★PS3ゲームβテストレポート★

最大256人が入り乱れるシャドー戦争へ!
戦略とFPSが融合したような未知のFPSが国内でもβテスト開始!!

「MASSIVE ACTION GAME(MAG)」(後編)


 最大256人が1つのフィールドで同時に戦うプレイステーション 3用オンラインFPS「MASSIVE ACTION GAME(以下、MAG)」。11月10日よりβテストが開始された本作のβテストのレポート後編をお届けする(前編はこちら)。なお、本稿で解説する内容は全てβテストからのものなので、アップデートなどにより変更される可能性があることをご了承頂きたい。



■ めまぐるしく戦況が変化する128人対戦をプレイ!

 さて、ここから128人対戦を実際にプレイした模様を元にプレイ感をお伝えしていこう。まずβテストでのクライアントはすでに日本語化されている。また、ゲーム中には各所にオペレーターや兵士たちの声、プレーヤーキャラクタの声がボイスで流れるのだが、それらも全て日本語音声になっている。ローカライズはかなり早いペースで進んでいて、英語が苦手でもすんなりとプレイできる。

 まだ一部インターフェイスなどの翻訳に日本語としてはおかしなところが見られたものの、バージョンアップで改善されたのも見ることができた。現バージョンでもまだ不備な点は残っているのだが、それも次期バージョンアップ、または日本でのβテストで報告されることで洗練されることと思う。

 ゲームはすでにほぼ出来あがっているという印象で、完成度はかなり高い。驚かされたのはラグをほとんど感じさせず、非常にスピーディーなゲームであるということだ。プレイ前は、これまでに例がないほどの大人数のFPSだけに、多少のラグがあったり、動きがもったりしていたりするのではと思っていたのだが、そんな事は全くない。128人対戦では1つの巨大なフィールドに128人がしっかり入り乱れているし、画面内に十数人が入ってきても処理落ちを感じなかった。

 カメラの動く速度を調節する項目はメニューのオプションには無いのだが、ゲームプレイ中にスタートボタンを押して呼び出すオプションには項目がある。最速にすると制御が難しくなるほどキビキビした動きになった。

 ボイスチャットは分隊員同士でしか行なえない仕様となっていて。ボタンを押したりせずともボイスチャットになる。ただし、分隊長は小隊チャットなど他の隊と連絡を取ることができる。

部隊一丸となって前線へと走っていく。耳からは隊長からの作戦がボイスで聞こえてくる。本物の戦場さながらだ
あちこちに敵の部隊が展開していて隙間を感じさせない。大人数の醍醐味が自然な戦場の姿を作っている
救護兵を呼ぶ声に反応して瀕死状態の仲間の元へ。蘇生のスキルを獲得していれば仲間を救うことができるし、経験値も多く獲得できる

 最初に128人対戦のゲームに参加したときの感想は、「この規模は戦争そのものだ」というもの。128人とか256人とか数字がインパクトがあるが、実際にプレイしているとそんな数字がどうのこうのはどうでもよくなって「とにかくいっぱいいる!」という感じになる。前も右も左も敵の兵士だらけでシャレにならない。レーダーにも味方の青マーク、隊員の青矢印マーク、敵の赤マークが入り乱れて動いている。かといって密集していてごちゃごちゃとしているというわけではなく、マップのスケールが大きいため、うまく隙間もできあがっている。だが、どこに移動しても敵がいるという印象だ。

 最初は目の前のドンパチに対応するので精一杯で、あっちに行ったりこっちに行ったりしているうちに敵側の爆撃がドーン! ドーン! ドーン! と轟音を立てて炸裂し、吹き飛ばされた自分のキャラクターを呆然と見る有様だった。

 ヘッドセットを付けた耳からは「バンカーを破壊しろ!」とか「門を破壊しろ!」というゲーム内の音声とともに、海外のプレーヤーの「メディーック! メディーック!」と衛生兵を呼ぶ声が聞こえてくる。撃たれて瀕死になるとドクロマークが現われ、ドクロの赤い色がだんだんと減少していく。それが蘇生可能な残り時間だ。蘇生ができる医療キットをスキルで獲得している人が近づいて処置すれば助けられる。その可能性が薄い場合はすぐに×ボタンを押して復帰ポイントに戻ることもできる。

 体力は最大100という数字で表示されていて、ヘッドショットなら1発、体なら防具によるが7、8発、グレネードやロケットランチャー、クレイモアは少し威力が弱めなのだが、直撃なら1発で倒れるといった威力。わりとポンポン死ぬし、ポンポン復帰する。復帰は30秒ごとぐらいの一定のタイミングで無制限に行なわれる。

 復帰が早いため、キルそのもの以上に、復帰ポイントになっているバンカーを破壊するなどして、戦場のラインを上げることが重要になっていると感じた。それには連携して敵の待つ中に飛び込んでいかなければいけない。死ぬのを恐れて遠くからパンパン撃っていても貢献はできない。実際、キルの経験値ポイントは控えめで、蘇生や回復といった協力プレイのほうがまだ高いぐらいのバランスになっている。衛生兵プレイに徹している人もいて、物陰に隠れて倒れる仲間を次々に癒している。復帰の時間差を無くせる有用な存在だ。そうした役割分担も重要になっている。

 耳には分隊長の「ゴーゴーゴー!」という声が聞こえ続けている。どんどん前に飛び込んで目的であるバンカーを破壊しろというわけだ。バンカーの機銃が炸裂し、敵の部隊もたんまりいる。そこにグレネードを投げまくる味方の隊員たち。だがいくらキルしたところで十数秒もすれば復帰してくるので膠着状態になってしまう。


バンカーを破壊すべく戦車に乗り込んだ部隊が駆けつけてきた!
敵が減ったタイミングをついて、バンカーに爆弾を設置! 設置に少し時間がかかるほか、爆発するまでに解除されないよう守らないといけない
空には航空輸送部隊とそこからパラシュートで降下する仲間の姿が! 対空施設を破壊すればパラシュートでの出撃が可能になる

 と、そこに味方の部隊の戦車がやってきた。部隊によっては最初から戦車を担当することもある。戦車はバンカーの機銃で撃てないほどに隣接して、敵の部隊をどんどん葬っている。耳からは「バンカーに爆弾を設置するチャンスだぞお前ら!」というような意味の英語が聞こえてくる。戦車のほうを向いている敵部隊の側面に回り込むようにして一気にバンカーへ迫っていく。

 周りの味方が射撃で敵を抑えている隙を突いて、バンカーに爆弾を設置! 設置した経験値に加え、分隊別命令ボーナスという経験値ボーナスももらえた。隊長が指定している目的を達成すればボーナスがもらえるというわけだ。

 仲間の乗る戦車は爆弾が設置されたのを見て、それを解除されないよう設置ポイントの辺りを撃ちまくってくれている。必死に爆弾に近づこうとする敵兵、阻止しようと降り注ぐ銃弾とグレネードの雨。少しすると爆弾が爆発してバンカーを吹き飛ばした! これでバンカーから復帰していた部隊はもっと奥の復帰ポイントを使うことになる。

 続いて、道路を塞いでいるバリケードの破壊へと向かう。これを壊さないと戦車や車両が奥へ進めないのだ。戦車は復帰ポイントにもなっているため、うまく敵陣地の奥まで運ぶことができれば一気に勝利が近づく。

 バリケードの破壊にも成功し、戦車が奥へと進んでいく。その間に他の部隊が対空砲の破壊に成功したようで、空からパラシュート降下する復帰ポイントが使えるようになっていた。何人ものプレーヤーが空から一気に敵陣へと降り立っていく。それを阻止しようと空に向かって敵の銃弾が飛び交う。着地地点に敵隊長が戦術支援兵器を要請し、空から降りてはすぐに吹き飛ばされるという阿鼻叫喚が繰り広げられる。それを見て地上の部隊が航空爆撃を使えなくするよう施設の奪還に動く。そのカオスたるやまさしく戦場だ。

 激しい攻防の末、ついに128人対戦の目的である新型車両の奪取に成功! あとはそれをマップの逆側にあるポイントまで移動させれば勝利となる。だが、こっそりと敵側は破壊されたバリケードや門を修復していた。新型車両がバリケードで立ち往生してしまっては、集中砲火を浴びて大破させられてしまう。そうなったら再び奪いに行かなければならない。車両を奪った部隊の隊長はバリケードがあって進めないことを伝えて待機、それを聞いた他の部隊が脱出ルートの確保に動く。


ストラテジーゲームをプレイしているかのような隊長でのプレイ。この全体マップの画面でも各アイコンはめまぐるしく動き回る

 プレイの模様はだいたいこんな感じだ。プレーヤーの1人1人は隊長の指示に従ってワイワイと楽しんでいるのだが、隊長は非常にタクティカルなプレイを求められる。プレーヤーはFPSを、隊長はストラテジーとFPSを同時に遊んでいるようなイメージだ。

 私も実際に分隊長に選ばれてプレイしたのだが、隊員の時とはプレイがガラッと変わる。全体マップで敵味方の流れを見て目標のポイントを設定し、ボイスチャットでより詳しく意図を伝える。普通の視点画面でも目標の設定などはできるが、離れている場所の状況を把握するためなどに全体マップを見ることにはなる。全体マップを見ている間は無防備になってしまうので、安全な場所で他の隊員のフォローをしながら進める感じになった。

 今回は256人対戦を残念がらプレイできていないのだが、おおよそ想像はつく。このストラテジー的でタクティカルな部分がより高度で重要になるのだ。隊長の判断力が勝敗を大きく左右するゲームになっていると思われる。

64人対戦や128人対戦をプレイ中の模様。攻撃側なのか守備側なのかでプレイは大きく異なってくるし、有効な装備も変わってくる


■ 従来のFPSとはひと味もふた味も異なる新機軸の大人数オンラインFPS!

役割をこなすことが重要。画像は消耗した戦車を修理兵が直しているところ。こうした役割を各自が受け持って部隊のパフォーマンスを高めることが大事だ

 「最大256人対戦!」と言われると、どうしても、お祭り騒ぎ的な派手なドンパチを想像してしまうが、それは半分正解だが半分は不正解。本物の戦場さながらのカオスな様相は確かにあるが、その中身は非常にタクティカルだ。

 そしてそのタクティカルの度合いはゲームモードの人数規模で大幅にゲーム性が変わってくる。64人対戦では従来のFPSに近く、128人対戦ではほどほどにタクティカル、256人では戦場感もタクティカルな面もMAXだ。キルデスルールがメインのFPSとはひと味もふた味も異なる、独特の魅力を持ったゲームとなっており、新機軸の個性を感じさせるタイトルになりそうだ。

 今回のβテストでは海外のプレーヤーに混じって遊んでいたため、詳細な意思疎通はできなかったのだが、日本人同士ならボイスチャットで連携を細かく取れるだろう。そしてゆくゆくは1分隊をクラン単位で構成するような本格的な構成もできあがってくるはずだ(実際、海外クランが1分隊を埋めているようなゲームも見かけた)。そうなれば、より高度な戦術の応酬が展開されることと思う。もちろんそうした本格的なゲームもある一方で、気軽にもプレイできる。

 本作は、プレーヤーがストラテジーの駒の中に入り込んだような、そしてその1人1人が意志を持って動いているというような、新感覚の融合を果たしている。「MAG」がどのように受け入れられるのか、そしてどんな風に発展していくのかは、計りかねるところがある。だがその計りかねるところがまた、魅力的だと感じた。まずはこの意欲的な新機軸FPSにβテストで触れてみて欲しい。

(C)Sony Computer Entertainment America Inc.

(2009年 11月 11日)

[Reported by 山村智美 ]