2017年6月9日 10:00
5月16日にTSUKUMOのゲーミングPCブランドであるG-GEARシリーズに、エントリーユーザー向けのゲーミングノートPCの新製品が加わった。このG-GEAR note N1564Jシリーズには、第7世代Intel CoreプロセッサとNVIDIAのPascalアーキテクチャ採用のGPUが搭載されており、ともに最新の製品となっている。今回は、「N1564J」シリーズでも強力なCore i7-7700HQを採用した、「N1564J-710/T」をお借りすることができたので、実機を使いながらレビューしていこう。
最新のCPUとGPUで武装したコストパフォーマンスモデル
高性能なゲーミングPCを提供するTSUKUMOのG-GEARシリーズ。だが、G-GEARシリーズはヘビーなゲーマーに向けた製品だけでなく、パーツを厳選したコストパフォーマンスの高い、ライトユーザー向けのゲーミングPCも展開している。「N1564J-710/T」は、ゲームを楽しむのには十分な性能を持ちながら、税抜きで13万円を切るという購入しやすい価格帯のノートPCだ。まずは、主な仕様をまとめてみたのでそれを見ながら確認していこう。
【スペック】
製品名 | G-GEAR note N1564J-710/T | 今回お借りした製品今回お借りした製品 |
---|---|---|
CPU | Intel Core i7-7700HQ(4コア8スレッド、2.8GHz TurboBoost時最大3.8GHz) | |
GPU | NVIDIA GeForce GTX 1050 Ti(GDDR5 2GB) | |
チップセット | Mobile Intel HM175 Express | |
メモリ | PC4-19200 DDR SO-DIMM 8GB(4GB×2) | |
ストレージ | 240GB 2.5インチSSD(Serial ATA 6Gbps) | 480GB 2.5インチSSD(Serial ATA 6Gbps) |
ディスプレイ | 15.6型フルHDノングレアIPS方式液晶(1,920×1,080ドット) | |
映像出力映像出力 | Mini DisplayPort×2、HDMI×1 | |
USB 3.0 | Type-A ポート×2、Type-C×1 | |
USB 2.0 | 1 | |
イーサネット | 1000BASE-T | |
無線機能 | IEEE802.11a/ac/b/g/n、Bluetooth v4.2 | |
サイズ(横×奥行き×高さ) | 378×267×26.9mm | |
重量 | 約2.3kg | |
バッテリ駆動時間バッテリ駆動時間 | 約6時間 | |
OS | Windows 10 Home 64bit | |
価格(税別) | 129,800円 | 137,800円 |
まず、断っておきたいのが、Webサイトなどで購入できる「G-GEAR note N1564J-710/T」と、筆者の手元に届いた試用機とは、微妙にスペックが異なることだ。これは、TSUKUMOの製品がBTO(受注生産方式)に対応しており、カスタマイズが可能になっているためで、メモリやストレージを強化することも可能だ。
もちろん価格も変わるのだが、購入者の都合に合わせてカスタマイズすることができるというメリットがある。今回の試用機では、「N1564J-710/T」をベースにストレージが240GBから480GBに強化されているのがわかるだろう。さて、BTOの説明はこれくらいにして置き、パーツそれぞれを見ていこう。
PCの頭脳とも言われるCPUには、Intel Core i7-7700HQが採用されている。Core i7は、IntelのCoreシリーズには、Core i7やCore i5、Core i3などがあるが、Core i7はハイエンドCPUに付けられる名前だ。Core i7の場合、4コアのCPUコアが搭載されており、それぞれが2つ同時の処理を行なうことができるため、8つの処理を同時に行なうことができる。
本機に搭載されている、Core i7-7700HQは、開発コードネームがKaby Lakeと呼ばれていた、最新の第7世代CPUで、その中でもハイエンドに属するものだ。Kaby Lakeでは、以前のSky Lakeと比較して、計算能力だけでなく省電力性能も上がっているため、ノートPCでのバッテリ駆動に有利だ。また、通常時は2.8GHzで動作するが、処理能力が必要な際には、最大3.8GHzまでオーバークロックして動作する強力なCPUとなっている。
次にGPUを見てみると、こちらもまた最新アーキテクチャのPascalを採用したNVIDIAのGeForce GTX 1050 Tiを採用している。GeForce GTX 1050 Tiは、ミドルレンジに位置付けられるNVIDIAのGPUだ。
本機に搭載されているGeForce GTX 1050 Tiは、ノートPC向けのモバイルGPUで同名のデスクトップ向けの製品とは微妙に仕様が異なっている。たとえば、CUDAコア数とメモリスピードは768個/7.0Mbpsだが、デスクトップ版のベースクロックとブーストクロックは1,290MHz、1,392MHz、モバイル版ではそれぞれ、1,493MHz、1,620MHzとなっていて、モバイル版のほうが、周波数的に性能は上になっている。
だが、搭載メモリに関しては、NVIDIAの仕様上ではデスクトップ版、モバイル版ともに4GBまでのGDDR5メモリに対応していることになっているのだが、デスクトップ版のほとんどの製品が4GBを搭載するのに対し、本機のようなモバイル版では2GBと半分になっていることが多い。デスクトップとの比較も検討しているのであれば注意しておきたいところだろう。
次に搭載するメモリだが、PC4-19200のSO-DIMMの4GBモジュールを2枚搭載し、合計8GBとなっている。8GBあれば、ゲームのプレイで支障が出ることもないだろう。動画編集などでもっとメモリが欲しいのであれば、BTOで8GB×2構成の、合計16GBにすることもできる。
ストレージは、通常の「N1564J-710/T」であれば、240GBのSSDが搭載される。試用機に搭載されているSSDは480GBの製品だが、いずれもSerial ATA 6Gbpsで接続される2.5インチSSDで、M.2のNVMeなどと比較してしまうと低速だが、HDDよりも数倍高性能だ。この辺りはコストパフォーマンスの問題なので、仕方がないだろう。
ディスプレイには、ノングレアタイプの15.6型フルHDパネルが採用されている。ノートPCとしては大きめの液晶パネルを搭載しているため、フルHDの100%表示でも、文字が小さ過ぎて使いづらいということもない。4K解像度のディスプレイやVRなどで利用される外部映像出力もMini DisplayPortが2つとHDMIが1つと、豊富に用意されているため、そのような用途で使う場合でも困ることがないだろう。
通信機能としては、1000BASE-Tの有線LANのほか、IEEE802.11acに対応した無線LAN、そしてBluetooth v4.2にも対応する。高速な無線通信のほか、Bluetooth機器も利用可能だ。
サイズは、幅が378mm、奥行きが267mm、高さが26.9mmとノートPCとしてはかなり大きめ。重量も約2.3kgと、気軽に持ち運んで、外で使うようなモバイル用途には向いていない。15.6型の大型液晶パネルを採用しており、キーボードもテンキーが用意されているタイプのため、ある程度のサイズと重量になってしまうことは仕方がないことだ。ただ、バッテリ駆動時間は約6時間と、本製品のようなゲーミングノートPCとしては意外と長めだ。サイズや重量に臆することなく持ち歩ける人なら、外である程度ゲームを楽しむこともできるだろう。
写真で見る「N1564J-710/T」
それではここからは数値や文字でなく写真で「N1564J-710/T」を見ていこう。本機はゲーミングPCであるため、ゲーマー向けへのこだわりも見て取ることができる。一般的なPCとの違いを意識しながら見てもらえるとよいだろう。
ベンチマークで見る「G-GEAR note N1564J-710/T」の実力
ここからはせっかく実機をお借りしているので、ベンチマークソフトなどを使用して、「N1564J-710/T」の性能をチェックしていってみよう。前半はPCMark 8や3DMarkなどの定番ベンチマークソフトを使っているが、加えて実際のゲームなどを使ったベンチマークも行なっている。
PCMark 8
PCMark 8はFuturemarkの定番ベンチマークソフトだ。システム全体の性能と、そのバランスを数値化することができる。結果は3,440とノートPCとしては良好な数値。CPUやGPUだけ高性能、メモリだけ多い、ストレージだけ高速といった場合には、あまりよい数値が出ないベンチマークソフトなので、性能バランスも優れていることが見て取れる。
PCMark 8 | |
---|---|
測定数値 | 3,440 |
3DMark
3DMarkもPCMark 8と同じくFuturemarkのベンチマークソフトだが、こちらはゲーミングPCとしての実力を見るためのもの。最新のDirectX 12を使用したテストのTime Spyでは2,510と、少し頼りない結果になってしまった。価格は倍近くになってしまうが、GeForce GTX 1070辺りを利用していれば、本機のCPUならば軽く5,000を超える結果が出るはずなので、グラフィックス性能はお世辞にも高いとは言えない。
ただ、DirectX 11世代のテストであるFire Strikeでは、6,758ポイントと5,000を大幅に超える結果が出ているため、最新の3Dゲームでは高度な効果を利用した美麗なグラフィックス環境でのプレイは難しいものの、描画設定を緩めに設定すれば、問題はなさそうだ。その辺りは後半の実際のゲームなどを利用したベンチマークの結果を見てみるとしよう。
3DMark(Time Spy) | 3DMark(Fire Strike) | |
---|---|---|
測定数値 | 2,510 | 6,758 |
CINEBENCH R15
CINEBENCHはCPU性能を見るためのベンチマークソフトだ。マルチコア、マルチスレッドの性能を見るためのCPUでは724と高得点。デスクトップ版のハイエンドCPU、Core i7-7700kでは950前後となるため、それと比較してしまうと低めの結果だが、一昔前のハイエンドCPU程度の性能は出ている。ノートPCとしてはかなりよい結果と言えるだろう。
テスト項目 | 測定結果 |
---|---|
CPU | 724 |
CPU(シングルコア) | 162 |
Unigine Valley Benchmark 1.0
Unigineがオープンワールドを利用したゲームを製作する際に副産物として生まれたベンチマークソフトがValley Benchmarkだ。高負荷な3D処理を行ないつつ広範囲を描画するのが特徴で、ゲーム環境に近い想定でのフレームレート(1秒間に何回の描画が行なわれているかの指標で、Frames Per Secondを略したfpsと言う単位で表わされる)を計測できる。
一般的には60fpsを境に、それ以上の結果が出ればアクション性の高いゲームでも快適にプレイできると思ってよいだろう。結果としては、1番高負荷なExtreme HDというテストで、平均フレームレートは32.7fpsとなっている。アクション性の低いゲームではそれほど問題にならないが、FPS(First Person shooter)などのアクション性の高いゲームでは厳しい数値となってしまった。
Unigine Valley Benchmark 1.0(Extreme HD) | |
---|---|
測定数値 | 32.7fps(1,557) |
CrystalDiskMark 5.2.1
CrystalDiskMarkはストレージの読み書きの性能を見るためのベンチマークソフト。本機に搭載されたSSDは、BTOによるカスタマイズが行なわれているモデルのため、デフォルトで搭載される240GBの製品とは別のものだが、同じSanDiskの製品のようなので、大きな性能差はなさそうだ。しかし、別製品ということは一応注意した上で結果を見てほしい。
結果は、Sequential Read/Writeの値がともに500MB/sを超えている。昨今のSerial ATA接続のSSDとしては平均的な値だが、2.5インチHDDの一般的な数値である100~120MB/sと比較すればかなり高速だ。また、ReadとWriteの違いがあまりないのも昨今のSSDの特徴。数世代前のSSDではReadが早くてもWriteが遅いという製品も多かったため、本機に搭載されているSSDは優秀だと言える。もちろんNVMeなどの接続を利用したM.2 SSDなどでは、3,000MB/sを超える製品もあるが、こちらは高価なため、コストパフォーマンスモデルの本機ではベストチョイスと言ってよいだろう。
SteamVR Performance Test
SteamVR Performance Testはストアなどを統合したゲームランチャであるSteamを開発運営するValveの無料ベンチマークソフト。ValveではHTC ViveというVR製品を販売しているが、それを想定したVRのための性能をPCが備えているかを判定することができる。評価としてはVR可能となっており、推奨環境を満たすものではないが、VR自体は動作可能とのことだ。
ただし、高性能のPCが必要とされるソフトウェアでは動作しないこともあると注意がされているため、少し心もとない結果にはなってしまっている。ハードなVRを利用する場合には、動作するかどうか注意しながら出ないと利用できなさそうだ。
テスト項目 | 測定結果 |
---|---|
平均忠実度 | 3.6(中程度) |
評価 | VR可能 |
「バトルフィールド 4」
ここからは実際のゲームタイトルを利用してベンチマークを行なってみよう。「バトルフィールド 4」は世界的にファンの多いFPSだ。すでに新タイトルの「バトルフィールド 1」が発売されているが、ここでは、「バトルフィールド 1」がベンチマークにあまり適していないため、「バトルフィールド 4」を利用している。とはいえ、「バトルフィールド 4」も十分に負荷の大きな3Dゲームタイトル。このゲームを悠々と動かすことができれば、高負荷な最新3Dゲームタイトルもそれなりに動くという指標になる。「バトルフィールド 4」にはベンチマークの機能がないため、Frapsというソフトを利用し平均フレームレートを計測する。
テストではキャンペーンのTASHGARを開始し、主人公たちが車で移動しているシーンの1分間平均フレームレートを計測した。描画の負荷は、プリセットが用意されているので、そちらを利用し、「最高」、「高」、「中」の3つをテストした。結果としては、最高で54.317fpsと60fpsには届かないもののそれに近い数値となっている。高負荷な3Dゲームでも、ある程度は快適に楽しめることがわかる結果だ。
【4K】
最高 | 高 | 中 |
---|---|---|
54.317fps | 75.867fps | 106.85fps |
「『ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター』ベンチマーク」
2017年4月末に公開になったばかりの最新ベンチマークソフトが「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」ベンチマークだ。こちらは、2017年6月20日リリース予定の拡張パッケージ、「紅蓮のリベレーター」に対応したもの。同じDirectX 11ベースでありながら、以前の「蒼天のイシュガルド」版と比較すると、微妙に低めの結果になるという傾向があることがわかっている。結果としては、最高設定で、7,633ポイント、非常に快適という評価になった。本ベンチマークでも以前と同じく7,000ポイント以上で最高の評価である非常に快適となるため、本機でも最高の結果が得られたことになり、快適なゲーム環境であることがわかった。
最高品質 | 高品質(デスクトップPC) | 高品質(ノートPC) |
---|---|---|
7,633 | 8,653 | 10,650 |
非常に快適 | 非常に快適 | 非常に快適 |
PCゲーマーのエントリーマシンだが、十分な性能
本機の全体的なテスト結果としては、比較的高負荷なベンチマークでは振るわない結果となったものの、実際のゲーム環境での使用においては、本体のディスプレイ解像度であるフルHDなら、十分に現行の3Dゲームを楽しむことができるのがわかる。
ハードな3Dゲームを楽しむヘビーなゲーマーには、性能がもの足りないイメージもあるが、これからゲームを始めてみたいといったPCゲーマー初心者にとっては、リーズナブルで購入しやすいエントリークラスのゲーミングPCと言ってよいだろう。
そのようなわけで、本機をお勧めしたいユーザーとしては、これからPCゲームを始めてみたいという初心者ゲーマーということになるのだが、ベンチマークでも見てきたとおり、そこそこ高負荷なゲームでもそれなりに楽しめることが分かる。初心者だけでなく、ベテランゲーマーの野外持ち出し用のセカンドマシンとして考えてもよいだろう。友人宅に本機を持ち込んでLANパーティを楽しむ。そんな使い方もお勧めできるのが、「G-GEAR note N1564J-710/T」だ。