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スウェーデン生まれの毛糸キャラYarnyの冒険「UNRAVEL」
EAが放つ隠れた名作、その面白さをGamescomで体験
(2015/8/10 11:57)
米Electronic Arts(EA)のブースには、スウェーデンの小規模なゲームスタジオColdwood Interactiveが開発した、PS4/Xbox One/Windows用横スクロールのアクションパズルゲーム「UNRAVEL」が初めて一般向けにプレイアブル出展されていた。EAらしからぬ作品だが、試遊してみると、第一印象よりもずっとシリアスな世界観と奥深いゲーム性にすっかり引き込まれてしまったので、ぜひ紹介したい。
毛糸のキャラクターYarnyが紡いでいく、人々の記憶
ゲームの冒頭は小さな家に一人暮らしをしている老婦人が、昔を懐かしんでいるシーンから始まる。老婦人はかごに入った毛糸玉を持って階段を上がっていくが、その時赤い毛糸玉がコロンと床に転がり落ちる。この毛糸玉から生まれたのが、本作の主人公Yarnyだ。
アナログスティックで歩みを進めていくが、ただ前進するだけではなく、周りをキョロキョロ見回したり、足を止めてチョウチョを捕まえようとしたり、Yarnyはとても表情豊かな動きでプレーヤーを楽しませてくれる。庭には花壇やバケツが置いてあり、これを使って先に進んでいく。
庭をしばらく歩いていると、背後に赤ちゃんのような人影が現れる。見ているうちにそれは輝く光になってYarnyの手に吸い込まれる。この赤ちゃんは、老婦人の家に飾られている白黒の古い写真に写っていた過去の記憶のようだ。
庭を超えると、画面が暗転し、風景は雨のそぼ降る陰気な山道に変わる。Yarnyも若干心細そうに体を丸めて進んでいく。ここでも、時折幻のような人物像が見える。それは、倒れた人物を運ぶ2人の同僚だったり、黄色い防護服で全身を包んだ人物の姿だったりする。
どうやら本作は平和な子供向けの世界ではなく、なにかとてつもなくシリアスで悲劇的な背景が待っているではないかと、ぼんやり感じさせるシーンだ。その後雨がひどくなり、やがて倒木をきっかけに土砂崩れが発生する。試遊時間はそのあたりで終了し、土砂崩れを切り抜けた後どうなるのかは謎のまま残ってしまった。
パズルとアクションが程よくミックスした難易度
本作のギミックの中心となるのがYarnyの体を作っている赤い毛糸だ。Yarnyの背後には1本毛糸がずっとつながっている。これは命綱の意味もあり、例えば高い場所でも毛糸に捕まって下りれば安全に降りられる。
ほかにも高い場所に毛糸を投げてよじ登ったり、毛糸をブランコのようにゆすって大きく移動したり、毛糸の両端を結び付けて橋のように使ったり、トランポリンのように使って大ジャンプしたりもできる。
ただ、使っているとだんだんYarnyの体に巻かれていた毛糸が少なくなってくる。下限を超えると、それ以上毛糸が伸びずに進めなくなる。こんな時にはたいてい近くに毛糸の補充地点があるので、それを探し出して毛糸を補充すれば、そこからまたしばらくの間は進むことができる。
毛糸は1つのステージの中でも何回もなくなり、補充しなければ先に進めない。補充地点はわかりにくい場所にあったり、たどり着くのにコツが必要だったりとこれもまたパズルの要素になっている。
チュートリアルの間はそうでもなかったが、山の中の本格的なステージに突入すると、かなり死にまくる。ドラム缶が転がってきて下敷きになったり、毛糸を投げるタイミングを誤り、落下死したり、怪しく発行する黄緑色の液体に落ちて溶けたり、深い水たまりでおぼれたりと、Yarnyの冒険は死が隣り合わせの苦難の連続だ。だが操作が難しすぎるわけでもなく、パズルもとりあえず試遊した範囲では画面を見ていれば、たぶんあそこに逃げるんだろうなと分かるようになっている。解き方がわかってしまえば、後はタイミングさえミスらなければ超えられる適度な難易度だ。
かわいらしさの中に、どこか不気味さが潜んでいるようなイラストやストーリーはヨーロッパの得意とするところだ。「UNRAVEL」にもただかわいいだけではなく、非力なYarnyが必死で進む先にある巨大な謎を思うと、胸が締め付けられるような悲壮感を感じる。とても抒情的だが少し不気味さもある、マザー・グースのような世界観が好きなら、おそらく期待を裏切ることはないだろう。本作の発売を心待ちにしたい。