PS3/Xbox360/PCゲームレビュー

ド派手に戦え、テクニカル&スタイリッシュFPS
技と発想で「創造的に」敵を撃破せよ!

「バレットストーム」

  • ジャンル:FPS
  • 発売元:エレクトロニック・アーツ
  • 開発元:People Can Fly
  • プラットフォーム:プレイステーション3 / Xbox 360 / PC
  • 価格:7,665円 (PS3/Xbox 360版) / オープンプライス(PC版)
  • 発売日:2月24日(発売中)
  • CEROレーティング:D(17歳以上対象)
  • プレイ人数:1~4人


 近年FPSといえばリアルなミリタリー風のゲームが主流という印象がある。しかし、FPSというジャンルが持つ可能性はそれだけではない。もっとブッ飛んだアクションで、スタイリッシュに、スピーディにバトルを展開するゲームがあってもいいはずだ。エレクトロニック・アーツから発売される本作「バレットストーム」は、まさにそんなFPSファンの思いに答えてくれるアクション志向のFPSだ。

 迫り来る大量の敵をなぎ倒す膨大な火力、素早い立ち回りで翻弄するスピード感溢れるアクション、そして、多種多様な武器を組み合わせてクリエイティブな方法で敵を倒していくプレイスタイルの追求。「バレットストーム」では、あくまでテクニカルに、ド派手で痛快なゲームプレイが連続していく。



■ 創意工夫でスタイルを確立、ハイスコアを目指してもっと強く!

ド派手に戦え!痛快なアクションが楽しめるFPS
サイコな奴らが攻めてくる。「リーシュ」を使え!
環境要素を活用して敵を倒す!
蹴り飛ばして浮かせる。ここから多くのスキルショットが派生する

 「バレットストーム」は、ある意味で驚くほどシンプルなゲームだ。いかに自分自身のプレイスタイルを確立し、洗練させていくか。プレーヤーのテクニックとクリエイティビティでハイスコアを目指し、それによってさらにプレイの幅を広げていく。最新のゲームでありながら、どこかクラシカルなFPS作品の匂いもする。

 本作ではボリュームのあるシングルプレーヤーキャンペーンと、サバイバル方式のマルチプレイCOOPというゲームモードをサポートするが、その両方でプレーヤーが追求するのはたったひとつ、「いかに華麗に、手の込んだ方法で敵を倒すか」ということなのである。

 そのゲーム性を作り出しているのが「スキルショット」という概念だ。本作には様々な特性を持つ多種多様な武器と、「リーシュ」と呼ばれる特殊装備、主人公の強力なキック攻撃、それから敵にとって恐るべき罠となる環境要素があり、プレーヤーのテクニックでその全てを組み合わせることで無数の「スキルショット」が完成する。

 例えば主人公の基本武器である「ピースメーカー・カービン」というバトルライルフルでは、敵をキックして空中に飛ばしている間に撃って倒すことで「バレット・キック」スキルショットが成立し、25ポイントのスキルポイントが発生する。あるいは敵ののどを撃って倒す「おう吐反射」、ケツを撃って倒せば「裏口から侵入」で50ポイント。股間を撃ってもだえさせ、トドメを刺してやれば「武士の情け」で100ポイントだ。

 あるいは環境要素を利用する。トゲ状になっている格子やサボテンに敵を蹴り込んでやれば壁面のオブジェと化し「チクチク」スキルショットが成立、爆発物を使って敵を炎上させ、燃えている間に倒せば「アフターバーナー」で50ポイント。こんな調子でありとあらゆる武器や環境の組み合わせで、優に100種類を越えるスキルショットが「発明」できるのだ。

 スキルショットの達成で得たスキルポイントは、シングルプレイとマルチプレイの双方でプレーヤーの新しい武器をアンロックしたり、武器の能力を強化するために使える。その結果としてさらに新たなスキルショットが実行可能になり、プレイの幅が景気よく広がっていく。

 ただ普通に敵を倒していくのではなく、いかに独創的な方法で叩きのめしていくか。その実行のためには同時に複数の敵を空中に舞わせたり、爆発物を蹴り込んだ所に狙いを定めて射撃・爆発させたりと、テクニカルなFPSとしての立ち回り、射撃の的確さといったプレーヤースキルが要求される。腕自慢のプレーヤーであるほど、手応えのあるゲーム性を味わえることだろう。


あらゆる技を駆使し、美しく華麗に敵を倒す。ハイレベルな技を決めるほど高ポイントを獲得、より高度なスキルショットにチャレンジできるようになる



■ 重厚なシングルプレーヤーモードでスキルショットを極める!

将軍に喧嘩を売り、賞金首となった主人公
いきなり3Dシューティング!のっけからハイテンションだ

 さて、非常にテクニック志向でどこか「QUAKE」や「Unreal Tournament」的なクラシカルな匂いの漂う本作には、意外に思えるほどしっかり作りこまれたシングルプレイキャンペーンが搭載されている。スキルショットの基本を鍛えるためにも、まずはこれをしっかりプレイしようという作りだ。

 

 シングルプレーヤーキャンペーンのストーリーは、とある宇宙船の中、哀れな犠牲者を尋問しているシーンから始まる。主人公は「連合軍」から付け狙われる賞金首であり、尋問されている犠牲者は敗北した賞金稼ぎだ。泥酔した手で銃口を突きつけて脅し、全てを吐かせてから外壁のハッチを開けて犠牲者を宇宙に放り出すという鬼畜ぶり。なぜ主人公はこうまでアウトローなのか?

 その原因は連合軍の将軍「サラノ」との因縁にある。宇宙船でのいきなりの3Dシューティングゲームも交えつつ進んでいく冒頭のストーリーでは、正義漢である主人公が将軍サラノにハメられ、暗殺任務として無実の人々を手にかけてしまったことへの怒り、復讐心が語られていく。

 そして将軍サラノの乗艦する巨大宇宙船「ユリシーズ」を前についにブチ切れてしまった主人公。死なばもろともといった勢いで、宇宙船ごと突撃する自爆作戦に打って出る。しかしダメージは双方とも致命的ではなく、道連れに不時着したのが、本作の舞台となる名も知らぬ惑星だ。

 こうして生き残った主人公と、重症を負って治療した結果体の半分が機械になってしまった相棒「イシ・サトウ」のペア。同じく不時着した将軍サラノを救出しにくるはずの宇宙船を奪い、脱出するために危険な旅路に乗り込むこととなる。


謎の惑星に不時着した主人公たち。相棒は半分メカ化したイシ・サトウだ。彼の心は機械に食われつつある

「リーシュ」をゲット。凶暴な原住民はとりあえず「チクチク」の刑。100点。

リーシュを使って敵を引き寄せ、罠にぶつけたり、スキルショットにつなげる。基本テクニックだ
爆発兵器でまとめてドーン!ハイスコアが狙える
強力なチャージショットを活用すれば、さらに高度なスキルショットのチャンス!
 本作のシングルプレイキャンペーンを進めていく上でカギとなるのは、冒頭で主人公が手に入れるバイオテック装備「リーシュ」だ。手から伸びるムチのような装備で、敵に狙いをつけて放つことで動きを拘束し、手元に引き寄せることができる。操作的にはいわゆるセカンダリファイア的な位置づけになっており、非常に使用頻度が高い。

 基本テクニックとしては、この「リーシュ」で敵を引き寄せ、そこにキックを浴びせて空中に舞わせ、各種武器で射撃して撃破。武器や攻撃方法、あるいは環境との組み合わせによって様々なスキルショットに発展していくという、まさに本作の特徴的な装備となっているわけだ。

 例えば「フレイルガン」という名の遅延式爆発兵器を組み合わせればハイスコアが狙える。リーシュで引き寄せたところに爆薬を巻きつけ、キックで敵集団の方向へ蹴飛ばし、タイミング良く起爆する方法で一気に多数の敵を撃破、「ダブルドカン」のスキルショットが成立。1度に倒した敵が多くなるほど、得られるスキルポイントが倍増していく仕組みだ。

 スキルポイントは、道中の各所にある「ドロップショップ」にリーシュでアクセスすることで各種の武器アンロックや、強化に使えるようになっている。武器強化では弾数増加、そして値段は張るが「チャージショット」という特殊攻撃の装着が可能だ。

 「チャージショット」は、全7種ある武器のそれぞれに固有の効果を持つ強力な特殊攻撃。例えば基本装備のバトルライフルなら、射線上の複数の敵が一撃でバラバラになるほどの威力のある一発が発生する。ハンドガン型の武器「スクリーマー」ではロケット推進式のフレアを発射し、複数の敵をいっぺんに燃やすことができる。もちろん、これも多数のスキルショット成立条件になっていく。

 こうしてあらゆる攻撃方法を無数のスキルショットに展開しつつ、攻撃力過剰な主人公は荒くれ原住民が跋扈する危険な惑星で暴れまわっていく。各ステージは非常に変化に富み、様々なギミックを使った戦いも多数フィーチャーされプレーヤーを飽きさせることがない。随所に挿入されるカットシーンも素晴らしい出来だ。

 ただひとつ大変残念なことがある。本作のコンシューマー機版では、いわゆるスプラッター表現が全カットされているのだ。つまり部位欠損の表現はなく、バラバラになるほどのダメージを与えた敵は痕跡を残さず即座に消える。このため「ガイコツ化」とか「トップレス」、「短足野郎」、「フランス革命」などなどのスキルショットの意味がよくわからなかったりと、ゲーム内の表現にチグハグさを感じさせる部分が残ってしまっている。

 他にも、劇中で挿入されるカットシーンにて、主人公たちが「うわっ、こりゃひどいな……」と顔をしかめて見た場所には綺麗な地面しかなく、プレーヤーとしては「え、何が?」という感じの場面もチラホラ。オリジナル版では血みどろのバラバラ死体やらクリーチャーに食われかけた肉片が散乱しているようなシーンだ。ゲーム性そのものはオリジナル版と同等なものの、これはちょっと悲しい。

スキルショットは無数の組み合わせがある。新たな武器をアンロックしつつ創意工夫を持って挑戦しよう

敵の種類は豊富、ステージの構成もよく変化がつけられ、勢い良くプレイできる。新たな仲間との出会いも!



■ マルチプレイもテクニカルに! ハイスコア競争に磨きをかけろ!

マルチプレイロビー。最大4人で協力プレイができる
数十体の敵が登場する「ウェーブ」をハイスコアでクリアするのが目的だ
マルチプレイでのみ達成できるスキルショットのチャレンジも。フレンドと挑戦しよう

 シングルプレイキャンペーンをクリアしても、まだまだテクニックを磨く余地はたっぷりだ。本作には2種類のオンラインプレイモードが搭載されている。ひとつは、シングルプレイキャンペーンの各ステージでスコアアタックをする「エコーズ」、もうひとつはサバイバル方式のマルチプレーヤーモード「アナーキー」。

 「エコーズ」では各ステージ毎にクリアスコアを競えるリーダーボードがあり、全世界のプレーヤーと競争できる。いかに高ポイントのスキルショットを決め続けるか、その上でいかに素早くクリアするかがカギだ。各ステージでハイスコアを記録して「スター」を獲得すると他のステージがアンロックされる仕組みで、前ステージをアンロックするだけでもかなりのやりこみが必要になりそうだ。

 マルチプレーヤーモード「アナーキー」では最大4人でのCO-OPゲームが楽しめる。ルールとしては、閉鎖環境として構成されたステージの中で、「ウェーブ」単位で押し寄せる敵を片付け、ハイスコアを目指すというものだ。各「ウェーブ」をクリアするたびにより強力な敵が登場し、やがて生き残るだけでも一仕事という難しさになっていく。

 攻略のポイントとしては、「アナーキー」モードの各ステージでは、マップ中の随所に敵をハメられる罠が配置されていることだ。蹴り込むと感電死させられる電気回路、ミンチにしてしまう動力装置、定番のトゲトゲなどなど、あらゆるものを使ってスキルショットを成立させよう。

 上手にプレイするためには射撃だけでなくキックの精度も高める必要があるが、マルチプレーヤーでは同じ敵に複数人で同時にキックするなど独特の混乱、意外な展開もありそう。むしろそれを利用したマルチプレーヤー・スキルショットチャレンジなるものもあって、複数人でしか達成できないスキルショットを成立させて大ボーナスが狙える。

 この手のCO-OPモードは最近では定番化している感もあるが、本作ではやはりスキルショットというテクニカルな要素の存在のおかげでまた違った趣向の遊びとして成立している。フレンドを集めて一緒にプレイすれば、自分の知らないスキルショットを見ることができたり、逆に得意なスキルショットでフレンドを驚かせたりと、本作ならではの楽しみが味わえることだろう。

 その点では本作の1番面白いところはマルチプレイモードかもしれない。いかに華麗に、手の込んだ方法で敵を倒すか、技術を磨いて痛快なプレイを楽しもう。

【スクリーンショット】

(c) 2011. People can fly sp. Z O.O All Rights Reserved.

□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.eajapan.co.jp/
□「バレットストーム」の公式サイト
http://bulletstorm.jp/
□関連情報
【2011年1月14日】EA、PS3/Xbox 360/PC「バレットストーム」公式サイトオープン
日本語版には、海外限定版の特典アイテムを漏れなく同梱
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20110114_420430.html
【2010年12月17日】EA、PS3/Xbox 360/Win「バレットストーム」
「美しく決めろ!」レベルアップしていくシステムが新しいFPS
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20101217_415384.html
【2010年6月15日】EA、プレスカンファレンスで主力10タイトルを一挙紹介!
大幅パワーアップの続編ラッシュ、新IP「BULLETSTORM」にも注目!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100615_374573.html

(2011年2月24日)

[Reported by 佐藤カフジ ]