JediとSith最大の戦いが今始まる!
- ジャンル:
- MMORPG
- 開発元:
- BioWareLucas Arts
- 運営元:
- Electronic Arts
- 対応OS:
- Windows XP/Vista/7
- 価格:
- Standard Edition:59. 99ドル
Digital Deluxe Edition:79. 99ドル
Collector’ Edition:149. 99
月額利用料:14.99ドル(30日) - 発売日:
- 2011年12月20日
「Star Wars: The Old Republic」が欧米で大ヒットしている。本作はBioWareとLucas Artsの共同開発したMMORPGで、2011年12月20日より正式サービスを開始、数日で利用者が100万人を突破したという。現在北米で127、ヨーロッパでも98のサーバーが稼動してる。2011年、欧米市場のMMORPGとしては「Rift」がヒットしたが、本作の人気はそれを遙かに上回る。「World of Warcraft」以来のビッグウェーブの到来、といえるかもしれない。これだけの勢いを見せている作品だが、残念ながら今のところ日本サービスの予定はないという。
その盛り上がりぶりを確かめるべく、筆者は輸入版を購入し、北米サーバーでプレイしてみたので、ゲームの特徴と北米サーバーの賑わいを伝えたい。実際にプレイすると「Dragon Age」シリーズや、「Mass Effect」シリーズを手掛けたBioWareの作品ならではの、フルボイスの会話シーンといくつもの選択肢、そしてドラマチックな展開が用意されていて、これまでのMMORPGとは全く違う世界が体験できた。本作のようなリッチなオンラインゲームはしばらく現われないだろう。MMORPGファン大注目の作品である。
■ 映画では描かれなかった、大勢力のJediとSithの対決が実現!
キャラクターの容姿は多くの選択肢から選んで組み合わせて決める |
クエスト時の選択肢で、展開は変化する。「Dragon Age」シリーズや、「Mass Effect」シリーズでおなじみのBioWare独自のインターフェイスだ |
「Star Wars」ならではの世界がプレーヤーの前に広がる! |
最初は電撃を発する剣でのスタートだが、儀式を経て、ライトセーバーを入手する。テンションが上がる瞬間だ |
「Star Wars: The Old Republic(以下、「SWTOR」)」は映画「Star Wars」の“3,700年前”の「Jedi(ジェダイ)」と「Sith(シス)」の戦う世界を描く。「数千年前となると文明はどうなんだろう」と考えがちだが、たくさんの宇宙船が飛び交い、いくつもの星に人々は進出しており、異星人達が活発に交流していて、意志を持つロボット「ドロイド」もいて、おなじみの「Star Wars」そのままの世界が、プレーヤーの前に展開する。
映画シリーズと大きく違うのはJediとSithが互いに大きな勢力を持っており、激しくぶつかっているところだろう。ライトセーバーを持った集団同士が斬り結ぶ、という場面は映画ではついに実現しなかったが。本作ではプレーヤー同士でその“夢”が実現できる。本作ではもちろん、JediやSith以外にも、アーマーに身を包んだ「Trooper(トルーパー)」や、様々な武器を使いこなす「Bounty Hunter(バウンティ ハンター)」といった職業もプレイできる。この「SWTOR」では善なるフォースを使うJedi達“ライトサイド”が共和国側、闇のフォースを使うSith達が“ダークサイド”の帝国側となる。
「SWTOR」の革新的な部分は、スタンドアロン型のRPGに匹敵するか、もしくはそれ以上のストーリー要素だ。プレーヤーキャラクターは徐々に戦いの鍵を握る人物として、大きな存在感を示してくる。今回はこれまで悪役として描かれていたSithでプレイしてみたのだが、アカデミーで教えを受ける駆け出しの戦士から、重要人物達に引き立てられ、そして強力なフォースを扱う戦士として成長していく過程が楽しい。
そして、銀河宇宙を舞台に、自分の宇宙船を駆り、相棒と共に壮大な冒険に旅立っていくのだ。Sithのストーリーは陰謀と裏切りに満ちている。この殺伐とした世界で何を為すのか、その大きなテーマがプレイを後押しする。レベル上げだけではない、ストーリーの面白さが、常に前に前にとプレーヤーを引っ張っていく。
そしてゲームデザインにも注目である。本作はかなり“ソロプレイ”に特化している。もちろんMMORPGなのでソロプレイのみのゲームではないが、ソロでもかなり楽しめる、というのが本作の大きな魅力になっているのは間違いない。フィールドの敵は分散していて、適性レベルならば適度な緊張感で倒していけるし、なにより「SWTOR」はクエスト中心でストーリーを楽しみながらゲームを進めていける。クエストは凝っており、スケールが大きい。敵基地にたった1人で侵入、戦闘機などを爆破する破壊工作や、強力な敵との一騎打ちなど、グッと来る展開が目白押しなのである。
さらにプレーヤーには「Companion」という相棒が用意されている。このため実質的には常に2人パーティで戦うことができる。コンパニオンはただの戦闘用NPCではなく、プレーヤーのクエストでの選択に合わせて好感度が変化する。好感度によるイベントもあり、かけがえのない相棒へとなっていく。MMORPGのソロプレイは淡泊なものになりがちだ。しかし、本作の場合はCompanionと共に冒険できることで、常に協力プレイの楽しさを味わえる。
何よりも「Jediの騎士」や「Sithの戦士」だからこそできる一騎当千の活躍が体験できるのだ。もちろん他の職業でも同じくクエストは進められる。常人の能力を遙かに超えた、“超人”としての活躍、濃いストーリー要素に、ソロでも楽しく遊べるバランスに、相棒キャラクター……本作は多彩な要素で「新時代のMMORPG」を提示している。RPGファン注目の作品だ。
各要素1つ1つを取り出してみると、その全てに画期的で革新性な要素というわけではない。しかし、各要素が融合して生まれるゲームバランス、プレイ感覚が、間違いなく新しいMMORPG像を生み出しているのだ。MMORPGの進化を実感させる。そしてここに「Star Wars」という北米ではポピュラーな世界観と、エキサイティングな冒険を実現させた本作は、大ヒットも当然と思わせるパワーと、説得力を持っている。
コアな海外ゲームファンなら本作の「Star Wars: The Old Republic」というタイトルに、聞き覚えがあるだろう。BioWareは2003年に「SWTOR」と同じ、映画より4,000年前の時代を描いた「Star Wars:Knights of the Old Republic」というタイトルを、PC/Xbox用のRPGとしてリリースしているのだ。日本未発売なので日本ではほとんど知られていない存在だが、こちらはシングルプレイのRPGで、プレーヤーは一兵士からスタートし、Jediの騎士やSithの戦士を目指していく。「SWTOR」は「Star Wars:Knights of the Old Republic」の300年後の世界という設定になっている。
また、「Star Wars」のMMORPGといえば、日本でもサービスされていた「Star Wars Galaxies」がある。こちらは映画と同じ時代を扱っていた。北米ではサービス開始時大きなヒットとなった。「Ultima Online」を発展させたようなスキルベースのMMORPGとしてスタートし、プレーヤーが街を作ることができたり、生活要素も豊富だった。しかし、こちらのコラムでも紹介したように、途中から「Ever Quest」タイプのレベル制にシステムを変え、迷走と思われる方向転換を行なった。この方向転換は、ユーザーの賛同を得られず、大きくユーザー数を減少させてしまった。今でも北米ではサービスしているが、サーバー数もかなり減ってしまっている。
「SWTOR」は「Star Wars Galaxies」とは、時代設定、システム、ゲームデザインも全く異なり、運営会社も違う(日本では同じEAだが)、全く異なるゲームである。「SWTOR」のインターフェイスを始めとした基本的なゲームデザインは、「World of Warcraft」や「The Lord of the Rings Online」などの、欧米MMORPGのオーソドックスなスタイルを踏襲している。本作はそこに、ソロでも楽しい冒険、「Star Wars」ならではのシチュエーションの楽しさ、ストーリー要素の濃さを盛り込み、新時代を感じさせる作品となっているのだ。
共和国か帝国を選んでキャラクターを作成する。8つの職業が存在している | ||
「SWTOR」ならではの、凝ったオープニングムービー。勢力や職業で数パターン用意されている。JediとSithの大規模なぶつかり合いが描かれるのは、映画では |
■ 日本からのプレイはハードルが高いのが現状。しかし北米での“勢い”は一見の価値アリ
北米では127のサーバーが稼動している。圧倒的な風景だ |
ライトセーバーで敵に斬りつける。技や敵が倒れるモーションは凝っていて、楽しい |
冒頭でも触れたように現在、日本では「SWTOR」のサービスの予定はない。このため本作をプレイするには海外サーバーに接続するしかないが、ここに大きなハードルがある。「SWTOR」のクライアントはダウンロードで誰でも入手可能だが、サーバーにログインするためのアカウントそのものはEAのダウンロード販売サイトOriginから購入しなければならない。ところが国による制限のため、日本からの接続では、アカウントを購入できないのだ。
この制限をくぐり抜けて日本からプレイするための方法としては、大別して2つある。ひとつはAmazonや輸入ショップを利用して北米版のパッケージを入手する方法だ。輸入品となるため割高となるのが弱点だが、パッケージの中にはクライアントディスクとアカウントコードが封入されており、安心確実だ。
もうひとつは、アカウント発行の代行サービスを利用する方法だ。メジャーどころとしてはGamecard.mobiがある。非公式のサービスであり、利用に関してはあくまで自己責任となるが、このサービスを利用すれば、日本の自宅にいながらに、「SWTOR」のクライアントとアカウントを手に入れることができる。アカウントさえ購入できれば、月額の支払いは日本からでも可能だ。
もう1つ注意したいのは、インストール時、日本語OSだと発生するかもしれない不具合だ。Windowsのログインアカウントが全角の名前の時に発生し、クライアントをダウンロードしてもインストールができない事がある。この問題を回避するには、半角英数字の管理者アカウントを作り、ログインすることでインストールが可能になる。インストールしてからは、快適にプレイできた。もちろん日本からの接続、日本語環境のサポートは行なわれていない、ということは留意しておきたい。
あと必要なものといえば英語力だろうか。筆者は英語が得意ではないので、ストーリーの大枠は理解できても、細部が理解できていないのだが、そのレベルの英語力でも、本作はかなり快適にプレイできる。クエストの目的地は細かくマップに表示され、何をすれば良いかもシンプルな言葉のため進めやすい。またクエストの会話シーンがふんだんで演出も凝っているため、細部がわからなくても話の流れはある程度わかるのだ。
「SWTOR」のパーティープレイは、クエストを目的に瞬間的にパーティが集められ、速いペースで戦闘を行ない、終わったらすぐに解散するというのが一般的だ。ほとんど会話が行なわれない場合もあり、気軽に参加できる。もちろんパーティに参加してると、英語を話したくなるし、ゲームの細部を知るためにも学びたくなる。英語を学ぶきっかけになるかもしれない。
北米でプレイしていると、改めてその人気と勢いに驚かされる。サーバー選択画面でずらりと並んだリストも圧巻だ。人気サーバーはコアタイムにログインができなくなるほどで、パーティ募集はとても盛んであり、目的のパーティにすぐに入ることができる。フィールドもプレーヤーがとても多く、ともすれば獲物の取り合いになってしまうが、活気を感じる。
日本からの接続は、時差があるはずなのに、日本のコアタイム、つまり欧米ではコアタイムではない時間帯でも、常にどの場所も人で賑わっている。大ヒット作品ならではのプレーヤーの勢いを、確かに感じられる。これだけの活気は「SWTOR」が日本でサービスされたとしても実現しないだろう。まさに「Star Wars」の“本場”ならではだ。
■ ライトサイドか、ダークサイドか常に問われる善悪の道。Companionへの想いが決断を変える?
ダークサイドの選択。繰り返すことでプレーヤーキャラクターの容姿も禍々しくなっていく |
Companionは、クエストでも独自の価値観で発言する。プレーヤーの判断にも影響を及ぼす |
さて、「SWTOR」の数ある魅力的な要素の中でも、本作のストーリーは特に触れておきたい部分だ。「SWTOR」は「Dragon Age」シリーズや、「Mass Effect」シリーズを手掛けたBioWareの作品ならでは手法を取り入れたMMORPGだ。クエストは「Mass Effect」シリーズに劣らないふんだんな会話シーンが取り入れられていて、フルボイス。選択肢によって会話や物語は大きく変化する。
最新のコンシューマーRPGでの大作としては「Skyrim」があるが、これと比べれば本作は自由度は少ない。プレーヤーはクエストの導線に従って徐々に行動範囲を広げていくことができ、冒険のフィールドはレベル帯できっちりわけられており、多くのプレーヤーが同じ道のりを進んでいく。しかし、その濃いストーリーとキャラクター性はこれまでのMMORPGとは一線を画すものがある。
これまでの「Star Wars」のゲームでは、悪のSith側でプレイできる機会は限られていた。このためか、「SWTOR」ではSith側をプレイする人が多いようだ。筆者も今回は、「Sith Warrior」という、ダークサイドの戦士をプレイしてみた。Sithのストーリーは、暗黒面に満ちており、裏切りと陰謀、そして常に死の匂いを立ち上らせている。プレーヤーを出し抜こうとした仲間と、クエストクリア寸前で対決するといった、フォースの暗黒面に落ちた人々の愚かさを痛感させてくれる展開も多い。
会話の選択肢の中では、敵対したキャラクターを酷薄に殺害するか、それとも仏心を出して助けるか、といった選択も何度も迫られる。こういった選択を通じて、プレーヤーキャラクターが、暗黒面に向かうか、それともライトサイドに向かうかが変わっていく。Sithである以上、ダークサイドの選択を重ねていくのだが、プレイしていて、善悪の葛藤に心が揺れるのだ。
ここにさらに、「Companionの好感度」が関わってくるのが面白い。Companionは独自の価値観を持ち、好感度を上げると特別なイベントが発生する。選択するときにダークサイドとしてのロールプレイ、自分の気分、そしてCompanionの好感度を上げたいという気持ちが絡み合う。この感覚が、ストーリーにさらにのめり込ませてくれる。
陣営、職業によっても、ストーリー展開も、クエストでの選択の指標も変わってくる。キャラクターが異なれば、全く違うプレイ体験ができる。本作の現在のレベルキャップはレベル50だが、すでに現時点でもうレベル50まで到達しているプレーヤーキャラクターもいて、レベルキャップまではそれほどきつい道のりではなさそうである。本作では複数のサーバーに、複数のキャラクターを作ることができる。様々なキャラクターで、異なるベクトルのロールプレイを楽しむ、ということもしていきたいと思う。
■ より個性的なキャラクターへ成長。宇宙船を得て、銀河の彼方へ!
仲間と協力して戦う。パーティープレイは楽しい |
上級職の1つである、Sith Juggernautのスキルツリー。プレーヤーの選択で様々な特性を発揮できる |
宇宙船を入手! いよいよ銀河を股にかけた冒険が始まる |
ストーリー以外にも本作は様々な魅力を持っている。パーティクエストでは徐々にプレーヤーの“役割”が大事になってくる。キャラクターはレベル10になると上級職に転職し、そこからタンク役や回復役、敵の動きを止める役割など様々な特性を極めていけるようになる。ここに「Star Wars」ならではの味付けが加わっているのが楽しい。ライトセーバー2刀流のアタッカーや、Bounty Hunterはおなじみのジェットパックで空に飛び上がり様々な武器を駆使して、仲間を援護したりもできる。
“Flash Point”という特別なカテゴリーのパーティクエストは特に展開が凝っている。レベル10前後でプレイできる「The Black Talone」というクエストは帝国側に侵入してきた敵を撃退してから、逆に敵戦艦に侵入するというものだ。宇宙船の外壁を、敵の揚陸艇が貫いて侵入してきたり、こちらも船に乗って敵地に侵入すれば、腕ききのJedi Knightがたった1人で食い止めようとしたり、「Star Wars」ならではの展開でとても楽しかった。
またレベル15前後には個人用の宇宙船が与えられ、宇宙での戦闘クエストも受けられる。宇宙での戦いは、強制スクロールで、マウスで進行方向と照準を変えるだけのシンプルなシューティングゲームだが、「Star Wars」ならではの宇宙船が出てくるのが楽しい。宇宙船を得ると、銀河を自由にかけめぐる「宇宙の戦士」として、冒険の舞台も大きく広がり、テンションが上がる。SFもののゲームならではの要素である。
「SWTOR」はPvP、PvE、そしてロールプレイという、サーバーのカテゴリー分けがされている。筆者はJedi対Sithの戦いを体験したいと考え、PvPサーバーでキャラクターを作成している。しかし、「SWTOR」ではPvPは高レベルコンテンツのため、まだ体験できていない。これからの目的として、現在はキャラクターを育てている最中である。
今回、北米サーバーで本作をプレイして感じたのは、“大いに賑わう世界の楽しさ”だった。この感触は、日本国内で「Star Wars Galaxies」や、「The Lord of the Rings Online」をプレイしてるときには感じられなかったものである。英語という言語の壁や、購入の難しさなどいくつものハードルを越え、コアなMMORPGプレーヤーが北米サーバーでゲームをプレイする楽しさを、今回久々に理解できた。「Star Wars」の“本場”である北米サーバーだからこその世界が、確かにここにはある。
また、「SWTOR」の魅力を100%味わうには英語力が足りないことも痛感したが、それでも快適にゲームを楽しむことができ、ストーリーも、パーティプレイも楽しむことができている。これは、練られたゲームバランスと、システム、そして魅力的な世界観があるからだと思う。今後もこの世界にどっぷりハマっていきたいと思っている。「SWTOR」の日本サービス実現も期待したいところだが、本作が気になったプレーヤーは、勇気を持って、北米サーバーに飛びこむのもアリじゃないかと思う。そこには日本とは違うユーザーと、プレーヤー社会が広がっているのだ。
Flash Pointという特別なカテゴリーのクエスト「The Black Talone」。侵入する敵を撃退し、敵船へ逆襲、腕ききJediと対決する | ||
宇宙でのクエスト。シンプルなシューティングゲームで、クリアすると経験値やお金(クレジット)が得られる |
(2012年1月13日)