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ついに発売日決定! Xbox One「Ori and the Blind Forest」体験レポート
幻想的なビジュアルに濃厚なストーリー性。横スクロールアクションの新境地!
(2015/2/19 11:00)
2014年のE3で発表されて以来、Xboxファンをやきもきさせていたのがアクションアドベンチャーゲーム「Ori and the Blind Forest」だ。2014秋発売予定とされながら、日本でのローンチタイトルには含まれず、ローンチ後の東京ゲームショウの時点でも発売時期はアナウンスされず、いつしか今秋発売も消えてしまっていたタイトルだ。
その「Ori and the Blind Forest」も、ようやく3月11日に発売が決定。Xbox OneとWindows PCの同時発売で、Xbox One版は、Xbox Gamesストアのダウンロード販売、Windows PC版は、ValveのPCゲーム配信サービス「Steam」での独占配信となる。PC版はSteamの実績のみで、Xbox LIVEの実績は獲得できない。「Project Spark」のようにWindowsストアでは取り扱わず、ライバルであるSteamでの取り扱いとなったということは、MicrosoftのPCゲーム戦略において大きなターニングポイントとなりそうな決断だ。また、Xbox 360版も発売予定だが、時期や価格は未定。
今回は「Ori and the Blind Forest」(以下、「Ori」)のXbox One版をプレイすることができたので、そのインプレッションをお届けしたい。
Microsoft Studiosが放つ“メトロイドヴァニア”スタイルの上質2Dアクション
「Ori」は、北米で特に“メトロイドヴァニア”(あるいはメトロヴァニア)と呼称されるタイプの2D横スクロールアクション。「メトロイドヴァニア」とは任天堂の「メトロイド」と、KONAMIの「キャッスルヴァニア(邦題:悪魔城ドラキュラ)」を組み合わせた造語で、横スクロールタイプのステージを舞台に、探索や謎解き、多彩なアクションを駆使して、ステージを突破していくゲームデザインを、両作が欧米に与えたインパクトの大きさに敬意を表してそう呼称される。
現在、この分野は、「LIMBO」、「BRAID」、「ORIGAMI」、「FEZ」などなど、インディーズタイトルを中心に数多くの佳作が生まれている。共通点は日本の横スクロールアクションゲームに対するリスペクトと、2Dベースのシンプルなゲームデザインでありながら、惜しみなく最新テクノロジーが投入されているところだ。「Ori」もまたそうした系譜に連なる上質なタイトルのひとつで、今年度Game Developers Choice Awardsをはじめ各種アウォードを騒がせる存在になるだろう。
「Ori」のゲームデザインも非常にシンプルだ。“ニブルの森”と呼ばれる鬱蒼とした森を舞台に、オリという名の小さなヒーローを操作し、森に浸食する敵を倒しながら、故郷を取り戻していく。
基本アクションは、左右移動とジャンプ、そして精霊の炎と呼ばれる中距離攻撃だけ。精霊の炎による攻撃は「悪魔城ドラキュラ」におけるムチのような距離感と使い勝手で、数少ない攻撃手段であると同時に、攻撃を繰り出すと硬直してしまうため、使い方に工夫がいる。
今回じっくりゲームをプレイしてみて感じたのは、オーケストラミュージックも組み合わせた形で、非常に幻想的で美しい世界観が構築されており、2Dベースのゲームでありながら圧倒的な没入感を備えているということと、まさに「悪魔城ドラキュラ」シリーズを彷彿とさせる高難易度の2つである。
まずグラフィックスについては、キャラクターが動くメインのレイヤーに加えて、世界観に奥行きを与える遠景のレイヤー、そしてプレーヤーの視界を遮るように真っ黒な木々や動物らしき影の動きを表現した最前面のレイヤーがあり、これらの多重スクロールにより、非常にリッチなビジュアルを実現している。
キャラクターやオブジェクトに対するエフェクトも、まさに惜しげも無くたっぷり使われており、横スクロールアクションでありながら、Xbox Oneのパワフルさが実感できる内容となっている。
驚きの高難易度設定も、独自のセーブシステムで“心が折れない”仕様に
さて体験会では、最初のステージとなる「SUNKEN GLADES」、“打撃”スキルを多用して難所を乗り越えていく「GINSO TREE」、左右上下全方位への重力パズルが楽しい「FORLORN RUINS」の3つのステージを体験することができた。
体験してみて最初に感じたのは、その難易度の高さだ。「スペランカー」のように少し高いところから落ちただけで死ぬということはないものの、突如出現するモンスターやトラップ、足場を滑らせてのダメージトラップへの落下などで、簡単に死んでしまう。
“メトロイドヴァニア”スタイルのゲームの特徴は、上記2タイトル含め、とにかく難易度が高いことだ。その多くはアーケード向けに制作されたこともあり、プレーヤー全員がクリアできることを想定されていないことも一因としてあるが、当時はその凄まじい歯ごたえがゲームデザインとしてトレンドだったのだ。「Ori」もそうした高難易度設定を受け継いでおり、死んで覚えるタイプのゲームになっている。
死ぬ度にステージの最初からとか、かなりさかのぼっての再スタートだと、クリアする気が萎えてしまうが、「Ori」は、いわゆるマジックポイントを消費してセーブポイント「ソウルリンク」をどこでも設置できるようになっており、やり直しの手間をかなり軽減することができる。これはかなり良いシステムだ。
ゲームは、鬱陶しく感じられない程度に所々でカットシーンが挿入され、ステージのクリアに必要不可欠なスキルを学んだり、ストーリー上重要な情報を得ることができる。ステージはあたかもアリの巣のように上下左右に伸びており、広く深い。1本道ではなく、行きつ戻りつするため、ステージの広さ以上にボリューム感がある。
ちなみに今回プレイした3ステージのキースキルは、「SUNKEN GLADES」が「壁面ジャンプ」と呼ばれる壁登りスキル。「GINSO TREE」は、ランタンや敵が射出したエネルギー弾などの光るオブジェクトを触媒にしたジャンプスキル「打撃」。ちなみにこの打撃は、飛んできた弾を跳ね返すこともできるなど、攻撃スキルとしても使える。
屈指の高難度ステージ「FORLORN RUINS」は、スタート地点に「光の杯」が登場し、これを抱えた状態だと、重力を無視して、上下左右どの位置の壁でも壁に張り付いたまま移動でき、かつダメージ床のダメージを無効化できるというもの。基本は持ったまま、移動、ジャンプ、攻撃を繰り出し、必要に応じて落として、重力を下に戻すことが基本テクニックとなる。
難易度が跳ね上がるのは、キューブ型の物体が浮かぶエリア。光の杯を持ったままキューブに載ると、左右上下の好きな方向に重力を変えられるため、現在の重力方向を利用して、ジャンプ直後に横にずれて落下エネルギーを使って左右上下の別のキューブに着地するというテクニックを多用する。これがなかなか難しくて、体験会ではここが超えられずに終了したメディアも結構いた。左右上下が反転すると、パッド操作も逆になるため、ついつい逆に操作してしまうのだ。
今回はプレイ時間も短く、ストーリーの概要も飛び飛びになったため深くは理解できなかったが、ビジュアルの美しさと、濃密なパズルアクションがかなり強く印象に残った。Xbox Oneユーザーならぜひ試して貰いたいアクションゲームだ。