PS4/Xbox Oneゲームレビュー「ダイイングライト」

ダイイングライト

ゾンビがあふれる街を駆け抜けるサバイバルホラーアクション
プレーヤーを強く引き込むストーリーが魅力

ジャンル:
サバイバルホラーアクション
発売元:
ワーナーエンターテイメントジャパン
開発元:
Techland
プラットフォーム:
PS4 / Xbox One
価格:
8,208円 (通常版)
7,668円 (ダウンロード版)
発売日:
4月16日
プレイ人数:
1人(オンラインマルチプレイ4+1人)
レーティング:
CERO:Z(18歳以上対象)

 「ダイイングライト」がついに発売となった。本作は「デッドアイランド」を手がけたTechlandが開発した1人称視点のオープンワールドRPG。プレーヤーは“ランナー”としてゾンビに溢れた街中を駆け抜け、生存の必要な物資を回収していく。

 本作の大きなウリがフリーランニングだ。プレーヤーキャラクターは、家によじ登り、ジャンプで屋根から屋根に飛び移り、小さな引っかかりを手がかりに壁を上る。ゾンビをかわしながら走り、飛ぶスピード感は大きな魅力だ。そして追い詰められていく人間達を描くストーリーがプレーヤーを強く惹きつける。

 クエストも豊富でボリュームがあり、世界観にどっぷり浸れる作品である。広大なフィールドを舞台とした、やり応えのあるRPGを求める人に強くオススメしたい作品だ。本作の魅力を紹介していこう。

【「ダイイングライト」ローンチトレーラー】

隔離地域で生き残ろうと奮闘する人々のドラマ

謎の奇病の発生により、ハラン市は地獄に
命の恩人であるジェイド。本作のキャラクターはフェイシャルアニメーションが凝っていて、感情表現が豊かだ
「ゾンビだらけの街を駆け抜ける」というのが本作のコンセプトだ
視界が効かない中、ゾンビが奇声を上げて猛スピードで迫ってくる。「ダイイングライト」の夜は本当に怖い

 「ダイイングライト」の舞台、“ハラン市”では、2カ月前突然人々がゾンビ化する謎の奇病が発生、隔離地域となる。GRE(世界救援活動会)は救援物資を投下し生き残りの人々を支援しているが、この国の防衛省は爆撃によってハラン市を病気ごと消し去ろうとし、GREと対立していた。

 主人公・クレインはGREの指令により、ハラン市に潜伏している“カディール・スレイマン”を追うことになる。彼はGREの極秘書類を盗み行方をくらましてしまった。クレインの任務は、この書類を取り返すことだ。しかし、クレインはハラン市に降下直後ゾンビに襲われ、1人の男の犠牲によって助けられる。

 彼を助けたのは“タワー”に逃げ込んだグループの人々だった。クレインは男の代わりに、ゾンビにあふれかえる街中に飛び込み、GREの救援物質を確保する“ランナー”となることを決意する。クレインはゾンビに噛まれており、“アンティジン”という抑制剤を打ち続けなければやがてゾンビとなってしまう。それはタワーの多くの人も同じだ。しかしアンティジンは少なく、もう一方の「ライズ」という男が率いるグループがその薬をため込んでいる。

 ライズは暴力で街を支配しようとしており、タワーの人々は彼らに抵抗している。タワーには優秀なランナーは少ない。クレインはタワーの人々のため、街を走り回る。しかし同時に彼はGREのエージェントとして活動していく。GREの指令は非情で、クレインを迷わせる……。

 「ダイイングライト」はゾンビだらけの街をフリーランニングで駆け抜けるオープンフィールドRPGだ。本作をプレイしていて常に感じるのは“常に危険だ”ということである。昼間のゾンビは動きが鈍いがやたらにタフで、1体を相手にしているとあっという間に取り囲まれてしまう。そこで建物の上によじ登って逃げようとするのだが、慣れないうちはコツがつかめない。建物によじ登ろうとジャンプしている間にゾンビに取り囲まれ、武器を振り回して必死に逃げるものの、武器も体力もボロボロ……という状況も多々ある。

 様々なクエストをこなすには、その恐ろしいフィールドに自ら飛び込んでいかねばならない。最初はかなりきついが、操作に慣れてきて、キャラクターが成長してくると、このきつい世界を生きぬいていく楽しさを実感できるようになる。信じられない高いところに上ってのアクションも体験できるし、経験値稼ぎのコツもわかってくる。装備も充実し、強さも実感できるようになる。しかし、それでもゾンビの怖さが変わらないのが、「ダイイングライト」の面白いところだろう。大量のゾンビ相手が怖くなくなるという状況は、本作には訪れないのだ。

 クエストなどで時間は過ぎていき、気がつくと夜という状況は少なくない。「ダイイングライト」は特に“夜”が怖い。ゲーム内では時間が刻々と過ぎていき、ゲーム内で21時になると“夜”となる。夜には視界がきかなくなり、頼りになるのはライトとマップのみ。ゾンビは活性化して襲いかかってくる。安全地帯に逃げるしか生き残る道はない。夜の絶望感と怖さを本作はうまく表現している。そして、朝を迎えたときの安心感。極限の状態を実感できるゲームである。

 この“怖い”ゲームに筆者をのめり込ませたのは本作のストーリーだ。足りない支援物質、恐怖による支配を行なうライズ、非情なGRE、そして必死に生き残ろうとする人々。謎が謎を呼ぶ展開の中、クレインの役割はどんどん重要になっていく。「この後どうなってしまうんだ?」という気持が、プレイを強く後押しする。本作は20時間以上プレイしてもまだまだという大ボリュームである。長くゲーム世界に浸りたい、という人にもオススメだ。

【ゾンビだらけの街で生き残れ】
ジェイドの弟ラヒーム。生意気な少年だが、クレインにランナーの基礎を教えてくれる
タワーのリーダー・ブレッケン。リーダーの重圧に耐えかね、弱気な姿を見せる
時々投下される救援物資は、赤い煙を上げ場所を知らせる。素早く到着し、物資を確保しなくてはならない
フィールドには様々なアイテムが落ちている。ゾンビに注意しながら集めていく

走り、跳び、戦う! ゾンビの群れを駆け抜け、生き残れ

クレインは高い身体能力を持っていて、手のかかる場所があれば高い建物もよじ登れる
3つの能力、各スキルツリーからスキルを取得することでクレインのアクションは増えていく
ゾンビを吹っ飛ばすドロップキック

 「ダイイングライト」では、「サバイバー」というランクと、「スピード」、「パワー」というレベルが設定されている。ストーリーを進めたり、クエストをこなすとサバイバーランクが上昇していき、フリーランニングのアクションでスピードが、戦闘することでパワーがレベルアップする。サバイバーでは生産品が増え、スピードはアクションが多彩になり、パワーで戦闘に有利なスキルを覚えていく。

 ゲームが大きく変わるのはスピードのスキルで、「ドロップキック」を覚えてからだ。これによりクレインはダッシュしてからのジャンプ中にドロップキックが放てるようになる。当たったゾンビは大ダメージを受けて吹っ飛ぶ。これまで武器で殴りまくらなかった敵が、ドロップキックでは2〜3発で倒せる。建物や道路に設置されているスパイク状のトラップにぶつかるように当てればさらに効果的だ。

 本作の武器は壊れやすく、修理は3回くらいしかできない使い捨てだ。序盤は特に武器が貴重でしかも壊れるのが怖くて使わないことも多い。ドロップキックは武器を使わないので、この点でも安心だ。ただしドロップキックを当てるとその場に倒れてしまうので他の敵には無防備になる。集団に向かって放つのは危険だ。

 サバイバーやパワーのスキルを上げていくと、クレインはどんどん多彩な技を覚えていく。サバイバーを上げると生産できるものが増え、さらにクエストの報酬や、フィールドでのランダムエンカウンターで生存者を助けると、様々な武器を作ったり、改造できるようになる。生産の材料となるアイテムはフィールドで集めていく。

 ゾンビに追われながら慌てて部屋の中をあさったり、ゾンビから逃れるため必死で封鎖したした家に忍び込むルートを探したりと、収集も面白い。ゲーム中盤でも「火炎瓶」に必要な“ひも”を求めてゴミ箱をあさったりする。薬草の生える場所など、ハラン市の隅々まで覚えるようになるのが楽しい。

 筆者はアイテムなどは取っておくタイプで、武器もなるべく弱いものから使うようにしていた。しかし、中盤までゲームを進めて気が付いたのは、武器はどんどん使いつぶしても問題ないということだ。サバイバーランクが上がると敵のドロップで良い武器が入手できるようになるし、手に入れた「設計図」でさらにダメージを増やす改造ができる。振り返ると、「もっと強い武器を積極的に改造して使えば楽だったかなあ」という感想も持った。プレイするに人は、まずドロップキック、そして積極的な武器活用をオススメしたい。

 「ダイイングライト」はフィールドを瞬時に移動できる「ファストトラベル」のシステムがなく、だからこそフィールドの移動が重要になる。このためスピードのレベルが上がりやすい。一方、戦闘は近接武器を振り回すことが多く、遠距離武器は貴重なため、戦闘を回避することが多い。感触としてはちょっと戦闘が単調かな、という印象も持った。

 しかし、パワーの経験値獲得のため、爆竹を投げてゾンビを集めて火炎瓶で燃やすことで大量の経験値をゲットしたり、「とどめを刺す」アクションを覚えてから、ドロップキックで吹っ飛ばしてから駆け寄って敵の頭を踏みつぶすなど、戦闘のコツも覚えた。工夫し、武器を活用することで、さらに的確な戦闘ができそうで、色々組み合わせを試しているところだ。

【スキルを取得し、強くなれ】
様々なスキルが用意されている
敵をまとめて焼ける火炎瓶
爆竹は敵を呼び寄せるのに使う
設計図と素材を入手することで、武器を強化できる
ゲームが進むと新種のゾンビが登場してくる
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(勝田哲也)