PCゲームレビュー「バトルフィールド 4」

バトルフィールド 4

シリーズの魂はさらに濃密に
次世代機展開を見据えた野心的進化も!

ジャンル:
  • アクションシューティング
発売元:
  • エレクトロニック・アーツ
開発元:
  • EA DICE
プラットフォーム:
  • WIN
  • PS3
  • Xbox 360
価格:
7,665円
(WIN / PS3 / Xbox 360)
6,600円
(WIN)
発売日:
2013年11月7日

 11月7日、「バトルフィールド 4(BF4)」がリリースされた。今作も現代戦をテーマに、大規模チーム戦が楽しめるミリタリーFPSとして最高の品質を目指した作品になっており、総合的に満足のいく仕上がりだ。

 前作「BF3」が発売されて2年という、大作としては短期的なサイクルでリリースされた本作だが、全体的なテイストは前作を踏襲しており、ゲームとして大きな逸脱はない反面、次世代コンソールゲーム機(PS4、Xbox One)の展開を視野に入れた大胆な進化も果たしている。

 本作ではソロプレイ用のキャンペーンモードも搭載しているが、64人での大規模マルチプレイモードが1番の遊びどころとなるため、まずはPC版を中心に、マルチプレイの評価から話を進めていこう。

“LEVOLUTION”はこれまでにない戦略的オプションを提供する

平和な島だが……
海が荒れてイージス艦が座礁し、拠点の戦い方が変貌する
巨大アンテナのパーツが落下し、中央部が潰れてしまう
もちろん建物も穴だらけに

 本作は現時点でPC版、PS3版、Xbox 360版が発売されているが、前作「BF3」と同様にフルスペックでゲームを遊べるのはPC版のみだ。64人もしくはそれ以上の人数での対戦をサポートするか否か(コンソール版は24人まで)、それによるゲームマップサイズ、映像品質に違いがある。

 特に今作ではマップの構造がダイナミックに変化する新要素“LEVOLUTION”が実装されたため、コンソール版では映像リソースがさらにカツカツになったようだ。少なくともゲームに収録されている範囲ではPC版とほぼ同等のディティールが提供されていた「BF3」とは違い、本作では、例えば「Siege of Shanghai」マップ中央にある巨大ビルの最上階がコンソール版ではスカスカの空間になっていたりし、PC版との差がさらに広がってしまった感じがある。

 その“LEVOLUTION”だが、多くのリソースを投入して実現されただけの意味は充分に感じられる。これは「コンクエスト」モード用の各マップに実装されている要素で、大きな建物や構造物をプレーヤーが意図的に破壊することで、その場所の様相が大きく変わったり、それが原因で時には試合の流れも全く変化してしまう、というものだ。

 例えばβ版でも提供されていた「Siege of Shanghai」マップでは、中央の拠点が巨大ビルになっているが、この屋上を占拠できると近隣の拠点に簡単にパラシュート降下で展開できるため非常に有利だ。それを止めるために屋上拠点を取り戻すのが難しい場合、ビル下層部分の柱を戦車砲やロケットランチャーで破壊すれば、ビル全体の倒壊が始まり、相手の有利を帳消しにできる。

 貧民街が舞台となる「Flooded Zone」ではマップ全体の戦い方が大きく変わる。中央北部にある、水をせきとめているダム的な構造物を破壊すると水が溢れだし、マップ全体が2階部分まで水没するのだ。すると各チームの拠点に出現する乗り物も変化、トラック等が消え、代わりにボート類が現われ、侵攻ルートが大幅に変化するという形だ。

 本作では派手なものから地味なものまでこの“LEVOLUTION”要素が全マップに搭載されている。キモはやはりプレーヤーの意志で発動できるということで、不利な戦況を覆したり、より有利にするといった大局レベルの戦略的オプションとして面白い存在になっているのだ。

 これを使いこなすにはプレーヤーの知識や経験、工夫と機転が必要となり簡単ではないが、それを知らない・使わないプレーヤーにとっても膠着状態が長く続くようなマンネリ感を打破する点で意義は大きく、「BF」らしい奥の深い戦いをうまく演出してくれる。

 なお、コンソール版ではほぼ全てのマップが24人向け相当の大きさに縮小されており(PC版のほぼ半分)、そのぶん1試合も速く終わるため、“LEVOLUTION”要素を触るヒマもなく試合が終わることが多かったり、マップの狭さ故に侵攻ルートを潰す系の効果が薄い印象がある。コンソール派のプレーヤーは、来春登場予定の次世代機版で本要素の意義を改めて確かめて見て欲しいと思う。

「Flooded Zone」。当初は普通に歩けた地面も水浸しに
「Operation Locker」では中央の監視塔が激戦中に潰れて無防備になる
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(佐藤カフジ)