8月30日、株式会社マーベラスAQLからニンテンドー3DS「閃乱カグラ Burst -紅蓮の少女達-」が発売された。昨年発売された「閃乱カグラ -少女達の真影-」に続く、シリーズ第2弾だ。
弊誌でこれまでに掲載してきた記事や「爆乳ハイパーバトル」というジャンル、CERO Dという点などから、お色気ばかりに重点の置かれたゲームと思われるかもしれないが、遊んでみるとアクションパートだけとってもかなり楽しめるゲームに仕上がっている。
早速、どんなゲームになっているのか紹介していきたい。
■ 前作で敵役として登場した秘立蛇女子学園に所属する悪忍の少女たちの物語!
光あるところに影がある。これすなわち、陰と陽の理なり。 そして……影の中にもまた陰と陽が存在する。 その陰の存在であるのが、 ……悪忍 世を影から支える忍びの中でも、陰に属する者たちのことだ。 悪忍は大企業や政治家などから仕事を請け、 暗殺や破壊活動などの違法行為を厭わず任務を遂行する。 同じ忍でも国家に所属する善忍とは対極の存在である。 悪忍は負の存在だ、と言う者がいる。 しかし……善忍と悪忍。立場の他に違いはあるのだろうか。 善忍ができないことを悪忍が行ない、悪忍ができないことを善忍が行なう。 どちらも世界の動きを影から支えていることに変わりはない。 秘立蛇女子学園 「悪は善よりも寛大である」という理念を掲げ、 悪忍のみを養成している学園だ。 修行は凄烈を極め、死傷者が出ることもある。 それでも学園から候補生の姿が消えることはない。 なぜなら、陽に背を向ける者は、影の中でしか生きられないからだ。 これより始まる物語は、悪忍であることを選んだ忍学生の戦いの軌跡である。 少女たちは、何を思い、何と戦ったのか。 悪を選んだ者たちが辿る紅蓮の道は、果たしてどこに繋がっているのか。 それはまだ誰にもわからない。 |
シリーズ第2弾となる本作では、前作で敵役として登場した秘立蛇女子学園の少女たちが主人公となる。“閃乱カグラ2”としてないのは、物語の時系列的に前作の続きではなく、同じ時系列で秘立蛇女子学園の物語が描かれているからであろう。彼女たちがどのようにして出会い、絆を深めていったのか、ファンにはたまらないストーリーになっている。とはいえ、別の人物の視点で全く同じ物語が描かれているだけかというと……それはプレイして確認してもらうのがいいだろう。
前作での敵役ながら、本作では主人公となっているだけあって秘立蛇女子学園の少女たちは魅力溢れる人物ばかり。彼女らのCVも人気、実力を兼ね備えた声優陣が務めている。(以下敬称略)
前作の主人公である国立半蔵学院の面々など、ここで紹介した以外にも豪華キャストが演じる数多くのキャラクターも登場する。さらにゲームとは直接関係ないが、TVアニメ化も決定。詳しくはTVアニメ「閃乱カグラ」公式サイトをご覧いただきたい。
■ 簡単な入力で多段コンボが生み出せるハイスピードアクション!
プレイしたことはないが、なんとなくタイトル名は知っているという人の多くは、お色気中心のゲームというイメージがあるのではないだろうか。確かにコスチューム破壊や変身演出など、お色気要素を期待している人を裏切らない内容にはなっている。だが、プレイしてみるとアクションパートが本格的であることもわかるはずだ。
バトルシステムを紹介する前に、簡単にゲームの流れを紹介しておきたい。まず、学校の選抜メンバー専用ルームが拠点となる。ここでは任務の選択やキャラクターの交代などが行なえる。任務を選択すると、章で区切られた任務一覧が表示される。任務の中で鍵が付いているものがストーリー進行に関わるもので、さらにキャラクターの顔がある場合は、そのキャラクターでプレイする任務となる。
任務を選択すると、ノベルパートやアドベンチャーパートでストーリーが進行し、アクションパートがスタート。アクションパートをクリアすれば任務達成となる。
物語をより深く楽しめるノベルパート。キャラクターのセリフ部分はボイスが再生される | アドベンチャーパートでは、キャラクターが登場し、フルボイスでの会話が繰り広げられる | アクションパートでは、キャラクターを操作し、任務達成を目指す |
2度目以降の任務では、開始前にイベントをスキップするかが選択できるため、同じ任務への複数回の挑戦がスムーズに行なえる。初回プレイでもイベントスキップは可能になっているなど、あらゆるプレーヤーが快適にプレイできるよう想定された設計になっている。
大抵の場合、任務達成の条件は出てくる敵を倒していけばOKと非常にシンプル。制限時間や特定のアイテムを取得するといった任務も一部あるが、このケースであっても敵を倒し、進んでいけば自然と任務は達成できる。体力がなくなったり、制限時間内に任務達成条件を満たせないと失敗となってしまう。
ここからはバトルシステムについて触れていく。キャラクターの移動はスライドパッド、十字ボタン。Bボタンでジャンプや空中受け身。Yボタンで弱攻撃、Xボタンで強攻撃など、操作系は至ってシンプルで複雑なコマンド入力は一切必要ない。スピード感溢れるバトルになっているが、操作が簡単なので、早い展開にもついていきやすい。
○ 弱攻撃/強攻撃/強襲攻撃
Yボタンの弱攻撃、Xボタンの強攻撃。これが基本かつ最も多く使う攻撃手段となる。画面下に表示できる技表では、Y→Y→Yといった技の繋がりが記されており、その通りに入力すれば連閃(コンボ)になる。ジャンプ中の攻撃も可能だ。さらに空中での↓+Xボタンでは、下方向への強襲攻撃が繰り出せる。
Y/Xボタンの組み合わせだけで簡単に連閃を決めることができる。空中で↓+Xボタンを入力すると下方向への強襲攻撃となる |
○ ショートダッシュ/ダッシュ/空中受け身
Aボタンはショートダッシュ。無敵時間+攻撃判定有り、地上でも空中でも使える優秀な移動・攻撃手段。ボタンを押しっぱなしにすればダッシュとなり、長距離移動の際に役立ってくれる。
一定時間攻撃をヒットさせられないと連閃数はリセットされてしまうが、ショートダッシュを使えば、素早く間合いを詰めつつ、攻撃をヒットさせることができるため、連閃を継続させやすい。無敵時間を活かし、敵に囲まれた際の回避手段としても有効だ。
Aボタンは空中受け身にもなっているので、攻撃を受けて吹き飛ばされてしまった場合であっても、Aボタンで受け身を取り、再度Aボタンを入力してショートダッシュを繰り出して攻撃を当てて連閃を繋げるといったこともできる。
また、技表のボタンに緑枠が付いている技をヒットさせると敵が吹き飛び、そこでAボタンを入力すると吹き飛んだ敵を追尾する。続けてYボタンなどを入力すれば、空中で連閃を決める「飛翔乱舞」が繰り出せる。例えば、地上でY→Y→Y(緑枠)ボタンで敵を吹き飛ばし、Aボタンで追尾、Y→Y→Y→Y→Yで飛翔乱舞を決めるといった具合だ。
ショートダッシュ、飛翔乱舞のための追尾をしてくれるAボタンをいかに使うかが攻略の鍵となっている。バトルの展開は速いが、技表で緑枠の付いている打ち上げタイプの技のヒット時には緑色の円の表示+専用のSEが鳴るので、入力タイミングはわかりやすく、受付時間にも余裕有り、一見難しそうな飛翔乱舞ながら、簡単にできるよう設計されている。また、浮いて無防備になった相手に一方的にダメージが与えられることに加え、空中では敵からの攻撃を受けづらいという大きなメリットもある。
技表には通常攻撃(地上用)、飛翔乱舞(空中用)と技の繋がりが記されている。最初は少ない段数だが、任務を達成し、昇段していくことなどで技は増えていく |
地上での連閃→追尾→飛翔乱舞を決めていくのが理想。Y→Y→Y→A→Y→Y→……など、最初にできる飛翔乱舞を絡めた連閃は簡単なものになっているのですぐに実行できるはず。特定の条件を満たさない限り、回数に限りはあるが、飛翔乱舞からさらに飛翔乱舞へと繋げることもできる。空中でもAボタン入力のタイミングは緑色の円で表示されるのでわかりやすい |
○ 忍転身/秘伝忍法
敵を攻撃し、忍法ゲージ(体力ゲージ下に表示)がたまると、Lボタンで忍転身が可能。忍転身をすると専用演出が入り、制服から忍衣装へとコスチュームが変わる。単純に外見が変化するだけでなく、次に紹介する秘伝忍法の使用条件にもなっている。
忍転身は秘伝忍法を使うためにも必要だが、体力が全快する効果があるため、ゲージがたまっても制服(通常状態)で戦い続け、危なくなったら忍転身という使い方ができる。
忍転身状態でさらに忍法ゲージをためれば、1ゲージを消費し、秘伝忍法1(L+Yボタン)が発動できる。さらにゲームを進めていくことで、より強力な2ゲージ消費の秘伝忍法2(L+Xボタン)、1ゲージ消費の空中秘伝忍法(空中でL+Yボタン)が使えるようになる。
大ダメージを与えたい場合や一気に敵を倒したい場合に活躍する秘伝忍法。地上や空中での連閃としても組み込める優秀な技だ。敵を攻撃していけば、忍法ゲージはかなり早いペースでたまっていくので結構な頻度で使えるように調整されている。キャラクターにより、攻撃範囲、方向、威力などは異なるが、秘伝忍法を入力してから十字ボタンやスライドパッドで発動方向が切り替えられる点でも使い勝手がいい。
○ リミットブレイク
Rボタンでは、周囲の敵を吹き飛ばす高威力のリミットブレイクが発動。敵の攻撃を受けている間でも使用可能ながら、体力の10%を消費してしまう。
発動中はダメージを受けずに敵を吹き飛ばせるリミットブレイク。囲まれて攻撃を受けた際の緊急回避にはコレだ。リミットブレイクでの攻撃で忍法ゲージがたまる点でも使いやすい。また、地上だけでなく、空中でも使用できる。
○ 命駆
任務開始時にL+Rボタンを入力すると命駆(いのちがけ)という特殊な状態で任務に挑戦することができる。
制服を脱ぎ捨てて戦う命駆は、防御力が下がる分、攻撃力のアップするリスキーなスタイル。すぐさま敵を倒せる代わりに、攻撃を受けてしまうと一気に体力がゼロになってしまうなんてことも。この命駆は後述の陰陽変華に関わるシステムにもなっている。
■ 任務を達成していくことでキャラクターは成長!陰陽変華という戦闘スタイルが変わるシステムも搭載!
本シリーズには、様々なゲームでお馴染みの経験値を蓄積させての昇段(キャラクターの成長)に加え、陰陽変華という戦闘スタイルが変化するシステムを搭載している。
○ 昇段
任務を達成し、経験値をためると昇段し、キャラクターの体力、攻撃力、防御力などがアップ。繰り返しプレイすればキャラクターが成長し、ゲームを有利に進められるようになっている。クリアできないミッションがあっても、同じミッションを何度もプレイし、キャラクターを成長させれば、誰でもクリアできるほど昇段による成長は大きい。ちなみに、段位上げをしないとゲームが進められないような難易度にはなっていないので、アクションが得意であれば、何度も同じミッションをプレイすることなく全任務を達成することができるだろう。
連閃数を増やしていくほど、得られる経験値は増えるので、連閃を切らさないようにプレイし、段位を上げていきたい。地上での攻撃→飛翔乱舞など、連閃数は簡単に稼げるし、連閃が繋がる猶予も長めなので、慣れてくれば3桁の連閃も簡単に実現できる。また、昇段はアクションパート中でも発生し、昇段すると体力と忍法ゲージが最大まで回復してくれる。
○ 陰陽変華
昇段とは別に陰陽変華という成長システムがある。これは陰/陽属性熟練度ゲージを最大までためることで陰/陽乱属性が身につき、戦闘スタイルが変化するもの。陰属性熟練度ゲージは命駆状態で、陽属性熟練度ゲージは制服のままや忍転身状態で戦うことでたまっていく。
陰乱属性は、攻撃力がアップする分、防御力がダウン。連閃最終段が浮かせ技でなくなり、飛翔乱舞へ繋げることが少し難しくなる。そのため、ボタン連打で飛翔乱舞を決めている場合、とっつきにくさを感じるかもしれない。飛翔乱舞が使えないと、攻撃中であっても攻撃対象から外れている敵からダメージを受けやすく、さらに防御力が低いため、あっという間に体力がなくなってしまうなんてことになりかねない。きっちり入力することを心がけ、ショートダッシュやリミットブレイクを駆使して被ダメージを抑えたい。ただ、やられやすい分、その攻撃力の高さは圧倒的。堅い敵であっても一気に体力を削ることができる。
陽乱属性は、安定の正統派スタイル。のけぞりが発生しづらいため、攻撃が止められにくいし、攻撃範囲が広くなるので敵の攻撃を受ける前にこちらの攻撃をヒットさせやすい。また、忍法ゲージがたまりやすくなることから、秘伝忍法も多用できる。
【陰乱属性】 | 【陽乱属性】 |
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連閃最終段に浮かせる効果がなくなるが、連閃が無限にできる ※最終段になくなるだけなので、浮かせてからの飛翔乱舞は可能 | 浮かせ技が増え、攻撃範囲が拡大 |
攻撃力が7.5倍、防御力が1/10 | 敵の攻撃でのけぞりにくくなる |
ショートダッシュ中の無敵時間が延長 | ショートダッシュにスピードアップ効果が追加 |
リミットブレイクの体力消費がゼロになるが、連続して発動できない | 忍法ゲージがたまりやすい |
陰と陽、それぞれ特徴のあるスタイルだが、両方の熟練度ゲージをためることができるかと言われれば、それは可能。両方の熟練度ゲージをためることで新たなスタイルを使えるようになる。前作のプレーヤーはご存知だろうが、こちらは実際にプレイして、どのようなスタイルか確認してもらいたい。
■ 前作「-少女達の真影-」のストーリーを丸ごと収録!本作で追加された要素が組み込まれた前作がプレイできる!
蛇女子学園の少女たちが主人公の蛇女編に加え、なんと前作「-少女達の真影-」のストーリーである半蔵編を丸々収録。蛇女編、半蔵編共に70クエスト、計140クエストという驚くほどのボリュームがプレイできてしまう。さらに空中秘伝忍法といった本作で追加された要素までもが組み込まれている。
ボリュームもさることながら、前作のストーリーを丸々追えるというのは、前作未プレイな人にとっては特にありがたい配慮だ。プレイした人にとっても、新アクション、コスチューム破壊演出、更衣室3D立体視など、本作で追加された要素が組み込まれ、生まれ変わった前作がプレイできるのは歓迎なのではないだろうか。
本作を購入すれば、前作「-少女達の真影-」までもが遊べてしまう。単なる移植ではなく、本作で追加された要素が組み込まれた新たな「-少女達の真影-」となっている |
■ 最後に
セクシーさを前面に押し出している印象のある本作。その要望に対して裏切らない要素がたっぷり詰め込まれているし、前作に比べ、大幅にパワーアップしていることも確かだ。ただ、プレイしてみると良く出来たバトルシステムであることがわかる。難しいコマンドは必要なく、ボタンを押していくことで連閃が決められ、浮かせるタイプの技を当てた際には専用の表示やSEがあるため、飛翔乱舞も簡単と、手軽に爽快感が得られる。徐々に技が追加されることでスムーズにステップアップできるし、陰陽変化といったスタイルが変わるシステムも面白い。アクション性が高く、難易度変更はないが、昇段によるキャラクター成長があるため、プレイを重ねれば全任務達成が難しくないのもアクションが苦手ながら本作をプレイしたい人にとっては嬉しい所だろう。
少し気になったのは、1任務のプレイ時間は短く、頻繁に拠点→任務と繰り返すことになることもあり、任務選択からゲーム開始までの5~10秒程度のロード時間が少し長めに感じてしまうところだろうか。この点は人により長くも短くも感じるかもしれないが、ロード画面にTipsやキャラクター紹介などがあれば、待たされているのを感じなかったかもしれない。
キャラクター成長、陰陽変化以外にも、各任務でのプレイ内容の評価(優や秀など)や称号といった継続して遊べる要素もきっちり収録。称号はPS3でいう所のトロフィー、Xbox 360でいう所の実績にあたるシステムで、倒した敵の数、連閃数、キャラクターの成長などに応じてアンロックされる。中でも難しいのは、ちょっとした攻撃でもさっくりと体力がなくなる命駆での全任務達成だろう。こちらに対しては特別な条件で使えるようになるキャラクターを用いればクリアは容易になるよう調整されている。アクションが得意でなくても達成できるだろう。もちろんアクションが得意というなら、低段位の通常キャラクターで挑戦すれば、かなり歯ごたえのあるバトルが楽しめる。
オリジナルストーリー、新要素に加え、前作まで遊べてしまう、かなりお得な本作。前作ファンは言うまでもないが、たっぷりアクションゲームを遊びたい!という人にもオススメしたい。
(2012年 9月 4日)