂王」と臣下達を倒し、
自らの能力を強化しなければ
「マリシアス」を倒す事はできないという。
― 「再誕編」Story ―
異界より呼び出されし魂を依代である「魂の器」に宿すという方法で
新たに生み出された「討伐者」。
彼の者の活躍により、大いなる災厄「マリシアス」は退けられ、
世界の危機は終わりを告げた……。
しかし、狂王亡き後の世は再び混迷を極めていた。
疲弊した王国を巡って、
各地で繰り広げられる四人の王達による熾烈な争い。
その激しい戦火によって、世界には再び負の感情が満ちていく。
そして、それは「マリシアス」の再誕を意味していた。
この事態を危惧した予言者達は、再度討伐者を目覚めさせ、
戦乱を繰り広げる四人の王の討伐と新たな使命を依頼する。
新エピソード&新ボス、新アクションが加わって、さらに楽しめるようになった3Dアクション!!
PS Vita「マリシアス リバース」は、表記上は「PS3版に追加要素が加わった」という表現になってはいるが、実際はPS3版のストーリーであった「討伐編」とPS Vita版での新ストーリー「再誕編」の両方が収録されており、“PS3版も丸ごと入っている”という表現のほうがしっくりくる。全体のプレイボリュームとしても、PS3版の2倍以上でフルに楽しめる内容量だ。
プレイの基本的な流れは、「白の間」という場所から強大な力を持つ「力の保持者」がいるフィールドを選び、フィールドに入るとすぐ目の前に力の保持者ことボスが現われる“全編ボスバトル”な作り。ボスとの戦闘中には従者の敵もワラワラと大量に現われ、それらボスと雑魚を同時に相手に、激しい戦いを繰り広げる。
ボスは。「討伐編」では5人の力の保持者、「再誕編」では4人の王+αが待ち受けている。いずれも強大で、「再誕編」の新ボスは巨獣を手足のように操る「獣の王」や、双子で2人同時に襲ってくる「雙の王」など、さらにバリエーションが豊富になった。
対するプレーヤーのキャラクターは、謎めいた「予言者」に召喚された、人型をしている“魂の器”。身につけている「灰の外套」というマントが、巨大な「拳」、「剣」、「槍」、「魔弾」といった様々な武器になる。マントの能力は方向キーで瞬時に変更可能で、ボスに対してどの武器で戦うのか距離や動きに合わせて使い分けるのが醍醐味だ。
マントは、最初は魔弾という弾を撃ち出す武器と拳の2種類しか使えないのだが「力の保持者」を打ち倒すことでその力を奪い、「拳(強化)」、「剣」、「槍」といった武器や、飛行能力、盾の能力などを手に入れていく。どの順番で「力の保持者」に挑むのか、能力を手に入れるのかも攻略のカギになっている。ちなみに後回しにしたボスはどんどんと強くなっていくという仕組みになっているので、そこも攻略のポイントになっている。
今作では「再誕編」の王を打ち倒すことでそれら4種類の攻撃能力がさらに強化される。魔弾の能力は「魔針」というガトリングガンのように魔弾を撃てるように、槍は相手を投げたり引き寄せたりする「鞭」に、剣は巨大なハンマーになる「鎚」に、拳は鋭く切り裂く「爪」へ。新たな能力は使いどころの難しいものもあるものの、それだけにいずれも強力で爽快感抜群!!
フィールドは広く、空中にも広がっている空間になっていて、多段ジャンプ(能力を獲得すると最大6段ジャンプ可能)やマントを翼にしての飛行も可能。空間をフルに使ってボスと戦っていく。攻撃方法や移動アクションが多彩なので、様々なプレイスタイルができるのも魅力だ。
なお、PS Vitaにて登場したということで、操作はPS3版とは一部異なっている。PS Vitaならではの操作であるタッチ操作も加わっていて、例えば、鞭の能力はPS Vitaの前面タッチパネルで狙う敵をタッチして放つし、飛行やダイブも画面右端のボタンをタッチする方式。タッチ操作には最初は少し慣れが必要だが、飛行やダイブは画面右端にタッチがレイアウトされているので、□/△/○/×ボタンの延長として親指で触れるようになっている。
プレイのポイントになるのは「オーラ」というシステムだ。オーラは雑魚敵を倒すと手に入り、強力な攻撃と、器の回復に使用する。攻撃では、Lボタンを押しながら攻撃する「オーラアタック」で敵により大きなダメージを与えられるし、Lボタンと×ボタンを長押ししての「オーラ解放」で攻撃力と防御力が一時的に高めるのも重要なテクニック。ただし、解放中はオーラが消耗し続けるので、一気にたたみかけるような時の切り札的なアクションだ。
もう一方の回復だが、プレーヤーである“魂の器”は、攻撃を喰らうと器が破損してしまう。一定量のダメージを喰らうと脚や腕が破壊されていき、最後には全身が砕け散ってゲームオーバーとなる。そんな破損箇所を、Lボタンと○ボタン同時押しでオーラを消費して直すというわけだ。損傷箇所が多くなると直すのに必要なオーラ量も時間も増える。こまめな修復が重要だ。
戦闘の流れとして、雑魚敵をうまく倒してオーラを貯め、それを放出しながらのオーラアタックや、オーラ解放からのラッシュでボスにダメージを与えていく。ダメージを喰らって器が損傷したら、距離を取って修復していく、というものになる。修復をこまめに行なっていけばゲームオーバーにはならないので、プレイになれるまでは慎重に立ち回るほうが上達しやすいかもしれない。
上達という点では、本作は防御テクニックも重要だ。○ボタンでマントを盾にしての「防御」、○ボタンを押しながら左アナログスティックを入れると「回避」ができる。敵の攻撃をタイミングよく防御した時にはオーラも獲得できるので、ピンチには防御重視から回避で距離を取って器の修復に意識を向けたほうが上手くいくと思える。
慎重さがプレイのコツと書いているのは、本作の難易度がなかなかに高いためだ。バトルの歯ごたえもさることながら、やられてしまった時にコンティニューできる回数は、「討伐編」と「再誕編」のエピソードそれぞれで3回まで(プレイを重ねると最大9回可能にもなる)。
そのため、序盤のボスで何度もやられコンティニューを消費しすぎると、後半のボスでコンティニューできなくなり、タイトル画面からのリトライを何度もして挑むか、エピソードを最初からやり直すかの選択を迫られることになる。プレイデータはもちろんセーブできるし途中から再開もできるが、あくまでコンティニュー回数は決まっており、途中で増えないこの作りは、古風なアクションゲームのスタイルを“あえて”取っていると感じさせる。
ゲームプレイの感触はというと、最初は敵からどういう攻撃を喰らっているのかが把握しづらいところがあって、気がつくと結構なダメージを負っていることがあるので、とっつきは少々悪いかもしれない。上記に書いたように防御を重視して敵を見るようにすると、だんだんと理解できるようになっていく。最初はそうした意味でも難易度が高めに感じられるゲームだ。
だが、コツが掴めてからはチャンスにいかに攻撃を叩きこんでいくかに集中できるようになっていき、「多彩なアクションを使いこなしていかに攻撃を決めていけるか?」という点に魅力を感じてくるようになった。本作にはコンボの途中で武器チェンジを混ぜるような切替コンボもあり、攻撃方法は「再誕編」で手に入る強化攻撃が加わってさらに多彩になっているので、戦い方を模索し、上達していく魅力もより高まっていると感じる。
また、ボスの特定の攻撃に反応してボタン操作をすると、演出シーンの入る「カウンターアタック」が発動する要素も健在だ。プレイに慣れて上達してくれば、雑魚敵をなぎ倒してオーラをどんどん獲得し、ボスの攻撃をジャストガード。そこからカウンターアタックを決め、そのチャンスを逃さずにボスへコンボラッシュをたたき込めるようになっていく。
さらに今作では、プレイが進むとオーラ解放のさらに上の能力を解放する「秘められた力の解放」という能力もある。これは、攻撃の威力と速度が大幅に上がり、ダメージを受けるとオーラが削られるようになるというもので、こちらも爽快感抜群のとっておきな要素。こうした要素も加わりさらに遊びこめるゲームになったな、と感じられた。
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