★PCハードウェアレビュー★
買ったときから「ファイナルファンタジー XIV」を手軽に安心してプレイできる推奨機 「」 |
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「ファイナルファンタジー XIV(以下、FFXIV)」は、正式サービスも開始され、本誌読者の注目度も俄然高まっていると思う。ただ、必要とするマシンスペックが非常に高く、プレイ用のPCをどう調達するか、迷っている人も少なくないはずだ。そういった人に最適なのが「FFXIV推奨認定PC」だ。推奨認定は、スクウェア・エニックスが規定する動作検証に合格し、「FFXIV」をより良い環境でプレイできるPCに対して与えられる。つまり、推奨認定PCなら、買った直後から「FFXIV」を快適にプレイできると考えていいわけだ。
そして、ホワイトボックスメーカーとしておなじみのマウスコンピューターから、「FFXIV」推奨認定PCが2モデル登場した。そこで今回は、マウスコンピューターの「FFXIV」推奨認定PCを取り上げ、仕様を紹介するとともに、どの程度快適に「FFXIV」がプレイできるのか、チェックしていこう。
■ スペックの異なる2モデルを用意
マウスコンピューターが、「FFXIV」推奨認定PCとして投入した製品は2モデルだ。1つは、ビデオカードとしてRADEON HD 5770を搭載する「ブロンズモデル(NEXTGEAR i300BA2-FF14)」、もう1つは残念ながら生産終了となったが、ビデオカードとしてGeForce GTX 470を搭載した「ゴールドモデル(NEXTGEAR i510GA4-FF14)」だ。双方とも、同社のゲームPC「G-Tune」シリーズの中で、コストパフォーマンスに優れるミドルレンジモデル「NEXTGEAR」に位置付けらている。この記事では「NEXTGEAR i510GA4-FF14」も紹介しておくが、参考程度に見ておいて欲しい。
「FFXIV」の動作環境は、こちらの記事にもあるように、プレイする環境によっては高めのスペックが必要になってくる。とはいえ、今回取り上げるPCは、「FFXIV」推奨認定PCとして認定されていることからもわかるように、基本的に推奨動作環境を満たすスペックとなっている。つまり、「FFXIV」をプレイする目的で安心して購入できるPCと考えていい。
では、基本スペックを詳しく見ていこう。
搭載CPUは、Core i7-870(2.93GHz、TB時最大3.60GHz)となる。推奨動作環境では、「Core i7 2.66GHz以上」とされており、基準は楽々クリアしている。
搭載ビデオカードは、先ほど紹介したようにブロンズモデルがRADEON HD 5770(ビデオメモリ1GB)となる。9月の時点で発表されている推奨動作環境では、RADEONシリーズは対象に含まれていない。とはいえ、ブロンズモデルも推奨認定PCに含まれていることから、事実上RADEON HD 5770も推奨動作環境をクリアするビデオカードであると考えていい。自分でパーツを集めてPCを自作する場合には、こういった部分で不安を感じる場合があるが、推奨認定PCであれば、そういった心配も不要である。
メインメモリ容量は、ブロンズモデルが4GB。HDD容量は1TB。光学式ドライブはDVDスーパーマルチドライブとなる。OSはWindows 7 Professional 64bit版が標準でインストールされる。
ちなみに、これらスペックは、基本的には標準仕様の場合のものであり、購入時に自由に変更できるようになっている。例えば、メインメモリ容量を増やしたり、より大容量のHDDや、高速なSSDを搭載したりといったことが可能となっている。ただし、ビデオカードだけは変更不可となっているため、注意が必要だ。
■ ブロンズモデルでは、Micro-ATXマザーを採用
採用されているケースは、双方のモデルとも同じミドルタワーケースとなっている。光沢ブラックのケース前面パネルは、5インチベイ部分が扉構造となっており、中央部の凹みやシルバーのライン、メッシュ部分のイルミネーションなどが、ゲームPCらしい特徴となっている。
ケースの仕様は、ミドルタワーケースとしてごく一般的なものとなっている。拡張ベイは、5インチベイ×3、3.5インチベイ×2、3.5インチシャドウベイ×3を用意。3.5インチシャドウベイは着脱式となっているものの、取り出すには前面パネルを外して固定ネジを外す必要があるため、使い勝手は固定式と大差はない。ただ、ケース内部は、マザーボード上部にしっかりと広い空間が確保されており、メンテナンス性は申し分ない。
空冷ファンは、ケース背面に排気用の12cmファンが取り付けられ、左側面パネルのCPUおよび拡張カードスロット部にはメッシュの吸気口が用意されている。ゲームPCとしては、ファンの数が少ないようにも感じるが、基本的にはやや上位のミドルレンジスペックであり、換気性能としてはこれで必要十分と考えていいだろう。
搭載されているマザーボードは、ブロンズモデルはチップセットにIntel H55 Expressを搭載するMicro-ATX仕様のマザーボードだ。試用機では、ブロンズモデルがMSIの「H55M-P33」であった。双方とも、PCI Express X16スロットが1本のみとなっているため、ビデオカードの2枚差しによるパワーアップに対応しない点は少々残念だが、大きな欠点というわけではない。
電源ユニットは、ブロンズモデルが容量500Wの「MCH500AT」を搭載する。ゴールドモデルは容量750Wの「鎌力4 750W」を搭載しており、容量に余裕があるため、より高性能なビデオカードへのパワーアップも目指せるが、ブロンズモデルはハイエンドビデオカードへのパワーアップは少々厳しいかもしれない。とはいえ、基本スペックでの利用においては、双方とも電源容量に不足はない。ちなみに、双方とも80PLUS認証を取得した電源ユニットとなっている。
■ 1080Pは厳しいが、720Pなら十分快適にプレイ可能
「FFXIV」のオフィシャルベンチマークソフト |
では、パフォーマンスをチェックしていこう。今回は、総合的なパフォーマンスのチェックとしてFuturemarkの「PCMark Vantage Build 1.0.1 1901」を、3D描画パフォーマンスのチェックとして、Futuremarkの「3DMark Vantage Build 1.0.1 1901」をそれぞれ利用した。また、「FFXIV推奨認定PC」なので、当然「FINAL FANTASY XIV Official Benchmark」(以下、FFXIVベンチマーク)も利用した。ちなみに、FFXIVベンチマークは、標準動作であるウィンドウモードでのテストに加え、新坂秀敏氏製作の「FF14ベンチフルスクリーン化ツール Version 1.0」を利用し、フルスクリーンモードでのテストも行なった。
まず、PCMark Vantageの結果だが、ビデオカードやメインメモリ容量の違いから、多少結果に差は見られるものの、大きな差とはなっておらず、総合的なパフォーマンスに関しては、双方ともほぼ同じレベルと考えていいだろう。基本的にはゲームPCとして位置付けられている製品ではあるが、Office系アプリケーションの利用はもちろん、静止画や動画の編集作業なども軽々こなすだろう。
それに対し、3DMark Vantageではやや大きな違いが見られる。搭載ビデオカードの位置づけが、ゴールドモデルのGeForce GTX 470がハイエンドであるのに対し、ブロンズモデルのRADEON HD 5770はミドルレンジであり、3D描画能力には比較的大きな差がある。そして、その差が直接3DMark Vantageの結果として如実に現われていると考えられる。
その傾向は、FFXIVベンチマークにも同じように現われている。ブロンズモデルでは、LOWで4,500前後、HIGHで2,500前後であるのに対し、ゴールドモデルでは、LOWで5,300前後、HIGHで3,500前後と、ブロンズモデルに対してLOW/HIGHともに1,000近いスコア差を付けている。この差はかなり大きい。
そこで、実際に「FFXIV」のオープンβ版を双方に導入し、プレイしてみた。まず、画面解像度を1,280×720ドットに設定し、描画エフェクトなどは標準設定のままでプレイしてみたところ、ブロンズモデルでは、表示キャラクターが多い場面や、高負荷なエフェクトがかかるような場面では、引っかかるような処理落ちを感じたのに対し、ゴールドモデルでは、処理落ちの頻度は明らかに少なかった。とはいえ、1,280×720ドットであれば、ブロンズモデルでもプレイに支障を来すような処理落ちは発生せず、十分快適にプレイできると考えていい。
ただし、画面解像度を高めていくと、どちらも処理落ちが多くなってしまう。1,920×1,080ドットでは、どちらもかなりの頻度で処理落ちが発生し、特にブロンズモデルでは快適なプレイは少々厳しいと感じた。ある程度表示設定を変更し、処理の重いエフェクトを切るなどすれば、そこそこ快適にプレイできるレベルにはなるが、せっかくの高品質グラフィックスが堪能できないため、やはり少々厳しい。
ただ、「FFXIV」は、5年後のPCの標準スペックを想定した描画処理を行なっているため、現在のハイエンドPCをもってしても、フルHD解像度かつ最高の描画エフェクトでは快適なプレイはほぼ不可能に近い。つまり、今回の2機種ではフルHD解像度で快適なプレイが難しいとしても、それは当然のことなのだ。これは、「FFXI」の時も同じで、より高性能なビデオカードなどが登場すれば、自ずと解決することなので、現時点ではこの2モデルでも十分に満足できるレベルで「FFXIV」がプレイできると考えていいだろう。
標準仕様での販売価格は、ブロンズモデルが109,830円。PCを自作する場合と比較すると、やや割高にはなるが、自分でパーツを買い集めて組み立て、OSをインストールするといった手間がかからないのはもちろん、標準で1年、最大3年間の保証が受けられるという点は、自作PCにはない魅力。これから、「FFXIV」をプレイするためにPCを新調しようと考えていた人はもちろん、「FFXIV」を快適にプレイしたいものの、手持ちのPCではスペックが足りずに、パワーアップするか新しいPCを新調するか迷っているという人にも、十分にオススメできるマシンである。
【ベンチマーク】 | ||
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NEXTGEAR i300BA2-FF14 | NEXTGEAR i510GA4-FF14 | |
CPU | Core i7-870(2.93GHz) | Core i7-870(2.93GHz) |
チップセット | Intel H55 Express | Intel P55 Express |
ビデオチップ | RADEON HD 5770 | GeForce GTX 470 |
メモリ | 4GB | 8GB |
HDD | Western Digital WD10EALS | Seagate ST31500341AS |
OS | Windows 7 Professional 64bit | Windows 7 Professional 64bit |
PCMark Vantage x64 Build 1.0.1 0906a | ||
PCMark Suite | 8908 | 8393 |
Memories Suite | 7118 | 6990 |
TV and Movies Suite | 5769 | 5675 |
Gaming Suite | 10176 | 9767 |
Music Suite | 7196 | 7570 |
Communications Suite | 7495 | 7528 |
Productivity Suite | 7662 | 6661 |
HDD Test Suite | 5021 | 4219 |
3DMark Vantage Bulld 1.0.1 0906a 1,280×1,024ドット | ||
3DMark Score | 10975 | 17988 |
GPU Score | 9588 | 14789 |
CPU Score | 19397 | 51251 |
FINAL FANTASY XIV Official Benchmark (ヒューラン 男) | ||
LOW ウィンドウ | 4495 | 5169 |
HIGH ウィンドウ | 2509 | 3431 |
LOW 全画面 | 4598 | 5363 |
HIGH 全画面 | 2583 | 3543 |
Windows エクスペリエンスインデックス | ||
プロセッサ | 7.5 | 7.5 |
メモリ | 7.5 | 7.5 |
グラフィックス | 7.4 | 7.7 |
ゲーム用グラフィックス | 7.4 | 7.7 |
プライマリハードディスク | 5.9 | 5.9 |
(C) 2010 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
※ベンチマーク実行スコアは全て編集部調べ
http://www.mouse-jp.co.jp/
□ゲームPCのホームページ
http://www.g-tune.jp/gaming/
□マウスコンピューター「FF推奨認定PC」のホームページ
http://www.g-tune.jp/gaming/FF/
(2010年10月21日)