PCゲームレビュー「バトルフィールド 4」

バトルフィールド 4

丁寧な作りのシングルプレイモード。ただし少々、食傷気味かも

丁寧な作りのシングルプレイモード。ただし少々、食傷気味かも

水没した車中から主人公の分隊のストーリーが始まる
新しいガジェットの機能や操作方法を学びながら進められる
高層ビル内での屋内戦
空母も戦場に!

 「バトルフィールド」シリーズのメインディッシュはマルチプレイモードだが、「BF4」にもシングルプレイキャンペーンも搭載されている。従来の「BF」シリーズ同様、シングルプレイはおまけ程度というスタンスに変化はないが、マルチプレイ用武器のアンロックにいくつか影響してくるため、マルチプレイ派のプレーヤーも1度はクリアしておきたい。

 筋書きとしては、中国における政権交代の混乱が引き起こす戦乱を、米軍のエリート兵である主人公チームが闘いぬくというものだ。中国を支配した軍事主義の指導者の策謀と、奇襲により壊滅した米太平洋艦隊という構図。戦場は中国の大都市から洋上へ、そして上陸戦に内陸での破壊工作へと目まぐるしく変化していく。

 ボリュームとしては6時間程度でクリアできるものだが、作りはとても丁寧だ。「BF3」のキャンペーンモードでは、気がつけば決められた戦場の外に出てしまって“5秒以内に戻らないと死亡”みたいなゲームシステムに翻弄され、没入しづらいシーンが多かったが、本作ではそのあたりの粗さが徹底的に改良されているのだ。

 ゲームは確かに1本道の進行だが、敵との戦闘での自由な行動を含むプレーヤーの動線をうまく枠内に納めるマップの作りとなっており、筆者がこれをハードモードでクリアするまで、“戦場外通告”を受けて理不尽な天誅を喰らうことは1度もなかった。おかげで本作のシナリオや、千変万化する戦場の流れを素直に楽しめた。

 AIキャラクターとのチームプレイ要素も良い。マルチプレイにおける敵のスポットと同じ要領で、分隊員に攻撃を指示できるというシステムだ。指示するまでは味方は受動的で、プレーヤーは仲間に獲物を盗られることなく叩けるし、指示出しメインで行けば仲間が的確に敵を倒してくれる。ゲームのシンプルさを損なうことなく、プレーヤーの好きなペースで戦えるという、うまいシステムだ。

 欲を言えば、「BF3」以上に本作のシナリオは兵士個人の狭い視点にフォーカスされすぎているところが不満ではあった。数名の分隊で100倍の敵中に突っ込み、戦死するより過労死するほうが早そうなペースで転戦させられ、最後まで個人的武勇だけで戦争が終わる、というのはあまり「BF」的ではないような気がするのだ。

 確かに、戦場でありそうな極限状況を、リアルかどうかは置いておいて、ごった煮にした迫力満点のハリウッドスタイルFPSとして見れば、「いろんな戦いが楽しめるし見どころ満載、特に緻密に再現された空母の艦内や洋上戦闘のスケール感は必見!!」という感じで、全体として平均値以上の出来だとは思う。

 ただ、そういうのは他のシングルプレイFPSでも似た系統の面白さがより自然に表現されているので、せっかくの「BF」ならもっと巨大な戦場感をシングルプレイキャンペーンにも持ち込んで欲しかったなあ、というのが正直な感想である。この点、大戦車戦が楽しめた「BF3」よりも密度感が高まったぶん、スケールの小さい話になってしまった感がある。

 総合的に見て本作はやはりマルチプレイが本筋で、それにハリウッド映画2本分くらいのボリュームを持つシングルプレイが付属するという構成だ。マルチプレイは軽く100時間は遊んでもまだまだ研究し足りないほど奥が深く、一瞬一瞬の緊張感や楽しさの密度も高い。プレイスキル重視のバランス感や、“LEVOLUTION”要素による展開の変化なども踏まえると、やりこみ派のプレーヤーにとってはシリーズ最高の出来かもしれない。最近のFPSをマンネリだと思っている歴戦のプレーヤーほど、是非本作を真剣に遊んでみて欲しいと思う。

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(佐藤カフジ)