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★ Xbox 360ゲームレビュー★
「本質」を強化し至高のレーシングゲームへ
大充実のドライビング体験を堪能せよ!
「 Forza Motorsport 4」
ジャンル:
レース
発売元:
日本マイクロソフト
開発元:
Turn 10 Studios
プラットフォーム:
Xbox 360
価格:
7,140円
発売日:
10月13日
プレイ人数:
1〜2人(オフライン) / 2〜16人 (オンライン)
レーティング:
CERO:A(全年齢対象)

 前作からキッチリ2年。Turn 10 Studiosが贈る最高峰のレースゲーム「Forza Motorsport 4」が満を持して登場した。

 Xbox 360を代表するレースゲームシリーズとして毎作劇的な進化を遂げてきた「Forza」シリーズは、本作をもってひとつの到達点に達した感がある。深み、緻密さ、激しさ、遊びやすさ、すべての点において磨き上げられた本作は、まさに今世代におけるレースゲームの決定版である。

 さらに進化した挙動シミュレーション、フォトリアルの領域に突入したグラフィックス、遊び甲斐のある数々のフィーチャー。クルマへの愛を大いに満たしてくれる「Autovista」モードも引っさげて、興奮と感動に満ちたレースが幕を開ける。


■ 「Forza」シリーズが目指した到達点がここに

さあ、熱いレースが始まる
緻密さと激しさが高い次元で同居する
自由にチャレンジできる、豊富なロケーションとシチュエーション
憧れのクルマをじっくり楽しもう

 のっけから本作を今世代におけるレースゲームの決定版と評したが、これはひとりのコアなレースゲームファンとして正直な感想だ。

 本作では前作比で約100車種増となる500車種以上を収録、全車両は100万ポリゴン以上で詳細に表現され、当然、全車種でコックピット視点を完備。対戦モードでは前作+4台となる最大16台の出走をサポート。新コースも追加され、圧倒的な物量を誇る……と、そんなことは全く問題ではない。本作における進化の本質は、安易な数字で表せないところにあるのだ。

 レースゲームジャンルでは、他のジャンルに比べて非常に明確な2つの路線がある。リアルを追求するか、楽しさを追求するか、だ。他のゲームジャンルでは一般的に、この2路線は決して相反するものではない。しかし、このジャンルでは「現実界にモータースポーツという揺ぎ無いモデルが存在する」という事情のため、ときとして2路線が相反することがあるのだ。

 まず前提として、コアなファンは極限まで現実に近いものを求める傾向がある。しかし、そのゴールがあまりにも高いところにあるため、有限のリソースで制作されるゲームで、リアルさと楽しさの双方を高い次元でまとめることは大変難しい。

 そこで大抵はどちらかに特化することになる。とてもリアリティが高いと同時に、敷居が高いゲーム。あるいは、遊びやすく万人が楽しめるが、モータースポーツならではの深みはそこそこに押さえられたライトなゲーム。コアなレースゲームファンは前者に閉じこもる。ライトゲーマーは後者を適度に消費する。その間の溝を埋めることは不可能なようにも思える。

 本作「Forza Motorsport 4」は、その不可能を可能にしてしまう稀有な存在だ。コアなレースゲームファンが納得できる車両挙動を実現しながら、老若男女だれでも、クルマが好きでさえあれば深く楽しめる幅の広さ、そして、コアとカジュアルの両者の間に横たわる深い溝を埋めてしまう、充実したコミュニティ機能がある。

 全てが高い次元でまとまった結果、本作はハードコアシムの魂を持ちながら、幅広い層に訴える楽しさをも併せ持つレースゲームに仕上がった。これこそ、開発元のTurn 10 Studioがシリーズを通して目指した到達点ではないか。

 さらに磨き上げるだけの余地もまだ残されているが、今後のレースゲームの進化を語る上で本作は重要なマイルストーンに位置づけられるだろう。だからこそ今世代におけるレースゲームの決定版なのである。


グラフィックス面では、イメージベースドライティングという技法を実装して、これまでになくフォトリアルな映像を実現。光と影が織り成す、ハイダイナミックレンジなグラフィックスは、肉眼で見る世界に大きく近づいている


■ 磨きぬかれた本質と、広がる地平

 前作「Forza Motorsport 3」で大幅に押し広げられたリアルさと遊びやすさ。その双方の本質が本作では徹底的に磨き上げられた。さらに、決定的な新要素によって「クルマを楽しむ」ことの地平を大きく広げることに成功している。これをいくつかのポイントに整理してみよう。

・進化した車両挙動

挙動の違いはコーナリング時にはっきりとわかる

 車両の挙動シミュレーションは前作と変わらず秒間360回の刻みで計算が行なわれる仕様だが、その中身はさらに充実した。今作ではタイヤメーカーのピレリによる全面協力を受け、ピレリタイヤのローデータをそのまま再現。シミュレーションエンジンの改良により、路面の細かな凹凸もきっちりシミュレーションされるようになった。

 これら、あるいはそれ以上の変更により、上品にすぎて野性味に欠けるところがあった前作の挙動から根本的なレベルで変わっている。路面のフィードバックが如実に伝わる演出面の強化も相まって、非常に実車感覚の強い、深みのある車両挙動が実現しているのだ。PC向けの超本格派カーシミュレーションゲームの「rFactor」や「iRacing」などと比べても、ドライビング中に感じられる路面、タイヤ、車両の情報量は引けを取らない。


タイヤや車体にどのような負荷がかかっているかはテレメトリでも確認することができる

・柔軟なアシスト機能

アシスト機能の項目は非常に多彩。腕利きなら全OFFで報酬増を狙える

 それほどのシミュレーション性を備えた上で、本作では非常に充実したアシスト機能を備え、誰でも楽しくプレイできるよう万全の配慮がなされている。最大限のアシストが効いた状態では、レースゲームを初めて触るという人でもニュルブルクリンクを完走できること請け合いである。

 その上で各アシスト項目のON/OFF、アシストの程度を細かく調整できるので、自分の腕に合ったドライビングを誰もが体験できる。走るクルマを眺めているだけで幸せで、自分で操作するのも面倒臭いという向きにはAIドライバーが運転を代行してくれる機能まで備わっている。チューナーとしての腕を極めたいという人にもこの機能が役に立つ。


ちなみにチューニング設定も細かく、カスタマイズの自由度は非常に高い。クルマの知識を生かして自分なりの走りを構築していく楽しみもある

・デバイス選択の自由度の高さ

Kinectヘッドトラッキング設定の様子
同時発売のXbox 360 ワイヤレス スピード ホイール

 Kinectへの対応、そして各種の推奨ハンドルコントローラーの同時発売も大きなトピックだ。まずKinect。ジェスチャーでハンドル操作を行えるパーティプレイ向きの機能と、ヘッドトラッキングを行なうコア向けの2系統の機能が実装された。

 つぎに、本作と同時発売される「Xbox 360 ワイヤレス スピード ホイール」。これは手軽にステアリング操作の感触を楽しめる、カジュアルなユーザー向けのデバイスだ。空中にハンドルを持って傾けて操作するというスタイルは少々滑稽にも思えるが、小型でかさばらないデバイスでキッチリとアナログ操作ができるのが魅力である。

 そしてハンドルコントローラー。2年前、前作の段階ではマイクロソフト公式ハンコンしか選択肢がなく、より本格的なデバイスでプレイしたいコアファンにとっては残念な状況だったが、今作ではドイツのハンコン専門メーカーFanatecから最高クラスの製品が、公式ライセンス品として登場する(関連記事)。

 筆者は既に実物を使ってプレイしたが、文句なしのハイエンドデバイスであり、実に素晴らしいできだ。Kinectヘッドトラッキングとの相性も良い。「Track IR」などのヘッドトラッキング専用デバイスと比べるとラグが大きく精度も高くないが、あるとないとでは大違い。PC上でのリッチなシミュレーション環境に近づいた楽しさが実現する。

 脱線しそうになったが、ひとまず本稿ではゲーム内容に集中しよう。これらハンドル型コントローラーの新作については別途詳しくご紹介する機会を設けたい。


Forza Motorsport CSR Wheel Forza Motorsport CSR Elite Wheel CSR Elite Pedals

・異種のプレーヤーを繋ぐコミュニティ機能

新搭載「ライバル」モードで実力の近い世界のライバルの記録に挑戦

 これが「Forza」の真骨頂かもしれない。本作でプレーヤーは、あらゆる形で、他のプレーヤーとの競争や協力を楽しむことができる。各コース・各車両クラスのラップタイムが常にオンラインに記録・集計されるのは当然として、今作では「ライバル」モードの搭載により、オンライン上の記録に挑戦する楽しみが大いに後押しされている。対戦モードにデビューするプレッシャーに悩む必要すらなしに、世界中のプレーヤーをライバルにしてしまえるのだ。

 ユーザーによるクリエイションが自由に流通される「ストアフロント」の存在も大きい。デザインカー、バイナル、チューン設定、フォト、その他のものがユーザーの手で作られ、ゲームの世界をもっともっと豊かにしていく。作り手が作り、欲しい人が手に入れる。あたりまえのことが、本作では大いに機能し、コアとライトの両極にあるユーザーを有機的に繋いでいく。


「オークション」、「ストアフロント」などのクリエイション流通機能は前作から引き続き搭載。自分でデザインは前作からのインポートもできるため、当初よりハイレベルな作品が流通している模様

・「Top Gear」タイアップと「Autovista」

KIA cee'dで「有名人レース」に挑戦!
カメラワークも完全再現

 世界随一の人気クルマ番組「Top Gear」とのタイアップが実現したことは、クルマ好きならたまらない新要素だ。新コースとして「Top Gear テストトラック」が登場し、ライバルモードでは番組の人気コーナー「有名人レース」もしっかり再現。リプレイシーンでは番組中のカメラワークまで完全再現というツボの押さえ方も素晴らしい。オンライン対戦モードとして「Top Gear」ゆかりのクルマを使ったサッカーまでプレイできるなど、これは全世界数億人の「Top Gear」ファンなら挑戦したくならないわけがないだろう。

 そして本作の新モード「Autovista」。Xbox 360の性能を限界まで使ってただ1台のクルマを愛でるというモードで、腰を抜かすほど緻密に作りこまれた車両を、Kinectやコントローラーを使って好きなだけ眺め回すことができる。

 現実と見紛うほどのディティール、存在感。そこにある憧れのラグジュアリーカー。そのセクシーな曲面にウットリ。眺めるだけでなく、各部の可動部分の操作や、乗車してインテリアを楽しむこともできる。そして車両各部についての解説を見ることも可能だ。クルマ好きなら至福のひとときを過ごせること請け合いである。これのためだけに本作とXbox 360を購入するだけの価値がある。

 さらに、各車種には「Top Gear」の名物司会者ジェレミー・クラークソンによる毒舌かつポイントを押さえた解説も収録されており、「Top Gear」流のスタイリッシュなカメラワークと併せて演出してくれる。丁寧で隙のない作り込みは、芸術的なレベルに達している。とても深い、そして情熱的なクルマ愛を感じずにはいられない。


車両のエクステリアとインテリア、双方が異常な緻密さで再現される「Autovista」。まるで実車を前にしているようだ。ジェレミー・クラークソンによる解説も楽しく、心地よいひとときを過ごすことができる


■ 驚くほどスムーズなゲームプレイ

綺麗にまとめられたゲームモード
ワールドツアーでは、所有するクルマに合わせたイベントを次々にプレイできる

 これだけの要素を備えながら、本作のプレイは驚くほどスムーズだ。メニュー構成の秀逸さから各機能へのアクセスが容易で、ロード時間が短くまとめられているおかげで隅々までサクサクとアクセスできることがひとつ。そしてもうひとつは、レースを通じて展開する本筋のゲームプレイが、想像できるかぎりスムーズに進行できるよう工夫されていることだ。

 本作には大別して「キャリア」、「コミュニティー」、「Autovista」、「フリープレイ」の4系統の遊びが容易されている。中でもメインゲームモードと呼べるのが「キャリア」で、プレーヤーはここで各コース・各クラスで展開する様々なレースにチャレンジし、ドライバーとしてのレベルを上げていくことになる。

 「キャリア」の中でメインストリームに位置づけられている「ワールドツアー」では、初心者向けの「アマチュアディビジョン」から、トップクラスの「レジェンドシリーズ」まで、10段階のレースシリーズを戦っていく構成。

 基本的なゲーム構成は前作と同じだが、そのペースはさらに速くなった。レース後に得られる経験値やクレジットによりプレーヤーが購入できるクルマがものすごいペースで増えていくだけでなく、レベルが上がるたびに新しいクルマをプレゼントしてもらえるという太っ腹な展開なのだ。


世界を転戦しながらレースをクリアし、賞金を獲得してレベルを上げていくなか、次々に新しいクルマが手に入っていく。あくまで小気味よくゲームが展開していく

数百ものイベントを自由に選んでチャレンジできる

 ゲームを始めた際にはFクラスの「Toyota Aygo」あたりに乗っていたはずが、数時間後にはSクラスのスーパースポーツカーにも手が届き、所有車種は10数台を超えているという塩梅である。全くストレスを感じないどころか、「こんなに順調でいいんだろうか」と思えるくらい、乗れるクルマも、挑戦できるレースも、グングン広がっていく。

 「キャリア」でのレベルアップとクレジット獲得により得たクルマは、そのプレーヤーの財産としてマルチプレイモードで使用するものであるため、この太っ腹さはゲーム的にとても大切なことだ。とにかく速くオンラインで対戦したいんだ!という人も、プレイ初日から理想のラインナップで対戦を楽しめるのは大きい。

 こういったスムーズな進行を背骨としているからこそ、本作ではレースゲームの本質である「走り」に集中してプレイすることができる。もちろん、車両価格がとんでもないことになる超高級車やR3〜R1クラスに属するレーシング仕様車を手に入れるにはそれなりの苦労が伴なうが、それが決して「苦行」になることはない。スムーズに進行する「ワールドツアー」と、いつでも自由に挑戦できる数百のレースイベントの存在が、その快適さと楽しさを保証してくれているのだ。

 それだけスムーズに進行するゲームプレイのおかげで、本作は遊ぶ人の種類を選ばない。忙しい人が、1日に少しだけ本作を触るだけでも、毎度何らかの達成を得られるのだ。余暇にゲームを辞める程のハードコアゲーマーであれば、目指すべき高みはオンラインでの競争にある。世界の強者たちといくらでも戦えばいい。


プレイを続けてクラスをどんどん駆け上がっていこう。AIは前作以上にアグレッシブ。ドライビングモデルの改良により、高クラスのレースはさらに熾烈なものとなった

クラブガレージで自慢の車両を共有

 オンライン機能といえば、コミュニティ要素の強化点として「マイ・クラブ」が追加されたことにも触れておこう。クラブは誰でも結成・参加することができ、同好の士で集まってそれぞれの楽しみを共有するために用意された要素だ。当然、クラブ内・クラブ間で競うためのランキング機能も完備されている。

 クラブの基本機能としては「クラブガレージ」がある。ここでは、メンバー各自が自分の車をガレージに追加すると、そのクルマを他のメンバーがレースで使うために借りることができる。例えば、クラブ独自のデザインカーをガレージに置いておき、クラブ間対戦セッションで使うような遊び方が考えられる。なんにせよ、クラブの楽しみ方は個々人が決めていくことだ。勝手知ったる仲間たちと、大いにオンラインセッションを楽しんでほしい。


ボーリングのピンを倒していくモードや、一般車を何台抜けるかを競うモード、コーンの間を抜けていく正確さを競うモードなど、変わり種のチャレンジも多数用意された


■ まだ足りないものもあるが、最高のベースはできた

 ここまで本作の要素を紹介しつつ、実質的には褒めちぎってしまったが、本当に、ゲームソフトとしてこれほど隙のない作品は滅多にない。レースゲームに期待するリアルさ、美しさ、楽しさ、遊びやすさ。どの角度から見ても、その全体を見ても、本作の完成度は抜けている。

 もちろん、他のリアル系ロードレースゲームにもそれぞれ、独自の強みがある。激しさのある挙動と演出で野性味溢れるドライビングを楽しめる「Need for Speed: SHIFT」シリーズ、気持ちの良い挙動・痛快な感覚に溢れた「Race Driver: GRID」、MODコミュニティの充実により幅広い遊びが楽しめる「rFactor」、プロドライバーも高く評価するリアリズムを備えた「iRacing」、クルマへの深い愛情とカーグラフィック誌のようなスタイリッシュさを備え、膨大なコンテンツでモータースポーツの世界を幅広く味わえる「グランツーリスモ」シリーズ。

 それぞれに、それぞれのユニークな価値があるのだ。しかしそれでも、総合力において「Forza Motorsport 4」はズバ抜けた存在となった。コアなレースゲームファンから、老若男女どの層にも存在するカジュアルゲーマーまで、だれもが楽しめて、しかも、かつてない緻密さが高い次元でまとまっているという、驚異のレースゲームだ。

 では「本作がパーフェクトな存在か?」というと、そうでもない。まだまだ、「Forza」シリーズには欠けているというか、完璧を名乗るためには当のTurn 10 Studiosがそれを目指すかどうかは別にして、いくつか足りないものがあるのもまた事実だ。

 例えば、カートからフォーミュラまでのオープンホイールや、ラリーやなどのオフロードカテゴリーがそもそも存在しないし、Codemasters作品で実現されているドライ・ウェットの環境変化もない。今や多くのレースゲームが実現しているナイトレースもない。また、収録コースも新規が少なく、正直なところあまり代わり映えしていない。筆者としては本作の環境でスパ・フランコルシャンを走りたかった。もっとも、コースについては今後DLC等でリリースされる可能性はあるが。

 その他、各プレーヤーにとって本作で欠けているものがあれば、それを満たしてくれる他のレースゲームも併せてプレイするべきだ。だから本作は、最高峰の存在だが、唯一の存在には成り得ない。それだけ、モータースポーツの世界が豊かであるということでもある。

 しかしながら、将来、さらに各人のニーズを満たしていくための、これ以上なくしっかりとしたベースが本作にはある。間違いなく、豊かな未来を約束された作品だ。レースゲームファンなら必携である。のみならず、クルマ好きならば本作を手にすることでさらに自分の世界が広がっていく感覚を味わえるはず。しかも、秀逸なホビーとして長く付き合っていけることだろう。






(2011年 10月 12日)

[Reported by 佐藤カフジ ]