★ PS3ゲームレビュー★
人類の90%が敵に変えられてしまった絶望世界
それでも家族を守るため戦う男を描くFPS
「 RESISTANCE 3」
ジャンル:
  • FPS
発売元:
開発元:
  • Insomniac Games
プラットフォーム:
  • PS3
価格:
5,980円
発売日:
2011年9月8日
プレイ人数:
1~2人 オンライン最大16人
レーティング:
CERO:D(17歳以上対象)

 「RESISTANCE 3」は1908年、ツングースカ大爆発によって“キメラウィルス”が地球に襲来したという、現在の我々の世界とは異なる歴史を歩む世界を描くFPSだ。キメラウイルスに感染した者は凶悪な地球外生命体「キメラ」に変貌してしまう。しかもキメラ達は現代の我々を遙かに凌駕する文明を持っていた。

 1957年、人類の90%がキメラに変えられてしまった。本作はこの絶望的世界での主人公ジョセフ(ジョー)・カペリの活躍を描く。彼はただ1つ「愛する妻と子を守りたい」という想いを胸に旅立つ。目指すはキメラ達がひしめくニューヨーク。その旅路の果てに彼が見るものとは……。


■ 圧倒的な敵に追いつめられた人類。地球寒冷化を止められるのはただ2人の男だけ

主人公ジョセフ(ジョー)・カペリ。愛する妻と子を守るため旅立つ
ワームホールが開いたニューヨーク。この穴を塞がなければ人類は生き残れない
キメラの巨大兵器「ゴリアテ」。絶対に勝てない敵という印象を強く刻み込ませる

 「RESISTANCE 3」の主人公カペリは前作の1953年、特殊部隊S.R.P.A.(セルパ)の一員としてキメラと戦っていた。しかし前作までの主人公ネイサン・ヘイルを撃ったことで、部隊を追われてしまう。ヘイルはキメラになりかかっており、自らの死を望みカペリが銃を向けても逆らわなかった。ヘイルの血液からはキメラに対する抗体が発見されキメラウイルスに対する特効薬が生まれた。ヘイルは死してもキメラと戦う英雄となり、カペリは軍を除隊された後、スーザンという女性と恋に落ち、子どもを授かった。

 そして1957年、カペリはオクラホマの地下壕で、妻と息子そして生き残ったわずかな人々と共に暮らしていた。キメラの襲来から隠れ、息を潜めて暮らす日々。最近は何故か気温がひどく低くなっており、病弱な息子ジャックに夫婦は心を痛めていた。そんなある日、キメラの大部隊による侵攻が地下壕を襲う。カペリは先頭に立ちキメラを迎え撃ち、1人でも多くの人を逃がそうと奮闘する。

 キメラがこの地下壕を襲ったのはS.R.P.A.の科学者であったヒョードル・マリコフ博士を追ってのものだった。マリコフ博士はニューヨークにあるキメラのタワーが“ワームホール”を作り出しており、その穴が地球寒冷化をもたらしているというのだ。タワーを停止させワームホールをふさげるのは自分しかいないと博士は言う。キメラの破壊機械「テラフォーマー」が地下壕を破壊する。カペリは妻と子を抱きしめた後、逃げる皆とは逆方向にマリコフ博士と歩き出す。ニューヨークまで799キロ。カペリの旅はこうしてはじまった……。

 本作は1957年のアメリカという過去の時代を扱いながら、現代の我々とは全く違う歴史をたどった世界を描く。この世界はキメラと呼ぶ生物たちに覆い尽くされ、人類は滅亡寸前となっている。「RESISTANCE 3」の序盤は圧倒的な絶望が描かれる。建物の残骸で、隠れ、怯えて暮らす人々。圧倒的な戦闘能力を持つキメラ。しかも彼等の科学力は圧倒的なのだ。上空から光の柱で地上を削り取るテラフォーマーや、ビルよりも巨大な歩行兵器「ゴリアテ」など、「こんな力を持った生き物に、勝てるわけがない」とプレーヤーは思い知らされる。

 絶望的な状況の中、まったく明るい未来が見えなくても、それでも人類は生きることをやめない。「RESISTANCE 3」で描かれるのはそんな人間達の姿である。カペリはその旅路で様々な人間を見る。ストーリーの面白さに注目して欲しいタイトルだ。その根幹はカペリの家族への想いである。彼の想いはどんな結末を迎えるのか。そのストーリーへの気持ちがプレイを後押しするのだ。

 ゲームとしての「RESISTANCE 3」はかなり特殊なFPSだ。標的にタグを打ち込むと、以降は敵が逃げても弾がカーブしてタグを追尾するマシンガンや、壁を貫通して命中するライフルなど、FPSの常識を覆す超兵器をゲーム序盤から扱える。こちらが強力な武器を扱う代わりに敵も数で押し寄せてくる。この時代、軍隊などカペリを助けてくれる大きな力は既に無い。絶望的な状況を自分1人の力で切り開くのだ。

 最初は「これ無理だろう」と思うような状況でも、ルートを工夫し、武器を変え、時には慎重に、そして時に強引に進むことで活路が見えてくる。「サバイバル」という言葉がぴったりな、過酷な状況を満喫できる。特にFPSファンには本作にこめられた「他の作品と差別化しよう」という開発スタッフの強い想いに注目して欲しい。ユニークでエキサイティングな作品だ。


妻のスーザンと息子のジャック。S.R.P.A.の科学者であったヒョードル・マリコフ博士の言葉に、カペリは妻と子を抱きしめてから旅立つ
カペリ達が暮らしているオクラホマの地下壕。キメラの侵攻に追われることに
キメラの襲撃に人々を逃がすため、カペリ達は戦う。キメラの破壊兵器「テラフォーマー」で破壊される地下壕を見てから、カペリは仲間から離れ、ニューヨークへ向かう


■ 現代の兵器さえ越える超兵器で敵に立ち向かえ

タグを追尾し弾が曲がるサブマシンガン「ブルズアイ」
壁を突き抜けて攻撃できる「オーガー」

 「RESISTANCE 3」では多彩な超兵器が登場する。オーソドックスに見えるリボルバー拳銃「HE.44 マグナム」ですら、弾を撃ち込んだ後起爆させることができる特殊な弾を使っている。地面に打ち込み、近付く敵にダメージを与えることも可能だ。

 最初に使う武器はキメラが使う「ブルズアイ」というサブマシンガンだ。サブ射撃で“タグ”を打ち込むことができ、以降は弾がそのタグを追ってカーブして標的を狙う。飛び跳ねて視界外へ逃げてしまう運動性の高いキメラに有効だ。「オーガー」は物体を貫通するエネルギー弾を発射するキメラのライフル。スコープを覗くと壁の向こうのキメラが捕らえられ、攻撃を当てられる。サブ射撃は弾を防げるシールドが展開できる。

 HE.44 マグナムの様に人類側の武器も独得のアレンジが加えられている。中距離ライフルの「マークスマン」は3点バーストの射撃ができ、サブ射撃として円盤形のミニタレットを設置できる。ショットガンの「ロスモア」は命中時に爆発するコンカッショングレネードが発射できる。キメラとの接触によって、地球側の武器も1957年という時代を越えた能力を獲得しているのだ。

 これらの武器はさらに使用し続けることで経験値が貯まり、アップグレードする。オーガーは横方向に3発の弾が発射され当たりやすくなり、ロスモアは当たった敵が燃焼する。△キーを長押しすると武器ホイールが表示され持ち替えることができる。「RESISTANCE 3」では武器は全て持ち歩ける。臨機応変に武器を使いこなし敵を撃退していく。

 ゲームが進むと相手を凍らせる「クライオガン」や、変形キメラウイルスに敵を感染させる「ミューテイター」なども登場する。使い慣れた武器に頼ってしまうことが多いが、こういった変わった武器で難局が突破できることも多い。キャンペーンは分岐などの要素はないが、ルートを変えたり、武器を変えるなどアプローチの仕方で何度でも楽しめると感じた。

 昨今のFPSとしては珍しく耐力が自動回復ではなく、回復アイテムを取っていく方式なのも面白いところだろう。これは前作「RESISTANCE 2」の主人公ヘイルにはキメラの能力があったので自動回復があったが、カペリにはその能力がない、という設定を活かしたルールでもある。本作では回復アイテムをいかに手に入れるかも攻略に大きく関わってくる。

 「RESISTANCE 3」のは難易度が変更できイージーも選べるが、特にゲームになれない序盤や、大量の敵と対峙する場面では、倒されまくることもあるかもしれない。しかし戦い方を工夫したり、アイテムが落ちている場所を把握したり、チャレンジを繰り返しながら前に進む方法が見つけていく試行錯誤が楽しい。超兵器の性能をいかに引き出すかが勝利の鍵だ。


武器は△ボタンを長押しする武器ホイールで変更する。中央は打ち込んだ弾を爆発させられる「HE.44 マグナム」。右は3点バースト射撃ができる「マークスマン」
左から、敵をまとめて倒せる「グレネード」、電撃を放射する「アトマイザー」、狙撃ライフル「デッドアイ」
オーガーのサブ射撃の「オーガーシールド」。中央と右はアップデートした武器で、マークスマンはスコープが付き、ショットガンの「ロスモア」は敵を燃やせるようになる


■ 強力なキメラ達。カペリはニューヨークにたどり着けるのか

カペリの家族への想いは繰り返し語られる
キメラは野生種と激しい戦いを繰り広げている。このことが意味するものは?

 「RESISTANCE 3」の敵となるキメラには様々な種類がいる。彼等は元々はキメラウイルス感染した人間だった。彼等はキメラの軍隊に連れ去られ、改造された後、兵士となって人間達を襲うのだ。そして襲った人間達を捕らえ、改造しさらに戦力を増強させていくのである。

 プレーヤーが最初に遭遇するのは「ハイブリッド」と呼ばれるキメラ。雑兵といえる彼等ですらその当時の人間の武器より優秀なブルズアイを持っており、常人の数倍の身体能力がある。ハイブリッドを強化し体を装甲で覆った「スティールヘッド」はオーガーでカペリ達を狙う。近付くと弾丸を防ぐオーガーシールドを展開するのがやっかいだ。

 鳥のような脚を持ち空高くジャンプする「ロングレッグ」は攻撃をしようと立ち止まったときがチャンスだ。ブルズアイのタグを使って追尾する弾で仕留めよう。体のでかい「ラベジャー」という敵も恐ろしいが、さらに6メートルもの巨大な体を持つ「ブロウラー」で遭遇したときは絶望が心を覆いかける。ブロウラーはその巨体が生む熱が弱点で、体の複数の冷却装置を破壊されると生命を維持できなくなってしまう。

 この他、キメラは浮遊する戦闘ポッド「ドローン」や、高さ90メートルという巨大兵器「ゴリアテ」等も使っている。彼等キメラの軍隊は統制が取れているのだが、地球にはびこり野生化しているキメラもいる。「グリム」という野生化キメラは鍵爪やかみつきといった攻撃しかしてこないが、とにかく大量に出てくる。また10メートル以上の巨大な蜘蛛のような野生化キメラ「ウィドウメイカー」にも遭遇する。野生化キメラは改造キメラと敵対しているようだが……ストーリーで気になる要素の1つだ。

 カペリはマリコフ博士とニューヨークを目指す。「ミシシッピ川」では、武器と回復薬が豊富にある船に乗って、次々と襲いかかってくる敵と戦う。敵は船の上にもドンドン上がってくる。限定された空間でのバトルが楽しい。「ミズーリ州セントルイス」ではグリムの大軍に囲まれる空間を突破した後、「チャーリー」というこの地帯のリーダーに協力する。

 セントルイスは様々な要素が矢継ぎ早に展開するのが楽しい。チャーリーの部下と酒場に立てこもり敵を迎え撃った後、敵のドロップシップからエネルギーユニットを奪うため敵を罠にはめる。その後はエネルギーユニットを抱えて、自分が攻撃できない状態で守られながら進み、次はユニットを運ぶチャーリーを守る。この他にもスナイパーと戦ったり、ロケットランチャーでドロップシップと渡り合うなど、ただ隠れて撃つだけではない様々なアイデアが盛り込まれている。

 「RESISTANCE 3」の根底に描かれるのは家族への愛だ。カペリは人類のためや、キメラへの憎しみではなく、ただ少しでも家族を守るためにニューヨークを目指す。そして出会う人々はこの絶望的な世界でも生きることを諦めない。チャーリーは最初は傷ついたマリコフ博士の治療と交換に作戦への協力を要請する嫌な奴だったが、共に戦い、カペリを信じてくれたとき、大切な仲間となりカペリの願いを聞き入れ、家族へのメッセンジャーになってくれたりする。カペリの家族への想いは、プレーヤーにとってもゲームを進めていく大きな目標になる。彼の想いが、願いがどうなるかその気持ちがゲームにのめり込ませていく。

 「RESISTANCE 3」のシングルプレイのボリュームは大きいものではないが、驚きの展開もあり、決して退屈しない濃密な時間を過ごせるだろう。最初のプレイはとにかく結末が気になって前へ前へと進んでしまうと思う。1度クリアした後も、難易度を高くしたり武器やルートを変えてみたり、友人と協力プレイで進んだり繰り返しプレイも楽しい。この絶望的世界でカペリは何を見出すのか。是非プレイして確かめて欲しい。


左から一般的な「ハイブリッド」と強化体「スティールヘッド」、バッタのように飛び跳ねる「ロングレッグ」
冷却装置がないと生きられない巨体「ブロウラー」。野生種の「グリム」。蜘蛛のような野生種「ウィドウメイカー」
ミシシッピ川を下る。船という限られた空間で敵と戦う。巨大なゴリアテのすぐ側を進むことも
ミズーリ州セントルイスでは現地で戦うレジスタンスと遭遇する。傷ついたマリコフ博士を助けるため彼等に協力する
かつて炭鉱だったマウントプレザント。スナイパーと戦ったり、ドロップシップとロケットランチャーで対決する


■ 楽しい協力プレイも。たっぷりやりこめるオンライン対戦モードも搭載

分割画面でのプレイ

 「RESISTANCE 3」はシングルキャンペーン以外にもオンラインでの対戦プレイ、オンラインでの協力プレイ、そしてオフラインで画面分割の協力プレイが可能だ。今回は発売前なのでオンラインの対戦は体験できなかったが、オンラインの対戦に関しては先行体験レポートを参考にして欲しい。

 「RESISTANCE 3」での対戦はキメラと人類側にわかれて戦う。何人かを連続で倒すと「バーサーク」という特殊能力が使え、対戦のスパイスとなる。さらに成長要素で自分なりの戦闘スタイルを確立できる。特殊能力や、強力な武器が独得の感触をもたらす。シングルプレイとはまた違った楽しさを体験できる。

 今回は画面分割の協力プレイを体験してみた。ストーリーそのものはカペリ1人の行動を追うのだが、戦闘中は「ジョー」と「ジョン」の2人となって戦う。片方が援護してもう1人が突っ込んだり、防衛戦では別々の場所を守ったり、声を掛け合って戦うのが楽しかった。倒れたときは仲間に助けてもらえる。難易度を下げることで初心者でもドンドン進むことができ、友達が家に来たときプレイするのが楽しいと感じた。

 「RESISTANCE 3」はシリーズのファンはもちろん、本作がはじめて、というユーザーにもお勧めだ。ユニークな武器、演出重視のストーリーと他のFPSと差別化しようという開発スタッフの意気込みも感じられる。エキサイティングなFPSが好きなユーザー、この暗い世界観に魅力を感じたユーザーは要チェックである。



画面分割では多少見にくいが、やはり協力プレイは楽しい
ゲームを進めるとポイントを得ることができ、ショップでマルチプレイのスキンや資料などをアンロックできる。シングルプレイで得た記録も閲覧できる


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(2011年 9月 8日)

[Reported by 勝田哲也 ]