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Onion Gamesの「勇者ヤマダくん」、プライベート東京試遊会を開催

独特すぎるゲームを体験! 「Million Onion Hotel」の配信日も木村氏が明言

8月22日 開催

 Onion Gamesは8月22日、新作Android/iOS用RPG「勇者ヤマダくん」のプライベート東京試遊会を東京の新宿8bit cafeにて開催した。

 「勇者ヤマダくん」は、大手ゲーム会社に勤務するサラリーマン「ヤマダくん」(36歳)を主人公としたRPG。現実世界とヤマダくんの開発するゲーム世界の両方が交互に展開されるストーリーと、「一筆書き」をモチーフとしたダンジョンが特徴となる。

 Onion Gamesは、プレイステーション用ソフト「moon」のゲームデザインを務めた木村祥朗氏が代表を務めるゲーム開発会社。「勇者ヤマダくん」では木村氏がディレクションを務め、ドット絵デザインに同じく「moon」の倉島一幸氏が参加しており、当時の開発会社「ラブデリック」をご存知の方は特にピンとくるタイトルとなっている。

 「勇者ヤマダくん」については7月に京都で開催されたインディーズゲームイベント「BitSummit」にて試遊機が出展されているが、今回東京で初めて触れる機会となったので、こちらの模様をお伝えしたい。

【プロモーションムービー】
【8bit cafe】
80年代サブカルチャーバーである「8bit cafe」は、レトロゲーム愛に溢れた装飾で、貴重な各種グッズが所狭しと並べられている。本作にぴったりの雰囲気だ
Onion Games代表取締役社長であり、「勇者ヤマダくん」ディレクターの木村祥朗氏
「勇者ヤマダくん」ドット絵デザイン担当の倉島一幸氏
「勇者ヤマダくん」プロデューサーを務めるDMM.com POWERCHORD STUDIOの岡宮道生氏。以上三氏は会場にて簡単なトークショウを行なった

妄想と現実が交差する36歳オジサマの「一筆書き」RPG!

左でパンツ一丁なのがヤマダくん。開発中のところを綾小路会長(右のじいさん)に踏み込まれた格好
ヤマダくん開発のゲーム。ゲーム内ゲームという設定だけに留まらず、とてもしっかり作りこまれている

 今回プレイできたのは、「BitSummit」で出展されていたバージョン。タイトル画面が始まると、アパートの廊下で焼き鳥とワンカップ酒を持って赤ら顔のヤマダくんが登場すると共に、「俺の体はポンコツで~♪」、「時代に逆行~♪ 時代に逆行~♪ してい~ます~♪」などという歌詞の、歌手・カオリーニョ藤原さんによるボサノバ調の楽曲「逆行人生」が流れる。

 初っ端から只者ではない雰囲気があるが、プレイをスタートしてもこの空気は継続。ヤマダくんが「会社をサボってゲーム開発するかー」とつぶやくと、服を脱ぎ捨ててパンツ一丁でPCへ向かう。

 するとそこへ黒服の集団と「株式会社帝国ゲームス」の綾小路会長が現われ、ヤマダくんはクビを言い渡される。突然無職となったヤマダくんはやるせない怒りをバネに、自身を主人公とするゲーム(魔王は綾小路会長)を開発する。プレーヤーがそのゲームをクリアすることで、ヤマダくん自身のゲーム開発レベルが上がっていき、さらなるゲームが開発される……という流れだ。なお一連のやり取りは、倉島氏独特のドット絵によるアニメーションで進行する。

 「勇者ヤマダくん」のプレイの中心となるのは、ヤマダくんが開発するゲーム世界。このゲームは「一筆書き」を使ってクリアするダンジョンとなっていて、5×5マス上にヤマダくんとゴール、ほかにアイテムや敵が配置されており、プレーヤーはヤマダくんからスタートして一筆書きでゴールを描く操作を行なう。

 一筆書きが成功するとヤマダくんがその線に沿って歩みを進め、途中でアイテムがあれば取得し、敵と遭遇すれば戦闘する。取得したアイテムはいつでも使用可能で、ヤマダくんの体力を回復したり、画面全体にダメージを与えるといったことができる。アイテムは1度使用すると複数ターン使用不可となるが、戦況に大きく影響を与えるため、アイテムの選択と使用タイミングは重要だ。

 ダンジョンは5×5マスのみなので複雑さはないが、敵の配置や進行を妨げる壁の作り方、その他ギミックを様々に用意することで、1つ1つが違うプレイ感となっているのが面白い。今回のバージョンでは5つほどのステージだけだったが、現在は「数えきれないほど」ステージが作られているそうで、そのバリエーションは今から期待しておきたい。

 なおヤマダくんであるが、製品版ではご近所の女子高生(マリアちゃん、18歳)との「ピュアラブ」も展開されるという。今回プレイした時点ではこの部分はベールに包まれていたので配信を楽しみに待ちたいが、コミカルだがどこか哀しさを背負ったヤマダくんの恋愛というだけで、すでに泣ける感じがあるのは注目しておきたい。

全体的にコミカルを通り越して独特。「ラブデリック」ファンは必見の内容

「Million Onion Hotel」配信予定は11月に!

 さて気になる本作の配信日であるが、木村氏によればゲーム的には完成度は高まっているものの、現在調整中で、「特にここ」という配信日は決めていないという。「いきなり9月に出る、ということはない」が、配信日が決定次第Onion Gamesのメールマガジン「のぞきみクラブ」にて発表される予定。

 さらに、木村氏からはOnion Gamesのもう1つのiOS用タイトル「Million Onion Hotel」についても言及があった。「Million Onion Hotel」は現在、11月の配信を目指して開発中であるという。これは次回「IGF(Independent Games Festival)」の応募締め切りが10月に迫っており、締め切りまでに完成を間に合わせることを考えているからだという。現在は週末を使って「Million Onion Hotel」の開発を進めており、新要素も含めて「ギリギリ」作りきれそうなスケジュールで進行中だそうだ。

 これらの話を総合的に捉えれば、「Million Onion Hotel」に「勇者ヤマダくん」と、Onion Gamesならではとしか言いようのないタイトルが、順調に進行すれば今年中に2タイトルとも遊べそうだ。どちらのタイトルについても、配信を楽しみに待っておきたい。

【会場の様子】
試遊会は25人限定ということで、木村氏とのざっくばらんとした会話も可能だった。ちなみに会場では、「moon」のソフト、公式本を持ち込んで、木村氏にサインをねだる人が多数続出。根強い人気が感じられた

(安田俊亮)