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PS4「セバスチャン・ローブ ラリーEVO」インプレッション
“伝説のラリードライバー”が監修するリアルラリーは、ラリーの醍醐味がたっぷり
(2016/1/14 14:00)
3月17日発売予定のプレイステーション 4用ラリーレーシングゲーム、「セバスチャン・ローブ ラリーEVO」のインプレッションをお届けしよう。開発は、「MotoGP」シリーズなどレーシングタイトルを多数手がけるイタリアのデベロッパーMilestone、販売はインターグローとなる。
本作は、世界ラリー選手権(WRC)のシリーズ9連覇を成し遂げ“伝説のラリードライバー”となったセバスチャン・ローブ選手が監修する本格ラリー・ゲーム。世界各国のラリーコースを収録、ラリーカーも50車種以上が登場するほか、なによりも、セバスチャン・ローブ氏の監修を元にしたラリー体験、“ラリー・ドライビング・エクスペリエンス”を重視したという、オンリーワンとも言えるタイトルとなっている。その魅力をお伝えしよう。
なお、本作は予約を受け付け中で、予約特典には「新コース&新車種」のDLCが用意されている。
ナビを頼りにコースを制す! ラリーならではの面白さがここにある
本作でプレイできるモードは大きく分けると4つある。まず自分のラリーチームを作り、新進気鋭のルーキードライバーとしてレースに挑んでいく「キャリアモード」だ。
小規模なレースから始まる様々なレースイベントに挑み、獲得したクレジットで新たな車を手に入れ、それを繰り返しつつ世界へと自分のラリーチームの名声を高めていく。積み上げたキャリアの最後に待つのは“生ける伝説”セバスチャン・ローブへの挑戦だ。
ラリーチームはチーム名はもとより、ドライバーの名前や出身、ナビゲーターであるコ・ドライバーの名前や出身、レーシングスーツやヘルメットのスタイル、チーム名のフォントやカラーなど、詳細な設定が可能。それらは車にもペイントされるなど、ゲーム中にしっかりと反映される。
基本的な走行の仕方やナビゲートのチュートリアルを経て、まずは試しにとスウェーデンのラリーコースを選択して、最初のレースへ! 雪深い森を駆けていく、いかにもラリーならではのコースを選択してみた。
ラリーコースは、スタートからゴールまでを走破していく1本の長いルートであることがほとんど。ループスタイルのサーキットとは異なり、移り変わる景色、地形、路面、それらに“楽しい悪戦苦闘”をしつつ制していくものだ。そのためコースというかルート全体は非常に大きく長い。ゲーム的にはそれを丸ごと読み込むのでデータ量が多くなるのだが、本作のレース前の読み込みはそれほど長くもなく快適だ。
うっそうと生い茂る雪深い森を疾走していくと、コ・ドライバーからのナビが音声と画面のマークとで伝えられる。例えば、左になだらかに抜けたあとに右に少しのコーナーが続くとすると「左6アンド右プラス40」といった音声であり、画面にも傾斜角の強さを緑、黄色、オレンジ、赤(赤に近づくほど急角度)という見せ方で伝えられる。
なにしろ、長丁場のルートになるラリーではコースの全体表示などはされない。コ・ドライバーからのナビが頼りであり、それに対応していくことがラリーの醍醐味だ。不慣れなうちはナビを理解し反応するのは大変なのだが、次第に順応できるようになる。そうなってからは、次々に問題をリズミカルに解いていくような、ナビされたコーナーとルートに対して、自分がどう応えるのか、そういう独特な面白さ、心地よい緊張感が現われはじめる。
舗装されたサーキットを走るものとは違い、ラリーはアスファルト舗装された道を走ることもあれば、自然の中に作られた荒れた道を走ることも。それらは道幅が狭く、特に夕暮れだと見通しもきかない場所だってある。プレイし始めの筆者は、タイムアタックどころか、無事に走破するだけでも一苦労だ。
言うなれば“手強い”。スムーズに走り抜けることもままならず、道を外れて乗り上げ、車体が跳ね、コントローラーからは常に振動が伝わってくる。ひどいコースアウトをしたときにはさすがにL1ボタンでの「リワインド」という数秒前に巻き戻して走れる機能も使いつつ、なんとか走っていく。そのプレイはもう最初はひどいものだ。
だが、それでも走り続けていくと次第に慣れていくものだ。ナビのルート情報に対して「これぐらいか!?」というスピードと進入角で入り、キレイに抜けたときの「いいぞ!」という高揚感。荒れた路面なだけに、決して機敏には応えてくれない車体をコントロールし、重い車体をサイドブレーキで揺すり、コーナーをくぐるように抜けた時の快感。
“コースとドライバーの格闘”のようなもの。次々に迫ってくるコーナーとの戦い。車体が跳ね、コントロールもままらないような難問を、押さえつけるように制していく。手強い道だからこそ、それに勝った時の気持ち良さが大きくなる。ラリーならではの魅力がここにある。
……とまぁ、そんな風に語っても、まだ本インプレッションのためにプレイし始めたばかりな筆者が、そんなに上手く走れるわけもなく。全長5kmほどのルートを走るだけでも、派手なクラッシュを繰り返し車体はボロボロだ。いわゆるダメージ表現も、手強いコースに挑むラリーには欠かせないと思うが、そこも良く再現されている。フロントガラスのひびから始まり、樹にぶつかった衝撃でアライメントが狂ったのか、蛇行運転まで起こり、ゴールしたときには右前輪のタイヤが無くなっていた始末。
ライブ感溢れるアクシデントとの格闘もまた、ラリーならではの醍醐味というイメージがあるが、本作ではそこもしっかりと味わえる。
世界各国のラリーコースを収録
「セバスチャン・ローブ・エクスペリエンス」で伝説とシンクロし追体験していく
続いてプレイしたのは、本作ならではのモード。生ける伝説とされるラリードライバー、セバスチャン・ローブのキャリアを追体験できる「セバスチャン・ローブ・エクスペリエンス」だ。
このモードでは、1998年のキャリアの始まりから、2013年のPIKES PEAK(パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム)までを収録。セバスチャン・ローブ氏へのインタビュー映像が豊富に収録されており、その話題に上がったターニングポイントと言える各種のレースやシチュエーションに、プレーヤーが実際に挑んでいくという形式になっている。
これが良く出来ている。セバスチャン・ローブ氏の吹き替えはカーマニアとして知られる声優の三木眞一郎氏が行なっているのだが、その話の内容は濃密。セバスチャン・ローブ氏が過去に挑んだレース、取り巻くシチュエーション、それに対して彼がどのように考え、実践して勝利したのかが、たっぷりと聞ける。専門の映像コンテンツ顔負けのクオリティだ。
そして、それを聞いた上で、プレーヤーは自分の手でセバスチャン・ローブ氏が挑んだコースにチャレンジする。そこにはセバスチャン・ローブ氏とシンクロできるものがある。
例えば、筆者は2013年のパイクス・ピークへの挑戦をプレイしてみたが、通称“雲へ向かうレース”とされるもので、このコースに対してセバスチャン・ローブ氏は映像で「登っていくなか、先が見えなくなったら、その先には何かがある」というように語っている。その視聴後に自分が走れば、「あぁ、このことか!」と感じ取れる、深く理解できるというわけだ。
もちろんセバスチャン・ローブ氏は、そのコースの特徴に対してどのように意識するべきか、走るべきか、という話もしてくれる。それを自分の手で実践していくというモードになっており、まさに“追体験”を楽しめるものになっている。
ここにだけあるもの。ドライバー体験重視に優れたラリー体験を味わえるタイトル
収録されている全長30km近いパイクス・ピークをはじめ、各国の主要コース、ラリークロスもあって、コースの全長は300km以上に及ぶという。コース脇で観戦するオーディエンス、走るほどに移り変わっていく自然の景色、その壮大さ、広さ、過酷さ、爽快感。自然の中に設けられたダイナミックなルートは、走る時間帯によってその姿を変貌させる。
いずれもクオリティが高く、そのハイクオリティなデータの積み重ねが、ラリーの醍醐味を作り出しているのだが、なにより感じたのは“その手触りの良さ”だ。いわゆる体験、ユーザーエクスペリエンスであり、ラリーが持つ“コースとの格闘”に気持ちよく挑める。
“ドライバーの実体験を追求した”としている本作のフィーリングの良さは、なかなか文章でお伝えするのが難しいのだが、プレイすれば“心地よさ”や“挑み続けたくなる没入感”として感じ取れるはず。
なお、今回はプレイできていないものの、本作には最大16人参加のオンラインモードもあるほか、予約特典をはじめとしたDLCの提供も予定されている。レーシングファンの方にとっては期待の1作だろう。
Sebastien Loeb Rally EVO (C) 2016 Published and Developed by Milestone S.r.l. All rights reserved. Licensed and published in Japan by Intergrow Inc. All manufacturers, accessory suppliers, names, tracks, sponsors, brands and associated imagery featured in this game are trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. Red Bull R Marks are licensed by Red Bull GmbH/Austria. Trademarks, design patents and copyrights are used with the approval of PIKES PEAK INTERNATIONAL HILL CLIMB.