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「ダイイングライト」ファーストインプレッション

フリーランニングで、感染者の群れを駆け抜けろ!

4月16日発売予定



価格:
7,600円(税別:パッケージ版)
7,100円(税別:ダウンロード版)

 「ダイイングライト」は、4月16日に発売される、プレイステーション 4/Xbox One向けサバイバルホラーアクションゲームだ。プレーヤーは感染者(infected)がうろつく、地獄と化した街の中を駆け抜け、様々なミッションをこなしていく。

 本作の面白さはゾンビ世界に「フリーランニング」の要素を盛り込んだところだ。主人公の身体能力は高く、感染者に占拠されてごみごみした街を、ジャンプし、よじ登り自由自在に駆け抜ける。この爽快感、疾走感は、「ダイイングライト」ならではのものだろう。今回は発売に先がけ、序盤部分を触ることができた。序盤の展開と、ゲームの基本要素を紹介したい。

フリーランニングの感触が楽しいフィールド。隔離地域で生き残れ!

街には感染者達がひしめいていて、すぐに囲まれてしまう
生き残った人々はあるものは力を合わせ、あるものは隠れ住んで災厄に立ち向かっている
定期的に投下される支援物資は、対立の元ともなっている
仲間が捕らわれている。人間同士の対立も

 「ダイイングライト」では謎の奇病が蔓延し、感染者(infected)達が昼間はノロノロと獲物を求めうろつき、夜に活性化する怪物に化してしまうという地獄のような地域が生まれている。その地域は隔離され、外部と完全に遮断されている。隔離地域の中で生き残った人々にはわずかな支援物質が届けられているというのが現状である。

 その地域に「カディール・スレイマン」という政界実力者が入り込んだ。彼は病気に対する不完全な治療薬の研究書類を持ち、隔離地域に隠れているという。その書類を元に薬が作られたら、さらに恐ろしい事態を引き起こしかねない。プレーヤーはその書類を手に入れる任務を受けた「カイル・クレイン」となり、隔離地域へ向かった。

 しかしそこでカイルは感染者に噛まれてしまう。彼は1人の男に助けられるが、その男は感染者達に食われてしまう。生き残ったカイルは、男が所属していた生き残りの集団に属し、男の代わりに街へ出て、様々な物資を確保する役割を課せられる。プレーヤー(クレイン)は生き残り集団の仲間として行動しながら、秘密裏にターゲットの行方を追うことになるのだ。

 「ダイイングライト」はFPS視点のサバイバルホラーアクションだ。プレーヤーであるカイルは、ゲームが始まり街に降り立った直後に感染者に襲われ、自分も感染してしまったこと、その症状を完治させる方法はなく、「アンティジン」と呼ばれる抑制剤を打ち続けなくては自分も感染者と同じになってしまうことを知る。そして「テスト」として、本作のチュートリアルを受けることとなる。

 このテストを仕掛けてくるのがラヒームというまだ若い少年だ。ラヒームは“クソガキ”という表現をしたくなるほど生意気で、上から目線で色々命令してくる。プレーヤーはこのクソガキに言われるまま、アスレチックのようなフィールドを走り回り、飛び回ることになる。今回はPS4版を体験したが、R1ボタンの活用がキモとなる。R1ボタンはジャンプと、押しっぱなしで建物などのヘリにしがみつける。スティックと組み合わせることで、よじ登ったり、飛び移ることができる。

 左スティックを押し込むことでキャラクターは走る。走りながらR1ボタンでジャンプし、そのまましがみついて建物を上ったり、縁に沿って移動したりできる。本作はフリーランニング要素がセールスポイントであり、慣れるとどんどんアクションがうまくなっていく。また高いところから落ちると落下ダメージを受けてしまうが、ゴミ袋が散乱している場所ならばダメージを受けないということなども、プレイすることで学べる。

 この他入手アイテムを組み合わせ有用なアイテムを作れることや、武器の修理の方法も覚えることができる。本作は戸棚や机の引き出し、ゴミに混じっておいてあるアイテムボックスなど様々な場所でアイテムを入手できる。その配置はある程度ランダムで、プレーヤーは目的地に移動しながらこまめに探索を行ない、アイテムを入手していく。この世界では全てが貴重だ。できるだけ多くのアイテムを手に入れておきたい。

 この「テスト」の場所は隣のビルの屋上となり、そこまでは差し渡されたクレーンの支柱で移動する。高所恐怖症の人には近づけない恐怖ポイントだが、そのとき見える世界の広さ、美しさが圧巻だ。四方を山に囲まれた盆地状の地形にビルや家々がギッシリと立ち並び、中央には大きな川が流れている。そこかしこに火が燃えているのか街のあちこちから黒煙が上がっている。

 この情景の描写の細かさ、美しさはPS4やXbox Oneでしか描写できないものだと実感させられる。この美しい風景は、しかし強い不安ももたらす。どんな物語が待っているのか、そして生き残るために、カイルは何をなすのか、物語への期待もグッと高まる。そしてカイルは生き残るため、彼を助けてくれた集団から与えられた役割を果たすため、感染者がひしめく“街”へ踏み出すこととなるのだ。

感染者がひしめく街。そして夜がやってくる……

感染者達は夜になると凶暴性、運動性が跳ね上がる
他の人が襲われているのに遭遇する場面も
「生存者ランク」を上げ、スキルを入手することで、より強力な武器を作れる
街は広く、様々な場所がある

 ビルの外は感染者がひしめく危険地帯だが、昼間の感染者はそれほど恐ろしい存在ではない。彼らは路上で棒立ちに近い形でたたずんでいて、プレーヤーの姿を見かけるとゆっくり歩いてくる。プレーヤーは武器として鉄パイプなどを持っているが、その威力は低く何度も叩きつけなくては感染者は倒せない。その上武器には耐久力があり、しばらく戦うと壊れてしまう。

 武器を直すためには「金属パーツ」が必要だが、その使用上限も決められており、基本武器は使い捨てだ。武器を使わず「キック」でも戦えるが、こちらは威力が弱いので、倒れた敵を何度も蹴ることになる。「ダイイングライト」の序盤の戦闘はかなり陰惨で、エグイ感じだ。

 本作はオープンワールドのゲームであり、プレーヤーは基本的にはクエストを受け、目的地に向かって行く展開となる。感染者はうじゃうじゃいるので基本は敵をさけて進んでいく。建物は入れるものもあるが、感染者を避けるための最後の抵抗をしたためか、入り口を見つけるのが大変だ。建物の中ではアイテムが入手できるが、感染者に襲われることもある。

 序盤のミッションは街にある「トラップ」を作動させること。感染者を減らすために仕掛けられたもので、今後のプレーヤーの助けになる。トラップが高いところに仕掛けられていて移動するためには地形を把握しなくてはいけなかったり、感染者の集団のど真ん中にトラップがあって爆竹を投げ敵をそちらに引きつけてからトラップに向かうなど、凝っている。

 クエストは展開も凝っていて、トラブルが起きたり、強い感染者が襲ってきたりする。序盤で特に印象に残るのが「夜」の描写だ。夜になると感染者は活性化し、人間ではとても太刀打ちできなくなる。この時生存者は鍵の掛かる「安全区域」に逃げ込むしかない。日が暮れると感染者はものすごい勢いで走りプレーヤーを追いかけてくる。視界はきかなくなるので、ライトの明かりで行き先を照らし、必死に逃げることとなる。この表現がものすごく怖くて、エキサイティングだ。

 そして、「ダイイングライト」はシームレスなオンラインマルチプレイとなっており、ある程度ゲームをプレイしていると他のプレーヤーが自分のセッションに参加したり、他のプレーヤーのセッションに参加できるようになる。この感覚はTechlandが開発した「Dead Island」に近いものになりそうだ。強い敵を集団で倒したり、手分けしてミッションをこなすといったプレイができそうで、正式サービスが楽しみだ。

 プレーヤーキャラクターは「生存者ランク」、「機敏性レベル」、「パワーレベル」という3つのスキルツリーを持っている。生存者ランクはストーリーを進めていくことで、機敏性は移動していくことで、パワーレベルは戦闘で成長していく。スキルをとっていくと様々なものが作れるようになり、移動テクニックが増え、多彩な戦闘ができるようになる。

 今回は「ドロップキック」を見ることができた。奪取からジャンプし、キックボタンを押すことで繰り出せる技で、当たった感染者は激しく吹っ飛び、集団に当たるとボーリングのようになぎ倒せる。観戦者を踏み台に高く飛べる技もあり、組み合わせると観戦者の集団に突っ込んでも被害が少なく切り抜けられそうである。PVでは落下中に周辺にダメージを与える技などもあり、派手な技が期待できそうだ。

 「ダイイングライト」は感染者がひしめく空間を、すり抜け、高いところに上り、血路を切り開いてく爽快感がウリだと感じた。絶望的な世界を必死に駆け抜ける。「ジャンプで届くかな?」というくらいの距離を望みを託して跳び、うまくいったときの達成感は大きい。フィールドを進んでいくだけで楽しいゲームだ。

 「ダイイングライト」ではゲームを進めていくと、徐々に投下される支援物質を奪いあい極限状態で対立している陰惨な世界が明らかになっていく。物語がどうなっていくか、とても興味が惹かれる。ストーリー要素も大いに期待したい。

(勝田哲也)