★PSPゲームレビュー★
新要素+独自チューニングでプレイ感も新感覚 「Fate/unlimited codes PORTABLE」 |
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「Fate/unlimited codes」は、TYPE-MOONの伝奇活劇ビジュアルノベル「Fate/stay night」を題材にした対戦格闘ゲームだ。アーケード用タイトルとして稼働開始し、その後プレイステーション 2版が発売となった。そしてついに、「Fate/unlimited codes PORTABLE(以下、「UCポータブル」)」としてPSP版が発売された。
「Fate」の対戦格闘ゲームを楽しめる新しい選択肢であり、アーケード版、PS2版とはまた異なる“携帯機種”ということで、プレイ感やソフトの方向性がひと味違っている。さらに「UCポータブル」では、新システムに「リフレクトダッシュ」を搭載。追加コスチュームも収録されており、各部のチューニングも変わっている。移植作品でありながら、また違ったプレイ目的で楽しめる「UCポータブル」のポイントを紹介していこう。
【オープニングムービー】 | ||
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■ “魔力”と“聖杯”が鍵を握るスピーディーな「Fate」の対戦格闘「Fate/unlimited codes」
「Fate/unlimited codes」は1レバー4ボタンで操作する横視点の対戦格闘タイトルだ。「UCポータブル」ではレバー操作を方向キーまたはアナログパッドで行ない、□、△、○、×ボタンでそれぞれ、弱攻撃、中攻撃、強攻撃、リフレクトガードの操作を行なう。L/Rボタンはデフォルト設定ではLボタンが弱攻撃とリフレクトガード同時押し、Rボタンが中攻撃と強攻撃の同時押しとなっている。
キーコンフィグでは各ボタンの設定を変えられるほか、4ボタン同時押しやSP技の発動などにも割り当てられる。「プラクティス」限定になるが、入力のレコード設定もできるので、1ボタンでコンボを発動させるようなことも可能だ。
キャラクターは隠しキャラクターも含め、総勢17名。「Fate/unlimited codes」では各キャラクタごとに移動スピードやガード能力など能力が大きく異なっている。技などの攻撃面以外にも、原作に即した能力差が個性として付けられているというわけだ。
独自の要素として重要なのが、“魔力”と“聖杯”だ。魔力は攻撃を与えるか喰らうごとに蓄積されていき、最大で300%まで貯まる。SP必殺技や特殊な必殺技の使用、リフレクトガード関連の特殊な動きをするときに消費するゲージだ。
魔力が100%以上貯まっているときに3ボタンを同時押しすると、“魔力開放”という状態になる。開放中はキャラクタごとにアビリティが発動する。例えばセイバーなら、武器がエクスカリバーになって相手のダメージのけぞりが長くなるといったものだ。開放中は魔力が時間経過とともに徐々に減少していくので、開放の使いどころは重要だ。
また、魔力開放は、“待機開放”、“攻撃開放”、“防御開放”と、どういう状況で開放するかでも効果が異なる。立っている状態で開放する“待機開放”は開放後に体力が徐々に回復する。攻撃モーション中に開放する“攻撃開放”はキャンセル効果だ。開放を織り交ぜることでコンボがさらに広がる。逆に、ダメージを受けている時に開放すると防御開放になり、相手の攻撃をキャンセルし吹き飛ばしの効果もある。魔力は本作で非常に重要な要素で使い道も多い。魔力をうまくやりくりできるかは大きなポイントだ。
より独特なシステムに“聖杯ゲージ”とその開放というものがある。互いのダメージが聖杯ゲージに貯まっていって、満たされると開放できるようになる。ただし聖杯を開放するには権利が必要で、聖杯ゲージがMAXになるときのダメージを与えた側に、開放する権利が与えられるというルールになっている。なお、聖杯の使用権利は一定時間しか持つことができない。時間経過によって権利が失われてしまった場合は、その後先にダメージを与えた側が権利を得ることができる。
聖杯の権利をもった状態で300%魔力開放をすると「聖杯開放」となり、最大威力の「聖杯必殺技」が放てるようになる。1発逆転も可能な最強技だ。聖杯ゲージを満たした上で魔力を300%貯める必要があり、また、聖杯ゲージは次ラウンドへの持ち越しもないので、狙って使うのは難しい。お互いに多くのダメージを受けているような展開になればMAXになる。それだけに、互いに譲らないいい勝負をしているときや、片方が一方的に追い込まれているときなどに最後の開放権利さえ取れればチャンスが巡ってくる。そうした熱い要素になっているというわけだ。
【間桐桜 聖杯必殺技 - 呪層界・悪心祝祭 アート・アンリマユ】 | ||
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【セイバー聖杯必殺技 - 約束された勝利の剣 エクスカリバー】 | ||
【ギルガメッシュ聖杯必殺技 - 天地波濤す終局の刻 ウト=ナビシュテム】 | ||
強力な威力を持つ一発逆転要素の聖杯必殺技。その威力もさることながら、演出のかっこよさも圧倒的。ファンならぜひチェックしておきたい |
「UCポータブル」独自の新システム「リフレクトダッシュ」。ガードしながら前方にダッシュできる。硬直をキャンセルしつつ間合いを詰めるのにも使えるので、「UCポータブル」ならではのコンボが作れる |
1ボタンが専用に割り当てられている「リフレクトガード」をいかにうまく使えるかも重要だ。相手の攻撃が当たる瞬間にリフレクトガードすると、攻撃をはじいて相手をのけぞらせることができる。相手の攻撃にあわせて積極的に狙っていきたいが、失敗すると魔力ゲージが60%減少してしまうため、乱用はできない。
リフレクトガード以外にも防御関係では、ガード時にコマンド入力すると相手を押し返す「アドバンシングガード」や、ガードから即座に反撃するガードキャンセル、さらに移動関係では軸移動や空中受け身、ダウン回避などもあり、立ち回りはかなり多彩だ。使いこなせるようになれば、華麗な戦いが楽しめるし、攻防の切り返しにどの動きを選択するかといった、格闘ゲームの醍醐味が楽しめるようになる。
「UCポータブル」だけの独自要素として重要なのが、「リフレクトダッシュ」の存在だ。方向キーの前とリフレクトガードボタンを同時に入力すると、上段ガードをしながら前方に素早くダッシュするというシステムで、この新要素の存在によって「UCポータブル」は独自の変化と広がりを持っている。
使い方は様々だが、ガードしながら一気に距離を詰めるというスタンダードな使い方から、コンボ中に硬直をリフレクトダッシュでキャンセルしつつコンボによって広がった距離を詰めて次の攻撃を繋げていく、という使い方もある。特に後者のコンボに組み込むという使い方は、「UCポータブル」だけで可能なコンボを模索する楽しみが加わった。
基本システムのひとつ“軸移動”。奥側と手前側に移動可能で、相手の攻撃を避けつつ攻撃に移れる。攻守の切り替え時に、軸移動するのか、ガードもしくはリフレクトガードか、または投げを警戒するのかといった読みあいがある |
■ PSP版の新要素や独自チューニングあり! それでいて、グラフィックスやスピード感はそのものの移植度
基本的なゲームモードやシステムはPS2版とほぼ共通のもの。スピーディーな展開と原作ファンも納得のかっこいい見せ方も健在だ |
基本的な要素はほぼPS2版と違いはないようだ。隠しキャラクターや隠しプレイモードについても違いはなく、要素開放の条件も同様だった。違いに関して言えば、PSPの画面サイズにあわせた「16:9化(引き延ばしではなくステージ両端の部分が加わっている)」、「リフレクトダッシュ」、「新コスチューム」、「独自チューニング(一部可能なコンボが異なっている)」というところ。あとはアドホックモードによる対戦が可能なので、PS3のアドホック・パーティを併用すればオンライン対戦もできるという点が大きい。
PS2版はアーケードタイトルを家庭でも遊べるように移植したスタンダードな選択肢であるのに対し、「UCポータブル」はより手軽に「Fate/unlimited codes」を楽しめるようになった(そういう意味でもポータブルに楽しむのに適した)、軸の異なる選択肢と捉えたほうがいいだろう。
この違いは、このレビューで最もお伝えしたいポイントだ。同じアーケード移植のタイトルでも、据え置き機と携帯機種とでプレイするのでは、楽しむ方向性がまったく違ってくる。簡単に分類すれば、PS2版はアーケードを意識した本格派向けで、「UCポータブル」はより手軽で気軽に楽しみたい人向け、となるだろうか。だが、「UCポータブル」で何かが削られているというわけではなく、遜色ないクオリティで再現されているところが優れているところだ。
PSP版なので操作は方向キーかアナログパッドに限られる。さすがにレバーほど快適とは言えないが、慣れてからは十分にプレイできるところに驚いた。グラフィックスやスピード感も見劣りしない |
そんな操作性についてだが、思いのほかよく動かせるという印象を受けた。もともと、入力難度が高い単体のコマンドというのはほとんどないことが大きい。方向キーやアナログパッドでも慣れてくれば思い通りに技が出せる。1番慣れが必要だったのはダッシュなどの同じ方向に2回入力するとき。こればかりはスライドさせて動かすアナログパッドだとやりづらく、筆者は方向キーをメインに使うことで対処した。
一方、難度の高いコンボに挑むときは、流れるように途切れなく入力するので、どちらかというとアナログパッドのほうが楽に感じたところがある。レバーの入れ込みを回すようにできるからだろうか(ただ、ニュートラルは意識しないといけない)。このあたりの向き不向きから、方向キーとアナログパッドでは一長一短に感じられたのだが、どちらもなんとかなる。スティック環境よりはさすがに劣るものの、思っていた以上に本格格闘を思い通りに操作できるという印象に落ち着いた。
グラフィックスやスピード感においては、PSPでここまでよく動くなというクオリティに仕上がっている。PS2版と比べて解像度等スペックレベルでの差は当然あるが、パッと見た印象ではほとんど差を感じない。スピード感溢れる動きについても、処理落ち等も見られずサクサク動く。PS2版と比べて「外観はそのままだな」という印象を持つかもしれないが、そのままと思えること自体がなかなかすごいことだ。
・家庭用オリジナルシナリオのアーケード、コンボ修得や原作再現が楽しいミッション等プレイモード
ゲームモードを選択するメニュー画面。基本的には隠し要素のモードも含めてPS2版と同じ内容になっている |
家庭用オリジナルのシナリオが楽しめるアーケードモード。アーケード版に準拠したストーリーの見せ方なので、原作を知らない人にはちょっと厳しい。だが、原作ファンならあいだを保管しつつ存分に楽しむことができる |
プレイモードは家庭用オリジナルのシナリオが展開される「アーケード」を中心に、CPU対戦ができる「VS-CPU」、アドホックモードで2P対戦できる「VS-2P」、CPU同士の対戦を観戦できる「WATCH」、基本動作を練習できる「TUTORIAL」、自由に操作の練習ができる「PRACTICE」、指定された条件クリアしていく「MISSION」、イラストやムービーが閲覧できる「EXTRA」、最後にオプションとなっている。なお、隠し要素になっているプレイモードも存在する。
まずはプレイの中心となる「アーケード」だが、まずデフォルトの難易度がかなり低めになっていると感じた。おそらくは携帯機向けにより手軽に遊べるようにという配慮だろう。ある程度格闘ゲームに慣れ親しんでいる人なら、ほとんど1セットも取られずにクリアできるのではないだろうか。それぐらい低めになっていた。
だが、オプションから難易度を上げると、そこは歯ごたえのあるカプコンタイトルということで、がしがしと難度が上がる。隠し要素になっている最上位の難易度はかなりのものだ。シナリオについてはアーケード準拠の見せ方なので、ストーリー面は原作のシチュエーションを繋ぐように見せている。そのため、原作を知ったうえでプレーヤー側が保管してあげないとならないところがある。
原作ファンなら特に問題なく、シナリオ内容もシリアスありコミカルありで十分楽しめるが、原作を未体験だとちょっと厳しいと思える。良くも悪くもアーケード準拠の見せ方と感じた。ファンの方は逃さず全キャラクタのシナリオを楽しんでおきたい。
コンボやテクニックの修得に最適な「ミッションモード」。原作シチュエーションを再現した場面もあるのが嬉しい |
1人で遊びこむなら、当面は「ミッション」のコンプリートを目指して、楽しい四苦八苦することになる。全キャラクター別にそれぞれ多数の課題が用意されていて、特定の技を決めて勝利するなど、原作を再現したシチュエーションもある「テクニック」、指定されたコンボを成功させる「コンビネーション」、指定されたダメージ以上のコンボを成功させる「ダメージ」、そのほか特殊なものもある。
ミッションは実践的なテクニックやコンボを修得するのに最適だ。また、原作のシチュエーションを再現したミッションは原作をよく知るファンにとってたまらないものがある。アーケードモード等の通常対戦では実現できないようなプレイが楽しめるのも魅力だ。
アインツベルン城でアーチャーとバーサーカーが対峙する。このシチュエーションで成すべきことはひとつだ。これがわかる原作ファンなら、本作を楽しめること間違いなし | ||
こちらは指定されたコンボを成功させるミッション。各キャラごとに実践的なコンボを修得できる。リフレクトダッシュを組み込んだコンボもあり、歯ごたえのある内容になっている |
・コンボの組み立てや探求が秀逸なゲーム
弱中強を繋げるスラッシュレイブや空中コンボ、さらにステージ壁際を使ったものなど、コンボ関連の要素が充実している |
弱中強を連続でヒットさせていくスラッシュレイブは基本として、上空へ跳ね上げてからの空中コンボ、技をキャンセルしてからの繋ぎ、バウンドコンボなど、格闘タイトルを爽快にする要素はしっかり抑えられている。ある意味コンボ関連の要素はなんでもありなところがあって、コンボの探求が面白いタイトルだ。
アーケード版やPS2版との差別化として、前述の魔力ゲージを消費して前方に素早くダッシュする新システム「リフレクトダッシュ」が加わっており、これもまたコンボ中のキャンセル&間合いを詰める目的に使える。「UCポータブル」ならではのコンボや駆け引きが加わっているというわけだ。対戦バランスの変化にも一役買っているだろう。
上達のとっかかりにいいのは、プレイモードのところでも紹介したミッションモードだ。コンボ入力の課題には、難度の高いコンボが揃っている(もちろん、リフレクトダッシュを組み込んだコンボもある)。格闘タイトル初心者でも、まずはそこから入力や技のキャンセル、入力のリズムを掴みつつ、コンボ探求のはじめの一歩を踏み出していけるというわけだ。
格闘ゲームが苦手な人や初心者の方でも、わりと簡単にかっこいい動きができるのが本作のいいところ。CPUのデフォルト難易度も低めに設定されていて、気軽に挑める内容になっている |
一方で、ストイックにコンボを追い求めずとも爽快に遊べるところがまた別の魅力になっている。前述のようになんでもありなほどコンボが繋がりやすいゲームなので、ぶっちゃけた話、いわゆるガチャプレー(ガチャガチャと適当に操作すること)でも、案外コンボが繋がってかっこいい華麗な動きが見れたりする。
前述のように難易度もかなり抑えられているので、「Fate/unlimited codes」の世界観を見たいけれど完全な格闘タイトル初心者だから不安だ、という方でも、すぐに魅力の一端に触れられるのではないかなと思う。そこから少しずつ遊びこんでいけば、上達する喜びなどもしっかり味わえるだろう。
そういう意味では、本腰を入れて遊びたい熟練者はプレイ環境を整えられるという意味でもPS2版、格闘タイトルのあまり馴染みのない方は、ちょこちょこと手軽に遊んで上達を目指せる「UCポータブル」、というような選択の仕方がいいかもしれない。
・PSP版だけの追加コスチューム
「UCポータブル」だけのオリジナル追加要素として、コスチュームが追加されている。もともとアーケード版やPS2版をプレイしているファンでも、「リフレクトダッシュ」等の新システム、新コスチューム、そして、PSPで手軽にプレイできるというプレイ感の違いから、「UCポータブル」だけの魅力を楽しめる。ここでは、新コスチュームのうちいくつかを紹介しよう。
【新コスチューム セイバーオルタ】 | ||
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【新コスチューム ライダー】 | ||
【新コスチューム アーチャー】 | ||
■ PSPで遊ぶ本格格闘はひと味異なる! 気軽に手を伸ばして、それでいて本格的に楽しめる
その名のとおり“ポータブル”に、それでいて本格的にも楽しめる「UCポータブル」。原作ファンだが、これまで「Fate/unlimited codes」を敬遠していたという人に、ぜひオススメしたい |
アーケードタイトル「Fate/unlimited codes」のPSP移植版ということで、多くの方のイメージは、PSPでも楽しめる選択肢が加わったという印象にとどまることかと思う。だが実際に遊んでみると、気軽にプレイをスタートでき、そのわりにしっかりと本格格闘を遊べる手応えがある。そうしたところから、遊ぶ側の心理がかなり違ってくることを感じた。ハードが異なることから“求める遊び方そのものが違ってくる”というわけだ。
グラフィックスやスピード感等、遜色のないクオリティをPSPで保っているところがなにより嬉しいところだ。求める遊び方が違ってくるとはいえ、本質的な魅力は変わらず体験できる。新システムのリフレクトダッシュを含め、ポータブルな手応えの中でしっかりとしたコンボの作り込み、修得をしていける。
原作「Fate」ファンとしても、対戦格闘「Fate/unlimited codes」に触れてみる方法として1番敷居が低く手軽で、それでいてしっかりと触れられる選択肢になっている。そうして第一歩を踏み出して、華麗なコンボ、強力で派手な聖杯必殺技を繰り出せるようになっていけば、自分の手で「Fate」のキャラクタたちを動かせる魅力を存分に味わえる。対戦格闘が得意な人はもちろん、苦手にしていた人にも手を付けやすい、そんなタイトルだ。
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□「Fate/unlimited codes」のページ
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(2009年 7月 9日)