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★ 3DSゲームレビュー★
ジョブチェンジ&アビリティの組み合わせなど
古き良きRPGの良さをベースに一歩進化した良作
「 ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー」
ジャンル:
RPG
発売元:
スクウェア・エニックス
開発元:
スクウェア・エニックス / シリコンスタジオ
プラットフォーム:
3DS
価格:
6,090円 (通常版)
5,400円 (ダウンロード版)
発売日:
10月11日
プレイ人数:
1人
レーティング:
CERO:C(15才以上対象)
Amazonで購入



 RPGが持つ根源的な魅力が詰め込まれている「ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー」(以下、BDFF)。中世ファンタジー色に満ちた世界を冒険し、新たに手に入れた力へジョブチェンジし、アビリティを組み合わせて、自分なりのバトルスタイルを見つけてやりこんでいく。そんな、“古き良き”とも言える魅力を持ったタイトルだ。

 開発はスクウェア・エニックスおよびシリコンスタジオ。キャラクターデザイン等のリードアーティストはスクウェア・エニックスの吉田明彦氏、シナリオには5pb.の林直孝氏、音楽には幻想楽団「Sound Horizon」を主宰するサウンドクリエイターRevo氏が参加。意欲的な制作陣の組み合わせから生まれた新たな魅力、「BDFF」のレビューをお伝えしていこう。

 なお、本作は発売以来、品薄状態が続いており、それをうけて11月1日からはダウンロード版の販売も開始されている。



■ 闇に飲まれたクリスタルを解放しようと4人が旅する王道の世界観

大穴から溢れ出た闇に4つのクリスタルが飲まれ、村がひとつ消失してしまう
クリスタルの精霊エアリーいわく、風の巫女アニエスがクリスタルを解放すれば、世界の異変も大穴も消えて平穏を取り戻せるという。それを目指して4人が旅していく物語だ

 「BDFF」の世界「ルクセンダルク」はいくつかの大陸と国家からなり、“風、水、土、火”を司る4つの巨大なクリスタルと、それを古より信仰してきたクリスタル正教と共に栄えてきた。だが、クリスタルは世界に突然できた大穴よりあふれ出た闇に飲まれ、その輝きを失ってしまう。本作の物語は、こうしてルクセンダルク各地に次々と異変が起こっていくところから始まっていく。

 4つのクリスタルの1つ「風のクリスタル」もまた、氾濫した闇に神殿ごと飲み込まれてしまう。神殿の修道女たちの手によって、ただ1人生き延びた風の巫女「アニエス」は、クリスタルの精霊「エアリー」と共に、クリスタルを解放する旅に出る。

 風の巫女として神殿の外にすら出た事がなかったアニエスと出会うのは、巨大な大穴に飲み込まれた村ノルエンデの唯一の生き残りである「ティズ」。正義感の強い心優しい少年ティズは、クリスタルを解放し大穴を塞いで世界を救おうとするアニエスの旅に同行していく。

 さらに、自身の記憶を失っており、なぜかアニエス達の旅の予言とも取れる記述がされた「Dの手帳」を持つ「リングアベル」、クリスタル正教を否定するアンチクリスタリズムを提唱するエタルニア公国を治める元帥の1人娘「イデア」が、アニエス達と出会い現実に起きている出来事を目の当たりにして、アニエス達の旅に同行することを決める。

 風の巫女アニエス、異変を生きのびた少年ティズ、記憶を失っているリングアベル、公国の娘イデア。この4人がプレーヤーキャラクターだ。世界各地にはアンチクリスタリズムを掲げるエタルニア公国の手が伸びており、アニエスを捕らえクリスタルの解放を阻止しようとしてくる。4人の旅はこのエタルニア公国との戦いと言ってもいい。

 船で海を渡り、飛空挺で空を渡り、世界中に点在するクリスタルを目指す冒険は、まさに王道をゆくファンタジーRPG。訪れる街々もまた問題を抱えていて、それを解決しながらの旅であり、それによってティズ達も成長を見せていく。スクウェア・エニックスのタイトルで例えるなら、世界の構築やテイストには「ファイナルファンタジーIII」を彷彿とさせるものがあった。新しい街へ行く楽しさや新鮮さがしっかりと込められている。


宿命を帯びた風の巫女アニエス、ノルエンデ村唯一の生き残りティズ、アンチクリスタリズムを提唱するエタルニア公国を治める元帥の1人娘イデア、記憶を失っている青年リングアベル。それぞれに特殊な事情を持った4人がプレーヤーキャラクターである
自然に満ちた世界のなか、中世ヨーロッパを思わせる国や街が点在する世界。機械文明はなく、飛空石で飛ぶ飛空挺があるのみ。古き良きファンタジーRPGのテイストだ



■ ジョブチェンジ&アビリティの組み合わせ、ブレイブ&デフォルトのバトルシステムなど奥深く楽しめる魅力が満載

「ファイナルファンタジー」(以下、FF)シリーズでおなじみのジョブやアビリティ、魔法やアイテムが数多く登場

 「BDFF」の面白さはなんといっても、「ジョブチェンジ」と「アビリティ」の組み合わせ、そして「バトル」だろう。アスタリスク所持者を倒すことでジョブの能力が手に入り、いつでも自由にジョブチェンジできるようになる。ジョブの数は公開されているものだけで22種類あり、ナイトやシーフ、白魔道士に黒魔道士、召喚士や忍者、暗黒騎士など、「FF」シリーズでおなじみのものが揃っている。

 キャラクターには自身のレベルの他に、身につけているジョブのジョブレベルがあって、ジョブレベルが上がる事でそのジョブ固有のアビリティを修得していく。ジョブには、コマンドとして他のジョブコマンドを1つ装着できる。例えば、白魔道士に黒魔法のジョブコマンドを、ナイトに魔法剣士の魔法剣のジョブコマンドをといった組み合わせが可能だ。

 さらに、ジョブコマンドではないジョブ特性「サポートアビリティ」も他のジョブに組み合わせることができる。例えば魔法系のジョブに、魔法剣士の自動アスピル剣という物理攻撃が全てアスピルになるアビリティを付ければ、消費したMPを攻撃で吸収するというスタイルができる。

 このジョブチェンジとアビリティの組み合わせの多彩さは、「FFV」に通じるものがある。育てたいジョブと手に入れたいアビリティがあり、それらを入手する楽しさ、それらを組み合わせていろいろ試す面白さは、まさにRPGの持つ、特に初期「FF」シリーズが持っていた楽しさだ。黙々とジョブレベルを高めることに没頭してしまうこと間違いなし。

 アビリティの組み合わせによる戦力アップの振り幅がすごく大きくて、後半になるとちょっとバランスブレイカーなんじゃないかなと思えるほどに強力な組み合わせも出てくる。だが、そのダイナミックさも魅力となっており、そういうとてつもないものもあるだけに、組み合わせをいろいろと模索していくモチベーションに繋がっている。面白さを実感できるバランスだ。


ジョブチェンジとアビリティを組み合わせる魅力は「FFV」を彷彿とさせるものがあり、自分だけの組み合わせを試行錯誤する楽しさ満載。たっぷり遊びこめるだけの魅力がある

バトルシステムはコマンド選択式のターン制バトルだが、それに「ブレイブ&デフォルト」という独自のシステムが加わっている。画像はブレイブで、行動回数を前借りして増やしている

 戦闘には、本作のタイトルにある「ブレイブ」と「デフォルト」という特徴的なシステムがある。本作の戦闘はいわゆるコマンド選択式のターンバトルで、全員の行動を選び決定すると敵味方の行動がまとめて行なわれるというオーソドックスなもの。それにブレイブ&デフォルトのシステムがアクセントとなっている。

 戦闘中のキャラクターには「BP(ブレイブポイント)」というポイントがあって、これは「1ポイントあたり1回の行動」になってくる。BPは0の状態が普通で、1ターンに1回行動するという普通の戦い方なら0のまま。これが、ブレイブすると減って、デフォルトすると増える。

 ブレイブは、行動回数を前借りするようなコマンドで、ブレイブをするごとにそのターンでの行動回数が1つ増えていく。基本的には1ターンに最大3回までブレイブ可能で、そのターンのみ最大で4回の連続行動ができる。これが4人分それぞれにできるので、全員ブレイブ最大なら1ターンに16回の行動をさせられるわけだ。

 ただ、当然リスクもある。BPが0のターンでブレイブするとBPが-1になって2回行動に、2回ブレイブするとBPは-2だが3回行動に、3回ブレイブするとBPが-3されるが4回行動になる。BPがマイナスのターンは行動できない。マイナス分のBPはターンごとに1ずつ回復していくので、ターン経過でBPが0に戻るまで行動できなくなる。

 逆にデフォルトは、行動回数のストック(BP)を貯めるというもので、デフォルトするとBPが1増える。増えたぶんだけ安全にブレイブ(行動回数アップ)できる。また、デフォルトはいわゆる防御にもなっていて、守りつつ行動回数を溜めることができる。

 つまり、ブレイブした数だけ1ターンに行動できるが、その回数の分だけ次からのターンで行動できない。デフォルトするとブレイブのポイントが溜められるというわけだ。


デフォルトでは防御しつつBPを蓄える。溜まったBPをいざという時にまとめてブレイブで解放し、一気に攻め立てていく

 このブレイブ&デフォルトのシステムは、まさに使い方次第なところがあり、例えば魔法剣からの強力な攻撃を1ターンで行なうには、1回ブレイブして「魔法剣→攻撃」とする必要がある。

 また、戦闘不能になった仲間をすぐにHP回復したいという時には、ブレイブして「レイズかフェニックスの尾から全体回復」とすればいい。蘇生させてもそのターンにすぐまた戦闘不能にされてしまいそうな時に有効だ。ただし、便利すぎるためか蘇生したキャラへの単体回復は連続してはできない。

 雑魚モンスターとの戦いなら、ブレイブ全開で1ターン以内のスピード撃破を狙えばいい。パーティー全員がHP満タンで白魔道士といった回復役にやらせることがないというのも、ターン制RPGでよくある場面だが、その時にはデフォルトさせておいて、いざという時に連続行動で回復させられるように待機させればいい。

 このシステムの都合上、ブレイブすると一般的なRPGよりもコマンド選択の時間が長くはなるのだが、前に選んだコマンドを記憶するようになっているし、本作では十字ボタンの右で決定できる。つまり、十字ボタンだけでスイスイと選択・決定して、前のターンと同じ行動でよければ右を押しっぱなしでいい。右を押しているとタッチパネルの左端に指がかかって見えづらくなるところが少し気になったものの、ブレイブしてもスピーディーに戦闘できるよう工夫されていた。

 ちなみに、このブレイブ&デフォルトシステムは敵も使ってくる。それもあって本作の戦闘バランスはなかなかシビアだ。敵のブレイブからの猛攻で思いがけず大ダメージを喰らう時もあるし、ブレイブ全開で行動させた攻撃役のキャラクターがターンの最初に魅了され、味方が集中的に攻撃されて全滅なんてこともあった。特に序盤では敵からのダメージが大きくて、厳しさを感じさせるところがあるかもしれない。こまめなセーブがオススメだ。


ブレイブとデフォルトで行動回数をコントロールしつつ、アビリティを駆使していくのが醍醐味。ブレイブで攻撃魔法を連続で4回唱えたり、連続攻撃することもできる。回復も複数まとめて行なえば一気に立て直せるし、攻撃後に「かばう」などの防御系コマンドを最後にセットしておくというのもバランスがいい

「たたかう」の攻撃は何回も武器を振って斬りつける初期「FF」方式。「そうそう、これこれ」と言いたくなるツボもしっかりと押さえてある

 戦闘の魅力もまた、初期「FF」シリーズを踏襲している。例えば「たたかう」で攻撃した時には、ザクザクザクザクと何回も武器を振って攻撃してくれる。その音と攻撃回数から与える大きなダメージの気持ちよさは、やはり初期「FFシリーズ」、特に「FFIII」を彷彿とさせるものがある。魔法やアイテム、アビリティも基本的には「FF」シリーズでおなじみのものがほとんどで、非常にとっつきやすい。

 ジョブ&アビリティの組み合わせ、育成、そして戦闘では初期「FF」シリーズを踏襲しつつも、ブレイブ&デフォルトというバトルの奥行きを発展させるものも加わっている。王道+進化という、良い手触りにまとまっている。



■ 全体に漂う古き良き暖かなRPGテイストとは裏腹に、ストーリーやテキストには結構なギャップがあって、好みがわかれるところ

ストーリーは実はかなり独特で、好みが分かれるのではと思えるほど。テキストでもグラフィックスの暖かさとは裏腹に、刺激の強いワードが頻繁に使われているのも少し気になった

 中世ファンタジーのテイストをしっかりと感じさせる世界。吉田明彦氏の暖かさと味わいのあるデザイン。初期「FF」シリーズの良さをギュッと詰め込み、そこに進化も加えているなど、見た目からもわかるような王道の良さのある本作なのだが、1点だけそのテイストにあまり合っていないと感じたものがあった。

 それはストーリーで、これについてのみ“初期RPG作品の王道を行くような良さ”とはだいぶテイストの異なるものが込められている。ストーリー進行の中で様々なイベントが起きるわけだが、一部にはえぐさを感じさせるものがあったし、ゲーム中のテキストにもやはり一部に刺激が強すぎるのを感じるものがあった。

 中盤以降の展開からしてもネタバレになるので詳しくは書けないが、“王道ファンタジーとは異なるもの”があり、ここもだいぶ好みがわかれるのではと思える。良くも悪くもという言い方になるが、独特な物語だ。

 ちなみにその中盤以降には、突然自由度が高くなるところがあるのだが、その自由度を活かした分岐などもあって、そこをあえて例えるなら「ロマンシング・サガ」シリーズを思わせるものがあった。それまでの展開と要素からはやはりギャップがあるものの、独特な良さもある。

 本作を未プレイの人だと、見た目や印象の柔らかさから「CEROレーティング:A(全年齢対象)」を想像すると思うのだが、実際はC(15才以上対象)となっている。物語が面白いかどうかで言えば充分に面白いと言えるものの、このプレイする前にもつであろうイメージとはだいぶギャップがあるのが、好みをわけるところではないだろうか。本作をプレイ後の筆者としても、本作全体の雰囲気に対してこのストーリーはちょっと合っていないのではと思った。



■ 古き良きRPGの良さに今世代の一歩進んだ工夫のされた良作。楽曲も非常に魅力的

3DSならではの要素として、すれ違った他プレーヤーやフレンドを召喚して攻撃に参加してもらうことも可能。「アビリンク」という他プレーヤーの修得アビリティを自分も使えるようになるシステムもある。新しい大胆な試みにもチャレンジしている作品だ

 古き良きRPG、その中でも初期の「FF」シリーズのエッセンスを強烈に感じさせる本作。ジョブチェンジとアビリティのシステムは育成面において非常に魅力的で、やりこみたくなる面白さがある。バトルにおいても「ブレイブ」&「デフォルト」はターン制コマンド選択バトルに、一歩進んだ便利さや奥深さを持たせている。

 また、3DSならではの試みも非常に多く盛り込まれている。すれちがい通信をはじめ、フレンド登録をすることで戦闘中に他プレーヤーのキャラを召喚魔法のように召喚できる「フレンド召喚」や、他プレーヤーのキャラが修得したアビリティを借りることができる「アビリンク」などがある。フレンド召喚では、同じように自分の行動を配信することもできる。

 本作の魅力は音楽の良さだ。“物語音楽”というファンタジー世界の幻想的な音楽を追究してきた「Sound Horizon」のRevo氏による楽曲は、冒険を感じさせる躍動感、疾走感、輝きを持っていて、素晴らしいものがある。Revo氏の楽曲は本作の良さを1ランクも2ランクも高めていると思う。

 一方で、少し斬新すぎるストーリー面においては、やはり好みがわかれるところを感じる。他の要素やエッセンスが“古き良き王道”の魅力を存分に持っているからこそ、対照的にギャップを感じさせてしまうものがあった。

 こうしたところはあるものの、ある意味で“ただおとなしいだけの作品”にはなっていないわけで、本作ストーリーのテイストに好みがあえば、それも要素と言える。全体を通して言うと、いわゆる日本のRPG作品としてもかなりのクオリティと魅力があるので、特に初期「FF」シリーズが好き、古き良き魅力を持ったRPGが遊びたいという人にオススメ。やりこみがいもたっぷりとあって、満足度の高い作品だ。


(C)2012 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
MAIN CHARACTER DESIGN: Akihiko Yoshida.

Amazonで購入

(2012年11月15日)

[Reported by山村智美 ]