オンラインゲームαテストレポート

“新たな10年”の始まりへ向かう最初の一歩
根底からの進化を感じさせたαテスト

「ファンタシースターオンライン2」

  • ジャンル:オンラインRPG
  • 発売/開発:セガ
  • 価格:未定
  • プラットフォーム:Windows
  • 発売日:2011年予定
  • プレイ人数:1人
  • CEROレーティング:未定


 WIN「ファンタシースターオンライン2」のαテストが8月18日~27日に全4回実施された。ユーザーの手に触れる初めての機会であり、「PSO2」の製品版へ向かって進む最初の1歩。このαテストの模様を中心に「PSO2」がどんなゲームなのか、現時点での手触りや魅力をお伝えしていこう。

 なお、今回のαテストは「新たなゲームシステムの検証」と「サーバー負荷検証」をメインにしたものであり、製品を体験するようなものではなくゲームの要素もテストの目的に合わせて限られたものになっている。今後、αテストの参加者から寄せられた意見を含めつつ、ブラッシュアップされていくわけだ。

 また今後のスケジュールについてだが、まず東京ゲームショウ2011での出展が予定されており、PSO2公式サイトのプレーヤーズサイトに掲載された酒井プロデューサーのコメントによれば「プレイできる内容はαテストに準じておりますが、新規のコスチュームなどをご覧いただける予定」とのこと。さらにそこからクローズドのβテスト、オープンβテストが予定されており、それらを経て製品版のサービス開始へと進んでいく。



■ αテストでプレイできた要素、基本的なゲーム流れや作りをチェック

 今回行なわれたαテストは、日程と時間を限定してサーバーをオープンする方式で全4回行なわれた。回が進むごとにプレイできるミッションなど要素を増やしていた。冒頭にも書いたようにこのαテストは「新たなゲームシステムの検証」と「サーバー負荷検証」が目的。サーバー稼働中にも「サーバーを1度ダウンして再ログイン集中時の負荷を検証する」など、実験的なことも行なわれていた。

 まずは「PSO2」の基本的な作りを確認する意味もこめて、今回のαテストでプレイできた内容をおおまかに書いていこう。


-「キャラクタークリエイト」-
 種族は「ヒューマン」、「ニューマン」、「キャスト」から選択
 クラスは「ハンター」、「レンジャー」、「フォース」の3種類
 サーバーは「シップ1」と「シップ2」があり、各4キャラクターが作成できた


-「ビジュアルロビー(タウンエリア)」-
 街のようになっているエリアでショップが1階と2階に並ぶ
 今回利用できたのはウェポンショップとアイテムショップのみに限定


-「ビジュアルロビー(ターミナルエリア)」-
 クエストカウンターとスキルカウンターがあるエリア
 同じ作りのブロックが多数あり、ポータルから移動できる


-「キャンプシップ」-
 クエストを受領後、フィールドに入る前の事前準備をするエリア
 パーティーメンバーのみが入れる
 ロビーとは違ってフィールド同様のアクションができ動きを確認できる


-「フィールド」-
 惑星ナベリウスの「森林エリア」と惑星アムドゥスキアの「火山洞窟エリア」がプレイできた


 αテストでできたことは上記のようになっており、ロビーでコミュニケーションを楽しみつつ、次々とクエストへ挑んでいくというのがプレイの流れだ。



■ キャラクタークリエイト――3種族、3クラスから自分のキャラクターを作成

キャラクタークリエイトでは、パレットツールを操作するだけでイメージ通りの外観がブレンドされる“モーフィング”がポイント。画像のように複数項目のウィンドウを開いて全体を見ながら調節することもできる

 キャラクタークリエイトでは、選べるパーツやパターンは各2~3種類ほどと少なめになっていたものの、ポイントである「モーフィング」は自由にできるようになっていた。

 例えば顔立ちならモーフィングのパレットの上下左右に熱血系、子供顔、癒やし系、クール系とタイプを設定し、マウスで上下左右内をポイントすれば、4種類のバランスが自動でブレンドされて顔立ちが変化していく。この方式で、顔の輪郭から目や鼻や耳や口、体型、腕や足の長さや太さのバランス、女性キャラならバストの調整までも自由に設定できる。

 なお、キャストはこのモーフィングの調整はなく、パーツの選択(フェイス、ヘッド、ボディ、アーム、レッグ)、各パーツのサイズをSS、S、M、L、LLから選択して組み合わせていくという方式。パーツは各2種類ほどと少なかったが、これはもちろんαテストだからで正式サービス時には豊富な種類が用意されるということだ。

 マウスを使えるWindows PCならではの点として、編集項目を選ぶごとにウィンドウが開いて増えていくようになっている。例えば、体型、腕、足のウィンドウを開いて、全体のバランスを見ながら各所を調整していける。またカラーの選択も、カラーピッカーからマウスで色を選択するWindowsのデザインツールライクな操作で決定できる。

 最後に、コスチュームやアクセサリー(メガネやステッカーなど)、ボイス(ピッチ調節も可能)を決定し、最後は名前を入力すればクリエイト完了だ。名前は2バイト文字(ひらがなやカタカナ、全角文字など)も使えた。


【3種族、3クラスから選択して作成】
種族はヒューマン、ニューマン、キャストの3種族。クラスも、ハンター、レンジャー、フォースの3種類。もちろん男女は上の画像のように3種族ともにある
詳細なだけでなく、簡単にキャラクターを作成できる「かんたん顔編集」というプリセットとパーツを選択するだけの手軽なものも用意されている。αテストでは使用できるパーツこそ少なめだったが、細かなカスタマイズが可能なことを確認できた




■ コミュニケーションの中心になる“ビジュアルロビー”は健在。操作は「キーボード&マウス」か「キーボード&ゲームパッド」の両対応

ショップが並ぶビジュアルロビー。シャッターが閉まっているショップがたくさんあった

 多数のプレーヤーが行き交う「ビジュアルロビー」。ロビーはショップが並ぶエリアと、クエストカウンターのある「ターミナルエリア」の2エリアで構成されていた。この他にもロビーエリアがある可能性はもちろんあるが、プレイの軸になるのはこの2エリアだろう。

 ショップのあるロビーの場所は、惑星調査隊「アークス」の船の中央部分だろうか。広い窓の外には青い空が広がっていて、その下には映像が再生されているスクリーンがある。そしてその向かいにショップが並んでいるという作りだ。

 αテストでは武器と消費アイテムのショップだけが利用できたが、そのほかにもシャッターが閉まっているショップらしき場所が多くあった。


【大きな窓の向こうに青空が広がるロビー】
ショップエリアのロビーには映像が再生されているスクリーンがあって、窓の向こうには青空が広がっている。右の画像は惑星調査隊「アークス」の船だが、この船の中央部のあたりがロビーエリアなのだろう
こちらは今回のテストで利用できた武器とアイテムのショップ。購入や売却はカートに入れてまとめて支払うという作りだった。売却したアイテムの“買い戻し”という項目も見られた

・クエストカウンター。一部のクエストの解放には特殊な条件が!

クエストを受領する「クエストカウンター」。クエストには受領できるレベル制限があり、今回のテストでは「アークスクエスト」と「フリーフィールド」という2つの種類からクエストを選べた

 クエストを受ける「ターミナルエリア」は、丸いオープンスペースの広場のような場所。そこに「クエストカウンター」とクエストに出発するときキャンプシップへと移動するワープポータル、そして階段の上には「スキルカウンター」というスキルを習得する施設がある。

 クエストは「アークスクエスト」というクエストの目的が設定されたタイプと、「フリーフィールド」という目的の決まっていないタイプのものがあって、メインになるのは「アークスクエスト」だ。最初は受けられるクエストが少ないが、特定の条件を満たす事でクエストが増えていった。

 このクエストが増える“特定の条件”というところに特徴があって、単純にクエストをクリアすることで新しいクエストが増えるときもあれば、ランダムで起こるインタラプトイベントで「特定のエネミー」と遭遇することで特別なクエストが解放されることもあった。この場合、その特定のエネミーが出現しなかったり、出現しても倒せずにイベントに失敗したりすると、新しいクエストは出現しなかった。

 ランダムに生成されるフィールド、ランダムでなにが起こるかわからないインタラプトイベントとランダム性がコンセプトにある本作だが、新クエストの出現にもそのランダム要素が関わっているというわけだ。

・スキルには“発動タイプ”と“パッシブタイプ”の2種類が存在

クエストカウンターの向かいにある「スキルカウンター」。ポイントを消費して、クラス特有のスキルを習得できる

 「スキル」という要素はシリーズ作にはなかった新しい要素で、テクニックやフォトンアーツとも異なるもの。これは「スキルカウンター」でクラスレベルが上がると獲得できるスキルポイントを使って習得する方式で、発動して使用するスキルと、常に効果が発揮される「パッシブタイプ」のスキルがある。

 発動して使用するタイプのものだと、例えば「PPコンバート」というスキルだと「一時的にPP回復量を上昇させ、代わりにHP最大値が低下する」という効果。パッシブタイプのスキルでは、「炎系テクニックの威力を高める」といったように、永続的に効果のある種類があった。

 スキルはクラスごとにツリーになっていて、習得可能になるレベルが決まっている。今回のαテストだとクラスレベルが20まででスキルポイントも余るほど手に入ったので全てのスキルを習得できたが、これはおそらく製品版だといくつかのツリーに絞って習得していき、それによってキャラクターの個性が出るような要素になるのではないだろうか。


【クラスごとにあるスキルツリーからスキルを習得】
左から順に、ハンター、レンジャー、フォースのスキル習得画面。ツリーになっていて、レベル10ごとに習得できるものが解放されていく

・各所に設置されているアイテムボックス。武器や防具、フォトンアーツやテクニックについて

今回のαテストでは「マイルーム」のような場所は使えなかったが、アイテムボックスはロビーやキャンプシップなどいろんなところに設置されていた

 アイテムはメニューから使用することもできるが、アクションパレットに登録してキーボードの1~0キーで瞬時に使用することもできる。アクションパレットにはアイテム以外にもスキル、フォトンアーツ、テクニックもセット可能だ。

 アイテムを預けておけるアイテムボックスが、ロビーやキャンプシップにあったのも特徴的だ。ロビーにはショップの横やターミナルエリアに各2個ずつあり、キャンプシップにも1つ設置されていた。アイテムをボックスに送るだけならいつでもどこでも可能なのだが、取り出したくなる場所のすぐ近くにアイテムボックスが設置されていてアクセスしやすいのは嬉しい。また、アイテムボックスはシップごとに共通になっていて、別のキャラクターと共有できる。

 フォトンアーツやテクニックは“武器にセット”して使用する。武器には3つのスロットがあって、ハンターとレンジャーはフォトンアーツを3つセットする。セットしたフォトンアーツは、フォトンアーツ単体で発動させれば1つ目にセットしたものが、通常攻撃から2発目に出すと2つ目にセットしたものが、3発目に出せば3つ目にセットした技が出るという方式になっている。

 フォースの場合だと、ロッドのスロットにワンボタンで発動できるテクニックを1つと、裏パレットというパレット切り替えのボタンを押しながら発動するテクニックを2つの、合計3つをセットできる。また、テクニックはサブアクションパレット(1~0の10個のキーか、方向キーとL2ボタンで使用)にもセットできるので、多数を使い分けできる。

 ちなみにフォトンアーツやテクニックは、シリーズ作同様に敵のドロップやコンテナから出てくるディスクのアイテムを手に入れて使用することで習得できた。消費アイテムは当然として、武器や防具につけるユニットも出現していた。

 防具は、メインになる「コスチューム」は初期のもののみになっていたが、コスチュームの3つのスロットに装着する「ユニット」によって見た目が変わっていた。ユニットの種類にはリア・アーム・レッグ・サブがあり、リア・アーム・レッグのユニットを付けるとその箇所の外観が変化する。リアのユニットなら背中に羽や帯のようなプロテクターが付いたり、アームやレッグなら腕や足に浮遊しているパーツが加わっていた。サブのユニットはどの箇所にも外観は変化しなかった。


【フォトンアーツやテクニック、アイテムをセットする】
武器にはフォトンアーツを3つ、ロッド系の武器にはテクニックをやはり3つセットできた。また、画面の下側に並んでいるサブアクションパレットには10個のアイテムやスキル、テクニックをセットできる。防具は、メインになるコスチュームは初期のものだけだったが、ユニットというオプションを装着できた。右の画像のキャラクターは、リア、アーム、レッグにユニットを装着していて外観が変わっている

・操作は「キーボード&マウス」、「キーボード&ゲームパッド」の両対応

 特徴的だったのが操作周りだ。「キーボード&マウス」か「キーボード&ゲームパッド」のどちらかでプレイするのだが、それらを特に切り替え設定することもなく混在させた状態でプレイできる。マウスだけは「T」キーで、「カメラモード(視点操作)」と「マウスモード(マウスカーソルを使うモード)」に切り替えるのだが、それ以外はキーボードもゲームパッドも両方使える状態でプレイできる。メニュー等のインターフェイスも切り替え等はなく、どの操作でも使えるようになっている。

 「キーボード&マウス」では、移動を「W/A/S/D」キー、ロックオンを「Q」キー、会話などは「E」キー、ジャンプはスペースキーで行ない、視点操作はマウス、通常攻撃を左クリック、フォトンアーツやテクニックを右クリックで行なうという、FPS/TPSタイトルのような操作になっている。

 ゲームパッドだと、シリーズ作に近い操作形態になっていて、移動を左アナログスティック、視点操作を右アナログスティック、ジャンプはBボタン、通常攻撃をXボタン、フォトンアーツやテクニックをYボタンで使用する。

 さらにゲームパッドだと、本作の特徴である「TPSスタイル(肩越し視点)」時に操作が変わってくる。L2ボタンで通常攻撃、R2ボタンでフォトンアーツやテクニックの使用といったように、FPS/TPSタイトルのような操作になっている。より詳しい操作については以下の画像をご覧頂きたい。


【キーボード、マウス、ゲームパッドの操作表】
キーボード、マウス、ゲームパッドそれぞれの操作表。キーボードとマウスの組み合わせか、ゲームパッドメインでチャットにキーボードを使うという組み合わせか、どちらでも切り替えなしにプレイできた。なお、これは今回のαテストの仕様という点はご理解頂きたい




■ クエストへ! 外観は「PSO」の正当後継作だが、アクションを中心に根底から大胆に進化

起伏や段差が豊富にあって、そこにジャンプして昇ることができる。エネミーを上から見下ろすだけでもかなり新鮮だ
画像のような岩の上にもジャンプして昇り、道をショートカットできる

 いよいよクエストへ! クエストカウンターではまずクエストを選び、続いて自分だけでクエストを新たに開始するか、クエストをプレイ中のパーティーに参加するかを選ぶ。自分だけでクエストを開始すれば、それが新たに自分のパーティーを開始したことになる。メニューのパーティーという項目から、パーティーの名称を変えたりコメントをつけることもできる。意識せずとも気軽にパーティープレイを開始できる作りだ。

 クエストを受けてキャンプシップへ移動。キャンプシップにあるプールのようなところに降りるとフィールドエリアだ。キャンプシップがクエスト目的地の上空にいて、プールをくぐってフィールドへダイブしていく、冒険の世界へ飛び込んでいく、というイメージになっている。

 まずは惑星ナベリウスの「森林エリア」へ。フィールドを見てまず思うのは、起伏が豊かでシリーズ作のフィールドから比べると、ぐっと原始的な自然の雰囲気が出ているということだ。「PSO」、「PSU」、「ポータブル」シリーズをプレイしてきたが、印象としては「PSO」に近いだろうか。曲がり道だと、斜めにショートカットできるような段差もあり、起伏や高低差が印象的。本作の特徴のひとつである“ジャンプアクション”があるからこそだ。

 ジャンプで段差の上へ昇っていくと、その先の道に敵が出現していた。敵を高い位置から見下ろすというのもシリーズにはなかった状況だ。ロックオンしてジャンプで飛び降りつつ攻撃していく。ジャンプ中にも通常攻撃はもちろんとして、フォトンアーツやテクニックも自由に発動できる。

 通常攻撃を区切りなく連続して出し続けることができたのも印象的だ。シリーズ作だと3段までで出し切った後には硬直があったが、硬直がなく連続して出し続けられた。タイミングよくサークルが収縮するのに合わせて攻撃することで威力が上がるという要素も健在で、連続攻撃をリズミカルに繰り出すという魅力も持っている。スピーディーに硬直もなくガシガシ攻撃していけるのが気持ちいい。

 もうひとつ本作では、クラスごとに緊急回避動作が異なるという点が今までのシリーズ作とは異なる。これはハンターだとステップという飛び退く動きで、レンジャーの場合はダイブロールという飛び込むような動き、フォースの場合はミラージュエスケープという一瞬姿を消して移動する動きになっている。無敵時間もある優秀な回避アクションだ。ただし動作の終わりにキャンセルできない硬直時間があるので多少リスクのある動きにはなっていた。


【全体にテンポが速めでキビキビとしたアクション】
アクションは全体的にリズムが速めで、硬直時間の少ないキビキビとした感触。通常攻撃もずっと出し続けることができた。画像右のように、フィールド中には破壊可能なオブジェクトが多数あり、岩を壊すと隠された道が出現することもあった
【回避アクションの“ステップ”】
ワンボタンで発動できる回避アクションがこの「ステップ」だ。ハンターは横っ飛びのステップ、レンジャーは前方に回転しながら飛び込むダイブロール、フォースは一瞬姿が消えてワープするミラージュエスケープになる。無敵時間が長く使いやすい回避だが、そのかわりに硬直時間がある

新ジャンルの武器のひとつ「ワイヤードランス」。ワイヤーをムチのようにふるって攻撃する

 今回使用できた武器は、ハンターは「ソード」、「ガンスラッシュ」、「ワイヤードランス」。レンジャーは「アサルトライフル」、「ガンスラッシュ」。フォースは「ロッド」、「ガンスラッシュ」となっていた。

 やはり注目は新ジャンルの武器である「ガンスラッシュ」と「ワイヤードランス」だろう。ガンスラッシュは剣にも銃にもなる武器で、補助アクションボタン(ガードやパレット切り替えに割り当てられるボタン)を押すと剣から銃へ、銃から剣へとガシャガシャと切り替わる。アサルトライフルほどの連射力はないものの、敵を切り上げて浮かせてから撃つという印象的なフォトンアーツがあり、浮いた敵にパーティーメンバーが追い打ちするなど新しいアクションを楽しめた。

 「ワイヤードランス」も非常に爽快感があって魅力的な武器だ。ムチのように動くワイヤーの描画が滑らかで、モーションもスピーディーで攻撃範囲も広い。はじけるようなヒット音も気持ち良さを高めていた。そしてなによりも、フォトンアーツではワイヤーを敵に巻き付けて振り回したり、巻き付けたワイヤーをたどるようにして敵を蹴りつけるといった、見た目にも楽しいアクションが多かったのも魅力だ。


【爽快感抜群のワイヤードランス】
ワイヤードランスはその素早いモーションとワイヤーの動き、攻撃範囲の広さが魅力で、爽快感の高い武器だ。フォトンアーツには、ワイヤーを巻き付けてエネミーをぶん回したり、ワイヤーをたどって蹴りつけたりと、豪快なアクションがあった
【剣も銃もこれひとつでOKなガンスラッシュ】
ガンスラッシュは切り替えることで剣にも銃にもなる武器。遠近どちらにも対応できるということで、ひとつパレットにセットしておけば何かと便利な武器になりそうだ。フォトンアーツにはエネミーを斬りつけて浮かせ、そこに銃弾を浴びせるというならではなアクションがあった

テクニックはどれも“溜め撃ち”が可能で、逆に溜め撃ちしないと威力は低めという仕様だった。また、ロッドでも打撃攻撃が可能なうえ、PPの回復を速めるために通常攻撃するという面もあり、これまでのシリーズとはだいぶスタイルが変わっている
「PSO2」の大きな特徴のひとつ「TPSスタイル」。画像のように肩越しの視点に切り替えできるキーボード&マウスでプレイすると、まさにTPSタイトルのような操作感だ

 筆者はニューマンのフォースのキャラクターを中心にいろいろと触ってみるというスタイルでプレイしたのだが、ニューマンはロッドで通常攻撃ができるのが大きなポイントで、“通常攻撃を当てればPPの回復が早まる”という仕組みになっていたため、立ち回りが大きく変わっていた。

 また、テクニックはいずれも“溜め”が可能で、溜めないと大きな威力が出ないようになっていたのも重要なポイント。回復のレスタにしても、攻撃のフォイエ等にしても、溜めてこそしっかりとした効果が得られる。こうしたところから、テクニックを溜めては放ち、PPが減ってきたら打撃攻撃をしてPPを稼ぎ、またテクニックの溜めに入るというスタイルになっていった。メインボタンでも3種類のテクニックが使え、サブアクションパレットにセットしたものも使えるので、敵の弱点属性にあわせた使い分けもしやすかった。

 今作のもうひとつ大きな特徴が、肩越し視点の「TPSスタイル」に切り替えられるということだ。TPS視点にするとカーソルをマウスや右アナログスティックで操作できるようになり、特に射撃武器でピンポイントな攻撃が可能になる。

 この「TPSスタイル」で新たな魅力を感じ取れたのが、キャストのレンジャーでプレイした時だ。パッドをメインにプレイしていたのだが、この時はTPS視点に切り替えてキーボード&マウスでプレイしてみた。マウスで照準を合わせ、アサルトライフルを連射していく。この操作感覚はそのままTPSタイトルの感触だ。「ファンタシースター」シリーズをプレイしているとは思えないような錯覚すら覚える。この感触なら、“TPSスタイル固定、射撃武器のみで対戦するようなミニゲーム”というのも遊べたら面白いかもしれない。

 こうしたところから、3つのクラスと、キーボード&マウスまたはゲームパッドでのプレイは、組み合わせ次第で大きく感触が変わってくると感じた。ハンターは通常攻撃と武器にセットしたフォトンアーツがメインになるところやアクション性の高い動きをするためゲームパッドが、フォースはサブアクションパレットにセットした多数のテクニックを使い分ける点でもキーボード&マウスが、レンジャーはマウスでの素早い照準合わせでTPSスタイルを楽しむ意味でもキーボード&マウスがいい感じになるだろうか。もちろんどんなスタイルでプレイするかは自由で、「PSO2」の作りも、どのスタイルでも楽しめるように考慮されている。こうした様々なスタイルでプレイできるのは「PSO2」の大きな特徴だろう。


【通常の視点とTPSスタイルの視点】
左は通常の視点でロックしたエネミーを射撃しているところ、右はTPSスタイルでマウスで照準操作をしながら射撃しているところだ。操作も変わる事で、プレイ感覚もかなり変わってくる。TPSスタイルをキーボード&マウスでプレイしていると「PSO」とは思えないほどだ

クエスト中、ランダムに発生する「インタラプトイベント」。画面のようにイベントの通知が出てシームレスにイベントが開始される
なんらかのボーナス効果が発生する「PSE (Photon Sensitive Effect)」。効果の段階にレベルがあり「PSE バースト」という最大の状態になると効果は非常に大きい

 続いては、「ランダムなフィールド」や「インタラプトイベント」、そして「クエスト」について。フィールドは毎回訪れるごとにマップが変化するランダム生成だ。天候もランダムになっていて、晴れ、曇り、雨といった天気が確認できた。晴れていても奥へ進んでいくうちに暗くなるときもあって、明るい天気と暗い天気では隠れている敵に気づきにくくなったりするところもある。

 インタラプトイベントというのはクエスト中にランダムで発生するミッションなのだが、これがまさに発生するタイミングも内容もランダムで突然始まるという印象。内容も様々で、指定された敵を何体倒せというベーシックなものから、地面から壁が出現してパーティーが分断されたり、パーティーメンバーの1人が赤いバリアの中に閉じ込められたり、アークスの支援が届いたり。挑んだクエスト中に何が起きるかは発生するまでわからない。見事にインタラプトイベントをクリアできれば、経験値とアイテムが得られた。読み込みがなくシームレスに展開されるのが、ゲームのテンポを悪くすることもなく好印象だ。

 また、PSE (Photon Sensitive Effect)という特殊な効果も発生する。一定時間、攻撃力・射撃力・法撃力がアップしたり、手に入るメセタの量が増えたりするボーナスタイムのようなものだ。PSE発生後にエネミーを撃退していくと効果レベルが高まっていき、8段階目を越えると「PSE バースト」という効果が大幅に高まる状態にもなる。例えば法撃力アップの「PSE バースト」状態では、貯め撃ちしたフォイエで100ちょいのダメージを与えていたところが400ぐらいのダメージになっていた。効果は絶大だ。PSEの発生にはなんらかの予兆があるということ(これは残念ながらわからなかった)だが、うまく活用できれば心強い。


【毎回何が起こるかわからないインタラプトイベント】
ランダムに生成されるフィールドで、さらにランダムで発生するインタラプトイベント。特定のエネミーを逃がさずに倒すという基本的なものから、パーティーメンバーが捕獲されてしまったり、はたまた援護の回復ポータルが送られてきたりと、内容は様々。フィールドに突然巨大な壁ができてパーティーが分断されてしまうというものもあった

 クエストは、「指定されたフィールドの敵を倒して一定量のポイントを稼ぐ」といったものや、「指定された敵を倒す」といった基本的なものに限られていたのだが、ランダムなフィールドの構成や天候、ランダムに発生するイベントと、同じクエストをプレイしていても“まったく同じものをやらされている”という感覚を薄くしてくれる。

複数のパーティーがひとつのエリアに集まる「マルチパーティーエリア」。画像のようにパーティー同士があいさつしあうなんていうユニークな光景も見られた

 フィールドの奥へと進んでいくと、「マルチパーティーエリア」と表示の出るエリアの入り口があった。エリアに入ると、自分たち以外のパーティーが戦っていることを示すダメージ表示や会話が見えた。最大12人がひとつのエリアに集結する場所だ。

 この「マルチパーティーエリア」が存在するクエストだと、クエストカウンターでもパーティー表示が12人になってプレイ中のパーティーが複数表示される。ほとんど同時に複数のパーティーが進んでいけばひとつのエリアに集まり、時間差があると入れ違ったりするというわけだ。αテストで見られたちょっとユニークなやり取りとして、「マルチパーティーエリア」に入った時に他のパーティーに向けて挨拶をするという光景が見られた。

 「マルチパーティーエリア」では、通常よりも強力なエネミーが待っていることが多い。ボスクラスのエネミーだ。「ことが多い」と書いているのはクエストによっては出現しないこともあるためで、ここにもランダム性がある。

 惑星ナベリウスの「森林エリア」で確認できたボスクラスのエネミーは、巨大な昆虫のような「プリアーダ」、岩をまとった巨大な獣の「ロックベア」、球体で周囲のエネミーのエネルギーを吸って大きくなり最後には爆発する「ベイゼ」。

 「プリアーダ」は小さな虫を大量にスプレーのように吹き出して攻撃してきたり、「ロックベア」は見かけよりも素早くて一撃が強烈だ。1番特殊というか戦い方がわからなかったのが「ベイゼ」で、周囲の雑魚エネミーのエネルギーを吸ってどんどんと大きくなり、画面を覆い尽くすほど大きくなって最後には大爆発して大ダメージを与えてきた。

 また、どちらのエネミーも一緒に出現する雑魚が多く、「マルチパーティーエリア」では混戦乱戦になることが多かった。ボスクラスの敵はクエストの後半に出現することは間違いないが、決まった場所というのもないようで、突如襲われるというニュアンスが独特だ。このあたりからも、シリーズ作のボス戦とはひと味違うものになっていた。


【「森林エリア」で確認できた強力なエネミー】
いわゆるボスクラスのエネミーとも戦えた。左上は、岩をまとったような外観の巨獣「ロックベア」、上と右上は巨大な昆虫のような姿をした「プリアーダ」、左下と下はエネルギーを吸ってどんどん大きくなる謎の多い「ベイゼ」というエネミーだ。また、右下のように通常とは異なるレアなラッピーが出現することもあった

惑星アムドゥスキアの「火山洞窟エリア」では、エネミーが森林エリアよりも強く、厄介なエネミーもたくさんいた。画像はカルタ-ゴというエネミーで、後ろ半分がカーゴのようになっている

 αテストの後半では、惑星アムドゥスキアの「火山洞窟エリア」でのクエストが解放された。森林のエリアとはガラリと風景が変わり、常に薄暗く、溶岩が流れ、たまに下から吹き出してダメージを喰らったりとフィールドそのものにも危険が多いエリアだ。ゴツゴツとした溶岩地帯の足場も起伏が自然にできていた。多少、移動時に不自然にひっかかるところが見られたが、このあたりは改善されていくことだろう。

 このエリアでは出現するエネミーも凶暴な種類が多かった。盾と剣を持っていたり、射撃武器を持っていたりするシル・ディーニアンは、仲間を回復したりと厄介な動きをする。体からバッファローのような巨大な角が生えていて、こちらに飛びかかってくるノーディラン。シル・ディーニアンは打撃攻撃で盾をはじいてから攻撃すると効果的だったり、ノーディランはその特徴でもある角が折れる部位破壊のような要素が確認できた。

 体の後ろ半分がコンテナのような形状になっていてレーザーのような攻撃をしてくるカルタ-ゴというエネミーも「火山洞窟エリア」以降に登場。この敵はそのコンテナのような部分にジャンプして乗ることができた。背面には赤い弱点のコアがあり、後ろに乗って攻撃すると楽に弱点を攻撃できる。一部の敵には同じように弱点の部位があるものがいて、攻撃すると赤く大きい攻撃エフェクトが出ていた。


【火山洞窟エリアには凶暴かつ厄介なエネミーが待つ】
左は、剣や盾、射撃武器など武器を使って襲ってくるシル・ディーニアン。仲間を回復したりと少し知力を感じさせる動きをする。中央は角が特徴的なノーディラン。素早く飛びかかってくる攻撃が厄介だ。右はカルタ-ゴの後ろに乗ったところで、背中には弱点の赤いコアがある

「PSO」シリーズと言えばやっぱり巨大なドラゴン! 「火山洞窟エリア」では「ヴォル・ドラゴン」と戦えた。シリーズでおなじみのボスエネミーだが、ジャンプをはじめとしたアクションの違いが戦い方にも大きな変えていた

 「火山洞窟エリア」の見所は、なんといっても“あのボス”だった。最初に遭遇したのは、「火山洞窟エリア」で「特定の敵を倒して一定数のポイントを稼ぐ」というクエストに挑んでいたとき。エリアの奥に広がっていた少し広めの場所で、そのボスは突如地面の下から姿を現わした。

 シリーズを通して最初のインパクトになっているエネミー“ドラゴン”だ。「ヴォル・ドラゴン」という名前のそのドラゴンは、尻尾を振り回し、炎を吐いて攻撃してくる。シリーズ作のものだと、飛び回って着地して、という動きだが、今作ではここもひと味違う。起伏のあるフィールドを縦横無尽に動き回るのだ。天井近くにいったかと思えば、身を翻して急降下してくる。

 だが、こちらの戦い方だって変わっている。ジャンプやステップで攻撃をかわし、体の下に潜り込んで攻撃を浴びせていく。弱った「ヴォル・ドラゴン」は地面に伏したような状態になった。すると、パーティーメンバーの1人が背中に飛び乗った。そこから背中を一気に攻めていく。ジャンプアクションならではの戦い方だ。何度か戦闘不能に陥りつつも、メンバー同士で助け合いエリア内の別のスペースへ逃げていく「ヴォル・ドラゴン」を追っていく。そして見事に撃破!

 すると、クエストの完了とともに、新たなクエストが解放されたという表示が現われた。挑んでいたクエストでは、「ヴォル・ドラゴン」が出現するかどうかはあくまでランダム。「ヴォル・ドラゴン」を倒すことで、ヴォルドラゴンを倒すという目的の別のクエストが解放されるようになっていたわけだ。クエストの解放条件にもランダム性が絡んでくるというわけだ。製品版では、より様々な条件を探っていく事になるのかもしれない。


【起伏のあるフィールドを自在に動きまわる「ヴォル・ドラゴン」】
尻尾を振り回し、炎のブレスを吐き散らす「ヴォル・ドラゴン」。その動きはシリーズ作のドラゴンとも共通するものがあるが、戦っている感触はもはや別物。ジャンプをはじめとしたアクションや起伏のあるフィールドなど、今作ならではの要素がおなじみのドラゴンとの戦いも大きく変えていた




■ 「PSO2」の根底にある新しさや進化を感じ取れたαテスト

カットインと吹き出しのチャットなど、コミュニケーションの魅力ももちろん健在。アクション性が高まり操作にも新しいスタイルが取り入れられた。ランダム要素が正式サービス時点でどれぐらいのバリエーションになってくるのか、これからのブラッシュアップも含めて期待したい

 “新たな10年”へ向かう最初の1歩を踏み出した「PSO2」。今回プレイしたαテストは要素はかなり限定されていたものの、すでに「PSO2」の根底にある新しい魅力を感じ取れるものになっていた。ロビーはシンプルでわかりやすい。クエストではランダムな要素をメインにして新鮮さを保っていく。プレーヤーはテンポの良いアクションと自由度の高い操作で、いろいろなスタイルの面白さを味わえる。そうした方向性が見えてきた。

 コミュニケーションにおいても、シリーズの伝統とも言える吹き出しチャット、カットイン、特定の状況で自動で発言する「オートワード」など、良い部分をしっかりと引き継いでいる。パーティープレイの敷居の低さ、始めやすさも好印象だ。

 また、プレイに求められるPC環境がそれほど高くはないのも間口が広くて嬉しい。今回プレイしたPCはCPUは「Core 2 Duo E6320」、グラフィックスカードは「NVIDIA GeForce 8600GT」という、Core 2 Duo世代の数世代前のもの。これでも標準設定以上でのプレイが可能だった。さすがにαテスト段階のバージョンということでソフト側の安定性には少し不安定なところが見られたが、ここは改善されてくるだろう。

 もちろん最初の1歩と言っても、正式サービスまではまだまだ課題はある。全体的により一層のブラッシュアップを期待したいと感じたのはインターフェイス周りだろうか。キーボード&マウスまたはキーボード&ゲームパッドの2種類の操作形態に対して、ひとつのインターフェイスで両対応にしているところは、難しいことをしているだけにこなれているとはまだ言えなかった。チャット時のカットインや吹き出し設定あたりは、少しマウス操作に寄っている部分が感じられたところがある。

 αテストを終えて印象的だったのは、参加しているユーザーの方々が好印象にプレイしていたことだ。このレポートにも書いてきた、早いテンポのアクションや、全体のとっつきやすさは、チャットで期待を寄せている声を聞けた。テストの終了時にはロビーにたくさんのユーザーが集まって次の機会での再会を誓っていた。期待の大きいタイトルとして成長しているのが感じられる光景だ。個人的にも、次に触れる機会を楽しみに待ちたい。

(C) SEGA

(2011年9月6日)

[Reported by山村智美 ]