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MMORPG「Weapons of Mythology」、PS4版を日本で初夏にサービス!

開発元の台湾Gamemag Interactiveで、実機デモを実施

1月28日~2月1日開催

会場:Taipei World Trade Center

 「Weapons of Mythology」は東洋的な雰囲気も取り入れられた独特のファンタジー世界が魅力のMMORPGだ。スキルを宿した「レリックウェポン」を組み合わせることで、自由度の高いキャラクタービルドが楽しめる。

 本作は台湾Gamemag Interactiveが開発し、日本ではライオンズフィルムが運営している。台湾では2013年末からサービスを行なっており、日本では2014年12月に正式サービスを開始した。そして今回、プレイステーション4版のサービスを正式発表した。日本では初夏にサービス予定で、サーバーはPC版と同じになるという。今回、Taipei Game Show 2015取材の際に台北のGamemag Interactiveを訪れ、開発中のPS4版を見ることができた。

 Gamemag Interactive本社では本作のプロデューサーを務めるSamuel Huang氏のデモプレイを見ることができ、Gamemag Interactiveマーケ本部長のCasper Chou氏と、日本での運営を担当するライオンズフィルム代表取締役社長の森健志氏に話も聞くことができたので、レポートしたい。

PS4というコンシューマハードへの挑戦。今後はPS4版が開発の基礎に

Gamemag Interactiveマーケ本部長のCasper Chou氏
デモを行なったプロデューサーを務めるSamuel Huang氏
スライドパッドを使ったメニュー選択など、PS4での操作しやすさを強調

 本作は東洋的な雰囲気も取り入れられた独特のファンタジー世界が魅力。ウォーリア、プリースト、アサシン、メイジ、アーチャーの5つの職業があり、各キャラクターのスキルを駆使してフィールドで狩りを行ない、ダンジョンに挑んでいく。台湾MMORPGらしい自動機能も盛り込まれた、オーソドックスなデザインの作品と言える。

 大きな特徴としては、「レリックシステム」がある。“レリック武器”を入手することでプレーヤーは異なるクラスのスキルを使うことができるのだ。レリック武器にはレベルがあり、強化させることができる。ゲーム内には100以上のレリック武器が存在しており、自分なりのキャラクタービルドを楽しみ、状況に応じた組み合わせで臨機応変に戦うことができる。

 今回、この「Weapons of Mythology」のPS4版が、Gamemag Interactive社内でメディア向けに公開された。PS4版はまず日本で初夏にサービス開始になる予定で、それ以降「Weapons of Mythology」がサービスされている地域、台湾、タイ、中国などでも対応していくという。

 実機デモを行なったのはプロデューサーを務めるSamuel Huang氏。Gamemag InteractiveはXPECから独立した子会社であり、MMOの開発経験に加え、コンシューマータイトル開発のノウハウも持っている。このため「コントローラー」を使ったゲームプレイも慣れており、「Weapons of Mythology」をPS4版開発の下地はできていた。

 何よりHuang氏自身がゲームコンソールに挑戦したいと思ったからだという。「PS4は全世界に普及しています。しかし現状、基本プレイ無料のMMOタイトルはほとんどない。だからこそここに私達のタイトルを投入したいと思ったのです」とHuang氏は語り、デモプレイを開始した。

 PS4版「Weapons of Mythology」はPC版よりグラフィックスが美しくなる。光の効果や、影の配置など、PC版以上に様々な点で表現が強化される。ハイスペックなPCを用意しなくても、美しいグラフィックスでゲームが楽しめる。

 操作は、左スティックでキャラクター移動、右スティックで視点を変える。ボタンを押すことで敵や自分のターゲットを選び、オートアタックを開始する。スキルはR2、L2を押すことで、選択でき、ボタンと方向キーで使う。「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」のインターフェイスに近い部分もある。

 また、スキルやインベントリーなどはスライドパットで選択できるようになっている。全体的に、MMORPGで求められる操作を、きちんとPS4で再現していると感じた。実際触ってみて、敵と戦ってみたのだが、操作しやすい。

 本作のウリはPvPで、こちらもコントローラーでの戦い方を極めていくことで、キーボード操作に負けないスピーディーな戦いができそうだ。Huang氏は“アクション性”も今後も注目していきたいと思っているとのことで、コンシューマーゲームに負けない敵との駆け引きや、エキサイティングなPvPなどをさらに盛り込んでいくようだ。そして、サーバーはPC版と同一になる。友達がPS4を持っていなくても一緒にプレイし、冒険や狩り、PvPが楽しめるのだ。この仕様は日本サービスでも同様だという。

 このPS4版は「Weapons of Mythology」にとって、単なる“移植”ではない。現在の開発体制はPC版ではなく、PS4版を最初に開発し、それからPC版にコンバートしているとのこと。このため、今後のアップデートも全て同時のタイミングでできる。PS4版はまずは日本サービスのみであるが、今後の事を考え、あえて開発の“中心”としているのだ。

 触ったのは少しの時間だが、マウスとキーボードで操作するMMORPGをうまくコントローラの操作にコンバートしていると感じた。グラフィックスもリッチで見応えがある。今回話を聞いて驚いたのは、実はPS4版の開発は4カ月前にスタートしたばかりだという。かなりなスピードで作業を進めたため、ボイスチャットの仕様など、まだまだ開発を進めていく部分はあるが、PS4でも快適に遊べる環境を実現していくとHuang氏は語った。キーボードでのチャットが可能で、シェア機能にももちろん対応していくという。

 台湾市場もスマートフォン向けや、ブラウザゲームが盛んになっている。Gamemag Interactiveはその中でPC向けMMOにこだわっていると感じた。マーケ本部長のCasper Chou氏にこの点に質問をしてみた。

 Chou氏は、「ソーシャルゲームをプレイする人も増えましたが、変わらずMMOをプレイしている人も多いです。特にコンソールゲームを遊んでいる人達は、“没入感”を求め、本格的なゲームを求めているのではないかと私達は考えています。もちろんよりプレイしやすい環境は目指していきますが、仲間とコミュニケーションを楽しめ、奥深い戦いが楽しめるMMORPGを私達は愛していますし、もし次回作を作るならばそれもちろんMMORPGになります」と語った。

【デモプレイ】
初心者フィールドから、PvP、巨大モンスターとの戦いと、本作の要素をPS4クライアントで見ることができた。他のプレーヤーはPC版で接続しており、すでに同一サーバーが実現している。

ゲームを際立たせるためのPS4版。「エンジェルラブオンライン」の経験を活かす

ライオンズフィルム代表取締役社長の森健志氏
PS4版の開発期間は短く、森氏も見てみて驚いたという

 本作を日本で運営するライオンズフィルム代表取締役社長の森健志氏にも話を聞いた。森氏はキューエンタテインメントでMMORPG「エンジェルラブオンライン」を立ち上げ、PS3版をサービスした人物だ。

 当時PS3で基本プレイ無料のゲームはなく、「エンジェルラブオンライン」をサービスするために、森氏をはじめとしたスタッフは様々な努力をしたという。「Weapons of Mythology」はその経験を活かしての新たな“挑戦”となる。

 実は「Weapons of Mythology」のPS4版は、タイトルを契約するときに森氏からGamemag Interactiveに提案したという。ブラウザ型のMMORPGが増えていく中、クライアント型の作品の展開が難しくなっていった。クライアント型だからできる奥深いシステムや、魅力的な世界観を活かすためのプロモーション手法として、やはりPS4との連動が必要だと考えた。それは、「エンジェルラブオンライン」での経験を活かした上での施策だという。

 「エンジェルラブオンライン」ではPS3と連動したが、実はPS3ユーザーを獲得できたと言うだけでなく、それにあわせてPC側のユーザーも1.5から2倍に増えたという。この成功体験を元に、Gamemag InteractiveにPS4への連動を提案したという。PS3の時は基本プレイ無料のタイトルがなく、ソニー側への提案も大変だったが、今回はずっと楽な環境になっているという。

 今回見ることができたPS4版は、森氏自身もその完成度に驚いたという。Gamemag Interactiveで開発環境が準備できたのは10月でそこからの開発にもかかわらず、すでにプレイアブルの状態になっているのには驚いているとのことだ。

 日本でのPS4版のサービスは初夏を予定している。クライアントはPC版同様、無料のダウンロード版を提供するが、特典をつけた有料のパッケージ版の販売も予定している。こちらはまだ話せないが、コレまでと少し違った方法を準備している。また、PS4ユーザーを対象にしたキャンペーン、クロスプラットフォームを活かしたイベントなど、「エンジェルラブオンライン」の経験を活かした上で様々な方法を検討しているとのことだ。

 森氏はオンラインゲームの運営にこだわりを持っている。テレビやモニターの大画面で、がっつり遊ぶオンラインゲームは森氏自身が好きだという。キューエンタテイメントの次は、NHN PlayArtで「LINEゲームの開発」を手がけた森氏は、スマホ向けのノウハウも持っており、以前以上に様々なプランを持っている。スマホならば、PCやPS4ならではのゲームの経験を活かし、「Weapons of Mythology」そして今後のタイトルのサービス、運営をしていきたいと語った。

 森氏は日本の市場でのPS4の“伸びしろ”にまだまだ期待している。「PS4を買う人というのは、やはりゲームの思い入れがすごく強いと思うんです。そこで基本プレイ無料で遊べるゲームがあれば、触ってみたいと思う人もいると思うんです。まず無料だからダウンロードする、そして遊んで知ってもらう。こういうビジネスも面白いと思うんですよ。PS4版リリースの時には、日本のたくさんのユーザーさんにぜひ触って欲しいと思います」と森氏は語った。

【PS4版スクリーンショット】
PS4版は、ライティングなどで、PC版以上にグラフィックスが美しくなるという

(勝田哲也)