★モバイルゲームレビュー★
魔法飛び交うファンタジー世界で“私”争奪戦勃発! フルボイスを楽しみながら、本当の愛を探せ 「ラブマジ」 |
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据え置きゲーム機や、PSP、DSなどの携帯ゲームの世界では、恋愛アドベンチャーにはフルボイスが付き物。モバイルゲームで乙女ゲームを楽しんでいても「せっかく素敵な男性に愛を囁かれるのに、声がないから物足りない!」などと思う人も多いかもしれない。「ラブマジ」は、ある魔法で主人公の女の子のことが好きでたまらなくなってしまった男性たちが、あの手この手で近づき、フルボイスで愛を語ってくれるゲーム。もしかして、夢の世界が到来したかも?
■ 異性を惹きつける魔法をかけられた主人公。たくさんの男の子が、あなたに惚れる
主人公に届いた1通のラブレター。差出人は誰? |
ゲームの舞台は「スターチス魔法学院」。その名からもわかるように、登場人物たちはすべて魔法が使える設定だ。学園モノのテイストに、魔法というファンタジー要素が加わった世界で、素敵な男性たちの中から恋人を探し出す。物語はオーソドックスなテキストアドベンチャー形式。ストーリーを読みつつ、選択肢を選ぶ。
きっかけはある日届いた「宛名のないラブレター」。ラブレターの差出人を探しに生徒会長室へと足を運んだ主人公・天原みつきを待ち受けていたのは、大財閥の息子でエリートの生徒会長・美墨想(みすみそう)。一見非の打ち所がない会長だが、実はドのつく変態だった。みつきを好きになってしまった会長は、みつきが自分に惚れるようにと、自身で開発した魔法をかけた。しかし、その魔法は大失敗。なぜか「異性を惹きつける魔法」になっていた。
タイミングの悪いことに、生徒会に所属する4名の生徒と顧問が生徒会長室に来て、みつきの姿を見てしまった。会長のかけた強力な魔法の力で、彼ら5人はみつきに恋愛感情を抱いてしまう。顧問の先生のおかげで、これ以上被害が広がることは防げたが、今かかっている魔法の解き方はわからない。みつきは、5人と協力しながら迷惑な魔法を解き、魔法にかかる前にラブレターをくれた相手を探し出すことを目標に、生徒会のメンバーと行動を共にすることになる。
元からみつきに惚れている生徒会長の妨害を潜り抜け、みつきに恋心を抱いている5人の男性と上手く付き合いながら、魔法を解く方法がみつかるのだろうか。自分を巡って男たちが争う、嬉しいような、困ったような状況の中、波乱万丈の毎日がはじまるのだ。
点々とキャンディーを落として、主人公を生徒会室へおびき出す | |
生徒会長の美墨想(CV:野宮一範)と華やかな生徒会の面々 |
■ 人気声優起用のフルボイスゲーム。甘い声で語る言葉を聞き漏らすな!
主人公・天原みつきを取り巻く男性は6名。エリートだけどヘンタイの生徒会長・美墨想。幼馴染でクラスメイト、「春薔薇の王子」とも呼ばれる双薇春也(そうびしゅんや)と、双子の弟、「冬薔薇の王子」と呼ばれる双薇冬也(そうびとうや)。後輩でまるで女の子みたいにかわいいキラ・ノーツ・エンゼルランプはエルフ族で、医療系の魔法が徒得意。女性に大人気の超フェミニスト、ヤン・ジーファは1つ上の先輩という設定。以上、5人の学生に養護教諭で生会顧問、マッドサイエンティストとしても有名な、鬼灯輝(ほおずきてる)先生が加わる。
アイドル的存在「春薔薇の王子」双薇春也(CV:櫻井孝宏) | |
「冬薔薇の王子」双薇冬也(CV:中村悠一)はツンデレ風? | |
ファンタジー世界なのでエルフ族の青年キラ・ノーツ・エンゼルランプ(CV:保志総一朗)もいる | |
女に手が早いヤン・ジーファ(CV:鳥海浩輔)と養護教諭の鬼灯輝先生(CV:子安武人) |
彼らはすべて主人公に惚れているのだから話が早い。さまざまな方法で近づき、なんとか距離を縮めようとする彼らと、幸せな学園生活を楽しめる。男性たちとの関係は、ストーリーの中で示される選択肢により変化。お気に入りの男性の関係する会話や選択肢が登場したら、気合いを入れて選ぶことだ。いくら魔法がかかっているとはいえ、あまり手を抜くとあの人の気持ちも離れてしまうかも。
「ラブマジ」最大の特長は、キャラクターたちがフルボイスで話してくれること。主要キャラの声は、保志総一朗、櫻井孝宏、中村悠一、鳥海浩輔、野宮一範、さらには子安武人ら人気声優が担当している。大好きな声優たちが、甘い声で愛を囁く。こんな幸せがあるのだろうか!移動中に気軽に楽しむというモバイルゲームの利点はひとつ失われるかもしれないが、自宅など誰にも迷惑のかからない場所や、イヤフォンを利用して、フルボイスを堪能してほしい。
ストーリーの序盤から、こんなに親密なのも「ラブマジ」だからこそ! |
■ 1カ月2話ずつ彼らと愛を育む? それとも一気に親密になっちゃう?
ゲームは1話20分ほどのストーリーで進む。このストーリーは1話から順番に進める必要はないので、好きな話だけを選ぶ楽しみ方もできる。最初の話を読んでおくのは最低限必要だとは思うが、その後は自由だ。1つのストーリーにすべてのキャラクターが登場するわけではないので、親密になりたい相手の出てくる話だけ読むのもアリかもしれない。シナリオの内容は、前のシナリオの最後で「次回予告」として紹介される以外にも、公式ホームページでも確認できる。最初から1話ずつ楽しむのか、好きなものだけ読むのか、選択がユーザーに委ねられているのも面白いシステムだ。
月315円で会員登録すると、毎月1日と15日に1枚ずつチケットが配布される。チケットを1枚使うと、1話のシナリオを購入できる形式だ。つまり、通常月に2話ずつストーリーを楽しむことができるのだ。もっと遊びたい場合はポイントを消費してシナリオを追加できる。1話は150ポイント。ポイントは10ポイント10円から300ポイント315円で購入できるほか、公式ホームページへのアクセスや、サービスの継続利用でも貯まる。貯まったポイントはシナリオを読むほか、待ち受け画像や着ボイスの取得に利用できる。
「ラブマジ」は全24話。3月15日現在で17話まで配信されている。ポイントを消費して一気にシナリオを読み進めるか、1カ月に2話ずつじっくりと読み進めるか、選択はプレーヤーに任されている。
通常のゲーム画面は、男性の上半身姿が並ぶ形式。文章を読み、時折表示される選択肢を選ぶ | |
私服姿が見られるエピソードも! |
■ ボリューム抜群のストーリーと豊富なキャラクターCGも魅力
1話のシナリオはかなりボリュームがある。音声をオンにしてゆっくり楽しむと1話に30分ほど要するなど、一気に読み切るのは難しい。しかしご安心を!いつでも任意のタイミングでセーブできるので、少しずつ読み進められる。セーブは各話に3つずつ用意されているので、大切な選択肢の前でセーブするなどさまざまな使い方ができそうだ。
学校や会社、店など、シチュエーションに沿った会話を楽しみながら、特定の男性を攻略するパターンが多い乙女ゲームにあって、「ラブマジ」はかなりストーリーに力が入っているように感じる。ファンタジーな世界感を活かした日常生活にはありえない物語も、学生らしいワルノリテイストも上手く取り入れられている。読み応えのあるしっかりしたシナリオは、物語世界を耽溺したい人には嬉しいクオリティとボリュームで迫る。
ストーリー中に見られるキャラクターたちのCGも楽しみだ。1話1枚などケチなことは言わずに、5枚も6枚も見せてくれるのが「ラブマジ」流。主人公に惚れている状態からはじまっているのだから、どのスチルもかなりロマンティックで、愛情あふれる姿や優しい表情を余すところなく見せてくれる。ときには、非常にまぬけなものや、暴走そのものなスチルもあるが、それもまた彼らの一面。同じように愛してあげたい。
とくに会長の美墨想が登場すると、ストーリーはありえない方向に転がり始める。「みつきを手に入れるためなら、手段を選ばない!」と決めているらしい会長が、財力や魔力など持てる限りの力を使ってアプローチしてくる。そんな会長だが、すべては主人公へのLOVEが故の暴走。みつきへの気持ちをマジメに表現する姿には、思わず「ドキッ」っと射抜かれてしまうこともあるかも。5人のメインキャラクターたちも、それぞれ個性的な方法でみつきに近づく。愛の波状攻撃に翻弄されてしまいそうだ。
雰囲気のあるCGや美しいスチルがたくさん見られるのも魅力のひとつ。それぞれのキャラクターが主人公への愛を表現してくれる |
ファンタジー世界ならではの魔法を使うシーンや、ありえない暴走シーンも |
「プラチナグレイ」など魔方陣が輝く色のヒミツが気になる! |
クリアしたストーリーは、各話タイトルに表示されている魔方陣が「マジカルピンク」、「プラチナグレイ」、「ラリマーブルー」など、不思議な色に輝く。この魔方陣が何を表しており、完全クリア時にどう影響するのかは今のところよくわからない。全24話のシナリオを最後まで読み進めたとき、そのヒミツが明らかになるのだろうか。
■ 乙女の気持ちを汲み取るサービスも。難点はロード時間の長さか?
ゲーム以外の部分にも細かな配慮が見られる。珍しいなと思ったのは「アルバム」から見られる「イベント回想」。イベント中に出てきたCGだけが見られるゲームは多いが、「ラブマジ」はCGの登場するシーンの少し前からリプレイで楽しめるように設計されている。1枚のスチルを見るよりも、一連のシーンとして見られたほうが情景を思い起こしやすくなる。お気に入りのキャラクターとの思い出に浸れるプレゼントだ。もちろんCGだけを見たい人には「イベントCG」というメニューも用意されている。手っ取り早くCGだけ見たい場合にはこちらを選ぶといいだろう。
公式ホームページにログインするときにも、ちょっとしたサプライズがある。前回のログインから日が開くと「最近来てくれないね」などのメッセージが表示される。直前に遊んだシナリオで共に過ごした男性からは「この間は、すごく可愛かったよ」的な言葉が!理性ではプログラムだとわかっていても、なんだかテンションが上がってしまう。「ちょっと忙しくて、ゴメンネ」なんて思いながら、いそいそとゲームをはじめてしまうのだ。単純だが、所詮はこんなもの。乙女心は割りとシンプルなのだ。
難点は「とにかく重い」、これに尽きる。フルボイスなので仕方ないとはいえ、ゲームを始める際にも、途中にも相当のロード時間を必要とするのが、ちょっとした空き時間で遊びたいモバイルゲームには少しばかり不利かもしれない。ただ、音声データ量が非常に多いのは大きな魅力であり、「フルボイス」という言葉から連想するよりもずっと雄弁に語ってくれるだろう。
なおiモード版については、この「重い」という問題点の回避方法として、1話のデータをまとめてSDカードに保存しておく機能がある。ダウンロードには数分かかるが、ロード時間が大幅に短縮されるので、SDカードの容量さえ許すならぜひダウンロードしておきたい。またボイスをダウンロードしない設定も可能で、これによってもロード時間を短縮できる。登場人物1人ずつの設定が可能なので、「春也だけオン」、「冬也とキラだけ聞く」など好みに合わせて設定しよう。ゲーム中にオン・オフの切り替えはできないので注意。移動中、音を出さずに遊ぶなどの場合はボイスオフがおすすめだ。
「イベント回想」や「イベントCG」のメニューから、1度見たCGが自由に楽しめる | アルバムではCG周囲のメニューを消せるなど、配慮も細やか |
■ 全貌が見えるのは全24話を読み終わったとき?
モバイルゲームなのにフルボイス。「ラブマジ」の素晴らしさも特長もそこにある。人気声優を配し、1話から熱烈に迫ってくれるキャラクターたち、クラクラする女性も多いことだろう。しかし、遊んで印象に残ったのは音声オンで約30分ほどと大満足のシナリオボリュームだった。5分程度で簡単に読めるゲームが多い中、魔法学園を堪能できるシナリオは、読み応えやボリュームを求める人を惹き付けそうだ。
まだ全話の配信が完了していないので、最終的にどんな話になるのかはわからない。ストーリーがどう展開するのか、残り7話の配信を待ちながら少しずつプレイしようと思う。「この人がいいなぁ」と、ちょっと思っているお気に入りのキャラクターとのエンディングに到達できるのか? 少しばかり心配だ。
メガネ男子好きにはたまらない鬼灯先生。出番はそれほど多くないが、第5話ではこんなにCGが用意されている |
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□ディースリー・パブリッシャーのホームページ
http://www.d3p.co.jp/
□「ラブマジ」のページ
http://lovemaji.jp/(PC向け)
http://d3-lmaji.jp/ (携帯電話向け)
(2009年 4月 6日)