PS3ゲームレビュー

本編クリアから半年後の物語など
多くの新要素を収録してPS3に登場!

「テイルズ オブ グレイセス エフ」



HD(720p対応)化され、鮮やかなグラフィックスに。これだけでもプレイの印象はだいぶ違う。さらにPS3版ではストーリーや術技など多くの新要素が収録されている。オープニングや時折挿入されるアニメーションも見逃せない

 12月2日、株式会社バンダイナムコゲームスは、「己の信念を守る」、「大切な人を守る」という想いを描いたシリーズ最新作プレイステーション 3用「テイルズ オブ グレイセス エフ」を発売。タイトルに付け加えられた「エフ」は「future」を指している。なお、「テイルズ オブ」シリーズには、本編にあたるマザーシップタイトルと外伝的な位置づけのエスコートタイトルがあるが、本作はマザーシップタイトルに位置づけられる。

 プレイするにはゲームデータのインストールが必須。インストールには本体HDDの空き容量が4,500MB以上必要で、インストールには新型PS3(HDD160GB)の環境で10分程度を要した。インストール必須のため、初回起動時には強制的にデータインストールが始まる(インストール中の操作説明などはない)。インストール対応タイトルでインストールしないという人は少ないだろうし、インストール操作をしなくて済むのは楽でいい。

 早速、本作の魅力やPS3版での新要素などについて紹介していきたい。



■ PS3版では本編クリアから半年後のストーリーを描いた「未来への系譜編」を収録!

空を海で覆われた世界・エフィネア。
そこでは煇石(クリアス)と呼ばれる物質に含まれる原素(エレス)を用いた文化が栄え、
ウィンドル・ストラタ・フェンデルの三国が互いに国力を拮抗させながら存在していた。

ウィンドルの辺境にあるラントの街では、
領主アストンの長男で、明朗快活な少年アスベル・ラントが、
幼なじみやかけがえのない友人たちと、少年らしい日々をのびのびと過ごしていた。

しかし、ある事件をきっかけに彼は「強くなりたい」と強く願い、
王都にある騎士養成学校への入学を決意する。

そしてその事件から7年後。
18歳になったアスベルは一人前の剣士として成長を遂げる。
騎士となることを夢見ていたアスベルだったが、父アストンの死により夢をあきらめ、
ラント領主の地位を継ぐことを余儀なくされる。

友との再会、そして別れ。
隣国からきた者より領主の地位を奪われる……。

いま、激しい運命の変転に巻き込まれていく――

 本編では3国が微妙なバランスで存在する世界を舞台に壮大な物語が描かれる。主人公アスベルの少年時代から始まり、18歳の青年時代へと進み、彼の思惑を超えた大きな運命に巻き込まれていく。


 さらに本作では本編クリアから半年後のストーリーを描いた「未来への系譜編」が収録されている。

※「未来への系譜編」のあらすじには、本編の内容や展開が含まれます。

エフィネア全土を震撼させた原素(エレス)喪失事件から半年後。
アスベルはラント領主として、多忙な日々を過ごしていた。

そんなある日、リチャードから一通の書状が届くのだった。
その内容とは、ラムダから生まれた魔物の被害が各地で再び勢いを増しており、
その討伐に力を貸してほしいというものだった。

王として日々贖罪のため、魔物討伐の先陣を切るリチャード。
救護団で活動するシェリア。
ストラタから派遣されてきたヒューバート。
フェンデル政府の下で働くマリクとパスカル。

エフィネア全土に広がる異変に、かつての仲間が再び一堂に会すこととなる。

そして、永遠の少女・ソフィ。
守る強さを胸に、彼女に芽生えた新たな想いとは…

今、新たな物語が静かに動き出す……。

「未来への系譜編」で登場する新キャラクター「リトルクイーン」。物語のキーマンであるソフィに接触を試みてくる謎の存在

 PS3版新要素となる「未来への系譜編」をプレイしたくて本作を購入した人も多いのではなかろうか。

 「未来への系譜編」をプレイするには本編をクリアしなければならない。本編もグラフィックスのHDクオリティ化、新術技・秘奥義の追加などにより、新たな気持ちでプレイすることができるだろう。

 物語を進めることを主眼に置いてプレイしたところ、クリア時間は本編が21時間ほど、「未来への系譜編」が7時間ほどであった。ボリュームに関して不安を感じるかもしれないが、このプレイ時間はサブイベントなどストーリー進行に関わらないものの大半をすっとばしてプレイしたものであり、現在50時間以上プレイしているがまだ遊び尽くせていないほどのボリュームがある。さらにテイルズシリーズではお馴染みの周回プレイも含めると信じられないほど長く遊べるといえる。

 「未来への系譜編」では、本編の一部が遊べなくなり、「未来への系譜編」でのみ遊べる要素がある。「未来への系譜編」クリアデータをロードすると本編クリア時から始まる。物語を再度プレイするのを避けたいなら、「未来への系譜編」でやれることをきっちりこなしておきたい。



 キャラクターデザインは本シリーズでもお馴染みの、いのまたむつみ氏。キャラクターの3D化に関しても細かな注文を出すほどのこだわりがあったそうだ。PS3版では同氏デザインの「未来への系譜編」用オリジナル新衣装も登場する。

【主要キャラクター】
アスベル・ラント
CV:櫻井孝宏
ラント領主の長男。領主の地位を継ぐべくさまざまな心構えを聞きながら育つが、ある事件をきっかけに故郷を離れ、王都にある騎士養成学校へ入学。そこでひたむきに訓練に打ち込み、真面目で礼儀正しい青年へと成長する
ソフィ
CV:花澤香菜
ラントとフェンデルの国境紛争のさなか、アスベルとであった記憶喪失の少女。アスベルは、彼女に可憐な花を咲かせる植物にちなんで「ソフィ」という名をつける。あどけない雰囲気や容姿に似合わず、戦いに慣れている
ヒューバート・オズウェル
CV:水島大宙
ラント領主の次男でアスベルの弟であったが、幼いころにストラタの新興財閥オズウェル家に養子に出される。現在はストラタ軍に属し、若年でありながら少佐の地位に就いている
シェリア・バーンズ
CV:河原木志穂
アスベルやヒューバートの幼なじみ。幼いころは体が弱かったが、ある事件をきっかけに健康な体になり、治癒能力を手に入れる。この力を人々の役に立てたいと、治療士として積極的に活動中
マリク・シザース
CV:東地宏樹
ウィンドル王国の王都バロニアにある騎士学校の教官で、アスベルの恩師。戦士としての能力は非常に優秀で、騎士学校の教官としての指導力も卓越している
パスカル
CV:植田佳奈
アスベルが旅の途中で出会う女性。頭脳明晰な天才科学者。人なつっこく明るい性格で、周囲の人間を元気にさせるムードメーカー的存在でもある



■ 自由度の高さと遊びやすさの両立を実現したバトルシステム!未来への系譜編では新システム「アクセルモード」も!

 アクション性の高いバトルが特徴的なテイルズシリーズ。本作では、2つの攻撃スタイルと自由なステップアクションで戦えるバトルシステムSS-LMBS(スタイルシフトリニアモーションバトルシステム)、シリーズ「ディスティニー」のリメイク版で採用されていたCC(チェインキャパ)を導入。CCがあるため、シリーズの多くで採用されているTPは存在しない。

 自由度の高いバトルシステムを持つ本作では、フィールドをフリーランやステップなどで移動し、相手の攻撃を防御やサイドステップなどで捌きながら、攻撃を繰り出していく。アクション性が高い分、難易度が高いと思われるかもしれないが、複雑な操作は必要なく、簡単で奥深いバトルが味わえる。シリーズを重ね、練磨されてきたからこそ、このバランスが実現できたといえるだろう。

フィールドを自由に動き回り、ステップで攻撃を回避し、連続技を叩き込む。アクション性、戦略性が高く、飽きのこない戦闘が楽しめる。対応コントローラーを人数分用意すれば戦闘時最大4人でプレイすることができる特定条件を満たすとテクニカルボーナスとなり、HP回復ボーナスなどが獲得できる要素も

■ 異なる2種類のスタイルを切り替えながら戦うSS-LMBS

 異なる性質を持つ2つのスタイルを切り替えるSS-LMBSは本作の特徴の1つ。例えば、主人公アスベルであれば帯刀技と抜刀術の2つを切り替えて戦うことになる。帯刀状態では蹴りや柄などで攻撃しながら、抜刀状態へとスタイルシフトする技を繋ぎ、抜刀状態からさらに刀での攻撃をするといった具合だ。

 この攻撃スタイルは、全キャラクターに2つあり、性能はキャラクターにより異なる。思うようにキャラクターを動かしたければ、スタイル特性の把握は欠かせない。
帯刀技では蹴りや柄などで攻撃する。連続攻撃後半は消費CCが多い分、威力も高い抜刀術の攻撃は範囲が広いものが多く、複数のターゲットにダメージを与えやすいスタイルはキャラクター毎に異なるため、操作感もまるで違う。触ってみるとその違いに驚くだろう

■ アナログスティックとボタンの組み合わせで繰り出すアーツ技とバースト技

 攻撃はボタン単体 or スティック1方向+ボタンといった簡単な操作で繰り出せる。○ボタンで発動できるのがアーツ技。アーツ技は続けて入力することで連続攻撃となり、バースト技につなげたりと、攻撃の起点として使いやすい。バースト技には×ボタンを用いる。バースト技は、×、→+×、←+×、↓or↑+×にセットする。また、PS3版では、右スティックの上下左右4方向にも術技がセットできる。アスベルでいえば、アーツ技が帯刀技、バースト技が抜刀術となる。

 術技には攻撃属性や大ダメージを与えられる種族が設定されており、連続攻撃中に敵の弱点となる特性で攻撃すると一定時間その後全ての攻撃に弱点の効果が引き継がれ、追加ダメージを与えることが可能。弱点をつける技が1つでもあればよいため、弱点連携は決めやすい。さらに複数の弱点を持つ相手に連続して弱点を突けばダメージを大幅に増やすことができる。使用する術技を戦う相手に合わせておけば、有利に戦闘を展開できるわけだ。また、術技の属性以外にもアーツ技に弱い、バースト技に弱いといった弱点を持つ敵も存在する。ただし、術技を戦う相手に合わせないと勝てないというレベルのものではないので、使いやすいと感じられるものをセットしておいても問題はない。

 バースト技の中には詠唱が必要で、発動までに時間を要する術が存在する。特殊な状態を除き、詠唱中に敵の攻撃を受けると解除されてしまうため、術を使うキャラクターを操作するなら、詠唱時間を考えて立ち位置などを考慮しつつ戦う必要がある。技メイン、術メインのキャラクターでは立ち回りに大きな違いがあり、戦闘の印象が全く異なる。

続けて入力することで連続攻撃となるアーツ技。バースト技につないで大ダメージコンボを狙おうシェリアなど、回復系の術が使えるメンバーは最低1人パーティーに入れておきたい術には長い詠唱時間を要するものがある。術を使うキャラクターを操作するなら、術の詠唱時間を頭に入れておきたい

■ アクションのエネルギー源となるCC(チェインキャパ)

 移動や攻撃に欠かせないのがCC(チェインキャパ)。CCは通常移動や防御以外のアクションの際に消費するもので、本シリーズの他タイトルにおけるTPのイメージに少し近い。

 CCの下限や上限は装備武器により異なるため、武器は攻撃力だけでなくCCも考えて選択するといいだろう。バトル開始時、CCは下限値からスタートし、クリティカルゲージがたまるごとに増えていく。クリティカルゲージは、一定時間防御し続けたり、タイミングよく敵の攻撃をステップで回避することなどで増えていく。ただし、クリティカルゲージがない時に攻撃を受けるとクリティカルヒットとなり、増えた上限が減ってしまう。

 戦闘ではCCの管理が肝となる。アーツ技やバースト技といった攻撃行動で消費し、防御や待機といった防御行動で回復させるのが基本となる。防御は敵の攻撃を防ぐだけでなくCCを回復する効果を持つため、使用頻度は高い。シリーズで採用されてきたTPでは、戦闘中だけでなく、戦闘後にもHPとTPを管理しなければならなかったが、本作ではCCになったため、戦闘後に確認すべきはHPだけになった。HPは回復系の術で回復できる(CCがあれば術が発動できる)ため、長い旅路でも消耗戦を強いられなくなっている。管理すべきゲージが少なったことで、より遊びやすくなったといえるだろう。

 筆者はCCが本シリーズにおける革命的な存在であると感じている。1戦1戦に集中できるし、TPがなくなってしまったから町に戻らなくては……ということもない。経験値稼ぎやアイテム集めにおいても満足いくまで戦闘を繰り返せる。ストレスなく遊べるように考え抜かれた画期的なシステムといえるのではないだろうか。今後のシリーズでも採用されることを願っている。

装備によりCCの上限が異なる。CCがあればあるほど、一度に叩き込める術技数が増加する。ゲーム終盤ともなれば多くの術技を連発できるようになるCCが少なくなったらガードで回復するのが基本。すぐにたまるのでテンポのいいバトルが楽しめる武器に設定された下限CCから戦闘はスタートするが、戦闘内容によって上限まで増えていく

■ 術技使い放題のエレスライズと一撃必殺の秘奥義

 攻撃や防御などを重ねることでエレスゲージがたまり、ゲージがMAXになると自動的にエレスライズとなる。エレスライズ中は、CCを消費せずにステップや術技が繰り出せる。アーツ技もバースト技も出し放題というわけだ。エレスライズ中は画面上下に青色の帯が出るので、エレスライズ状態を見逃すことはない。

 エレスライズ中、攻撃連携後にL1ボタンを長押しすると秘奥義ゲージを消費して、秘奥義を決めることができる。秘奥義は名前からわかる通り強力な技で、特定の称号(後述)のランクを上げることで使えるようになる。秘奥義ゲージはエレスライズ中に攻撃をヒットさせることで最大3までたまり、発動した秘奥義のレベルに応じた秘奥義ゲージを消費する。なお、発動する秘奥義を選択することはできず、現在のゲージ数で繰り出せる最大レベルの秘奥義を発動する。

エレスライズ突入!CCを気にせず、ガンガン技を繰り出せるのが気持ちいいエレスライズ中にのみ出すことができる秘奥義の威力はかなり高い。ボスなど体力が多い相手との戦いでは特に頼りになる。その演出も見逃せない

■ 未来への系譜編で追加される「アクセルモード」とLv4秘奥義

 未来への系譜編では「アクセルモード」が追加される。「アクセルモード」はPS3版の新要素で、アクセルゲージが50%以上の場合に、R2ボタンを押すことで発動し、キャラクター固有の特殊効果を発揮できる。アスベルなら、一定時間暴星属性を持つ炎をまとい、ダウン中の敵も拾えるようになるといった具合だ。

 「アクセルモード」発動時には、短い無敵時間が発生、CCが全快、状態異常回復という全キャラクター共通の効果があるため、緊急回避やコンボをつなげたい場合などにも活躍する。

【キャラクター別アクセルモード効果】
アスベル一定時間のパワーアップ。炎が周囲を回り、ダウン中の敵も拾える。
ソフィ一定時間のパワーアップ。フロントステップで瞬間移動、CC回復速度が倍。
ヒューバート武器が弓矢形態に変化し、ゲージの量に応じた弓矢を放射。
シェリア味方以外の時間を停止させる。
マリク近接乱舞攻撃。
パスカル範囲内の(自分を含む)味方へのダメージを5%にし、かつ鋼体を得る。
リチャード一定時間、術の詠唱時間が半分になる。

 「アクセルモード」は物語に大きく関わるシステムのため、アスベルは物語を進めることで自動的に習得できるが、他キャラクターは称号によって習得する。つまり、アスベル以外のキャラクターは称号をセットしなければいつまでたっても習得できない。すぐに対応する称号をセットして使えるようにしておくのがいいだろう。

 さらに「アクセルモード」中にのみ発動できるLv4秘奥義もPS3版では収録されている。Lv4秘奥義習得後、アクセルゲージを100%までためてから「アクセルモード」に入り、連携後にL1ボタンを長押しすれば発動する。

アクセルモードの効果は、パワーアップや時間停止など、キャラクターにより様々。また、攻撃だけでなく、緊急回避、状態異常回復としても活躍するアクセルゲージを100%までためてからアクセルモードに入り、連携後にL1ボタンを長押しすればLv4秘奥義が発動する。その威力は半端ではない!全キャラクターでLv4秘奥義を習得したいものだ

■ バトルをサポートしてくれるA.I.とアクションが苦手な人でも安心のオートバトル

 1人プレイではA.I.が残りの3人を操作してくれる。これらA.I.の行動は、基本作戦・攻撃方法・攻撃頻度・回復割合など細かく設定が可能。これらの設定は強い相手と戦う時ほど重要になる。歯が立たないような相手でも作戦次第では勝ててしまうことすらあるほどだ。特にA.I.キャラクターがすぐにやられてしまう場合には作戦を見直すべきだろう。また、戦闘の難易度をメニューからいつでも変更できる。難しいと感じる場合には難易度を下げるのも手だ。

 全キャラクターの操作をA.I.に任せるオートバトルでもゲームを進められるように作られている。アクションが苦手なプレイヤーはオートバトルでゲームを進めてもいいだろう。ただ、バトルの操作やシステムを理解してプレイすることで、より本作が楽しめるので、自分で操作することをオススメしたい。

キャラクター、項目ごとに豊富な選択肢が用意されている作戦。キャラクターの特性やパーティーバランスを考えて設定したい。1つ1つの術技毎の使用可否すら設定できる操作モードはオート、セミオート、マニュアルの3種類。セミオートだと敵との距離を詰めてから攻撃してくれる


■ 装備して戦うことでランクアップし、様々な効果を発揮する称号

 キャラクターは、装備やExpによるLvアップだけでなく、称号でも強化される。称号はバトル内容やストーリー進行など、特定の条件を満たすことで獲得でき、称号毎に術技、ステータスアップ、装備効果を持つ。

 称号はSp(スキルポイント)を稼ぐことで1~5、そしてマスターとランクアップしていく。一度覚えた術技やステータスアップは称号を外しても効果を損なわないため、多くの称号のランクを上げることで使える術技やその威力が増し、ステータスもアップしていく。

 称号の数はかなり多く、PS3版ではさらに多くの称号が収録されている。称号をセットしなおすのは面倒そうだと感じるかもしれないが、オート設定があるため、面倒はない。オート設定は、OFF、ランク3まで、ランク4まで、ランク5まで、マスターするまでの5種類があり、指定したランクまで成長すると別の称号に自動で装備しなおしてくれる。覚えたい術技などがあれば、手動で称号を設定してやればいい。

アスベルだけでも100を超える称号が用意されている。効果を確認して、必要なものからランクを上げていきたい称号にはランクに関係しない装備効果がある。特定の場面で有効に働く装備効果もあるので見逃さないようにオート設定を使えば称号切り替えの手間を省けるだけでなく、切り替え忘れによるSpの無駄もなくなる



■ アイテム合成・素材抽出などができるデュアライズとアイテムをセットすることで様々な効果を発揮するエレスポット

 ショップで利用できるデュアライズは、2つのアイテムから、別のアイテムを作ったり、素材を抽出することなどできる。装備品を強化して能力をアップさせたり、熟練武具同士をデュアライズすることで宝石(装備することで効果を発揮する)を抽出できるなど、戦力アップに役立つ。また、換金用アイテムもデュアライズできるため、お金稼ぎにも有効。道具、料理、素材などアイテム収集率100%を達成するのにも欠かせない。

デュアライズの種類
調合消費アイテムや素材を合成し、新たな消費アイテムを作り出す
料理食材同士や食材と料理を合成し、新たな料理を作り出す
強化武器や防具などの装備品と鉱石の欠片を使って、装備品を強化したり、特殊効果を付与する
抽出熟練武具同士を使ってデュアライズし、宝石を抽出する。抽出に使った装備品からは特殊効果が外れてしまう
融合宝石同士を合成し、特性を引き継いだ宝石を作り出す
改造装備品と素材を合成して、新たな装備品を作り出す

 デュアライズした料理はエレスポットと呼ばれる特殊なアイテムにセットすることで効果を発揮する。料理には発動条件、効果、消費エナジーが設定されており、その効果は体力回復、蘇生、効果の付与など様々。

 エレスポットには料理だけでなく、消費アイテム、合成素材、魔導書もセットできる。消費アイテムや合成素材をセットすると、一定確率でセットしたものが入手できる。価値のあるアイテムほど入手確率は低い。魔導書は、アイテム発生時に2個獲得できるなど、魔導書に書かれた効果が得られる。エレスポットにセットできる数や最大エナジー量は特定条件を満たすことで増えていき、多くセットできるようになると、料理や魔導書をどう組み合わるか考えるのが楽しくなってくる。

 エレスポットにはエナジーがあり、エレスポットにセットしたアイテムが効果を発揮するごとにエナジーが消費されていく。効果発動に必要なエナジーがなければ、効果は得られない。発動条件が容易すぎる料理をセットすると、すぐにエナジー切れになってしまう。いざという時に困らないように注意してセットするといいだろう。

高価なアイテムほど条件が厳しい。効率よく入手できるように魔導書で補完するのも手だ左がゲーム序盤、右がある程度育成されたエレスポット。セットできるアイテム数は約2倍、エナジーは約8倍ある。エレスポットを育てることも楽しみの一つといえるだろう


■ コラボレーション衣装称号やパラメーターアップなど多彩なDLC

 DLCは見た目までも変化する衣装称号、パラメーターアップなど豊富に用意されている。なんといっても目玉は衣装称号だろう。「コードギアス 反逆のルルーシュ R2」、「初音ミク」、「どこでもいっしょ(トロ)」、「アイドルマスター」、「.hack//(ハセヲ)」といったコラボ衣装称号に加え、いのまたむつみさんのオリジナルデザイン「小悪魔風シェリア」、「燃ゆる武者風マリク」や学園風の衣装称号なども存在する。これら衣装称号は単に見た目を変化させられるだけでなく、ゲーム内で獲得できる称号と同様に、ランクアップさせればステータスアップなどの恩恵が受けられる。また、専用の戦闘BGMが流れるものも存在する。

 見た目の変化でいえば、PS3版では新機能としてアタッチメントも収録されている。被り物やアクセサリのようなもので、各キャラクター3つまで装備することができる。アタッチメントはゲーム中でも入手できるが、多くはDLCとして販売されている。

 DLCとして、アイテム、ガルド(ゲーム内通貨)、ステータスアップ効果なども販売されている。「レベルアップ+10」(キャラクター全員のレベル+10)や「獲得スキルポイント2倍効果」など、急いで物語を進めたい人には嬉しいものばかりだ。なお、一部のコンテンツは周回プレイの際にグレードショップ(後述)で購入できるものと同様の効果であるため、コンテンツの説明をよく読んでから購入してもらいたい。

 12月25日時点で配信されているDLCは、記念日に合わせたグルーヴィーチャットを聞くことができる記念日チャットと冒険開始支援金など一部無料のものを除き、その他のDLCは有料となっている。

 なお、チャレンジバトルのコンテンツは、DLCではなくゲームディスクに収録されている。チャレンジバトルでは決まった相手との特殊なバトルが行なわれ、戦うことでバトルポイントが獲得でき、ネットワークを通じて獲得したバトルポイントを他のプレーヤーと競うことができる。初勝利時には報酬としてアイテムが獲得できるので、本編を一休みしてチャレンジバトルをプレイしてみるのもいいだろう。

PlayStation Networkでは、衣装称号やアタッチメントなど、DLCでしか入手できないコンテンツが多く販売されている。価格は無料~500円(12月25日時点)チャレンジバトルはスタートメニューから遊ぶことができる。ポイントは戦闘内容によって変化する


■ クリア後には引継ぎや追加特典で、次の周回を快適にプレイできる

 一度でもゲームをクリアすると、スタートメニューのエキストラに「引き継いではじめから」が追加され、様々なデータを引き継いで次の周回をプレイできるようになる。

 「引き継いではじめから」を選び、クリアデータをロードすると、プレイ内容に応じてGRADEが獲得できる。評価内容は、クリアするたびに増えるクリアボーナス、獲得称号数に応じた称号ボーナス、最大連続ヒット数に応じたコンボボーナスなど様々だ。獲得したGRADEで、称号引継ぎ(取得称号を青年期に引き継ぐ)や経験値5倍といった特典を購入して、次週のプレイへと進む。クリアデータはロードしても削除されることはないので、ボーナス内容を確認し、ある程度ボーナスを稼いで、多くの特典を獲得するというのも手だ。

クリアまでのプレイ内容に応じたグレードが獲得できる。なるべく多くの特典を購入して、2周目以降に臨みたいグレードショップには各種引継ぎ、経験値やSpが多くもらえるものなど、冒険に役立つ数多くの特典が。限られたグレードで何をもらうか悩むところだ。中には低レベルクリアを目指す人向けの経験値半分なんてものも


■ 最後に

 本シリーズらしいハイクオリティなアニメーション、称号、エレスポット、サブストーリーといった多くのやり込み要素、遊びやすくも奥深い戦闘システムと盛りだくさんの本作。難易度がいつでも変更可能な上に、戦闘をA.I.に任せることもできるため、誰でもプレイできる懐の深さがある。

 フィールドなどの移動の際、デフォルトが「ダッシュ」、ボタン入力で「歩く」になるという昨今のRPGで増えてきた仕様は本作でも採用されており、移動も楽々。物語を進めれば任意の町、フィールド、ダンジョンへも瞬時で移動することができる。

 PS3版独自の新要素も見逃せない。追加収録分の音声は台本3冊分に相当するという「未来への系譜編」の内容とボリュームは十分と感じてもらえるだろうし、「アクセルモード」により戦闘の幅も広がっている。

 年末年始のお休みに、じっくりと本作をプレイしてみてはいかがだろうか。



(C) いのまたむつみ
(C) 2010 NBGI

(2010年12月28日)

[Reported by 木原卓 ]