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「勇者ヤマダくん」、配信は2016年上旬に決定

「公式飲み会」での配信ならず! 木村祥朗氏が「moon」との繋がりも言及

12月23日 開催

場所:新宿ロフトプラスワン

当日の抽選会で配られたスマホケースとICカードケース。周りの「UFO -A day in the life-」の主人公フィギュアは、観客の自作。こちらも抽選会の賞品となった

 Onion Gamesは12月23日、Android/iOS用RPG「勇者ヤマダくん」のオフラインイベント「公式飲み会」を新宿ロフトプラスワンで開催した。

 「勇者ヤマダくん」は、Onion Gamesの木村祥朗氏がディレクターを務めるRPGで、5×5マスで仕切られたダンジョンを一筆書きの要領でプレイしていくというもの。「公式飲み会」とはゲーム関連のイベントでは珍しいが、木村氏が北海道で試遊会を開いた際、参加者と飲み会をしたところ3次会へ流れるまで盛り上がったため、それでは公式でやってしまおうということで開催された。

 イベント中はフードメニューから注文も可能で、アルコールも楽しみつつ、リラックスしながら木村氏やOnion Gamesスタッフらのトークを楽しむイベントとなった。

 なお「勇者ヤマダくん」については、東京での試遊会のレポートで詳しく内容を紹介しているので、参考にしていただきたい。

バグ発覚で配信ならず! 特別ダンジョンも披露

 壇上に上がったのは、木村氏をはじめ、開発スタッフからドット絵職人の倉島一幸氏、ダンジョン職人の池田トム氏、背景デザイナーの田崎リョウ氏、リードプログラマーの大久保タクマ氏、そしてゲストに松嶋初音さん。司会はゲームライターのローリング内沢氏が務めた。

Onion Games代表の木村祥朗氏
全キャラクターを手掛けるドット絵職人の倉島一幸氏。すでにベロベロの状態での登壇で、本作でのこだわりは「乳首の色」と言及
ダンジョン職人の池田トム氏。ダンジョンづくりに行き詰まったこともあったが、「人間の弱さ」をテーマしたテレビ番組を見てからは広がりが出たという
背景デザイナーの田崎リョウ氏。苦労点は、倉島氏のドット絵がゆるいため、あわせるのが大変だったこと
リードプログラマーの大久保タクマ氏。できあがったステージを1番最初に遊ぶが、それが「むちゃくちゃ楽しい」とのこと。デバッグ中の大久保氏の奇声はフロアに響き渡るという
ゲストの松嶋初音さん。「グレムリン」のセーターがキュート
司会を務めたゲームライターのローリング内沢氏

会場で配られた「ヒミツの呪文」で遊べるダンジョンが披露された。池田氏がイベント前日に作り上げたばかりで、かなり難易度高めのものに仕上がっているようだ

 今回はタイミングがあえば、「勇者ヤマダくん」がその場で配信開始される可能性もあるとアナウンスされていたのだが、残念ながらこの日の配信とはならなかった。

 木村氏によれば、事前にAndroidとiOSともに申請は通っていたのだが、準備中の段階でバグが発覚し、それを直すため年内の配信を見送ったのだという。無理をすればAndroid版の先行配信も可能だったというが、せっかくなら両OSを揃えて、年明けに改めて配信するという決断を下したそうだ。これにより、正式な配信予定日は、2016年1月上旬と発表された。

 現場での配信は見送られたが、イベントでは「勇者ヤマダくん」の苦労話や試遊、また新要素が紹介されていった。

 中でも大きなトピックスとして発表されたのが、「ヒミツの呪文」システム。「ヒミツの呪文」は特定の文字列を入力することで特別なダンジョンが遊べるようになるなど様々な特典がもらえるというシステムで、「ヒミツの呪文」を友人同士で教え合ったり、Onion Gamesからプレゼントとして公開されることもある。

 この日の来場者にこの「ヒミツの呪文」が書かれたステッカーが配られており、ゲーム内に入力することで特別なダンジョンが遊べるようになっている。会場の模様はニコニコ生放送でも中継されていたが、「来場者だけのお楽しみ」という木村氏の意向により今回の「ヒミツの呪文」の内容は非公開に。代わりにどんなダンジョンが遊べるかをその場でデモプレイすることとなった。

 今回プレイされたのは、「アスパラ大農場」というダンジョン。一見なんの変哲もないダンジョンだが、歩みを進めると強力な「アスパラ」が土から生えてきて行く手を阻んでくるものとなっていた。この「アスパラ」はOnion Gamesが開発中の「Million Onion Hotel」でも登場しているキャラクターで、そもそもが強いほか、残りHP1で「ふんばる」など、かなりやっかいな相手。

 スタッフを代表してプレイした大久保氏もかなり苦戦しており、ヒーヒー言いながらプレイを進めていた。プレイ中はまったく余裕がなかったが、最後の大ボスに対して残りHP1になったところでギリギリ撃破に成功し、来場者からこの日1番の喝采を浴びていた。

「勇者ヤマダくん」は「moon」に負けてない自信作

窮地に立たされるヤマダくん。ここから「禁断の愛」の物語がはじまるという
THELONIOUS MONKEESの谷口博史氏
同じくTHELONIOUS MONKEESの安達昌宣氏

 会場でのトークでは、「勇者ヤマダくん」のコンセプトや苦労話、また「moon」との繋がりについても言及があった。

 「勇者ヤマダくん」は次々とダンジョンをクリアしていくタイプのRPGとなっているが、単純にクリアとステータスの強化を目指すだけでなく、主人公の「ヤマダ」と女子高生「マリアちゃん」の“禁断の愛”の物語が根底にある。

 そのためストーリーを追ってプレイを進めることが可能であり、その過程では「ご近所の変な人」がやってきて、冒険に関わったり関わらなかったりする。「ご近所の変な人」にはターバンを被ったインド人風の男性、ムチを持ったSM嬢風の女性(ムチで打たれてヤマダくんが喜ぶ)など、木村氏らしいクセのある人物が満載な様子で、こちらの人物たちとのやり取りも楽しみだ。なお物語については、「終わりがある」という。

 また会場には、「moon」のサウンドトラックを担当したTHELONIOUS MONKEESの谷口博史氏と安達昌宣氏がゲストとして登場した。RPGにおける「勇者」を残虐な人物として描き、いまだに根強いファンを持つ「moon」は、ゲームデザインを担当した木村氏の代表作としても知られている。

 谷口氏は「Million Onion Hotel」で、安達氏は「王様物語」などと木村氏と長い付き合いがあるが、この日話題に上がったのは登場人物たちがしゃべる「へなちょこ語」について。

 言語のようで言語でない言葉をしゃべるのが木村氏タイトルの特徴であるが、谷口氏と安達氏はこの根幹を作っている人物である。安達氏は「様々な音源を厳選し、素材をピックアップする」タイプ、谷口氏は「音源も探すが、自分の声もサンプリングする」タイプと、作り方は異なっていたという。

 「勇者ヤマダくん」については2人は「へなちょこ語」を作っていないが、担当スタッフが行き詰まることがあると安達氏が残したメモや実際の制作方法を木村氏がアドバイスすることで、なんとか前進している、という繋がりもある。当の安達氏は、「勇者ヤマダくん」におけるへなちょこ語を聞いて、「感情によって口調が変わる」と進化している部分に感心していた。

 なお会場では、「勇者ヤマダくん」に、今後THELONIOUS MONKEESの楽曲が提供されることも発表された。

 木村氏は「moon」以降、「moon」の人と言われるのが嫌で、「moon」の話をすることをあえて避けていたというが、最近では「それもいいな」と考えるようになったという。

 以降の作品も「moon」をゲームとして乗り越えたいという思いがあったし、「勇者ヤマダくん」も「moon」から続く好きな世界観を受け継いている。それであれば、ゲームが広く伝わるという意味でも関係者でできることをやった方が「ハッピーかなと思う」と木村氏は語った。付け加えて、「moon」は木村氏としても「会心の仕事」だが、「勇者ヤマダくん」も「負けてない」と自信も覗かせた。

 なお配信は2016年1月上旬ともうすぐであるが、会場でプレイした松嶋初音さんは「5×5マスとは思えないほど奥深い。小ネタもこだわりもあって、何度やっても飽きが来ない。早くリリースしてほしい」と感想を述べており、試遊版を非常に楽しんだ様子だった。木村氏は「いつもは発売/配信日が近づくとドキドキするが、今回は楽しみ。今日見た感じを楽しみにしておいてください」と来場者に呼びかけていた。

 またOnion Gamesのメールマガジン「のぞきみクラブ」に登録すると、各作品の最新情報が知らされるほか、「勇者ヤマダくん」配信日には特典「勇者ヤマダの発売日記念福袋スペシャル4点セット」も受けられる。ご興味あればぜひ登録していただきたい。

「勇者ヤマダの発売日記念福袋スペシャル4点セット」概要

36 才妄想壁紙・冬(PC・スマホ用壁紙)
珍客図鑑(キャラクター図鑑)
珍曲アルバムA面(ミニサントラ)
ヒミツの呪文(ゲーム内で入れるといいことがあるよ!)

一定の装備を揃えると、ボーナスも発生。このような感じで様々な小ネタが仕込まれている

(安田俊亮)