Fallout 4:Far Harbor
ジャンル: RPG
発売元: ベセスダ・ソフトワークス
開発元: Bethesda Game Studios
プラットフォーム: PS4
Xbox One
WIN
価格: 2,800円(税別)
発売日: 5月31日
プレイ人数 1人
レーティング CERO:Z(18歳以上のみ)

待ち望んだ新たな冒険の地、ついに登場

 「もっともっと『Fallout 4』で冒険したい!」。2015年末に発売された「Fallout 4」を今でもプレイしている人も多いだろう。プレイ時間は50時間を軽く超え、キャラクターのレベルが高くなり、いくつもの派閥でのエンディングを見た人も、決定的な結末にはたどり着かないまま遊んでいる人もいるだろう。筆者もその1人である。

 まだ知らないものがあるのではないか? 見ていないものがあるのではないか……そう思いながら、プレーヤーは今日も“連邦”を旅している。僕らの想いは1つ「新しい冒険をしたい」。……その夢が、ついに叶うのである!

 5月31日にPS4/Xbox One版が発売された「Fallout 4」のDLC第3弾「Far Harbor(ファー ハーバー)」では新しい広大な土地が実装され、謎めいた冒険が待っているのである。謎の霧に包まれ、人間が住むことが難しい場所となってしまった島にプレーヤーは向かうこととなる。そこでは新たな物語が始まり、様々な人物、怪物、勢力と出会うことになる。楽しくてエキサイティングな「Fallout 4」の冒険が再び始まるのだ。本稿ではこのDLCの概要と感触を語っていきたい。

【Fallout 4 - Far Harborトレーラー】

恐ろしい霧に包まれた謎めいた島へ。霧に潜む恐怖に立ち向かえ

 「Far Harbor」の物語は、ダイヤモンドシティに探偵事務所を構えている人造人間の探偵・ニックの元に、依頼の連絡が来たことから始まる。事務所に向かったプレーヤーキャラクターにニックの秘書エリーは“ケンジ・ナカノ”という依頼人の名を告げる。彼の娘が、誘拐されたというのだ。

ナカノ家ではいなくなった娘の捜索を依頼される
霧に包まれたファーハーバーでの冒険が始まる
サンショウウオのような怪物、ガルパーの襲撃を受ける
プレーヤーを助けてくれるベテラン猟師のオールド・ロングフェロー
ファーハーバーは広大な土地となっている。様々なポイントが設定されており、今見えているのはほんの一部だ

 ナカノの家ではナカノ夫妻が沈痛な面持ちでプレーヤーを待っていた。彼らは連邦の北東部に家族3人だけで住んでいた。19才になる娘のカスミは外の世界に興味を抱いたが、父は彼女を子供扱いし、外の世界を見せなかった。カスミは祖父に教わった機械修理の才能があり、家にあったラジオを直した。ケンジはそのラジオでカスミは誰かと連絡を取り、そして誘拐されてしまったのではないかというのだ。

 ナカノの家を探索したプレーヤーはカスミのホロテープを発見。彼女が自分自身への疑問に対する答えを見つけるために、ファーハーバーにある“人造人間達の隠れ家”へ向かったことを知る。プレーヤーはナカノの船を借り、謎めいた地ファーハーバーへカスミを追っ手旅立つ。……それは新しい冒険の始まりだった。

 ファーハーバーは霧に包まれた不気味な島だ。プレーヤーはよそ者に敵意を持つ住人と、それをなだめる港の代表者の女性キャプテン・アヴェリーの話を聞く。しかし次の瞬間警報が鳴り響き訳がわからないまま港町を守る戦いへと手を貸すことになる。プレーヤーは港町の外に広がる霧の中から外に行っていた住人達が現われ、そして彼らを追いかけて“怪物”がやってくるのを見る。霧の向こうに潜む巨大な怪物達をプレーヤーは目撃し、住人と怪物の戦いに巻き込まれてしまう。

 ファーハーバーはかつては観光地として人気を集めていたが、戦争により荒廃、その後“霧”が現われた。霧は強い放射能を含んでおり、さらに囲まれ続けていると正気を失う恐れもあるという。島には“トラッパー”と呼ばれるならず者達がおり、無差別に人を襲っている。さらに霧は島の奥に行くほどに濃くなり、謎めいた怪物達が霧の中でうごめいているというのだ。今では住人達は霧に追われ、この小さな港町に固まって住んでいるというのだ。

 プレーヤーはこの危険に満ちた島を探索していくこととなる。ファーハーバーは連邦から離れた地となっており、これまでの拠点から戻るのは手間がかかる。島は霧に覆われており、放射能はプレーヤーキャラクターのHP最大値を削っていく。そして敵は高レベルで手強い。全体的に、これまでのフィールドよりも難易度が高い。弾薬の消費も激しくなるので、きちんとした準備が必要だ。パワーアーマーを整備する施設もあるので、着たまま来ることも可能だ。

 とにかくこの新しい土地は、最初はちょっと怖い。敵はよくわからないし、放射能は濃い。放射能除去用の薬をどのくらい使うか、弾薬は足りているのかと心配事が多くなる。この不安におびえるプレーヤーを助けてくれるのが港の住人であるベテラン猟師のオールド・ロングフェローだ。彼は人造人間達の拠点である「アカディア」までガイドをしてくれる。

 「Fallout 4」では先を進むNPCと一緒に移動するというシチュエーションが見られたが、オールド・ロングフェローとの旅も同様となる。怪物が次々襲ってくるのを一緒に撃退したり、彼の昔語りを聞きながら霧の中を進んでいくのが楽しい。ファーハーバーという島の一端を理解するのにオススメの要素だ。

 そして彼と冒険を共にすることで、彼を仲間にすることが可能になり、さらに彼の住居が入植地として利用できるようになる。ここに“本土”から供給ラインをつなぐことで資源のバックアップが受けられる。この新たな拠点にDLC第2弾「Wasteland Workshop」で追加された、通るだけで放射能を除去できる「除染アーチ」を設置すればかなり安心度も上がる。ファーハーバーもこれまで同様、1度到達したところはファストトラベルで移動できる。拠点を手に入れることで、冒険はずっと楽になるだろう。

 ちなみにファーハーバーへ向かう“相棒”は、誰でも可能だ。新たな友人オールド・ロングフェローと共に進むのも良いだろう。今回は物語の発端そのものが、ニックへの依頼ということもあり、筆者はニックを連れて行ったところ、ある場所で特別な会話イベントが発生した。ひょっとしたら他のキャラクターでもイベントがあるかもしれない。色々なキャラクターを相棒にクエストに挑戦するというのも良いかもしれない。

【Far Harbor】
ナカノの家ではカスミのホロテープを探し彼女の足取りを追う
霧に包まれたファーハーバーの港。怪しげな人物が待ち受けている
オールド・ロングフェローに案内してもらって霧の中を進む

対立する3つの勢力、謎めいた殺人事件……たっぷり楽しめるクエスト要素

 ファーハーバーになぜ人造人間の“隠れ家”があるのか、インスティチュートやレイルロードといった勢力と繋がりがあるのだろうか? アカディアでプレーヤーはその真実に直面することになる。

人造人間のDiMA。魅力的な人物だが、その真意は測りかねるところがある
「チャイルド オブ アトム」の一団。本作は彼らの秘密にも迫る
ニック。彼が関係するクエストも用意されている
ロボットのパール。彼女のクエストも面白い

 リーダーであるDiMA(ディーマ)は、ニックにそっくりな人造人間だ。彼は何故そんな姿をしていて、どんな思想を持ち、何をしようとしているのか、それは本作のストーリーの根幹に深く関わってくる。また、DiMAの元には様々な人々が集まっている。彼らの話も興味深い。

 ファーハーバーには港の人々、DiMAの元にいる人たち、そして放射能を神の恩恵として崇拝する「チャイルド オブ アトム」の一団がいる。今作では彼らと関わっていくことになる。「Fallout 4」では彼らの一部が積極的に他者を攻撃する敵対集団だったが、「Far Harbor」では彼らと交流をすることができる。

 彼らと話す中で、放射能を崇拝する秘密の一端なども聞くことができる。そして人間の集団である以上避けられない内部抗争らしきものもわかってくる。ファーハーバーは彼ら3つの勢力があり、時に対立している。プレーヤーのアクションが彼らの勢力バランスに変化をもたらしていくのだ。

 もちろん、各勢力にはサブクエストもたっぷり用意されている。かつて島の名家だったダルトン家の末裔「キャシー・ダルトン」は一族の命を奪った“島”に復讐をするという妄執にとりつかれている。霧に包まれた土地の呪われた一族……恐怖小説のようなエピソードだ。チャイルド オブ アトムで危険な修行をしている友人を心配する男から相談されることもある。色々な人の人生に触れるという「Fallout 4」の楽しさを新しい土地で味わえるのが楽しい。

 もちろん勢力に関係ないクエストも用意されている。見てもらいたいのはロボットの「パール」が依頼してくる「殺人事件の捜査」だ。やはり「Far Harbor」は探偵要素、ミステリー要素が強いDLCといえるだろう。

 ファーハーバーはオールド・ロングフェロー以外の入植地もある。また鉱山や廃墟になった水族館など様々な施設がある。正直に言えば、筆者はまだまだファーハーバーを探索しきれていない。本作は20時間以上楽しめるコンテンツがあるとのことで、島をもっともっと探索したいし、何よりもメインストーリーがどう展開していくかが楽しみだ。

 どの勢力に肩入れするかで展開は大きく変わるし、“本土”の勢力に所属していることを明かすという選択肢もある。一体どんな物語が展開していくのか、ワクワクしている。この「物語が膨らんでいく感じ」こそが「Fallout 4」の楽しみであり、「Far Harbor」は再びその感触が味わえるDLCだ。「まだ旅していない新しい土地がある」という事実は「Fallout 4」ファンにはたまらなく魅力的なポイントだろう。ぜひこの新しい冒険に飛び込んで欲しい。

【Far Harbor】
様々な新種の敵も登場する
霧に包まれ危険な生物が潜むファーハーバー