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グリー、「Garage Studio」発の新作5タイトルを発表

アプリ開発力の底上げを狙う育成カリキュラム。開発中の一押しタイトルを紹介

3月9日 開催

「Garage Studio」マネージャーの石野和明氏
アプリ開発力の底上げが命題の「Garage Studio」。入門編は部署に関係なく参加できるというのがポイント

 グリーは3月9日、メディア向けイベント「Garage Production Showcase」を開催した。

 「Garage Production Showcase」は、グリーにおけるスマートフォン用ゲームアプリの開発スタジオ「Wright Flyer Studios」で実施している少人数×短期間開発プロジェクト「Garage Studio」をテーマとした発表会。会場では「Garage Studio」プロジェクトのマネージャーを務める石野和明氏より「Garage Studio」の紹介があったほか、開発中の新作5タイトルについてのプレゼンテーションが行なわれた。

 「Garage Studio」は、「Creator Boost Camp」という育成カリキュラムを通して、グリー社内のネイティブアプリ開発力を底上げするために実施されているプロジェクト。「次世代のNative Gameクリエーターを育成する」というテーマのもと実施されており、弊誌でも取り上げた「el」「CubicTour」もその成果の1つだ。

 「Creator Boost Camp」では、「レベル0」から「レベル3」までのカリキュラムがあり、ネイティブアプリ開発の基礎を学べる入門プログラムの「レベル0」では部署に関係なく参加できる。

 「レベル1」から先は選抜メンバーによる参加となり、1カ月という短い期間でゲームエンジンの「Unity」と「Cocos2d-x」をマスターする研修プログラムが組まれる。このプログラムを突破すると、実践研修プログラムとなる「レベル2」以降へと入っていく。

 「レベル2」では、1タイトルを企画し、開発期間6週間で品質を製品レベルまで高め、リリースすることが約束となる。「レベル2」では「レベル1」の突破メンバーが中心となってひとまずのリリースを目指すが、「レベル3」は「レベル2」の卒業生が中心となり、より品質の高いゲームや収益化といったものも視野に入れて開発を進めることが目的となる。

 今回プレゼンされた5タイトルは、「レベル3」のタイトル、もしくは社内全員参加のゲームコンテンスト大会「Mock-1グランプリ」で好評だったものを継続開発したものがラインナップされている。いずれも野心的なタイトルとなっているほか、会場では触れることもできたので、以下ではこちらをお伝えしたい。

【発表スライド】
リリースを前提に期間を決め、そこに向かって製品づくりを行なう

空を旅するライド型シューター「エイミー・ザ・スタリーアーチャー」

 今回ラインナップされたタイトルで最もオススメなのが、シューティングゲーム「エイミー・ザ・スタリーアーチャー」だ。「レベル3」で開発6分の5週目という本作は、画面に登場する敵を弓矢で倒していくタイトルとなる。

 プレーヤーは空をかける射手となり、ライド型のアトラクションのように自動で進むステージの中で敵を倒していき、高得点を目指していく。夜や空、星といったものがテーマとなっており、静かな雰囲気に包まれたBGMやアートワークも特徴だ。

 矢は、画面右下にある「弓矢エリア」をタッチして、離すことで放つ。「弓矢エリア」は画面と1対1で対応しており、撃ちたい場所に対応する部分に触れることでそこを狙うことができる。

 珍しいのは「ライド型」という部分で、これによって現われる敵を倒しても倒さなくてもステージは最後まで進行していく。道中には見つけにくい敵もいるし、撃ち逃しもかなり発生する。1つのステージを何度も繰り返して、プレイを極めて行くことができる。自動進行によるカメラワークも含めて、面白いタイトルとなっている。

浮遊感に加え、シューティングの楽しさもある。参考にしたのはディズニーランドのアトラクションだそうだ

ゆるスピーディな絵合わせキャラゲー「あっ!ふろ」

 新卒の女性開発者が中心となって制作中の「あっ!ふろ」は、「Mock-1グランプリ」を勝ち抜いて開発が継続されているタイトル。謎の生物「アフロ」が無数に登場し、画面上部の「アフロ」と同じ「アフロ」を見つけてタップ操作していくカジュアルゲームとなっている。

 見た目はゆるいのだが「反射神経&動体視力ゲーム」と銘打たれているだけあった内容はかなりスピーディー。画面は次々に遷移するし、1回でも間違えたり、数秒もたつくだけでゲームは終了となる。ちなみに正解した「アフロ」は、図鑑に次々登録されていく。

 各「アフロ」の違いはズバリその髪型で、色にも変化があるほか、形がリボンだったり魚だったり風船だったり、もはや「アフロ」を逸脱した髪型の生物が次々登場する。数秒の画面の中で「アフロ」はくるくる回っていたり背景と同化していたりするので、なかなか難易度は高い。

 ゲームとしてはいわゆる即死系の部類に入るのだが、インパクト抜群の「アフロ」が間抜けかつユーモラスに表現されているので、人気が出そうなタイトルだ。

ラインナップの中で目立ったタイトル。新入社員のセンスが炸裂している

フリックで飛ばして戦うRPG「ドラゴンイーター」

 キャラクターを上方向へのフリックで飛ばし、空中に浮かぶ敵に攻撃していく。ゴミ箱に紙くずを捨てる「Paper Toss」に影響されたという「ドラゴンイーター」は、フリックによるアクションとターン制バトルを組み合わせたRPGだ。

 バトルは単にフリック操作していくだけでなく、左右に吹く風の影響や動く敵の位置関係を考慮して、タイミングや方向を上手く操作しなくてはならない。またキャラクターごとに「精霊」を装備することができ、スキルを発動すると連続攻撃や横1列を攻撃する範囲攻撃などが繰り出せる。

 そこにキャラクターの属性や武器の成長要素なども加わってくる。また敵キャラクターの部位破壊で武器素材がもらえるといった要素もあり、フリック操作による攻略が楽しいタイトルだ。なお本作は「レベル3」で、開発6分の5週目となっている。

フリックによるお手軽バトルが楽しめるタイトル。風の計算や部位破壊といった要素もある

テーマは“虎穴に入らずんば虎児を得ず”「MagSorb」

 開発4分の2周目という「MagSorb」は、“虎穴に入らずんば虎児を得ず”という厳かなテーマが掲げられたタイトルだ。

 どういうタイトルかというと、プレーヤーは生まれたての惑星となり、攻撃してくる他の惑星を「吸収」していくアクションゲームとなっている。プレーヤーの惑星はオーラのようなものに包まれており、この部分で敵惑星に触れることで攻撃できる。敵は弾を発射してくるが、近づかないと攻撃できないという作りだ。

 現時点では上記のコンセプト部分だけが完成しており、アートワークも仮のものとなっている。構想では敵を倒すことで「星」を獲得していき、惑星をプレーヤー好みのビジュアルへと変化させていくことができるという。

敵に近づかないと攻撃できないのがポイント。長い距離をいかに進めるかを競う

独自に成長する光のストラテジー「Lamps」

 青色の光が印象的な「Lamps」は、「Mock-1グランプリ」から開発が継続されているタイトル。内容はリアルタイムストラテジーで、自分のエリアを拡大し、敵の拠点である「King」を倒せば勝利となる。

 本作のステージは丸いドットで埋め尽くされており、自陣の「光」を灯していくとで陣地を広げられる。自陣のドットでは光が生産されていき、光の量はそのまま陣地の力となる。陣地は自動で広がっていくが、プレーヤーは光を1カ所へのタップ操作で集約、スライド操作で拡散が可能となっていて、これらの操作を駆使して敵との陣取り合戦を制していくこととなる。

 本作はまだまだコンセプト段階で、ストラテジー面をどう見せていくか、ゲームをどう説明していくかを詰めているという。光が明滅する画面は見ていて綺麗だし、戦略部分にも新鮮なものを感じられるので、これからが楽しみなタイトルだ。

LEDのような明かりが特徴。ドットの明るさによって強さがわかるというのが新鮮だが、ゲームとしては詰め切れていない段階

(安田俊亮)