新感覚リズムゲームがiOSに登場
- ジャンル:
- リズムアクション
- 発売元:
- プラットフォーム:
- iPad
- iPhone/iPod touch
- 価格:
- 発売日:
- 2011年3月9日
- プレイ人数:
- 1人
株式会社セガのiOS用リズムアクション「ミクフリック」(以下、本作)が、3月9日よりApp Storeにて配信された。
同社からはこれまでにもPSP「初音ミク -Project DIVA-」(以下、「Project DIVA」)シリーズなど、さまざまな初音ミクをモチーフとしたリズムゲームがリリースされているが、本作では新たにiOSをプラットフォームにしており、ボタンを押す代わりにタッチパネル上で指先を滑らせる、フリック入力で操作を行なうのが最大の特長となっている。
リズムアクションゲームにおいて、フリック入力で果たしてどれほどの入力が行なえるのかについては、これまでにあまりない内容のため、興味深く思っている読者の方も多いのではないだろうか。そこで、本稿ではフリック入力で操作することによって、本作がどのようなプレイ感覚のリズムアクションゲームになっているかを中心に、本作の内容と魅力についてファーストインプレッションとして紹介していこう。
■ リズムゲームのルールは単純明快!
画面中央を流れてくる歌詞の特定の文字をフリックするだけ!
画面中央には右から左に歌詞が流れてくる歌詞レールが表示されており、左端のサークルに入った瞬間に、画面下のフリックパネルでタイミングよくフリック入力すればいい。画面左下にあるマイクゲージがなくなるとゲームオーバー。画面右上にはスコアが表示されている |
まずは、App Storeからダウンロードする必要がある。アプリの容量が1GB弱と結構大きめのため、ダウンロードとiOS端末へのインストールに合わせて、筆者の環境だと40~50分程度はかかってしまった。購入を予定している人は、まずiOS端末の残り容量や、安定したブロードバンド環境があるかどうかを確認していただいたほうがいいだろう。
インストールが終わったらいよいよゲームスタート。「セ~ガ~♪」、「ミクフリック!」という声とともに、タイトル画面が表示される。システムボイスを担当しているのは、「Project DIVA」シリーズでもおなじみ、初音ミクの声を担当した藤田咲さんだ。
タイトル画面をタップすると続いてメニュー画面が表示され、“RHYTHM GAME”、“PV”、“OPTIONS”の3つが表示される。それぞれをタップすると、歌に合わせて歌詞を入力するリズムゲーム、リズムゲームでクリアした曲のPV、BGMやSEの音量を調節したり、右手と左手のどちらで入力するかを選ぶことでプレイ画面の配置を変更したり、ヘルプ・クレジットなどを見ることができるオプションの、3つのモードを選択できる。
いよいよ、メインといえるリズムゲームについて紹介していこう。最初に選択できる楽曲は、「恋スルVOC@LOID」(Music and Lyrics by by OSTER project)、「moon」(Music by iroha(sasaki) / Lyrics by はっか+iroha(sasaki))、「ワールドイズマイン」(Music and Lyrics by by ryo)の3曲。いずれも有名な曲なので、ボーカロイド楽曲に興味のある方なら1度は耳にしたことがあるのではないだろうか。選択できる難易度はEASYとNORMALとなっており、☆1個~3個の比較的簡単な部類に入っている。
「Project DIVA」シリーズをプレイしており、これらの楽曲をよく知っている筆者はまずは「恋スルVOC@LOID」をNORMALでプレイ開始。するときれいなライティングがほどこされたステージ上でダンスをしながら歌う初音ミクが表示されるとともに、画面左下にはスタンドマイクの形をしたマイクゲージが表示された。また、画面中央の歌詞レール上を、曲に合わせて歌詞の文字が右から左に流れてきており、白文字で強調されサークルで囲まれた文字をフリック入力すればいいことがすぐわかった。
NORMALの難易度では、入力しなければならない文字はそれほど頻繁に流れてこないため、落ち着いて入力することができる。また、50音の先頭行が画面下部のフリックパネルに表示されている上、どちらの方向にフリック(指をすべらせる動作)をすればいいかのガイドパネルも表示されるため、フリック入力があまり得意でない人でも、遊びやすいのではないかという印象を受けた。
ただし、濁点や半濁点を含む文字の場合はそれらを抜いた文字を入力すればよく、長音の場合は、実際に歌っている中での母音の入力を求められるようになっている。このあたりはフリック入力の練習ソフトとしては微妙といえそうだ。フリック入力練習ソフトとしては、あくまで基本的な50音を覚えるためのツールという認識のほうがいいだろう。
歌に合わせてタイミングよく入力する必要がある以上、致し方ないところだが、このような仕様となっているため、1つの文字に対して2アクションを行なう必要はなく、必ず1アクションで入力可能となっており、リズムに合わせて入力を楽しみやすい内容となっている。
ただし、はじめのうちに筆者がプレイした際には、最高のタイミングで入力した際に表示されるCOOLではなくFINEが多かった。これは、フリック入力では、指を離したタイミングで入力が確定されるため、「Project DIVA」シリーズと同じ感覚でプレイすると、入力がやや遅れがちになるのが原因。タイミングよく指で押すのではなく、タイミングよく指を離すように心がけると、次第にCOOLが増えるようになり、より楽しめるようになった。
連続して歌詞を入力しなくてはいけない場面でも、ボタンにそれぞれフリックのやり方が表示されるため、どう入力すればいいかわかりやすい | タイミングよく入力を続けてCOOLまたはFINEを5回以上連続して入力すると、コンボボーナスが発生して高得点を狙うことが可能だ | 間奏中など、歌詞が流れてこない場面では歌詞やボタンが消えるので、じっくりとPVを楽しめる |
プレイ可能な楽曲をEASYまたはNORMALでクリアすると、新たな楽曲がアンロックされてプレイ可能となる。このようにEASYでもいいのでクリアするとアンロックされていく楽曲は全12曲となっており、いずれも「Project DIVA」シリーズでもおなじみの人気楽曲が集められている。また、NORMALでクリアすると、その曲の難易度HARDがアンロックされる。12曲のそれぞれにEASY、NORMAL、HARDの3つの難易度が用意されているほか、特定の条件を満たすと、楽曲選択時にモードチェンジをしてBreak the Limitと呼ばれるモードでのプレイが可能となる。
Break the Limitモードでは、すべての歌詞が入力の対象となり、HARDとは比べものにならないほどの高速フリック入力が求められる。文字通りフリック入力の限界を突破することが求められるモードだ。ただし、マイクゲージがなくなるため、どんなに失敗しても最後までプレイできるので、その点は安心してほしい。プレイが途中で終了しない安心感はあるものの、ハイスコアを狙うには正確かつ高速なフリック入力が必要となるため、フリック入力に自信のある方はぜひパーフェクトを目指してチャレンジしてほしい。
EASYモードでもいいので、楽曲をクリアすると新たな楽曲がアンロックされてプレイ可能となる | NORMALモードでクリアすると、HARDモードがアンロックされる。HARDモードでは、より多くの歌詞の入力が求められる | HARDモードをクリアするとアンロックされるBreak the Limitモードでは、すべての歌詞が入力対象に。フリック入力の限界越えを目指せ! |
■ のんびりと歌う初音ミクを楽しめるPVモード
Game Centerにも対応し世界中のプレーヤーと競い合える
本作のメインメニュー画面。画面左下の王冠マークをタップするとGame Center、右下のiボタンをタップすると公式ホームページにそれぞれ移動できる |
リズムゲーム以外のモードとしては、PVモードが用意されている。このモードでは、マイクゲージやスコア表示、歌詞やボタンに邪魔されることなくリズムゲームで流れるPVだけを楽しむことができる。リズムゲームをプレイし続けてちょっと休憩したいときや、ゆっくりと歌詞を覚えたいときなどに利用するといいだろう。
また、本作はiOSの機能であるGame Centerにも対応しており、メニュー画面の左下の王冠ボタンを押すことでアクセス可能となっている。Game Centerではリズムゲームの総得点ランキングや楽曲ごとの特典ランキングを確認できるLEADER BOARDや、特定の条件を満たすことで取得できるACHIEVEMENT(プレイステーションやXbox 360でのトロフィーや実績のようなもの)も用意。ほかのプレーヤーと競い合ったりやり込み要素が好きな人は、Game Centerにちょくちょくアクセスしてみてはいかがだろうか。
PVモードでは、マイクゲージやスコア表示まで消えるため、歌って踊る初音ミクをじっくりと堪能できる | オプションでは、右手と左手のどちらでフリックするかも設定可能。左手に設定すると、マイクゲージが右側に移動して見やすくなる | ACHIEVEMENTではGame Centerの達成項目を確認できる。コンプリートを目指してやり込んでみてはいかがだろうか |
■ タッチパネルならではの新感覚リズムゲーム
フリック入力初心者やリズムゲームが苦手な方にもオススメ
リズムモードのリザルト画面。あまり速くフリック入力をするとタッチパネルが捕らえきれずにSadやWorstになることもしばしば。とはいえ、とにかく入力をし続ければ、クリア自体はなんとかできるように感じられた |
本作の内容と魅力についてひと通り紹介してきたがいかがだろうか。リズムゲーム部分については、リズムアクションとタイピングソフトを融合させたような内容となっているものの、難易度は低めだと感じられた。
というのも、入力を間違った場合でもタイミングよく何かしらの入力をしておけばsafe判定となるため、マイクゲージはあまり減少しなくなっている。そのため、難易度HARDの連続入力が求められる場面でも、マイクゲージは減少しづらく、とにかく入力しようとする意思があればクリア自体は十分可能だと感じられた。あまりフリック入力が得意ではない初心者の方や、リズムゲームが苦手な人でも、チャレンジする気を起こさせる難易度といえる。
また、本作はシンプルなルールでリズムアクションを楽しむことはもちろん、フリック入力の基本を学ぶこともできる内容となっている。実際、筆者はこれまでフリック入力をする際、わ行の「を」や「ん」については覚えきれていなかったため、長押しして文字が表示されてから入力してきたが、本作をプレイすることで「を」と「ん」の位置については完全に覚えることができた。筆者のように、フリック入力のベテランになりきれていない人にとっても、楽しみながら練習できる本作は、有用なのではないだろうか。
1つ気になるのは、歌って踊る初音ミクのPVの画質について。表示されるステージや初音ミクのモデルはアーケード「Project DIVA Arcade」やPS3「Project DIVA ドリーミーシアター2nd」と同様のハイエンドモデルとなっており、十分目を引く内容となっているものの、今回の記事のためにスクリーンキャプチャを行なってPC上で確認すると、ゲーム中のPV部分だけどうにもはっきりとしないことに気づいた。
結論から言ってしまうと、本作のバックに流れるPVは動画を流しているので、ビットレート(転送データ量)と解像度の兼ね合いで圧縮される際にエンコーダー的に厳しい状況では画質が落ちているのではないかと思われる。そのため、筆者のように「Project DIVA Arcade」や「Project DIVA ドリーミーシアター 2nd」の高画質に慣れている人にとっては、少々画質が気になる場面が出てきてしまうようだ。モジュール(衣装)チェンジなどのシステムもないため、バックの映像はポリゴンモデルを動かさず、あらかじめ生成した動画を流すという方法は妥当だと考えるが、1GB弱という容量と映像品質のバランスはもう少し突き詰めて欲しい、というのが正直な感想だ。
とはいえ、フリック入力によるゲーム自体については、シンプルかつリズムに合わせて楽しめる内容にまとめられているほか、Break the LimitモードやGame CenterでのLEADER BOARDでのランキングやACHIEVEMENTなど、やりこみ要素も十分用意されている。遊び応えのあるiOSゲームを求めている人にも、満足していただけるのではないだろうか。
以上のように、本作は初音ミクの楽曲を気軽に楽しみながら、フリック入力についても上達していける、1粒で2度おいしい内容となっている。「Project DIVA」シリーズや初音ミク楽曲のファンはもちろん、楽しみながらフリック入力を練習したいという方にもおすすめしたい1本だ。
(C) Crypton Future Media, Inc.
(2012年 3月 9日)