2017年10月13日 12:00
「3つのメカが合体してメカゴジラに!」この衝撃のコンセプトを実現した「超合金 魂MIX メカゴジラ(生頼範義ポスターVer.)」がついに発売された。本商品はプレミアムバンダイ専売商品であり、受付開始後すぐに注文した筆者の家にも届いた。
本商品は「映画とは違うメカゴジラ」であり、イラストレイターの生頼範義氏がポスターに描いたメカゴジラをベースに、原案デザイナーである漫画家・西川伸司氏の協力を元に、立体化された非常にユニークな商品である。その生まれた背景と、開発者の熱い想いは開発者インタビューでまとめている。こちらもぜひ見て欲しい。
本稿では写真と共に、各メカ、合体シーン、そしてメカゴジラとしての姿を写真で掲載し、その魅力を語っていきたいと思う。
幻のメカゴジラを超合金に! ファンの夢が結実
「超合金 魂MIX メカゴジラ(生頼範義ポスターVer.)(以下、「魂MIX メカゴジラ」)」のモチーフとなっているのは、ゴジラから世界を守るために発足された国連G対策センターの軍事部門G-Forceの対ゴジラ兵器である「メカゴジラ」だ。
ローターと推進ノズルで飛翔し、空から敵を攻撃する「ガルーダ」、巨大なクローラーで進み、2門の連装ビームキャノンを持つ「ガンダルヴァ」、大きなメーサー砲が特徴的で、水上での活動も可能な「ナーガ」、この3つのメカが変形合体することでメカゴジラとなるのである。
この「魂MIX メカゴジラ」は、1993年の映画「ゴジラvsメカゴジラ」の映画制作前に作られた「ポスター」に描かれたメカゴジラから製作された。映画制作にあたり、特撮監督の川北紘一氏は「今までにないメカゴジラ」を表現すべく、数機のメカが合体するイメージで西川伸司氏がデザイン画を制作、それを元に生頼氏が映画ポスターを作り上げた。しかし、実際の映画ではメカゴジラのコンセプトが大きく変わり、生頼氏のメカゴジラは“幻”となっていたのである。
しかし、「あのポスターのメカゴジラを見たい!」という想いは、ゴジラファンの中にしっかりと生まれていた。その想いを抱えたファンの1人が、当時小学生だった「魂MIX メカゴジラ」の企画担当者寺野氏だった。そして西川氏も生頼氏の回顧展で合体するメカゴジラの絵を出展したということも重なり、西川氏は監修という形で、寺野氏をリーダーとして製作される「魂MIX メカゴジラ」のプロジェクトに参加することになったのである。この“誕生秘話”は西川氏自身がコミックスとして描き上げ、本商品に同梱されている。
「魂MIX メカゴジラ」は生頼氏のポスターをイメージソースに玩具の企画制作を行なうアーミックが設計を行なった。ここに西川氏が「東宝メカとして、映画制作でのミニチュアでのイメージ」で監修を加えて完成している。まずは各メカを見ていきたい。
ガルーダは巨大な飛行機型メカだ。巨大なローターでホバリングし、前方についた砲口から強力な攻撃をするイメージだ。高速飛行時はオスプレイのようにローターを90度回転させる。コクピットは上部の中央近くにある、メカゴジラ時には背びれとなる飾りも相まって宇宙船の操縦席のようにも見える。
機首部分の赤い塗装も面白い。銀色と赤の組み合わせはジェットビートルやマットアローのような「ウルトラメカ」の雰囲気もある。背びれとしっぽは有機的なイメージも加えており、プテラノドンなどの“翼竜型のロボット”という感じも与える。超高速で飛び回るよりも機械音を響かせながら上空をゆっくり飛んでいくのが似合いそうだ。
ガンダルヴァは、ロボットそのままの「腕」のメカだ。連装ビームキャノンと大きなクローラーはガンタンクを連想させる。クローラーでアスファルトや建物を押しつぶし、削り取りながらゴジラに肉薄、ゴジラをしたから攻撃するというイメージ。ビームキャノンもガトリングガンのように連射力で敵を圧倒する感じだ。
ナーガはまさに戦艦のような巨大で重い雰囲気がある。海から登場し、陸のゴジラにメーサー砲で攻撃するのが似合いそうだ。パラボラアンテナ型のメーサー砲はまさに「これぞ東宝メカ」という感じで、特撮ファンにはたまらない。膝の対空機銃は数で押してくる小型怪獣との戦いで活躍しそうである。また、“つま先”の鋭利な部分は、ナーガの大質量を活かしたラム(衝角)攻撃を行なえそうである。
「魂MIX メカゴジラ」の魅力の1つは、原作がなく、あえて詳細な設定を紹介していないところだと思う。メカゴジラと各メカがどう戦うか、どんな機能を持っているか、それはユーザーの手にゆだねられている。ユーザーはメカを手にし、様々な角度から眺めたり、各部をいじりながら活躍を想像する。その「自分だけのメカゴジラストーリー」を作り出す楽しさこそが本商品の楽しみ方だと思う。
変形合体! 炎を吹き上げる特撮シーンを想像しながらの合体
それでは合体させていこう。「魂MIX メカゴジラ」では3機合体だけでなく、中間形態とも言えるガンダルヴァとナーガの合体形態がある。ガンダルヴァのクローラーを折りたたみ、ジョイントを出して、ナーガの上に接続するのだ。
この時、クローラーの各部が回転してジョイントが出てくるのがイイ。このジョイントで折りたたまれたクローラーがしっかりはまるのだ。そしてナーガはパラボラアンテナとセンサーを収納してガンダルヴァを上に乗せる。2つが合体すると「地上戦艦」のような雰囲気となる。水上を移動できないガンダルヴァの輸送手段や、長距離移動時にこの形態が使われそうである。
そしてメカゴジラへの変形合体だ。大質量のナーガが“立ち上がり”、メカゴジラの下半身になるのは映画ならばかなり大迫力なシーンとなるだろう。後ろのバーニアから激しく炎を吹き出し、地響きと共に立ち上がる感じだろうか。
ガンダルヴァは両腕が開き胸部分がさらに折りたたまれる。このコンパクトな胸ブロックの変形は面白い。平たい感じのクローラーがギッシリした密度のブロックになるのだ。変形メカならではのケレン味を感じる部分である。
そして立ち上がった機体にガルーダが合体する。準備として機首の分割、そして隠された頭部の展開や、しっぽブロックの展開などがある。後ろからはめ込んでいくのだが、翼のローターは機体が垂直になるというちょっと無茶な変形をしっかり支えてくれる感じがあって説得力がある。胸ブロックをガルーダの装甲板が左右から覆うのは「ガオガイガー」の合体パターンを思い出させる。
背中を接続し、しっぽも本体に接続、最後に首を接続すれば合体完了である。最後に首が合体するところがいかにも合体メカらしくてイイ。首が接続されたとき、目が光ったりするんだろうか。メカ怪獣「メカゴジラ」の完成である。
不気味さ、無機質さ、そして“危うさ”も魅力!? 想像を刺激するメカ怪獣
合体した「魂MIX メカゴジラ」は非常にカッコイイ。シルバーの無機質な冷たさに、印象的なディテール、メカゴジラならではの凶暴そうな顔。背中の赤と、大きく広がった翼が、これまでのメカゴジラとは異なる印象も加えている。
特に斜めから見たメカゴジラの横顔がイイ。メカ怪獣ならではの冷徹さ、不気味さ、両腕が巨大なレーザー砲である「兵器」としての怖さ。足としっぽの太さによる人型ロボットとは大きく異なる存在感。ずっと眺めていたくなる格好良さだ。
しかし一方で格闘戦に不向きなイメージもある。腕はものもつかめないし、殴ることにも使えなそうだ。目立つ近接武器もなく、戦うイメージとしてはローターや腿のジェットを使って浮き上がり、滑るように移動しながらゴジラから距離を取って砲撃を与えるという感じだろうか。組んでこようとするゴジラからどう逃げるか、対処するかは、このメカゴジラの大きなテーマとなるだろう。
力強さの中にこうした“弱点”を感じさせるところも「魂MIX メカゴジラ」の魅力だと思う。ゴジラを相手に圧勝するのではなく、かなり苦戦しそうな雰囲気がこのメカゴジラにはあるのだ。どんな戦いをするのか、ゴジラ以外の敵とはどう戦うのか、腹部に収納されたメーサー砲はどう使うか、3機が合体したことで口から何か出せるようになるのか、映画のメカゴジラと同じか、それとも違うのか……想像は無限に膨らんでいく。
くり返しになるが、あえて原作としてのバックストーリーを持たせていない「オリジナルメカ」だというのが「魂MIX メカゴジラ」の大きな魅力だと思う。寺野氏は「超合金 超合体SFロボット 藤子・F・不二雄キャラクターズ」などあえてバックストーリーを作らない、ユーザーに想像をさせる商品も多く手がけている。「魂MIX メカゴジラ」もユーザーそれぞれのストーリーを持たせる“余地”を持たせている。
プレミアムバンダイ専売のため「魂MIX メカゴジラ」は現在入手困難だが、チャンスがあればぜひチェックして欲しいし、手に入れたユーザーはとことんまで本商品を楽しんで欲しい。今後の商品にも期待したいところだ。
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