★モバイルゲームレビュー★
戦隊ハートレンジャーのメンバーとなって 「ヒーローたちとのLOVE」&「地球のPEACE」を目指せ 「恋戦隊LOVE&PEACE」 |
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今更過ぎる話だが、戦隊モノや仮面ライダーなど、特撮ヒーローに夢中になる女性が増えている。特撮出身のイケメン俳優は数え切れないほど存在しており、今や「特撮に出演するのが人気俳優への近道」どころか、「特撮出身でなければ、人気俳優にあらず」くらいの勢いになってしまっている……のかもしれない。特撮ファンを公言している女性以外に、隠れファンも多いため、もしかしたらあなたのよく知るあの女性も、イケメンライダーや某戦隊のだれかに夢中になっているのかもしれない。
誰もが考えている以上に潜在需要が高かった特撮ヒーローモノが、携帯アプリの世界に満を持して登場した。アメコミチックで少々オバカ、ノリは最高の特撮×恋愛の世界が堪能できる「恋戦隊LOVE&PEACE」で、地球の平和と自分の彼氏を掴み取るべし。
■ 戦隊モノのピンクとなって恋と平和を守り抜く
主人公はごくごくフツーの生活を送っている女性なのだが、突然謎の組織に襲撃される。「怪人X」を先頭に、ダーク・ジュテーム・ウルフら3人の幹部「3X」、ザコの戦闘員ら、特撮ヒーローモノでよく見る悪人たちの正体は、人類滅亡を企む犯罪科学組織「メノス」。彼らは主人公の持つ“不思議な力”を狙っているのだ。
危機に陥った主人公の元に駆けつけたのは、正義の組織「Jガーディアンズ」に所属する「恋戦隊ハートレンジャー」と名乗るカラフルなヒーローたち。主人公を華麗に助けてくれた後、主人公をハートレンジャーにスカウトしてきた。主人公が持つ“ハートエナジー”と呼ばれるパワーの質と量が素晴らしく、ハートレンジャーとして活躍できそうだと言うのだ。
1度は断ったものの、「メノス」はハートエナジーを狙って何度でも襲撃すると聞いたこともあり、主人公は渋々「Jガーディアンズ」に参加することになった。成り行きでハートレンジャーの“ハートピンク”をやらされるはめになった主人公と、さまざまなタイプのイケメンたちとの、恋とバトルの日々が始まる。
上記プロローグの後、「教育係」という名目で攻略キャラクターを決定。攻略キャラクター1人につき10話で構成された物語を、1日1話ずつ読み進めてエンディングを目指す。各話中には2~6回程度の選択肢が表示され、選んだ答えによって攻略キャラクターの好感度が上下する。エンディングには1番いい「LOVE END」のほか、「HOPE」、「LOST」と3種類が用意されている。オフィシャルサイトでは、現在の攻略キャラクターの好感度が×~◎で表示される親切なサービスがあるので、1日のシナリオが終わるたびにサイトをチェックすれば、希望のエンディングへと近づくだろう。
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「教育係」を選んでゲーム本編スタート。「教育係とは、ぶっちゃけ攻略対象キャラクターだ!」といったお遊びテイストも盛り込んで、攻略対象を選択させてくれる。最初に選べるのはレッド、ブルー、イエローの3人 |
3つの選択肢から1つを選んでゲームを進める。エンディングは「LOVE」、「HOPE」、「LOST」の3種類。もちろん「LOVE」が1番いいエンディングだ |
■ ヒーローモノらしいポップなテイストとオバカなノリでのシナリオが魅力
本作の魅力は、戦隊ヒーローモノにふさわしいポップなテイストのグラフィックスデザイン。トップページはアメコミチックに描かれているし、ゲーム画面やオフィシャルサイトも鮮やかなアニメ風のカラーやデザインを採用し、見やすく、楽しい雰囲気を作り出している。またキャラクターのイラストだけでなく、背景や小道具などを含むイラストや演出の枚数が相当多いように感じた。ゲーム中に手に入るスチル画像の美しさについては、ユーザーの集う口コミサイトでもかなりの高評価が集まっているようだ。
【スクリーンショット】 | |
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ハートレンジャーに変身するには、愛を感じつつ「ハートセット!」と口にすること。変身できたら、各々の決め台詞を言うことになっている。ピンクは「やさしいハートのラブヒーラー、ハートピンク」 | |
それぞれ変身後は決め台詞を言うが、ブラックだけはなかなか教えてくれない |
スチル画像のクオリティも話題に。スチルは各キャラクター5枚ずつ用意されている |
本作の最大の魅力は、ボリューム満点で個性的なシナリオではないかと思う。「Jガーディアンズ」や「メノス」などの組織やハートレンジャーの設定、恋をすればするほどパワーを増すハートエナジーなど、複雑なSF設定が続々登場してくるのだが、難しい内容も「説明しよう」から始まる、ヒーローモノらしい説明口調を取り入れつつノリノリで説明してしまう。ムリを感じる展開も「○○なのだ!」と力強く説明されると、なんとなく納得してしまうから恐ろしい。
さらに次々出てくるキャラクターたちの個性を生かしきったシナリオ展開で、読む人をグイグイと引き込む。一本気でバカがつくほど真面目なレッド、クールで本心を見せないブルーをはじめ、敵キャラクターも個性派揃い。恋愛対象は同僚たるハートレンジャーのみなのだが、つい敵にクラっと心惹かれてしまう場面もありそうだ。
画面はほとんど静止画なので、バトルシーンの勢いをそのままには表現しにくいが、テキストフォントの大きさを変える演出や、格好よすぎる必殺技、秘密メカなどを効果的に取り入れて、ヒーロー番組をうまく再現している。
シナリオには、ヒーローモノのほか、古今東西のアニメやドラマ、SF作品のネタが散りばめられているのも特徴。「だが断る!」などの台詞も登場するなど、知っている人ならニヤリと笑える小ネタが隠されている。シナリオライターはかなりのオタクと見た。曲のタイトルが多く使われるサブタイトルにも要チェック。レッドは懐メロ、イエローはマイケル・ジャクソンなど、それぞれのカラーに合ったアーティストや曲がチョイスされている。
1話がかなり長いため読むのには結構な労力が必要だが、選択キーの「下」を連打していれば早送りできる機能や、テキストを読み返すバックログ機能も用意されているため、安心して読み進めて欲しい。非常にボリューミーなプロローグも2回目以降はスキップできるなど、親切設計でユーザーのストレスを溜めない工夫も嬉しい。
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「説明しよう」ではじまるヒーローらしい説明口調はお約束。何でもわかりやすく教えてくれる | ||
ヒーローたるもの必殺ワザを繰り出す際には大声でワザの名前を叫ぶべし |
敵もなぜか同じように必殺ワザの名前を叫んでくる。イエローはなぜか忍法を使用 | ピンクの「ピンクエール」は、敵を倒すのではなくハートレンジャーを応援して、普段以上のパワーを発揮させる補助系ワザ | 戦闘シーンは大きな文字と派手な演出でキメル! |
■ 攻略キャラは現在4人。今後、さらなる拡大もありそう
現在(2010年4月)の時点ではハートレンジャーの4人が攻略対象となっている。まずは、ハートレッド・赤木風太(あかぎふうた)、ハートブルー・青山玲士(あおやまれいじ)、ハートイエロー・猿飛黄平(さるとびこうへい)の3名から1人を選んで攻略する。3人すべてのキャラクターで何らかのエンディングを迎えると、ハートブラック・黒峰継(くろみねつぐる)シナリオへと進めるようになる。
熱血のレッド、クールなブルー、気まぐれなイエローに加え、1匹狼のブラックと、キャラクターにも戦隊モノらしい味付けがされている。レッドシナリオでは「ダーク」、ブルーには「ジュテーム」と、シナリオごとに異なる怪人が強敵として立ちはだかるので、単に攻略やフラグ立て、スチル集めのためだけでない、独自の展開が活かされたシナリオが楽しめる。
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赤木、青山、猿飛、黒峰のハートレンジャー4人が攻略対象 | |||
ブルーのシナリオでは吸血怪人の「ジュテーム」が登場してピンクを狙う。血を吸われたピンクの窮地をブルーが救う | レッドのライバルになるのは機械怪人「ダーク」。なぜか関西弁の怪人は、1番人間らしいいろいろな表情を見せてくれる |
イエローと相性がいい妖怪人間「ウルフ」は狼男。鼻が利くので、ピンクをどこまでも追いかける |
「Jガーディアンズ」には、ほかにも長官の千鳥博士や九楽剣人(くらくけんと)など、ハートレンジャーとは趣の違う美形たちが揃っているし、「メノス」の幹部・3Xもハートピンクに惹かれている様子。今後、さらに攻略キャラクターが増え、組織のおじさまたちとの恋愛や、敵キャラとの道ならぬ愛憎劇が楽しめる日も来るのかもしれない。これまで数本のシナリオを読む中でも、現在攻略対象ではないキャラクターにかなり思い入れをしてしまっている。人間味のある敵たちの感動的な場面や、おじさまのステキな見せ場も垣間見えるので、今後の新たな展開を待ち望んでしまう。
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「Jガーディアンズ」には千鳥博士と神谷桃子、九楽剣人のほか、秘密兵器といわれる「ゼロ」もいる | ||
正体不明(!?)のヒーローたちも登場し、ハートレンジャーを手助けしてくれる |
3月末には「Jガーディアンズ」の面々とお花見を楽しむという番外編シナリオ「さくら(独唱)」も登場しており、さらに作品世界は広がる気配を見せている。本編では書ききれなかった登場人物たちの魅力も楽しめそうだ。
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番外編シナリオ「さくら(独唱)」では、花見に行ったJガーディアンズに、恐怖の怪物が襲い掛かる |
■ 共に戦う時間が愛を育てる。地球の英雄が私だけのヒーローに
とにかく明るくてテンションが高いのが、本作の1番の持ち味。しっとり大人のムードが漂うような、どこまでもロマンチックな内容だったり、若干ドロドロした昼ドラ風展開だったりする乙女ゲームに慣れていた筆者には非常に新鮮だった。パロディやバカバカしい設定、お遊び的な話もある上、ホンの少し感動してしまうストーリーや、「地球の平和のために!」と力強く腕を振り上げたくなるアツイ展開もある贅沢なゲームだと思う。当然恋愛要素はあるものの比重は低いが、その恋愛度数の低さがまた心地いい。
確かに恋だの、愛だのは控えめなのだが、恋の相手は一緒に戦い、地球を守った人。ピンチには格好よく駆けつけてくれるヒーローが恋愛対象なのだから、それだけで非日常感とドキドキは十分だ。共に戦う時間がふたりの距離を近づける。そう、死地を共に脱したふたりには、特別な言葉も演出も必要ないに違いないのだ。普通の恋愛に飽きてしまった、したたかな乙女をもグラグラさせる新境地がここにある。
思い浮かぶ難点は1つ。ゲーム全体を使って“ヒーローモノらしさ”を追求した「恋戦隊LOVE&PEACE」は、当然、音楽や効果音にも“らしさ”があふれているのだが、なぜかボタンを押すたびに「ピッ」という音が出るのが気になって、ほとんど音声を切ってプレイしてしまった。シナリオのボリュームが多く、頻繁にボタンを押して読み進めるゲームだけに、なぜボタンを押した際に音が出る仕様にしたのか不思議で仕方ない。ゲームを始める際とゲーム中に1~2回発生するロード時間が10~20秒ほどかかるのが若干長いと感じる以外には、システムにも内容にも何の不満も感じていないだけに、ボタン音に関してはかなり残念に感じている。
しっかりしたシナリオと美しいイラスト、さらには個性的なキャラクターが加わった、乙女のヒーロー「恋戦隊LOVE&PEACE」。乙女ゲームをやりこんできた人にこそオススメしたい。一風代わった新たな地平が見えてくるかもしれない。もちろん、戦隊モノやライダーファンならさらに楽しめること請け合い。日曜の朝、ヒーロータイムの後は「恋戦隊LOVE&PEACE」で、もっとドキドキな時間を過ごして欲しい。
地球の平和と恋愛成就の合言葉は、もちろん!「LOVE&PEACE!!」
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仲間たちと地球を守る中で、さまざまな表情が見られるようになる。選択し次第では、乙女ゲーらしいロマンチックな愛の言葉を囁かれたり、ふたりだけの関係を築くこともできるので、10日間、じっくりと愛を育もう |
http://www.emiq.jp/
(2010年4月27日)