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「LoL」日本最強チームを決める「LJL2016 Spring split」が開幕!
初出場2チームの戦い振りは如何に!? 6チームの激闘を濃密レポート
(2016/1/19 00:00)
MOBAタイトル「League of Legends」(以下LoL)の国内プロリーグ「LJL 2016」が1月17日、開幕した。
LJLは、2014年にライアットゲームズ公認の国内リーグとしてスタート。今年で3度目の開幕となる。今回より、ライアットゲームズの公式大会となり、1月から3月まで行われる「SPRING SPLIT」と、5月から8月にかけて実施される「SUMMER SPLIT」からなる総当りのリーグ戦。参加チームは全6チームで、下位リーグとして「Challenger Series」が設置され、各SPLITごとに下位2チーム、上位2チームによる入れ替え戦が発生する。
今回の開幕戦は、全12試合に及ぶSPRING SPLITの初戦であり、SPRING SPLITを制したチームには、国際大会「IWCI」(International Wild Card Invitational)への出場権が与えられる。本記事では、当日行われた試合の模様を中心にレポートをお届けする。
なお、同日にメディア向けに発表された「LoL」クローズドβテスト開始に関する情報については、別記事でお伝えしているので、合わせて参照いただきたい。
クローズドβの実施を告知、会場は立ち見も出る盛況に
会場となった秋葉原UDX アキバ・スクエアには開場前より数百人規模の来場者が詰めかけ、試合開始直前にもなると、会場内に用意された約400席はほぼ満席となり、立ち見も出ていた。
ライアットゲームズは2014年に日本オフィスを設置しており、海外サーバー(主に北米サーバー)を中心にプレイしていた国内ユーザーからは、長らく日本サーバーの開設が待望されていた。2015年後半よりローカライズ関連のムービーが公開され始め、国内展開の本格化に期待が高まっている。
既報の通り、国内展開の本格化というタイミングで開幕したリーグの初戦ということで、会場ではLoLの日本展開に対するLoLプレーヤーの期待度の高さを感じさせる、来場者の熱気が感じられた。
試合形式は2勝先取のBO3(Best Of 3)。試合前には特定のチャンピオンの使用を禁じる「BAN」と、実際に選手が使用するチャンピオンを選択する「Pick」が行なわれる。実際に選手がゲームをプレイするのはこの後だが、BANは相手チームの選手が得意なチャンピオンや、ゲームにいると対処が厄介なチャンピオンを使えなくする非常に重要なフェーズである。両チームの心理的な駆け引きもあり、見応えは十分。この時点ですでに試合は始まっていると言っても過言ではない。
来場者としてもそのあたりは重々承知しており、BANの結果を見て「当然あのチャンピオンは排除されるだろう」「このチャンピオンをBANしたのは意外」といった声が聞かれた。
また、実況を担当するeyes氏と解説のRevol氏は、BAN/Pickはもちろん、インゲームにおけるチーム全体の動きや個々のチャンピオンの挙動、購入しているアイテムなどを見て、両チームの戦術意図などを分かりやすく話している。実況と解説の内容は、チャンピオンのスキルや性能、アイテム、中立モンスターなど、LoLのプレイングに関わる基礎的な知識があれば理解できるものなので、LoLの知識があった方がより楽しめるのは間違いない。
ただ、最低限「何をしているのか」「何が起こっているのか」だけでも理解できれば、試合内容のレベルの高さを感じられるだろう。eスポーツ観戦を楽しむにあたり、観戦中のスポーツについて、必ずしも詳細にルールを知っている必要がないのは、一般的なスポーツ観戦と同様である。
直接観戦、ネット観戦問わず、多くの人々がeスポーツの試合を観戦する動機は「プロプレーヤーのスーパープレイが見たいから」という部分も大きいのではないだろうか。開幕戦の会場でも、スーパープレイが飛び出した際には歓声とともに自然に拍手が巻き起こっていた。
7th heavenとUnsold Stuff Gaming(USG)の初対戦。鍵はTahm Kench
さて第一試合は、古参チーム「7th heaven」(以下7h)と新規参戦チーム「Unsold Stuff Gaming」(以下USG)のマッチアップ。USGにはかつて7hに所属していたClockday選手やEnty選手、元CROOZ Rascal JesterのapaMEN選手が所属しており、新規のチームながら一線級の選手が集まっている。
1戦目は序盤より7hが3レーンすべてのファーストタワーを取り、試合展開を有利に運んでいたものの、中盤の集団戦をUSGが制したところで形勢が逆転。Dragonバフの差からUSGが徐々にリードを取り、apaMEN選手のTahm Kenchが壁となって7hの遠距離スキルを潰し、そのまま本陣へ押しかける形で1戦目を先取した。
2戦目では前試合で鍵となったTahm Kenchを7hのEvi選手がPick。USGは序盤の集団戦で4キルとDragonを取り、有利に試合を展開していたが、中盤にBaron前の集団戦で敗北。形勢が一気に7hへ傾き、MidとTopのインヒビターを押し切って1勝を取り返した。
3戦目は中盤まで大きな動きはなし。マッチアップの差でEvi選手のTahm Kenchがファーストブラッドを取ると流れが7hに傾き、DragonやBaronを取得。25分頃には雌雄がほぼ決し、7hが第一試合を勝利した。
サポートのCCが光ったCROOZ Rascal Jester VS BlackEye
第二試合は「CROOZ Rascal Jester」(以下CRJ)と「BlackEye」(以下BE)の組み合わせ。CRJはオフシーズンの間、Corn選手やHW4NG選手といった韓国出身の選手を迎えて戦力を補強。対するBEには元CRJでTopをつとめたArfoad選手が所属。新規参戦であり、LJL未経験メンバーも多く所属することから、今後の成長が期待されるチームである。
1戦目は序盤、BEがアーリーガンクを試みるも、CRJのCorn選手がThreshのフックを連続で決めてCRJに4キルをもたらした。これを起点として、試合は終始CRJ優勢に進む流れとなった。中盤までキルの数は両チームとも拮抗していたが、Corn選手のファインプレーが決め手となって、CRJが1勝目を掴んでいる。
2戦目はやや変則的な出だし。両チームともTopとBotのメンバーを交代し、さらにジャングラーも加わって、BotとTopのファーストタワーを交換した。序盤から中盤にかけてはCRJが集団戦を制した一方、DragonバフはBEが先取している。中盤からはBE側チャンピオンのコアアイテム完成が遅れ、徐々にゲームがCRJ側に傾き始め、総力戦のないまま、最終的にCRJが押し切る形で2連勝となった。
苛烈なシーソーゲームを繰り広げたDetonatioN Focus MeとRampage
開幕戦、最終試合となる第三試合は「DetonatioN Focus Me」(以下DFM)と「Rampage」(以下RPG)の対戦。2015年のLJLにおいて、グランドファイナルを戦った組み合わせである。
1戦目序盤、RPGのガンクに対するカウンターでDFMが2キル、RPGが1キルをそれぞれ取る。それ以降は中盤まで大きなCS差もつかず、状況は拮抗。26分頃にDragon前での集団戦をDFMが制し、一時はゲームがDFMへ傾いたが、その後、RPGのPaz選手が操るFioraが各個撃破し押し返した。終盤に発生した集団戦をDFMが制すと、そのままMidを貫通してDFMが1戦目を先取した。
2戦目は開始2分でMidのCeros選手がファーストブラッドを奪い、勢いをつける。Botの集団戦でRPGが2キルを取り、一時逆転するも、中盤以降はキルの積み重ねによって形勢がDFMへ徐々に傾き始めた。RPGはネクサスタワーまで攻めこまれた状況から一度押し返したものの、集団戦でDFM側のキャリーを倒しきれず、DFMの2連勝となった。
プロの試合の見どころは、決断と意思疎通の速さから生まれる“スーパーチームプレイ”
今回の開幕戦を、最初から最後まで一通りの試合を観戦して感じたのは、やはり古参のチームになればなるほど、一瞬の決断と、それに反応する速度が速いという点だ。コンマ数秒の差が試合の明暗を分けることも珍しくない「LoL」において、狙いにくくなってしまったターゲットを誰に切り替えるのか、そもそも仕掛けるべきか、引くべきかといった決断をいかに速く行なうかは、ゲームを有利に進めるうえで非常に重要な要素である。プロとして壇上に上がっている選手たちは、その決断が尋常でなく速い。
筆者も含めて一般プレーヤーがやってしまいがちなことの1つは「もう少しでキルが取れる」といった局面で、無謀な判断をしてカウンターを受け、逆にキルを取られてしまうことだ。だがプロプレーヤーの場合は、「無謀」と判断するまでが速いので、そもそもリスキーな行動に出ない。リスクを取るとしても、それに見合ったリターンが見込まれる場合である。
これが1対1の対決であれば話はシンプルなのだが、「LoL」は5対5のチーム戦なので、メンバー1人1人がそれぞれの置かれた状況で素早い決断を迫られる。とっさの状況を判断し操作に移す対応力と、意思疎通のスムーズさが、日頃の練習の成果、チームとしての練度に繋がるのではないだろうか。
チームとしての決断力を軸として考えると、長く活動しているチームに一日の長があるのは明白なので、Round 1の結果は大きく予想を外れるものではなかった。予想が難しかったのはDFMとRPGのマッチアップだったが、結果としてはDFMのストレート勝ちに終わっている。ただ、試合内容は非常にハイレベルで、ひりひりするような緊張が伝わってくる、素晴らしい試合だったので、LJLのYouTubeチャンネルなり、Twitchのタイムシフトなりで是非実際に観戦してほしい。
Round 1は初回にしてLJL最高峰の2チームがいきなり戦う組み合わせとなったが、特にDFMの勝ち方には決断の速さや常に変化していく状況への対応力に圧倒的なものを感じた。それはスキルも装備も整っていない序盤から中盤、特に序盤の立ち回りに現われている。
決定的だったのは2戦目の開始2分30秒、RPGのSupport、Dara選手のThreshがMidをガンクした際、それに対応してスワップしていたDFMのJungler、Top、SupportがMidに合流し、瞬く間に2対4の状況を作り出した展開を目にしたときだ。これはMidのCeros選手が第1戦でも活躍したエースであること、またBotにThreshがいないことからMidを狙いに来ることをある程度予想してMidに寄っておくという判断が働いた結果だと考えられるが、ここまでの対応はこの日のほかの試合では見られなかった。
もちろん先々のことはわからないが、筆者には現時点で依然DFMが優勝に最も近い位置にいるように感じられた。Round 2以降、各チームがDFMに対してどのような策を講じるのかは、見どころの1つかもしれない。
SPRING SPLITのRound 2以降Round 10までの試合は、今回のように同日に6チームすべての対戦を行なう形式ではなく、日をずらして複数の日程で行なわれる。正確な開催日時と対戦チームの組み合わせは、LJL公式Webサイトのスケジュールから確認可能だ。
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