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★PS3/Xbox 360/PCゲームレビュー★

エイリアンと特殊部隊との壮絶な三つ巴バトル
ナノスーツを身にまとった人類最後の希望

「クライシス 2」

  • ジャンル:SFアクションシューティング
  • 発売元:エレクトロニック・アーツ
  • 開発元:Crytek
  • プラットフォーム:プレイステーション3 / Xbox 360 / PC
  • 価格:7,665円(PS3/Xbox 360版) / オープンプライス(PC版)
  • 発売日:4月1日(PS3、Xbox 360) / 4月14日発売予定(Windows PC)
  • CEROレーティング:D(17歳以上対象)
  • プレイ人数:1〜12人


 時には自身を透明化させて敵の目を欺き、時には弾丸もはじく強靱さを発揮する。身長の2倍以上の高さのジャンプが可能で、その蹴りは乗用車すら動かしてしまう。「クライシス 2」はこういった特殊能力を持った「ナノスーツ」を身にまとった男の物語だ。

 撃ちまくって敵を撃退していく標準的なFPSと本作はひと味違う。圧倒的に不利な状況の中、ナノスーツの力をどこまで引き出して戦えるか、ギリギリの戦いをくぐり抜ける興奮を感じることができる。より創造的なプレイ、高い難易度を目指して何度も挑戦したくなる作品である。


■ 突然託されたナノスーツ、明らかになるエイリアンの侵略。人類反撃の道はあるのか!?

ナノスーツの元の持ち主プロフェット。彼はなぜアルカトラズにスーツを託したのだろうか
グールド博士。ナノスーツの秘密に関わる人物だ
セフと呼ばれるエイリアン。タコやイカなどの節足動物のような特徴があるという

 「クライシス 2」の舞台は西暦2023年のニューヨークだ。この都市では現在、謎の奇病が蔓延していた。感染した者は細胞が破壊され出血するという異常な症状と、凄まじい感染速度で、ニューヨーク市民達はパニックを起こし、混乱の極みにあった。

 そんな中、海兵隊に所属する主人公アルカトラズは「ネイサン・グールド博士」という人物を救出すべく、潜水艦でニューヨークに接近しつつあったが、突然潜水艦が赤い光を放つ飛行物体に攻撃され、アルカトラズは黒いスーツに身を包んだ異形の人物に救われる。意識を取り戻したアルカトラズは、自分自身が黒い、筋肉の形を模したスーツを着ていることを知る。

 フラッシュバックで語りかけてきたのは、“プロフェット”と名乗るスーツを着用していた人物。彼は自分が“汚染されている”と語り、スーツをアルカトラズに託し、グールド博士に会え、というメッセージを残し、自殺してしまうのだ。アルカトラズは全てが謎の状況に立たされたまま、グールド博士と合流すべく、行動を開始する……。

 プレーヤーはいきなり謎だらけの状況に放り出される。序盤はグールド博士の声に導かれることになるが、彼はプレーヤーをプロフェットと勘違いしている。街を閉鎖しているC.E.L.L.(Crynet Enforcement & Local Logistics)と呼ばれる、スーツを開発した企業の私設軍隊にはプロフェット抹殺指令が出ているようで、容赦なく攻撃してくる。そしてプレーヤーはニューヨークの崩壊の真の原因が、“エイリアン(宇宙人)”によってもたらされていることを知る。

 エイリアンは「セフ」と呼ばれる存在で、タコやイカなどの節足動物から進化した存在だと考えられている。赤い光を放つ飛行物体を操り、強固な装甲で身を包んだ兵士達が市民や軍隊を襲っている。さらにセフの巨大な触手状の建造物が地面から何本も飛び出し、ニューヨークをめちゃくちゃにしてしまっているのだ。エイリアンもまた、アルカトラズを攻撃してくる。

 「クライシス 2」では、この過酷な状況の中、C.E.L.L.やエイリアンに狙われながら、荒廃したニューヨークを孤立無援で進んで行かなくてはならない。筆者の本作の最初の印象は、「難しすぎる!」というものだった。敵に見つかるとあっという間に蜂の巣にされる。こちらが1人に対して敵は常に複数で、仲間を呼ぶし、物陰に隠れながら射撃をしてくる。数発撃たれると倒れてしまう耐久力で、他のFPSの様な撃ちまくり、倒しまくりのごり押しでは前に進めなかった。さらに、セフはこちらの銃弾をものともせずに突っ込んできて、鉤爪を振り下ろしてくる。人間とは別の戦い方を心がけなくてはならない。

 この絶望的な状況を打開するためには、スーツの潜在能力を引き出すしかない。何度も倒されながら、スーツの能力、有効なルートと、戦い方を学び、そして進んでいく。本作のリズム、そしてスーツの能力の使い方を覚えると、最初はきつく感じた高難易度設定がだんだん楽しくなってくる。さらにスーツはセフを倒していくとアップグレードが可能になってくる。

 「クライシス 2」は、スーツの能力も含めて、自分の“成長”を実感できるゲームだと感じた。与えられたスーツを自分の体だと実感していく過程と、ゲームの進行がシンクロしているような感覚が面白かった。最初は難しく感じたが、中盤からはゲームになれてきてうまく戦えるようになり、現在は進むルートなど様々な工夫をして2周目を楽しんでいる。難易度を上げての挑戦など、やりこみの楽しいゲームだ。

 そして、何よりも「クライシス 2」はストーリーと演出が楽しい。謎だらけの状況から様々なことがわかってきて、そしてストーリーの鍵がアルカトラズがまとうスーツであることが明らかになっていく。プロフェットから託されたスーツにはどんな秘密があるのか、アルカトラズとして何をしていかなくてはならないのか? ぐいぐいとストーリーに引き込まれていく感覚を味わって欲しい。


海兵隊の仲間と共にニューヨークに向かっていたアルカトラズだが、謎の敵に襲われ、異形のスーツをまとった人物に救われる。彼が再び気がついたとき、自分自身がそのスーツをまとっていることを知る
破壊されたニューヨークの街。病気に冒された住人達が取り残されている。彼等を救う手だてはあるのだろうか
影の表現や、銃弾が撃ち込まれた水の表現、崩れていく建物の物理エンジンなど、開発元の独Crytekの最新の自社ゲームエンジン「CryEngine 3」を実感できるシーンが次々に展開する


■ クローク、アーマー、分析能力、スーパーパワー……ナノスーツの多彩な機能を使いこなせ

セフから採取できるナノカタリストを使うことでスーツの能力をアップグレードできる
透明になって敵を欺けるクローク。近付きすぎると気付かれてしまう
アーマーを発動させると敵の弾に対して耐久力が増す。撃ち合いの場面では必須だ

 ナノスーツは様々な機能を持ち、この能力をどう使いこなしていくかが、ゲームの鍵となる。ナノスーツは人間の能力を何倍にも引き上げる。ジャンプは自分の身長の数倍まで飛び上がることができ、建物の上に上ることもできる。また、キックで車を動かしたり、鍵のかかったドアをぶち破れる。人間をつかみ上げたり、大きなものを投げつけることも可能だ。

 「クローク」を起動すると体が透明になり、敵に見つからなくなる。敵がうようよいるところは、クロークで通り抜けるのが最も有効だ。敵を攻撃するとクロークが解除されてしまう。また、敵に近付きすぎると感知されてしまうことがあるので注意が必要だ。「アーマー」は起動するとスーツの体表が変化し、攻撃に対して耐性を発揮する。敵を倒さなくては進めない場合、アーマーを起動するのは鉄則である。セフの格闘攻撃にも有効で、強力なエイリアンと正面からぶつかりあうことができる。

 スーツにはエネルギーゲージがあり、クロークやアーマーを起動していると急速に減少し、0になると解除されてしまう。戦い方のわからない序盤は特にエネルギーの減りが早いように感じる。クロークやアーマーは強力だが、その有効時間はかなり短い。物陰に隠れたりすることでこまめにエネルギーをチャージする必要がある。クロークで敵の死角まで素早く走り込みエネルギーをリチャージして進む。アーマーを起動し、相手の弾が来ない場所に逃げ込む。など、いかにエネルギー確保し、相手と戦うかを学んでいこう。

 さらにナノスーツには戦場を分析する能力があり、「ナノビジョン」を起動すると、敵の位置、補給物資のある場所、落ちている武器、敵の位置がアイコンで表示される。さらに「戦術オプション」として、回り込むためのルートや、狙撃ポイントなども教えてくれる。このアドバイスを利用すると有利に戦うことができる。

 「クライシス 2」は1つのフィールドに、複数のルートが設定されている。クロークで隠れて進むか、アーマーで正面切って進んでいくか、敵を倒しまくって進むか、最小限に抑えるか、戦い方でも難易度が大きく異なってくる。「敵に物を投げつけて倒していこう」、「できるだけ見つからないルートを探してみよう」など、プレーヤーの創意工夫が可能な“幅”が用意されている。進むのが難しかったら別の手を試してみたり、クリアしてからもう1度よりよい方法を探してみたりと、何度もプレイしたくなる。チャレンジ精神を刺激するゲームデザインだ。

 さらにナノスーツはセフから採取した「ナノカタリスト」を使って能力を強化することができる。「脅威探知機」を習得すれば敵の弾の軌跡がハイライトされ、敵が撃ってきた方向がより明確にわかる。「アーマー強化」や「ステルス強化」はそれぞれの使い勝手を大幅に良くする。性能を強化するとゲームの難易度が大きく下がる印象だ。このほかにも機動性を増したり、敵の上に落下するときに追加攻撃を行なうような能力も用意されている。この強化は、新しくキャンペーンをはじめても継続されるので、強化したナノスーツで、より高い難易度に挑戦するのも良いだろう。

 「クライシス 2」はこのナノスーツがゲームの中心であるといえる。ナノスーツの優れた能力をどう使いこなすか。ゲーム前半は、限定された能力をいかに効率よく使うかが課題となり、中盤からは強化されたナノスーツでどこまで超人的な活躍ができるかがテーマとなる。他のFPSとはひと味違ったゲーム体験が楽しめるのだ。


ナノビジョンで有効なオブジェクトの使い方や敵の位置を把握できる。地下に潜れたり、マップに様々なルートが用意されている点も大きな特徴だ。右は脅威感知のアップグレードを行なった場合で、敵の弾丸の軌跡が見えるため、敵の位置が把握できる
クロークは攻撃すると解除されるが、先制攻撃には有効だ。中央はクロークでセフの背後に回り込み攻撃を与えるシーン。セフは全面には装甲をまとっているが、背中からの攻撃に弱い。右は接近戦のシーン。セフとの格闘戦ではアーマーがなくては勝つことは難しい


■ めまぐるしく変わる状況と、破壊されたニューヨーク。そしてナノスーツに秘められた謎

飛行物体の墜落現場。クロークで忍び込む
戦車を奪って進む。他にもいくつか乗り物が登場する
触手のような建造物が地面から飛び出している。エイリアンの狙いは何だ?

 潜水艦の撃沈から、いきなりスーツを託され、プロフェットとして間違われたまま、C.E.L.L.に追われる。さらにエイリアンにまで狙われ、事情もわからないまま、生き抜くために極限ともいえる状況を戦い抜いていく。「クライシス 2」はぐいぐいとプレーヤーを引き込んでいくストーリーが魅力だ。

 崩壊したニューヨークの街並みは真に迫っている。ロケーションもビルの中から、大通り、海沿いの場所や橋などめまぐるしく変わる。未確認飛行物体の墜落現場などもあり、様々なシチュエーションで戦うことができる。グラフィックスは本作の大きなウリで、太陽を背に飛び回るエイリアンや、ビルの崩壊の膨大な塵芥、夕日に輝く海などリアルな表現に驚かされる。時に不気味で、時に美しい風景は、ゲームに独得の味わいを加えている。

 状況も刻々と変化する。グールド博士の下に急ぐアルカトラズだったが、目の前で飛行物体がC.E.L.L.のヘリに撃墜され、兵士が調査しているところに潜入したり、施設内で襲いかかってくるC.E.L.L.の兵士や、ヘリと対決しなくてはいけない場合もある。敵の装甲車を奪い強行突破したり、危険で難しい状況をたった1人で挑み、成功させていく。プレーヤー自身の手で次々と不可能を可能に変えていく爽快感を得られる作品だ。

 徐々に明らかになるエイリアンの脅威にも注目である。赤い眼を持ち、髪の毛のような赤い触手を逆立たせ、こちらに鉤爪を振り下ろしてくるセフ達。縦横無尽に飛び回る敵を仕留めるためには、できるだけ狭い場所に誘い込み、集中して弾丸をたたき込まなくてはならない。エネルギー制限があるアーマーをうまく使い、接近戦で仕留めるセフとの戦いはC.E.L.L.兵とは違った興奮が味わえる。

 セフは1種類だけでなく、射撃が得意なものや、耐久力が高いものなど様々な種類が存在する。特に耐久力の高いセフは後ろに回り込んだり、ロケットランチャーや手榴弾を使ったりと工夫をしなくては倒せない強敵だ。セフの拠点は巨大な触手状の建造物が地面を這っており、これまでの場所とは印象が異なる。彼等の“異質さ”を強く感じる場所だ。

 プロフェットと間違って追われる中、エイリアンの存在が明らかになり、アメリカ海兵隊も絡んでくる。ニューヨークに根を張り巡らせるエイリアンの次の手は? C.E.L.L.達の思惑は? 病に苦しむニューヨーク市民にアルカトラズは何もできないのだろうか? 様々な要素が絡み合い、そして変化していくストーリーに注目だ。熱い展開ももちろん用意されている。戦いの鍵を握るのは、アルカトラズのナノスーツだ。このスーツにどんな秘密が隠されているのか、ぜひ実際にプレイして確かめて欲しい。


C.E.L.L.の兵士はプレーヤーを待ち受けている。仲間を呼んだり、物陰に隠れつつ包囲攻撃をしてきたりと強敵だ。車に積まれた機銃にも要注意だ
ナノスーツの秘密や、C.E.L.L.の組織内の対立など、物語は次々と新しい展開を見せる。C.E.L.L.とセフの戦いのど真ん中に飛びこむことも
閉鎖された空間や、ヘリと戦ったり様々なシチュエーションが用意されている。ガラス張りの橋が銃弾で破壊されるシーンなど、派手なシーンも楽しい
ストーリーが進むごとに様々なセフが現われる。右のセフは耐久力に優れるが動きが鈍重だ


■ 透明化し、超人的な身体能力を発揮。ナノスーツならではのマルチプレイ

クラスによって武器が異なる。ランクが上がることで新たなクラスがアンロックされていく
獲得できる能力はシングルプレイ以上に多彩で、プレイスタイルに合わせたカスタマイズができる

 「クライシス 2」のマルチプレイは、全員がナノスーツを身にまとっての対決になる。ランクを重ねることでゲームルールや、クラスを選ぶことができる。

 ゲームルールは、シンプルなチーム対戦が楽しめる「チームインスタントアクション」、全員が敵のバトルロイヤル「インスタントアクション」が最初に選べ、ランクが上がるにつれエイリアンポッドを奪い合う「墜落現場」や自分の陣地にリレイ(継電器)を持ちかえる「リレイ奪取」、情報収集と防衛にわかれて戦う「アサルト」といった様々なルールがプレイ可能になる。

 武器も、ランクを上げることでクラスによる選択が可能になり、戦術が広がる。アーマーやステルスなど、能力の強化はマルチプレイの方が多彩で、様々なものがある。ランクを上げこれらの能力をアンロックしていければより自分のプレイスタイルにこだわったプレイができそうだ。

 ランクを上げていない基本的なプレイでも充分「クライシス 2」ならではのマルチプレイを楽しめる。シングルプレイ同様、クロークとアーマーの能力が使え、高くジャンプすることができ、ダッシュも使える。特にクロークが面白い。クロークを使えば待ち伏せに有利だし、危険な広場でも生存率が上がる。敵を追いかけて建物に入ったのに、クロークを使われ後ろに回り込まれた、ということもあり、様々な活用法が考えられそうだ。

 武器に関しては、シングルプレイで強力だったショットガンよりも、とにかく弾をばらまくアサルトライフルやライトマシンガンが有効だと感じた。連続して敵を倒すと、他の人がレーダー上に表示できるようになったり、敵のレーダーにジャミングがかけられるようになる。ランクの高いプレーヤー達の対戦風景はどうなるのか、見てみたいと思った。

 「クライシス 2」はシングルプレイ、マルチプレイ共にナノスーツが独得の味わいをもたらしている。ユニークでやりこめる作品だ。


チームインスタントアクション。クロークとアーマーを使いこなして戦う。ステージは高低差もあり、楽しい
インスタントアクションは全てのプレーヤーが敵となる。クロークを使うと待ち伏せもしやすいため、敵が多いこちらの方がポイントが稼ぎやすく感じた

(C) 2011 Crytek GmbH. All Rights Reserved. Crysis, Crytek and CryEngine are trademarks of Crytek GmbH. EA and the EA logo are trademarks of Electronic Arts Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.

(2011年 4月 1日)

[Reported by 勝田哲也 ]