2016年6月10日 00:00
中身はドラゴンモデルズ製だけど、とても組みやすくなっています
劇場版が大好評のアニメ「ガールズ&パンツァー」。劇中に登場する戦車のプラモデルが続々と登場するなか、劇場版第2弾として2016年1月に発売されたのが「ガールズ&パンツァー劇場版 1/35パンターG型 黒森峰女学園」。1/35ガルパンシリーズの黒森峰所属戦車としては、ティーガーI・II、ヤークトティーガーに続くもので、待っていたという方も多いかと思います。
かく言うワタシも、ガルパンのキットはシリーズ第1弾の「IV号戦車D型 あんこうチームver」からプラッツ、ファインモールド共に場合によっては2、3個ずつ買ったりしているガルパンおじさん。当然のようにゲットした次第です。ちょっと忙しくて作る機会がなく、プラモ棚に積まれていましたが……。
ちなみにこちらが我が家のプラモ棚のガルパンエリアの一部。全然入り切らず、残りはダンボール箱数箱に入れてあります。
もともとミリタリーオタクということもあって「ガルパン」には思い入れがあるワタシ。色々と縁もあって、以前携わっていたフリーペーパーで放送前に作品を紹介したり、主役のみほ役を演じている渕上舞さんに発売前の「IV号D型」を作っていただいて記事にしたりしていました。
その後、個人的にも前述の通りプラモを積んだり作ったりしていて、モニター車や立体駐車場のジオラマを製作してみたり、OVAの「これが本当のアンツィオ戦です!」と劇場版では、作画検討用のモデルを納品させていただいたりもしました。ジオラマは作ったはいいものの大きすぎて置いておく場所が無く、大洗のガルパンギャラリーに置かせていただいています。
残念ながらこのところなかなかプラモを作る時間がなかったのですが、今回レビューをやらせていただけるとのことで、これ幸いと取り上げたいと思います。
中身はドラゴンモデルズ製だけど、とても組みやすくなっています
テレビ版では6輛が登場し、決勝戦の主力として活躍したパンターG型。劇場版の劇中では例の巨大砲弾で吹き飛ばされてしまいましたが、実際の車両は超優秀な車両でした。ソ連のT-34を倒すために開発され、1輛で9輛を撃破したとか米軍のM4シャーマンでは正面から撃っても装甲を破れなかったとか、数々の逸話をもち、改良を重ねたこのG型はその完成形ともいえる車両になっています。
プラッツの「パンターG型」はパッケージに「DRAGON」と書かれているとおり、中身は香港のドラゴンモデルズ製。ディテールが細かいのはいいんだけど、細かすぎてクレイジーなキットが多いことで有名なメーカーです。
「IV号戦車D型」や「ティーガーI」はドラゴンモデルズのブランドであるサイバーホビー製だったのですが、穴あけが必要だったり、逆に穴を埋めなくてはならなかったりと、なかなか手強いモデルでした。
それに比べるとこの「パンターG型」はだいぶ簡略化されています。ドラゴンの「パンターG型後期型」がベースになっているのですが、エッチングパーツが省略され、以前なら何パーツにも分かれていたようなパーツが一体成形されていたりして、かなり組みやすくなっている印象です。
「IV号戦車D型」や「ティーガーI」は半分ぐらいが不要部品で、あれこれ付け忘れているんじゃないかと不安になったのですが、「パンターG型」ではほとんどかなり減っているので精神的にもいい感じです。また、ティーガーIでは成形色がグレーだったのですが、劇中の色に近いダークイエローになっているため、塗装で多少塗り損ねても目立たないというのもポイントです。履帯もベージュから黒に変更されているので、塗装が苦手なら無塗装でもアニメに近い仕上がりになります。
戦車というとちょっと敷居が高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、割と入門向けに仕上がっているので、キャラクターモデルを作ったことがある方なら同じ要領で作れます。キャラクターモデルに比べると塗装が簡単なので、塗装にチャレンジしてみた方にも最適なキットのひとつだと思います。
標準的な工具で充分! ……しかし、細かい部品には注意
戦車プラモといっても、使う道具に特別な物はありません。他のプラモを作るのと全く同じです。参考までに、ワタシがこの「パンターG型」を作るのに使った工具は、ニッパーとナイフ、接着剤、紙ヤスリ、ピンセット、瞬間接着剤、目玉クリップ、綿棒、ティッシュといったところです。
塗装のための用意は、缶スプレーの「ダークイエロー」とMr.カラーの黒鉄色、ウッドブラウン、タミヤエナメルのフラットブラックとガンメタル、それぞれの薄め液と塗料皿、筆です。
では早速作ってみます。基本的には組み立て説明書の順番で組み立てていきますが、組み立てや塗装のしやすさを考えてちょっと順番を替えました。
まず、車体下部を組み立てていきます。説明書3番の車体後部には細かいパーツがいろいろと付きます。ワタシはよくパーツを落としては探すのに時間をとられたり、なくしてしまったりするので、皆さんも注意してください。組立図Fはジャッキで、これとパーツG1も塗装してから取り付けるので、ここでは接着しません。また、L2は透明パーツで、これも先に取り付けると塗装で台無しになってしまうので、塗装後に接着します。
次の車体上面では、ハッチを開状態、閉状態のどちらかから選ぶようになっています。なるべく簡単に作りたいので、閉状態を選びました。これで内部パーツは不要になります。L1とL4は透明パーツなので、塗装後に取り付けます。
砲塔の組み立てです。説明書7番のC15はパッケージイラストでは縦になっていますが、横向きになっていました。今回は修正せずに横のまま取り付けます。E16、E17の予備履帯は塗装後に取り付けるので、ここでは組み立てておくだけにしておきます。左右に4枚ずつ合計8枚となっていますが、パッケージを見ると左右に6枚ずつあるので12枚作ります。A3は予備履帯を取り付けたあとに差し込むので、ここでは取り付けません。
説明書8番のL3、K14も塗装後に取り付けます。予備履帯は右側と同じです。
以上で基本工作は終了。成形色がダークイエローなのでこのままデカールを貼ってもいいのですが、砲塔上面など紙ヤスリをかけたところが白っぽくなってしまっているので、簡単に塗装をします。また、工具類の金属部分や木の部分をちょこちょこっと塗装してあげると、アクセントになっていいですよ。雨の日など湿度が高い時に塗装をすると、白っぽくなってしまったりするので、雨の日は避けてくださいね。
というわけで完成です!
どこから見ても絵になる「パンターG型」ですが、お気に入りは斜め後ろから見たところ。自分のハンヴィーもそうなのですが、車も戦車もなぜか斜め後ろからのカットが好きなのです。特にこの「パンターG型」は後部に細かいディテールが集まっているので、見応えがあります。
それと、砲塔やフロント部分を見るとわかるのですが、分厚い装甲が噛み合って作られている様子や、溶接の跡などが忠実に再現されています。筆で塗装した工具類も結構精密に作られているので、そのあたりも見所かなと思います。
戦車模型は泥汚れなどを再現するウェザリングと呼ばれる汚し塗装が施されていることが多いですが、全くやらずに簡単仕上げにしました。必ずしも汚さなくてはいけないわけではないですし、ガルパンの場合は「試合が終わって戦車をした直後なのだ」と思えば全然オッケーです。でも、いずれはやってみたいですよね。
ちょっと気になったのはアンテナ。ピンバイスという小さいドリルと刃が必要になるので今回はスルーしましたが、台座部分しかないので再現してあげたいところです。アンテナ基部のパーツB48に小さな穴を開け、真ちゅう線を差し込んで瞬間接着剤で接着するという感じです。
こうして単品で飾るのもいいですが、ちょっと寂しくも見えます。6輛作ってテレビ版を想像しながらずらっと並べてみたりとか、他の黒森峰車両と一緒に置いてみるといいかもしれません。また、例えばランチョンマットやアクリルミラーなどを買って来て、その上に乗せるだけでも雰囲気が変わります。
いつかはちょっとしたジオラマベースの作り方をご紹介できればなと思います。
写真を撮りながらだったので結構時間がかかってしまいましたが、パーツ数もそれほど多くないので2日ぐらいで作れるのではないかと思います。子どものころに戦車を作っていたなぁなんていう方の出戻りにも最適なこのキット、先日再販がかかって市場に出回っているところなので、ぜひ作ってみてください。
転輪のところで書いた通り、半分は裏を塗装していません。パッと見、どっちがそうなのかわからないと思います。「見えない所は作らない、塗らない」というお手軽モデリングもオススメです。
(C)GIRLS und PANZER Projekt
(C)GIRLS und PANZER Film Projekt
協力:GSIクレオス